ぷらすです。
今回ご紹介するのは、折角「オデッセイ」で上がった評価を「グレートウォール」で下げちゃったでお馴染みマット・デイモン主演の『ダウンサイズ』ですよー!
ポスターや予告だけ見て、ドタバタコメディーかなと思ったら、結構ゴリゴリのSF映画でしたねーw
画像出典元URL:http://eiga.com
概要
『サイドウェイ』『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』などのアレクサンダー・ペインが監督を務めたコメディー。人間を14分の1に縮小する計画に参加する主人公を、『オデッセイ』などのマット・デイモンが演じる。『イングロリアス・バスターズ』などのクリストフ・ヴァルツ、『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』などのクリステン・ウィグらが共演。ペイン監督と『サイドウェイ』でも組んだジム・テイラーが脚本を担当した。(シネマトゥデイより引用)
感想
この映画、日本版予告編だけ見るとドタバタコメディーを連想してしまうと思うし、確かにコメディー映画ではあるんですが、物語は結構ゴリゴリのハードSFだったりします。
ざっくりストーリー紹介
人口増加による環境破壊や資源を巡る紛争やテロなど、様々な問題の解決策としてノルウェーの博士が人間を14分の1のサイズに縮小する実験に成功するところから物語はスタートします。
サイズが小さくなれば相対的に資源や個人の財産が増えるし、環境にも優しい。
また、税金なども優遇されるし庶民でも大金持ちのような豪邸に住んだり、財産はあるから仕事もそれほどしなくてよかったり。
そうすれば心に余裕ができるので犯罪も起こらないという、まさにユートピア状態なわけです。
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それから数年後、マット・デイモン演じる医学療法士のポールと、クリステン・ウィグ演じる妻のオードリーは、働けど働けど楽にならない暮らしを捨て、すべての財産を売っぱらってスモールワールドに移住を決めるんですが、いざポールが小さくなって目が覚めたら奥さんは直前で怖気づいて「やっぱり友達や家族と離れられない!」とか言って逃げ出しちゃって……という奇想天外なストーリー。
物語前半では、そこまでやらなくても…ってくらい、ポールが小さくなるまでの手順を微に入り細に入り描くんですよねw
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結局、二人は離婚。
財産を半分持って行かれたポールはテレフォン・オペレーターをしながら(それでも十分豪華な)アパートで暮らし、パーティーに呼ばれたりシングルマザーと付き合ったりするも、「こんなハズではなかった…」と小さくなった事を後悔する日々を送るわけですが、クリストフ・ヴァルツ演じる胡散臭いアパートの隣人ドゥシャンの部屋の掃除に来ていた義足のベトナム女性ノク・ラン(ホン・チャウ)と出会うことで新たな運命が動き出すんですねー。
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アレクサンダー・ペイン
そんな本作の監督は、アメリカ社会の家族・夫婦関係をテーマにし、風刺やブラック・ユーモアを混ぜる作風が特徴(ウィキペディアより)のアレクサンダー・ペイン。
僕はこの人の作品って「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」くらいしか観ていないんですが、ドタバタコメディーっていうよりオフビートな笑いとそこはかとない寂しさを込めたちょっといい話を描く監督というイメージ。
でも、彼の根底には様々な問題を抱えながらも必死に生きる人に寄り添うような優しい眼差しがあるような気がします。
本作でも、人間を縮小するという突拍子もない設定に、資本主義や意識高い系人類への皮肉を織り交ぜつつ、主人公が“ 自分の居場所 ”を見つけるまでを描いたある意味でロードムービー的な作品になっていて、135分と長尺な作品ながら何処に向かうのか分からないストーリー展開で、最後まで飽きることなく観ることが出来ましたねー。
不満点
とはいえ、ちょっと不満だったのは「ダウンサイズ」の設定がさほど活かされてないというか、例えば「主人公が物価の安いアジアの国に住む事になるも…」という設定に置き換えても物語としては成立しちゃうんですよね。
「ダウンサイズ」という設定に主人公が後戻り出来ない状況を作る以上の意味はなくて、そこはもったいないと思ったしあの「ダウンサイズ」工程の執拗なまでの描写は何だったのかと思ったりもしましたw
キャスト陣
本作を底上げしたのは、マット・デイモンを始めとしたキャスト陣の魅力だと思います。
ポールのお人好しでいい人だけど確固たる信念のない「普通の人」という設定と、マット・デイモン自身が常にまとっているボンクラ感(褒め言葉)はピッタリとハマっていたし、胡散臭い男を演じさせたら世界でも5本の指に入るだろうクリストフ・ヴァルツは本作でも見事に胡散臭い男を演じていましたねーw
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そして本作のヒロイン、ノク・ランを演じたホン・チャウは、そんな二人に負けないくらいの存在感を発揮していてとても良かったです。
すごく美人ってわけではないし、背も小さくてスタイルだっていいわけでもなく、(そういう役柄だからかもですが)辿たどしい英語でまくし立てる押しの強い、いかにもアメリカ人がイメージするアジア人って感じなんですけど、物語が進むほどに彼女のちょっとした表情や辿たどしいながらも力強い言葉にドキッとしたり感動してしまうのです。
そんな、見事にハマったキャスティングが突拍子もない物語にリアリティーを与えて、ギリギリ地に足のついた物語にしているのではないかと思いましたねー。
興味のある方は是非!!
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