今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

ヨーロッパ映画の香り「六月の蛇」(2002)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは2002年の塚本晋也監督作品、『六月の蛇』ですよー!
僕がこれまで観た塚本作品は「鉄男」「鉄男 THE BULLET MAN」「野火」くらいだったんですが(あと悪夢探偵も)、少しづつ過去作を観ていこうかなと思い、今回選んだのが本作です。

個人的に好きな作品だったんですが、いざ感想を書こうと思うと言いたいことを上手くまとまらなくてかなり難航しましたよw(書いてるとどんどん言いたいことが湧いてくる感じ)

なので、全然的外れな事を書いてるかもですが、ご容赦くださいねーw

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

“都市と肉体”をテーマに作品を撮り続けてきた鬼才・塚本晋也監督が放つ、2002年ベネチア国際映画祭審査員特別大賞に輝いた愛とエロスの物語。見知らぬ男からの脅迫をきっかけに、秘めた欲望を露わにしていく人妻の姿を通し、生を実感できない現代人の孤独、心の渇きを描く。主演は『愛について、東京』の黒沢あすか潔癖症の夫役にコラムニストの神足裕司、ストーカー役を塚本監督自身が怪演。降りしきる雨や青みがかったモノクロ映像が鮮烈な印象を残す。

トーリー:梅雨の東京。潔癖性の夫と暮らす電話カウンセラー・りん子(黒沢あすか)のもとに、彼女の自慰行為の盗撮写真と携帯電話が届く。彼女の言葉で自殺を思いとどまった道郎(塚本晋也)からの脅迫だった。その日から、りん子の恥辱と恐怖に満ちた日々が始まる。(シネマトゥデイより引用)

 

感想

ヨーロッパの映画の香り

本作を観ながら、僕は「なんかヨーロッパ映画みたい」と思いましたねー。
恥ずかしながら黒沢あすかさん、神足裕司のことを知らなかった(神足さんは役者さんじゃないんですね)のも、邦画感を感じなかった理由の一つですが、青いフィルターをかけたモノクロのような美しい映像と、アブノーマルな性愛の形をソリッドな映像で描く塚本監督独特の乾いた“湿度”を感じさせない表現に、昔観たヨーロッパポルノ文学の映画化作品の香りを感じたのかもしれません。

主人公のりん子(黒沢あすか)は「心の健康センター」で電話相談を受けるカウンセラーで、潔癖症の夫 重彦(神足裕司)と二人暮らし。
セックスレスだけど、真面目で「優しい」夫とゆとりのある平穏な暮らしに表面上満足しているものの、心の奥底では夫に女として見られない不満や孤独を感じているわけです。
そこに、以前カウンセリングで自殺を思いとどまらせた末期ガンのカメラマン道郎(塚本晋也)が、盗撮した彼女の自慰写真を送りつけてきたことで、物語が動き出します。

前半は弱みを握られたりん子が、道郎の電話での指示に従ってミニスカートにノーパンで歩かされたり、大人のおもちゃを買わされたり、それを入れて街を歩かされたりというSM展開になっていくんですが、その行為がそれまで緩やかに鬱屈していた彼女の心を開放し、中盤からは立場が逆転していきます。
この二人は最後まで、電話でのやりとりとカメラのレンズを通しての「見る」「見られる」だけの関係で、直接的な接触はないんですが、カメラマンである道郎と、夫から見て(向き合って)貰えない事に孤独を感じるりん子にとって、この行為はセックスと同義なんですね。

一方の夫 重彦は、優しくて真面目で一見申し分ない夫に見えて、実は幼稚で神経質で弱い男だということが、次第に明らかになっていきます。
その弱さゆえ、りん子に発した“ある言葉”がその後に起こる取り返しのつかない事態を引き起こす引き金となってしまうんですね。

「性」と「死」を通して「生」を描く物語

アブノーマルでエロチックな描写が多い作品でもあるので、本作は一見「性」を描いた作品に思えるし、実際それも本作の一面ではあるんですが、本作が描いているテーマは大きく二つの軸があると思います。
「人は死を意識して初めて生を実感んできる」ってことが一つ、もう一つは「コミュニケーションについて」

カメラマンの道郎は、それまでブツ取り(静物)専門のカメラマンで他者とのコミュニケーションから逃げていた男です。
しかし、末期ガンであることが分かり、一度は捨て鉢になって自殺を考えるも「心の健康センター」で電話相談で「やりたいことをやれ」とりん子に励まされ(ガンのことをりん子は知らなかった)、りん子を盗撮。目前に迫る死を前にして、初めて生を実感するわけです。(相当ねじ曲がってますけどもw)

多分最初は、りん子(人間)を撮影したかっただけなのかもですが、そこでりん子の秘密を知った道郎は、(強制的に)りん子が心の奥に隠していた本当の欲求を開放します。

それは別にりん子が羞恥プレイに憧れてたとかではなく、「女として見られたい」、もっと言えば「自分を見て(認識して)欲しい」という欲求なんですね。

道郎は「死」に直面することで、りん子は「性」を開放される事で、初めて「生」を実感し、「生」とコミュニケーションは密接な関係があるというか。人は他者に認識されなければ「生」を実感することは出来ない的な?

中盤の山場での、道郎のカメラのシャッター音とフラッシュの中でのりん子の絶頂の叫びは多分、人として女として、互いに初めて認識しあった二人の「産声」なんだと思います。

そしてここでもう一人の登場人物である重彦ですが、彼は根本的には道郎と同種の人間で、「生」と向き合う事から逃げ続けてるんですね。
だから母親の最後にも立ち会わないし、ひとつ屋根の下で暮らすりん子とも向き合うことが出来ませんし、自分の暮らしから有機的な痕跡を異常なまでに排除しようとします。
そんな重彦に擬似的な「死」を体験させることで、道郎は(強制的に)重彦の目をりん子に向けさせようするんですね。

それは、道郎が恋した女の「本当の望み」を叶えてやったとも取れるし、自分と同種の人間、重彦というアバターを使って自分の「最後の望み」を叶えたとも取れるし、あるいは両方なのかもしれません。
また、最終的にこの三人の間にコミュニケーションが成立したのかどうかも人によって解釈が異なるところだと思います。

そこを明言せずに、りん子と重彦の絶頂の叫び(産声)でスパっと物語の幕を引く塚本監督の切れ味はさすがだなーと。

とはいえ、特に冒頭部分は人によって(特に女性にとって)は、不快に思うかもですし、ハッキリと結論が出ない物語が苦手という人にはあまりオススメ出来ない作品ではあります。

ただ、映像は綺麗だし時間も77分と短いので、観たことはないけど塚本作品が気になってる人の入口としては最適な一本なんじゃないかと思いますよー。

興味のある方は是非!!

 

豪華キャストがフルスロットルの演技「GONIN」(1995)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、映画関係者→漫画家→脚本家→映画監督という異例の経歴を持つ石井 隆監督が描いたバイオレンス映画『GONIN』ですよー!

僕は公開後、レンタルビデオで観たはずなので今回が2回目の鑑賞なんですが、内容を殆ど忘れてたので、今回初見みたいな気持ちで観ましたよw

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画像出典元URL:https://www.amazon.co.jp

あらすじと概要

暴力団の金庫から現金強奪を企てた5人の男たちの顛末を描いたバイオレンス・アクション。バブル崩壊により暴力団・大越組に多額の借金を抱えてしまったディスコのオーナー万代。彼はさまざまな出会いにより知り合った4人の男たちと共に、大越組事務所からの現金強奪を実行する。しかし、それも些細なミスから大越組に知れ、彼らは命を狙われることになる……。(allcinema ONLINEより引用)

 

 

感想

「GONIN」とは

ざっくり言うと、ヤクザのお金を奪った人生どん詰まりの五人の男が、ヤクザに報復されるというバイオレンス映画で、ニューヨークでタランティーノの「レザボア・ドッグス」を観た盟友、竹中直人から大筋だけを聞いて石井監督が想像で作ったのが本作ということらしいです。(そしてタランティーノは本作のファンなんだとか)

それ以外でも本作では、竹中直人がお金や役者集めなど色々サポートしているらしいですね。

で、そんな本作に登場する5人はというと、

・元々は音楽をやってて、バブル期にディスコ経営で時代の寵児となったものの、バブルが弾けてヤクザからの借金で首が回らないナルシスト男 万代樹木彦 (佐藤浩市

・男娼のフリをしてかかった客を脅して金を巻き上げる美青年で、実はゲイ? の三屋純一 (本木雅弘

暴力団のチクリによって汚職がバレてクビになった元刑事の氷頭要 (根津甚八

・家のローンを抱えているのにリストラされたサラリーマン荻原昌平 (竹中直人

・パンチドランカーの元・ボクサーで、タイ人の恋人がいるジミー(椎名桔平

そんな五人に報復のため送り込まれたヒットマン役がビートたけし木村一八で、ビートたけしはこの時バイク事故から復活したばかりで、片目の眼帯は役作りじゃなくてまだ治ってなかったらしいです。

他にも、鶴見辰吾、永島敏行など、豪華キャストたちがリミッターなしのフルスロットルで熱演。今でもカルト的人気を誇っている名作で、それから19年後の2015年に公開された「GONINサーガ」へと繋がっていくんですね。

今観れば色々思うところはあるけれど

とはいえ、約20年前の作品ですからね。
今観れば、画面の古さや、バブルの残り香満載のファッションや音楽、時代を感じさせるオーバーアクト、ケレン味たっぷりなアブノーマル設定、説明台詞など、「あー昔っぽいなー」と思うのは致し方なしです。
しかし、その後隆盛を極める韓国ノワール映画のような荒れた空気感だったり、バイオレンスを際立たせるカメラワーク、思いもよらない展開など、多分、その後に続く日本のバイオレンス映画に、多大な影響を与えた作品なのだろうと推測させるインパクト抜群の映画であることは間違いありません。

一旦は成功したかと思われた強奪計画が、ある男の行動によるほんの小さな綻びから破綻、その後の目も当てられない惨劇に発展していく展開には、見ているこちらも手に汗を握ってしまうし、その途中にあっと驚く「真相」を挟み込む上手さは、さすがだなーと思いました。

このシーンがスゴイ

中でも今観ても衝撃的だったのは、計画がバレて、引き込み役となる椎名桔平演じるジミーが、横山めぐみ演じるタイ人の恋人のナミィーと共にヤクザの拷問を受けるシーンは、裸で椅子に縛り付けられ拷問されるジミーとチンピラたちに陵辱されるナミィーを、引きの画で同じ画面に収めているんですが、それによって陰惨さが増してるんですよね。
しかもその後、ジミーがナミィのワンピースを着て組長に復讐しようとするシーンでの、椎名桔平の鬼気迫る演技は凄かったですねー。

あと、金を手にした荻原が家に戻ってからのシーンは中々のホラー展開で、真相が分かった瞬間に、遡って「あれはそういう事か!」と衝撃を受けました。
まさに、竹中直人の真骨頂といった凄みのある恐ろしいシーンです。
そこに踏み込んできた、ヒットマン二人の関係が明らかになるのも衝撃的でしたねー。
お前もかーい!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ っていうね。

ヤクザの事務所を襲撃するシーンでのモッくんの身のこなしは、思わず目を奪われる見事な中二アクションで、超かっこよかったですよ!(;゚∀゚)=3ハァハァ

残念だったシーン

ただ、やっぱり残念なシーンが多いのも確かで、特に全体的に無駄な説明セリフが多いのは気になりました。
ゴチャゴチャ言わないでキスするだけで良くない? とか、そこは表情と行動で分かるのになんでセリフで言っちゃうかなーとか、芝居がかったリアクションとか。
その辺は、時代もあるのかもしれませんけど。(観客に分かりやすくするための説明セリフは常識だった)

あと、基本登場人物が全員トリッキーと言うか、特に、竹中直人、モッくん、永島敏行の三人は“芝居しすぎ”な感じがしました。
キャラ的に仕方ない部分もあるんですが、演技がオーバー過ぎてちょっと引いちゃうし、嘘っぽく見えちゃうんですよね。

根津甚八が(キャラ的にも)抑えた演技で物語のトーンを引き締めているので、そこまで気にならずに済んでるものの、やりすぎのオーバーアクトで、物語のリアリティーやキャラクターの実在感が薄れてる部分が多いのがもったいないなーと。

トーリー自体が突拍子もない話なので、キャラクターやセリフでリアリティーを出していたら、もっと引き込まれたかもとは思いました。
まぁ、それも今の感覚で観てるからなんだと思うんですけども。

ともあれ、とても面白い映画だったのは間違いがないし、「GONINサーガ」を観てみようと思うなら、予習の意味でも先に本作をチェックしていたほうがいいと思いましたよ。

興味のある方は是非!

 

 

ついにコングは王(キング)からゴッド(神)に! 「キングコング 髑髏島の巨神」(2017)

ぷらすです。

今日の朝一番で『キングコング 髑髏島の巨神』を2D字幕版で観てきましたー!
先に書いちゃうと、これはアレですよ。
大画面大音響で観ないとダメなヤツです!!(;゚∀゚)=3ハァハァ

というわけで、まだ公開したばかりの作品なので出来るだけネタバレしないように気をつけて書きますが、これから本作を観に行く予定の方は、先に映画を観てからこの感想を読んでくださいね!
あと、一つだけ注意なんですが、本作はEDロールが始まっても席を立たずに最後まで観たほうがいいですよ!

いいですね? 注意しましたよ?

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あらすじと概要

キングコングを神話上の謎の島に君臨する巨大な神として描いたアドベンチャー大作。島に潜入した調査隊が正体不明の巨大生物と遭遇し、壮絶な死闘を繰り広げる。監督は、主にテレビシリーズに携ってきたジョーダン・ヴォート=ロバーツ。調査遠征隊のリーダーを『マイティ・ソー』シリーズなどのトム・ヒドルストンが演じるほか、『ルーム』などのブリー・ラーソンサミュエル・L・ジャクソンらが共演。巨大な体でリアルな造形のキングコングの迫力に圧倒される。

トーリーコンラッドトム・ヒドルストン)率いる調査遠征隊が、未知の生物を探すべく、神話上の存在とされてきた謎の島に潜入する。しかし、その島は人間が足を踏み入れるべきではない“髑髏島”だった。島には骸骨が散乱しており、さらに岩壁には巨大な手の形をした血の跡を目撃する。そして彼らの前に、神なる存在であるキングコングが出現。人間は、凶暴なキングコングに立ち向かうすべがなく……。(シネマトゥデイより引用)

 

感想

東宝キングコング!?

米国の「キングコング」は1933年の初出以来、同年に続編の「コングの復讐」、1976年にリメイク版「キングコング」、1986年に76年版の続編「キングコング2」、2005年にリメイクされた「キングコング」、そして本作と計6本が製作されています。
また、東宝が、1962年に「キングコング対ゴジラ」、1967年に「キングコングの逆襲」を製作・公開している人気のモンスターです。
僕が観たのは、多分1976版「キングコング」と86年の「キングコング2」の2本じゃないかな?

基本ストーリーは、未知の孤島で王として君臨していた大きなゴリラが、見世物としてニューヨークに連れてこられるも、大暴れの末に殺されるという悲劇でして、コングと美女とのロマンス? が入るのもお約束。

植民地制作が盛んだった1930年代の物語なので、キングコングは奴隷として欧米に連れてこられた黒人の暗喩であると言われ、差別的な物語として批判もされたりしていたようです。

対して本作は、2014年ハリウッド版「GODZILLA ゴジラ」を作ったレジェンダリー・ピクチャーズ制作で、怪獣映画を同一世界観のクロスオーバー作品として扱う「モンスターバースシリーズ」第2作目(一作目がゴジラ)。

つまり怪獣版「アベンジャーズ」みたいなシリーズで、初代ハリウッド版「キングコング」を踏襲しつつ、東宝版「キングコング対ゴジラ」の流れにある作品なんですね。

舞台はベトナム戦争時の「髑髏島」

なので過去作品とは時代設定も変わり、本作はベトナム戦争が終了した直後の1973年、衛星写真に映った知られざる孤島「髑髏島」に米国の秘密研究機関モナークに派遣された調査団が、キングコングや巨大生物と遭遇するという物語になっています。

この辺の基本的な物語の骨格は1933年版「キングコング」を踏襲しているわけですが「地獄の黙示録」よろしく、プレストン・パッカード大佐率いる米軍が軍事ヘリで島に乗り込んで行くんですね。

で、“地質調査”と称して、ヘリに搭載したスピーカーからゴキゲンなロックを流しながら島のあちこちに爆弾を落とすヒャッハーぶり。

そりゃ、コングじゃなくても怒るわw

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画像出典元URL:http://eiga.com 怒りのキングコング

で、案の定キングコングの怒りを買った調査団のみなさんは、ボッコボコにされてバラバラに不時着。
こりゃヤバイと脱出を図るも、この島の驚異はキングコングだけではなく……。という物語です。

個性派派俳優陣と“怪獣”たち

本作では、個性豊かな俳優陣が大集結。

SAS大尉で、ベトナムでは米軍の仕事を請け負うフリーランスの傭兵で、サバイバル術を買われて調査団に動向することになる主役のジェームズ・コンラッドを演じるのは、「アベンジャーズ」で悪役のロキを演じたトム・ヒドルストン

ベトナムで活動していた反戦カメラマンで、髑髏島の調査ミッションに陰謀の匂いを感じて、コネを駆使して調査団に潜り込むヒロインメイソン・ウィーバーを演じるのは「ルーム」で長年監禁された母親役を演じたメイソン・ウィーバー

太平洋戦争中、交戦していた日本軍の戦闘機と共に墜落し、島に取り残された老人ハンク・マーロウ役にはピクサーの「シュガー・ラッシュ」でラルフを演じたジョン・C・ライリー

全ての元凶となる「モナーク」のメンバー、ビル・ランダを演じるのは、「10 クローバーフィールド・レーン」でシェルターの主を怪演したジョン・グッドマン

そして、調査団の護衛としてやってきたプレストン・パッカード大佐役は、みんな大好きサミュエル・L・ジャクソンですよー!

そんな人間たちを迎え撃つのが、超でかいクモやタコや水牛、ナナフシ、コウモリ(翼竜?)、そして凶暴な巨大トカゲスカルクローラー

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画像出典元URL:http://eiga.com / こいつにだけは出くわしたくないスカルクローラー

そんな巨大“怪獣”+サミュエル・L・ジャクソンを相手に、過去最大の31.6メートル(東宝版は除く)のキングコングがドッカンドッカン大暴れするんですから、そりゃぁもう大迫力ですよ!(;゚∀゚)=3ハァハァ

これはもう、出来る限り大画面と大音響で観た方がいいに決まってるのです!

キング(王)からゴッド(神)に

東宝版を除けばこれまでのキングコングの扱いは、あくまで「超巨大なゴリラ」であり、だからキング(王)コングだったわけです。
しかし、本作のキングコングはただデカイだけじゃなく、髑髏島最強の「神」として崇められています。

軍事ヘリを片手でなぎ払い、爆弾や炎を物ともせず、ドラミングからの咆哮、巨大で凶暴なタコやらスカルクローラーにも打ち勝つ姿はまさに神の風格で、人間に捕まってニューヨークに連れてこられる悲劇の主人公ではありません。

日本でゴジラガメラを始めとした“怪獣”は、災害のメタファーであると同時に、妖怪や神の系譜にある生物として描かれてきました。
一方キングコングを始めとしたハリウッドのモンスターはあくまで“巨大生物”だったんですが、本作でついに巨大生物から怪獣になり、キング(王)じゃなくゴッド(神)=怪獣として描かれているんですね。

これは、前述した「モンスターバースシリーズ」の流れもあるし、若干32才で本作に抜擢されたジョーダン・ボート=ロバーツ監督やハリウッド版ゴジラのギャレスエドワード監督など、日本の特撮やアニメに馴染みのある世代に「怪獣」という概念が根付いてきたという部分もあるんじゃないかと思うんですよね。

僕らが子供の頃に観ていた、東宝の怪獣シリーズが時を超えてついに、ハリウッドのビッグバジェットで復活するなんて夢のようだし、日本生まれのゴジラとアメリカ生まれのキングコングの、「二大怪獣」がこれから同じスクリーンに登場するなんて、考えただけでもワクワクしますよー!

そして、そんな“怪獣”キングコングを相手にメンチを切り合うサミュエル・L・ジャクソンは、もはや人間の怪獣といっても過言じゃないですし、ファンなら「あのセリフ」が飛び出すかどうかも気になるトコロじゃないでしょうか!

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画像出典元URL:http://eiga.com / キングコングVSサミュエル・L・ジャクソン

その辺も含めて、絶対に映画館で観るべき映画なのは間違いありません!

興味のある方は是非!!

そして、しつこいようですがEDロールが始まっても、最後まで席を立っちゃダメですよー!

 

▼関連作品感想▼

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スコセッシが『インファナル・アフェア』をリメイク「ディパーテッド」(2007) *ネタバレあり

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、巨匠マーティン・スコセッシ香港映画「インファナル・アフェア」をリメイクしたアクションサスペンス『ディパーテッド』ですよー!

主演にマット・デイモンレオナルド・ディカプリオ、ギャングのボス役には名優ジャック・ニコルソンという豪華な布陣で挑んだ意欲作です。

で、この映画結構入り組んだ構造になっているので、今回は若干ネタバレありで感想を書いていきたいと思います。なので、これから本作を観る予定の方は、映画のあとに感想を読んでくださいね。

いいですね? 注意しましたよ?

 

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

巨匠マーティン・スコセッシが、香港映画『インファナル・アフェア』をリメイクしたアクションサスペンス。マフィアに潜入した警察官と、警察に潜入したマフィアの死闘がスリリングに描かれる。レオナルド・ディカプリオマット・デイモンが主人公の警察官とマフィアをそれぞれ熱演。名優ジャック・ニコルソンがマフィアのボス役で脇を固める。ボストンを舞台に描かれた本作は、スコセッシ監督らしいバイオレンスシーンと、敵対組織に潜入した男ふたりの心理描写に注目。

トーリー:犯罪者の一族に生まれたビリー(レオナルド・ディカプリオ)は、自らの生い立ちと決別するため警察官を志し、優秀な成績で警察学校を卒業。しかし、警察に入るなり、彼はマフィアへの潜入捜査を命じられる。一方、マフィアのボス、コステロジャック・ニコルソン)にかわいがられて育ったコリン(マット・デイモン)は、内通者となるためコステロの指示で警察官になる。(シネマトゥディより引用)

 

感想

元ネタを知らない方が楽しめる!?

まず最初に書いておきたいのは、ネットレビューなどを何本か読んでみると、リメイク作品としての出来は良くないという評判だったんですが、僕は本作の元となったインファナル・アフェア』は観ていないんですね。

ただ、本作はインファナル・アフェア』をベースにはしているものの、マサチューセッツ州ボストン南部、通称「サウシー」というアイルランド系アメリカ人のコミュニティーや、実在のアイリッシュギャングをモデルにしたキャラクターなどの要素を入れ込んでいるので、結末なども含め『インファナル・アフェア』とは別物と考えたほうがいいのかもしれません。

登場キャラクターたち

本作の大筋はインファナル・アフェア』と同じで、二人の若者がギャングと警察にそれぞれ送り込まれ、密告者として任務を遂行する物語です。

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レオナルド・ディカプリオ演じるサリバンは、警察学校を卒業し私服刑事になりますが、父型の親族が全員ギャングのボス、コステロの息のかかった犯罪者という家系。
父親は犯罪には手を染めずに空港職員として働き、サリバンは母親の下で育ったんですね。
で、刑事になった途端に潜入捜査官としてコステロの一味になるよう命令されます。

一方のマット・デイモン演じるコリンは、子供の頃からコステロに可愛がられて育ち、コステロに言われて警察学校へ。
同じく私服警官として州警察の組織犯罪担当の部署に配属されます。
そこで彼はコステロの手駒として、警察の動向をスパイしているわけです。

で、冷酷無比なアイリッシュギャングのボス、フランク・コステロを演じるのが名優ジャック・ニコルソン
ちなみにこのフランク・コステロは架空のキャラクターですが、実際に「サウシー」を牛耳っていたアイリッシュギャングのジェームズ・ジョセフ・バルジャーがモデルになっているそうです。

ブルーレイの特典映像では、このバルジャーの経歴が解説されてるんですが、バルジャーの写真を見ると、ジャック・ニコルソンが容姿をかなりバルジャーに寄せている事が分かりますね。

本作の脚本を担当した ウィリアム・モナハンは、このボストン南部の出身だそうで、バルジャーについても詳しく、劇中のコステロの性格や言動はバルジャーそのものだそうです。こんな人絶対近づきたくないw

また、コステロFBIに情報を流す代わりに逮捕されないという設定も、実際のバルジャーと重なるんだそうですね。

サウシーと差別

ご存知の様に米国は移民の国でして、なので肌の色だけでなく白人同士でも差別があるそうです。
物凄くざっくり書くと、アメリカ人の圧倒的多数はイングランド系で、アイルランドイングランドに支配されていたこと。
また、カトリックプロテスタントというキリスト教派閥の違いなどから、アイルランド系アメリカ人は差別を受けていたようなんですね。(その他にも入植の順番とかもあるっぽいですが)

なので、アイルランド系の「サウシー」の人々は繋がりが強く、政府や警察に頼らずコミュニティーの中で問題を解決するという背景があり、そんな背景の中からバルジャーのようなギャングも多数生まれてくるわけです。
スコセッシが好んで描くイタリア系ギャングも同じような背景があり、本作の当時も差別によって選べる職業が少ないため犯罪組織を選ぶ若者が多いようで、劇中の「警察かギャングのどちらかしか選べない」というコステロのセリフはここから来ているわけですね。

冒頭、先輩刑事ディグナム(マーク・ウォルバーグ)がディカプリオ演じるサリバンに罵倒罵声侮辱的な言葉を吐くんですが、それはサリバンの潜入捜査への適正を確かめるだけでなく、多分アイリッシュ系の(しかも父型の親族がもれなくコステロ配下の人間だった)サリバンに対しての差別心があるんでしょうね。

また、順調に出世していくコリンへの同僚や上司の態度が何となく冷たいのも、同じくアイリッシュ系という彼の出自が関係しているんだと思います。

まったく正反対の二人

ここから、サリバンはギャングの構成員として、コリンはエリート警察官として、それぞれの組織(サリバン→警察・コリン→ギャング)に情報を流していくわけですが、二人の置かれた状況は正反対。

コリンはエリート警察官として順調に出世し(コステロに手柄を回してもらってるから)、素敵なマンションに住んで精神科医の彼女も出来ます。
対して、サリバンの方はギャングに信用されるために経歴を消して刑務所に入り、ギャングの取立て、望力、殺人などを一年以上見せられ、しかもバレたら即殺害されるという緊張の日々。彼は次第に心を病んでいきます。

そんな正反対な二人を繋ぐのがヴェラ・ファーミガ演じるマドリンで、コリンと恋人になった彼女の「患者」として訪れるのがサリバン。
やがて、マドリンはサリバンにも惹かれていき……。っていうね。

情報が筒抜けなので、双方にスパイがいる事を悟った二人は、互いの正体を探るために罠を張り、お互いの情報源を使って、通報者の正体を突き止めようとします。

そこはインファナル・アフェア』と同じで、いつサリバンとコリンの正体がバレるのか、双方の駆け引きが、本作を引っ張る物語の牽引力となるのです。

封筒の中身

で、色々あってついにお互いの正体を知った二人の対決となるんですが、その前にサリバンはマドリンに一通の封筒を託します。
この封筒の中身についてはネットレビューでも諸説あるようですが、僕はこの封筒にはコリンが内通者であることの証拠(か告発文)が入っていて、自分が死んだ場合ディグナムに渡して貰う手はずになっていたんだと思います。
唯一信用出来る上司が亡くなり、他にもギャングの内通者がいるかもしれないと思ったサリバンは最後に、自分を嫌い、上司を殺され、アイリッシュ系を憎んでいたディグナムだからこそ信用し、全てを託したんじゃないかなーと思うんですよね。

面白いけど……。

と、実に盛りだくさんの2時間30分で、個人的には凄く面白かったんですが、ただ、色々盛り込みすぎて全体的に散らかっている感じがある気がしました。
それでも、映画としては十分に面白いんですが、スパイサスペンスというコンセプトが、スコセッシの持つカラーを薄めてしまった感が否めないように思いましたねー。

舞台もニューヨークではなく、ギャングもイタリア系じゃなくてアイリッシュ系だったからか、スコセッシのギャング描写がいつもより距離があったように見えたというか。
なので、スコセッシのギャング映画を期待した人には少々物足りなさが残るだろうし、インファナル・アフェア』のリメイクとして観た人にはコレジャナイ感があったんじゃないかと思います。

ただ、映画職人としてのスコセッシの手腕はさすがで、僕は2時間30分が早く感じたし、物語的にもとても面白かったですよ。

興味のある方は是非!!!

 

他人事と割り切れない恐怖「葛城事件」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年公開された『葛城事件』ですよー!
まず最初に一言で感想を言うなら地獄のような映画でした!(褒め言葉)

昨年は本当に邦画の当たり年って言われていて、特に振り切ったバイオレンス系映画が何本も公開されたわけですが、本作はそんな作品群の中でも、一番観ててしんどい作品なんじゃないかと思いますねー。

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あらすじと概要

劇団THE SHAMPOO HATの旗揚げメンバーで劇作家にして、『その夜の侍』で監督も務めた赤堀雅秋がメガホンを取ったヒューマンドラマ。次男が無差別殺人を起こして死刑囚となってしまったことで運命が狂い出した、ある家族の行く末を見つめる。『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』などの三浦友和、『さよなら歌舞伎町』などの南果歩をはじめ、新井浩文若葉竜也らが出演。家族、死刑、贖罪(しょくざい)などさまざまなテーマをはらんだ物語に圧倒される。

トーリー父親から受け継いだ小さな金物屋を懸命に切り盛りし、マイホームを手に入れ、妻の伸子(南果歩)と共に長男・保(新井浩文)と次男・稔(若葉竜也)を育て上げた葛城清(三浦友和)。理想の家族と生活を築いたと考えていた彼だったが、21歳になった稔が8人を殺傷する無差別殺人事件を起こして死刑囚になってしまう。自分の育て方に間違いがあったのかと清が自問自答する中、伸子は精神的に病んでしまい、保は勤めていた広告代理店を解雇される。やがて、稔と獄中結婚したという女・星野が現れ……。(シネマトゥディより引用)

感想

実際の連続殺人事件をモチーフにした舞台劇の映画化

赤堀雅秋監督は劇作家でもあり、本作は元々ご自身の戯曲を映画化しているらしいんですね。
僕は舞台演劇は門外漢ですが、確かにそう言われてみれば、劇中の登場人物の台詞回しとか少し舞台劇っぽい感じはしました。

で、どんな内容かといえば「連続殺人加害者の家族の物語」でして、葛城家の次男が連続殺人で死刑になるまでと、そこに至る家族の過去を交互に見せていくんですね。
「加害者の親族映画」って、これまでに何本も作られてると思うんですが、最後の方でいい話っぽくまとめられてる作品が多くて、ここまで身も蓋もない作品は初めてじゃないかなと。

最初の戯曲では「附属池田小事件」をベースに、サイコパスの身内を持った家族の悲劇だったそうですが、映画化にあたって「土浦連続殺傷事件」や「秋葉原通り魔事件」、「池袋通り魔殺人事件」を参考にしつつ、「黒子のバスケ」脅迫事件の最終意見陳述の要素も入れ込んで本作が生まれたそうです。

ちなみに、本作の主人公は連続殺人犯の葛城稔ではなく、三浦友和演じる父親清なんですね。

どこにでも居そうな普通の家族

親から継いだ金物店を切り盛りしている清は、いわゆる団塊の世代の強権的な父親
これがもうホントどうにもならないオッサンで、南果歩さん演じる妻の伸子に暴力は振るうし、長男の嫁の家族を招いての食事会では店員にクレームつけるし(しかも超しつこい)、事件が起きた後も行きつけのバーに通って「地獄のリサイタル」を開き、稔と獄中結婚をしたという女、田中麗奈演じるという星野にチューしようと迫るというね。

この清は親から継いだ金物店しか知らないことがコンプレックスで、その裏返しで「自分の理想の家庭」に執着したり、他人にナメられないように攻撃的な言動をしたり、薄っぺらな言葉で社会を語ったり、家族を型に嵌めようと強権的になったりしてるんです。

妻の伸子は長年、そんな清に対して事勿れ主義の見て見ぬふりで、新井浩文演じる長男の保は父親に逆らう事が出来ず、若葉竜也演じる次男の稔はそんな父親を嫌悪しつつ、でも家族の中で一番清に似ています。

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そんな葛城家の(多分最初は)小さな歪みが、長年の蓄積でいつしか手のつけようのない歪みになって、劇中の「ある出来事」を境に家族は一気に崩壊してしまうんですね。

でも、葛城家の家族は決して特別じゃなくて、清も伸子も保も稔も、(少なくとも事件前は)全員がどこにでも居そうな普通の家族なんですね。

だからこそ、本作を観た人は自分の中に清や伸子や保や稔を感じ、「他人事」と割り切れない地続きの怖さを感じてしまうんだと思うんですよね。

語り部としての星野

そんな葛城家の崩壊を外から見る「語り部」の役を担うのが、事件を起こして死刑判決を受けた保と獄中結婚をする女、星野です。
彼女は死刑廃止論者で、保が事件を起こして死刑判決を受けた保を“改心させる”という信念から結婚したんですね。

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本作では、この星野との会話から事件前の回想シーンに入っていく構造で、観客は彼女を通して葛城稔が連続殺人事件を起こすまでの過程を知る構造になっていきます。

本作ではこの星野の設定が上手くて、彼女ってぶっちゃけ、感情移入出来ない観客の多くが嫌悪感を持つようなキャラクターなんですね。
監督は感情移入出来ない星野を語り部に配置することで、葛城家の家族が単純な加害者にも被害者にもならないように、観客が物語に入り込めないように突き放したバランスを取っているんじゃないかなと思いました。

リアルな連続殺人シーン

こうして、劇中で現在と過去を行ったり来たりしつつ、ストーリーはついにクライマックス、稔の連続殺人のシーンへと突入します。

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このシーンがすごいのは、ちっともドラマチックじゃないんですよね。
普通なら夥しい流血で、視覚的なショックをと考えそうだし(もし僕が監督ならそうすると思いますw)、画的にも稔に近い位置でカメラを回して、迫力と狂気をよりドラマチックに盛り上げそうなものですが赤堀監督は真逆で、あえて引きの画で血も殆ど見せず、まるで監視カメラ映像のような無機質な感じにしてるんですね。

それまで葛城家を寄りの画で極めて主観的に撮影していたのに、映画的に一番盛り上がりそうなこのシーンだけは、引きの画で客観的に見せているわけです。

それが逆に、リアルな事件現場のような凄惨さがあって超怖かったですねー。((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタ

そんな感じで本作は、120分間ずっと居心地が悪くて不快っていう地獄みたいな映画だし、僕は正直もう二度と観ないと思いますが、逆に言えばそんな気持ちになってしまうくらい映画の中に引き込まれたわけで、そういう意味では本当に凄い映画だと思うし、ただ嫌な気持ちになるだけじゃなく、本作を観た人は全員、葛城家の家族と自分を重ね合わせて「何か」を感じるのではないかと思います。

興味のある方は是非!!

 

有名俳優たちの本気の悪ふざけ「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」(2008)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「ナイトミュージアム」を始め、数々の映画に出演、監督としても活躍しているベン・スティラーのコメディー作品『トロピック・サンダー」ですよー!

ベトナムで架空の戦争映画を作るという入れ子構造のコメディーで、日本でも知られるハリウッドスターが思いっきりバカをやってる作品です。

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概要とあらすじ

監督としても活躍する人気スター、ベン・スティラーが『太陽の帝国』に出演した約20年前にひらめき、長年企画を温め続けてきたサバイバル・コメディー。自己中心的な役者たちがアクション映画の撮影で東南アジアへ赴き、本物の戦争に巻き込まれてしまう。監督のベン共々主演を務めるのは、『スクール・オブ・ロック』のジャック・ブラックと『アイアンマン』のロバート・ダウニー・Jr。爆笑に次ぐ爆笑の展開と、多数の豪華ハリウッドスターによるカメオ出演が話題となっている。

ストーリー:落ち目のアクション俳優スピードマン(ベン・スティラー)は、戦争大作『トロピック・サンダー』での返り咲きを目指すことに。コメディー役者のジェフ(ジャック・ブラック)や演技派のラザラス(ロバート・ダウニー・Jr)とともに撮影に臨むが、クランクイン5日目で予算オーバーに陥ってしまう。あきらめ切れない監督は東南アジアのジャングルで撮影を強行しようとするが……。(シネマトゥディより引用)

 

感想

パロディーと悪ふざけと皮肉満載の120分

本作の構造を一言で言うと、「芝居だと思ったらマジのやつだった」映画です。
サボテン・ブラザース」なんかと同じ構造ですね。

ベトナム戦争を描いた映画「トロピック・サンダー」の撮影中、監督は曲者揃いの役者がまとめきれず、あるアクシデントから400万ドルの爆破シーンを大失敗。
撮影中止の危機に、同行していた原作者の入れ知恵で、監督はメインの役者5人をジャングルに置き去りにして隠しカメラで撮影しようとします。

ところが、そのジャングルには巨大麻薬組織「火炎龍(フレイミング・ドラゴン)」の麻薬製造工場が。
そして、主役のスピードマン(ベン・スティラー)が組織に捕まって……という物語なんですね。

で、この映画、とにかく全編に渡ってパロディーと悪ふざけと皮肉が散りばめられています。

まず、映画が始まった途端、架空の映画の嘘予告からスタート。
この段階で、色んな映画のパロディーが見て取れます。
そして劇中では、僕が分かる範囲だけでも「地獄の黙示録」「プラトーン」「ランボー怒りの脱出」の有名なシーンがありましたねー。

地獄の黙示録」に至っては映画の内容だけじゃなくて、撮影の裏側までパロディーしてたし、冒頭の無駄に残酷な戦闘シーンは「プライベートライアン」オマージュなのかな?

そんな感じで、映画好きの人にとってはパロディー元を探す楽しみもあると思います。

有名ハリウッドスターがそんな役で!?

本作では、主演兼監督のベン・スティラーを始め、「え、そんな人も!?」っていうハリウッドスターがビックリするような役で出演しています。

ベン・スティラー演じるタグ・スピードマンは、落ち目のアクション俳優。

 ジャック・ブラック演じるジェフ・ポートノイは、エディ・マーフィーばりに一人何役もこなすんですが、全員がひたすらオナラをするコメディーシリーズの主役。

ロバート・ダウニー・Jr演じるカーク・ラザラスは、オスカーを5度も受賞している演技派のスーパー役者バカで、「トロピック~」では、黒人軍曹を演じるために皮膚整形で本物の黒人になってしまいます。(多分、デ・ニーロアプローチのパロディ?)

ブランドン・T・ジャクソン演じるアルパ・チーノは強精飲料とサプリメント菓子のCMで一世を風靡した人気黒人ラッパー。

ジェイ・バルチェル演じるケヴィン・サンダスキーは冴えない無名俳優ですが、「トロピック~」のためにメンバーで唯一、新兵訓練キャンプに二週間参加しています。
ちなみにこの人、「ヒックとドラゴン」でヒックの声を演じた人なんですね。

その他にも、  マシュー・マコノヒートム・クルーズも出演してますよ。
っていうか、何してんだトム

劇中では、この出演者いじりもされてて、例えば劇中登場するパンダは、ジャック・ブラックが声優を務めた「カンフー・パンダ」だろうなーとか、芝居に入り込み過ぎて自分を見失う件は、誰ってことはないのかもですが米俳優の演技メソッドでそうなっちゃう人も多いっていいますしね。
あと、ヘロイン中毒ネタは、ロバーt…ゲフンゲフン

莫大な予算を掛けた内輪ネタ?

そんな感じで、ハリウッドあるある満載の本作は、いわば豪華メンバーで多額の予算を掛けた内輪ウケ映画と言えなくもないんですよね。
現行の映画製作システムへの皮肉も、“あの人”が演じるスポンサーの仮託する形で、毒っ気たっぷりに盛り込まれてたりするし。

そういう意味では観る人を選ぶ映画とも言えるかもですが、そんな事は別に知らなくても、こいつらのバカバカしい掛け合いや、無駄にド派手な映像だけでも十分に楽しめますよ。

ぶっちゃけ内容なんか無いに等しいので、お菓子とコーラをお供に、友達とワイワイ楽しむのには、丁度いい映画って言えるかもしれません。

興味のある方は是非!

 

 

イケてなさ過ぎる少年の青春!「バス男(ナポレオン・ダイナマイト)」(2004)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、本国アメリカで2004年に公開(日本ではDVDスルー)され、カルト的人気を博したコメディー『バス男』(ナポレオン・ダイナマイト)ですよー!

アメリカの片田舎を舞台にした青春コメディーなんですが、何ていうか見てる間中ずっと膝カックンされ続けてるような映画でしたww

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51NFJXWGP8L.jpg

画像出典元URL:https://www.amazon.co.jp

あらすじと概要

製作費わずか400万円ほどの超インディーズ作品ながら、全米で大ヒットを記録した脱力系学園コメディ。アメリカの片田舎に暮らす冴えない高校生のイケてない日常が独特のダルなリズムで綴られてゆく。アイダホの高校生ナポレオン・ダイナマイト。ルックスもダサければ頭も良くない彼は、当然のように学校でも友達もなくイジメにあってばかりの毎日。そんな彼にも、メキシコ人の転校生ペドロという友だちが出来た。女の子にモテたいペドロは無謀にも生徒会長に立候補、ナポレオンも彼の応援に精を出すが…。(allcinema ONLINEより引用)

 

感想

邦題問題

まず、最初に触れておかないといけないのは、何と言ってもこのバス男という邦題ですねw
この邦題は、当時流行っていた「電車男」にあやかって付けられたんですが、主人公がバス通学っていうだけで(しかも最初の一回くらいしか出てこないしストーリーにも絡まない)「電車男」とはまったく共通点がなかったため「日本一最悪な日本語題」と大ブーイング。
2013年10月には、電車男ブームに便乗したタイトルを付けたことに対する謝罪文を付けて、原題の『ナポレオン・ダイナマイト』へ改題して再発売されたそうです。
ちなみに、「ナポレオン・ダイナマイト」は主人公の名前です。

正直、観る前は僕も「非道いタイトルだなー」と思ってたんですが、実際映画を観てみると、邦題考えたの人の気持ちも少しは分からなくはないなーと思ったりww
庇うわけじゃないですが、どうにも掴みどころのない作品だし、役者陣も有名な人は一切出てないし、「これ、どうやって売ればいいんだ」って頭を抱えた末に、思い余ってこの邦題にたどり着いてしまったんだろうなぁって思いましたね。
まぁ、それにしたって非道いセンスですけども。

イケてなさすぎる主人公の痛い青春描写がリアル

本作はアメリカの片田舎に住む、ぼっちのいじめられっ子が主人公の青春映画です。
いわゆるスクールカーストも出てくるし、イケてるグループ(ジョックス)にイケてないグループ(ギーク)が虐げられる様子は、昨今の青春映画でよく観ますよね。

ただ、本作が他の作品と一線を画すのが、そのキャラ描写のリアルさ。

ジョン・ヘダー演じる主人公のナポレオンは、ぼっちでいじめられっ子の高校生。ノッポでくせっ毛でいつも口が半開きで、一発で嘘とバレる見栄を張り、すぐ仮病で帰ろうとするし、そのくせ内弁慶で、体育の時間はポールにロープで繋がれたボールを叩いてグルグル回す謎のスポーツ? をしていいるっていう、学年に一人はいるコミュニケーション超ど下手な少年です。

僕も地元のコミケでこういう人よく見ましたよ。

二枚目役者が“演じる“「映画のイケてないグループのいじめられっ子」じゃなくて、もうこれ素なんじゃないの!? っていうくらいのリアルさw

で、ジョックスのいじめっ子や、イケてる女子ももちろん登場するんですが、総じて全員ダサいんですよね。
アメリカの田舎の高校って、多分本当にこんな感じなんだろうなーって思っちゃう。(もちろんそんな事はないんでしょうけどw)
ほら、他の映画だと同じ設定でも役者自体に華があるし、そこはかとなくオシャレさや都会感が出ちゃうじゃないですか。
本作にはそういう嘘っぽさが皆無なんですよね。

その他の主要キャラクターは、
引きこもりで出会いチャットばっかしてる兄のキップ(アーロン・ルーエル)
元ジョックス? でラグビー部だった過去の栄光にすがる叔父リコ(ジョン・グリース
メキシコ人の転校生でナポレオンの友達ペドロ(エフレン・ラミレッツ)
本作のヒロインで進学資金を稼ぐために「デビーのグラマラスショット」という写真屋をしてるイケてない女子のデビー(ティナ・マジョリーノ)

本作は、そんな彼ら(彼女ら)のイケてなさ過ぎる日常を描いた作品なのです。

ねぇ、いつになったら物語が動くの??

とはいえ映画ですからね、コッチは何かをキッカケにナポレオンに変化が訪れて成長し、学校でフューチャーされる的な展開になるんだろうと思って観てるわけですよ。
ところが、いつまで経っても何も起こらないっていうww

ぼっちだったナポレオンに、ペドロっていう友達ができたり、デビーっていう気になる女の子が出てきたり、兄貴と謎武術のジムに見学に行ったり、養鶏場にアルバイトに行ったり、利き牛乳コンテストに出場したり、ダンスパーティーで女の子誘ったり、タイムマシーンを使ったり、兄貴がチャット相手の女性と会ったりする。
そんなエピソードの度に「お、ここから物語が動くのか!?」と期待するんですが、ナポレオンには何の変化も起こりませんw

というのも本作は、クライマックスの「あるシーン」一点に物語のカタルシスを集約してるからなんですね。

で、思い返してみれば上記のエピソードで、実はダメダメ少年のナポレオンが、
すこーーーーーーーーーーーしずつ成長してるっていう、本当に小さな小さな青春ストーリーなのです。

イケてなさすぎるキャラクターたちに寄り添う作品

そして見ているコッチも、最初こそナポレオンに対して全く感情移入できず、むしろちょっとイライラしてしまうんですが、ストーリーが進むうち、いつの間にかナポレオンに感情移入してしまっているんですよね。

それは、本作の監督 ジャレッド・ヘスが、ナポレオンやその周囲のダメダメだけど、どこか憎めないキャラを、単なる笑いものとして描くのではなく、彼ら彼女らに寄り添うような視点で物語を紡いでいるからなんだと思います。

だからこそ、ラストシーンではコッチも爽やかな気持ちになれるし、本作がカルト的人気を博すのも分かる気がしました。

ただ、公開後に追加撮影されたという、エンディングロールのあとのおまけシーンは蛇足だったような気がしますがww

好みは分かれそうな作品ですが、個人的には観て良かったですよー!

興味のある方は是非!!