ぷらすです。
今回ご紹介するのは、2010年韓国ナンバー1の大ヒットヒットとなった映画
『アジョシ』ですよー!
『母なる証明』のウォンビンと『冬の小鳥』で絶賛された子役キム・セロンが共演する、一言で言うなら「韓国版レオン」的な映画でしたー!
画像出典元URL:http://eiga.com
あらすじと概要
2010年に韓国で公開され、その年のナンバーワンヒット作となり、韓国のアカデミー賞ともいうべき大鐘賞で主演男優賞を受賞したほか、計8部門にノミネートされたアクションムービー。心に闇を抱えながら生きる男と、彼と心を通わせる少女のドラマが展開する。主演は『母なる証明』のウォンビン。『冬の小鳥』で絶賛された子役キム・セロンが少女を演じる。ウォンビンが鍛え上げられた肉体で披露する本格アクションも見どころだ。
ストーリー:過去の出来事が原因で心に闇を抱え、街の片隅で質屋を営んで生きる男テシク(ウォンビン)。隣に住む孤独な少女ソミ(キム・セロン)は、テシクをただ一人の友達として慕っていたが、ある日、ソミが麻薬中毒の母親共々犯罪に巻き込まれ、組織に誘拐されてしまう。ソミを救い出すため、立ち上がったテシクは……。(シネマトゥデイより引用)
感想
僕はそんなに頻繁に韓国映画って観ないんですが、観るときは大抵日本の映画ファンの間でも評判のいい作品を観るので、今まで韓国映画で「これは外れ」という作品には当たったことがないんですよね。
本作もネットの評判通り、面白かったですよー!
コリアノワール特有の痛みと、孤独な魂が触れ合う美しさ
本作は、簡単に言うと「質屋のおじさんが隣人の少女を助けるために巨悪に挑む」物語です。
そんな、質屋のおじさん(アジョシ)テシク役に韓流四天王? の一人、ウォンビン。
隣人の不憫な少女役ソミは、『冬の小鳥』という韓国映画で絶賛された天才子役、キム・セロンが演じています。
いや、ウォンビンにおじさん感はないだろう! と思われる方もいるかもですが、これはあくまでソミ視点ですからね。10歳位の子から見ればウォンビンもおじさん枠なんでしょうね。
そしてこのテシク、ただの質屋のおじさんではなくて、いわゆる「ナメてた相手は殺人マシーン」系譜の謎多き男。
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“ある過去“が原因で、世間との関わりを絶ち質屋として生きる孤独な男(実は殺人マシーン)と、ヤク中の母親と二人暮らしで周囲から忌み嫌われる孤独な少女。
地獄のような劣悪な環境で、似た者同士の孤独な二人にとって互いの存在だけが互いの支えになっているんですね。
で、このソミ役のキム・セロンちゃんの演技が実に良くて、もうね、おじさん号泣ですよ!
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小汚い路地の隅に膝を抱えてちょこんと座ってる所在なさげな佇まいとか、母親がドラッグでラリって変な声を出してる時にフードの上から耳をふさいで地面を眺めてるトコとか……もう、誰か助けてあげてー!・゜・(ノД`)・゜・と。
そんな彼女が唯一懐いているのが、隣の質屋テシク。
野良猫のようにチョッカイをかけてくるソミに、優しい言葉とか一切かけない(関わらないようにしてる)んですが、それでもご飯を食べさせてあげたりソミママがラリってる時は家に泊めてあげたりするんですね。
ここで、テシクもまたソミを憎からず思っている事が分かるのです。
と、ここまで読んでくれた方は、なんとなく既視感があるんじゃないかと思います。
そう、この物語はいわば「韓国版 レオン」みたいな物語なんですね。
で、この二人の交流と同時進行で、もう一つの流れが進行していきます。
韓国のギャングと臓器売買に手を染めるマンソク兄弟が、麻薬の取引をしているんですが、なんとソミママがこの麻薬を盗んでしまうんですね。
って、何してんだこのバカっ母がー! (´・ω・)つ)3゚)∵ゴッ!
そして案の定、ソミ母子はマンソク兄弟にさらわれ、テシクも犯罪に巻き込まれていくというストーリー。
ここから、コリアンノワール特有の「痛い描写」が随所に入っていきます。
ソミママが、ドライヤーを肌にギューっと押し付けられる、地味だけどイヤンな描写あり、斧で頭をカチ割られるオッサンがいたり、生きたまま臓器を抜かれた死体が登場したり、電動釘打ち機で太ももを貫かれたりと、実にバリエーション豊か。
ただ、以前見た韓国作品に比べればグロ度は幾分少なめかなーと思いましたねー。
R-18じゃなくR-15指定ですしね。
ストーリー的に、観客がドン引きするような極端に痛い描写は控えたのかもしれません。
ウォンビンの肉体美とコリアンアクション
で、今回観て思ったのは、やっぱ韓国の俳優さんは演技の幅が広いなーと。
いや、正直に言えばウォンビンという人をまともに観たのは本作が初めてなんですけど、体脂肪何%だよ! という細マッチョな肉体美で、アクションもキレッキレでした。
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そのアクションも、米映画のヘビー級なアクションではなく、かといって香港や日本とも違う、韓国独特の軽量級のスピードと痛みが伝わる殺陣なんですよね。
特にクライマックスのナイフを使ったアクションは、スピードと痛さが伝わってきて、ドキドキですよ。
でも、本作の白眉はキレッキレなアクションではなくて、ウォンビンの表情なんですよね。
ある瞬間を境に彼が見せる幽鬼のような表情は、なまじ整った顔立ちなだけにゾッとするような絶望を感じさせるわけです。
あと、今回の悪役キム・ソンオとキム・ヒウォンは、少々オーバーアクトな感じなんですが、これは多分映画の色に合わせて、わざとデフォルメしてるんだろうなーって思いました。
で、この二人がラスボスな割に小物感がすごいのも、逆にリアルな感じがしましたね。
俗っぽくて身も蓋もない感じっていうか、こいつらに殺されたら浮かばれないなー感っていうか。
100点満点ではない
と、ここまで褒めてきたわけですが、個人的に決して100点満点の傑作というわけではありません。
やりたいことはよく分かるものの、やっぱり若干マンガ的な感じがあり、それがテーマ的に若干マイナス方向に働いてるし、作品としての底が浅さに繋がってる感じがしました。
ラストシーンも、気持ちはよく分かるけど、個人的には蛇足かなーと。
もちろん、テーマ的にも映画のオチとして必要なシーンなのは分かるし、着地点としても良い感じんですけど、ちょっとエモーショナルすぎというか。
とはいえ、アクションシーンは超カッコイイし、キム・セロンちゃんもいいし、約2時間の作品ですが、観ている間退屈はなかったです。
興味のある方は是非!
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