今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

ハリー・ポッターシリーズと世界観を共有する物語「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「ハリー・ポッター」シリーズの原作者J・K・ローリングが映画の脚本を手がけ、監督やスタッフも同シリーズから引き続き参加して作られた作品『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』ですよー!

実は僕は映画版のハリー・ポッターは、第一作しか観ていないので(原作は4巻くらいまでは読んだはず)本作を楽しめるか少し不安だったんですが、実際観てみたらそんな心配は杞憂でした!

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あらすじと概要

ハリー・ポッター』シリーズの原作者J・K・ローリングが映画の脚本に初参加し、『リリーのすべて』などのエディ・レッドメインらが出演したファンタジー。不思議な生き物たちが詰まったトランクを手にイギリスからニューヨークに渡った魔法動物学者が、そのうち数匹を逃がしたことから始まる大騒動を描く。『スティーブ・ジョブズ』などのキャサリン・ウォーターストンらが出演。アメリカを舞台に魔法動物学者と仲間たちが巻き起こす旋風に興奮する。

トーリー:魔法動物学者ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)は、魔法動物の調査と保護のためニューヨークを訪問する。ある日、彼の魔法のトランクが人間のものと取り違えられ、魔法動物たちが人間の世界に逃亡してしまう。街中がパニックに陥る中、ニュートはティナ(キャサリン・ウォーターストン)らと共に追跡を開始するが……。(シネマ・トゥディより引用)

 

感想

ハリー・ポッターを遡ること約70年前の物語

本作の舞台は、1926年のニューヨーク。
主人公ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)が、船でイギリスから渡ってくるところから物語はスタートします。ハリー・ポッターが1990年代を舞台に描かれているので、本作はおよそ70年前の世界ということになりますね。

実際映画を観てみるとハリー・ポッターと世界観を共有し、ストーリーの中でも緩やかに繋がりを見せてはいるものの、基本的にはハリー・ポッターを観ていなくても十分楽しめる作りになっています。

なので、本作は「ハリー・ポッター」の前日譚というより、同じ世界観のなかで別の物語が進行しているクロスオーバー的な作品になってるんですね。

はみ出し者たちがチームになって世界を救う!?

本作の主人公ニュートは魔法動物学者で、トランクの中で大小さまざまなの魔法動物たちを保護飼育しています。

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物語が進むうちに分かってくるのは、どうやら彼は名門の家庭に生まれた落ちこぼれであるということ。

そしてある偶然からニュートと知り合うノー・マジ(非魔法使い/普通の人間)のジェイコブ・コワルスキー(ダン・フォグラー)は、缶詰工場で働きながらパン屋を開店することを夢見るものの、貧乏ゆえに銀行の融資を断られてしまう男。

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ヒロイン役のティナ(キャサリン・ウォーターストン)は、ある失敗から闇祓い(闇の魔法使いを追う捜査官)を降格させられていて、その妹、クイニー(アリソン・スドル)は、お茶汲みや雑用をしているんですね。

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本作はそんな、はみ出し者や落ちこぼれの四人が出会い、助け合いながらニューヨークで起こっているある事件に立ち向かっていくという物語です。

人との会話が苦手で動物と一緒にいるほうが落ち着くニュート、世渡り下手だけどお人好しで愛嬌のあるジェイコブ、堅物で委員長タイプのティナ、そして人の心が読めてしまう大らかで優しいクイニーという、それぞれにコンプレックスを抱えたメインキャラの設定はハリー・ポッターシリーズの流れを組んでいて、自身も生活保護を受けるシングルマザーとして苦労した原作者、J・K・ローリングの優しい眼差しが感じられるし、映画的にも「負け犬たちがチームで大事を成し遂げる」という非常に共感しやすいキャラ設定になってるんですねー。

嫌な奴は大体エリートってところも、ハリー・ポッターと共通してますしねw

ディテールへのこだわり

魔法使いの物語ということで、本作では当然CGが多用されているんですが、メイキング映像を観てみると、ニューヨークの街並みからニュートのトランクの中に至るまで、全ての舞台で巨大なセットを作っていることが分かります。

また、映画では映らない引き出しの中や、新聞の記事などの小道具・衣装など細部に至るまでしっかりと作りこまれていて、映画全体にリアリティーを生み出しています。

特に、ニュートのトランクの中に広がる魔法動物たちの住処は、敢えてゴチャゴチャとチープな「セット感」が逆に私設動物園みたいでリアル感があるし、観ていてとてもワクワクします。

登場する魔法動物たちはもちろんCGですが、撮影現場では同サイズの操り人形(大きな動物はその一部)を使うなどして、キャスト陣の演技の助けにもなっていたようですね。

そうした、細やかなディテールへのこだわりの積み重ねが、本作の魔法や魔法動物、もっと言えば作品全体に実在感を出しているんじゃないかと思います。

男は顔じゃない! 裏主人公のジェイコブがいい!

そんな本作で一際輝いていたのが、ノー・マジのジェイコブ。
コメディーリリーフとして観客を楽しませつつ、彼の視線がそのまま観客と魔法世界の橋渡しにもなる重要な役どころです。

また、コミュニケーション下手の主人公ニュートのサイドキック(助手的な相棒)として物語を牽引し、他のキャラクターのように魔法で活躍はしないけどメインの四人を繋げるムードメーカーでもあるんですね。
ある意味で、裏主人公と言っても過言ではありません。

そんな、太っちょで間が抜けていて、でも愛嬌があって憎めないキャラクターを演じているのは俳優、声優、コメディアン、プロデューサーの顔を持つダン・フォグラー。
彼の演技が本作を数段引き上げているのは間違いないんじゃないかと思います。
どこか「アイアンマン」の監督で本人も役者として出演していたジョン・ファブローを思わせる陽気さがあるし、多分本作を観た(僕も含む)非モテ男子たちは全員彼に感情移入していたんじゃないかと思いますよw

魔法動物たちが可愛すぎる!

そして、本作もう一つの主役である魔法動物たちが超絶可愛いです!

光り物大好きでコインや宝石を体の中のポケット? に溜め込むカモノハシみたいな小動物ニフラー。

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こいつがトランクから抜け出して騒ぎを起こしたことが、物語が動き出すキッカケになるんですが、全体のフォルムも、とぼけた表情や動きも最高にカワイイんですよ!

他にも小枝みたいな生物ボウトラックルは、開錠が得意でニュートのピンチを助けるし、鳥と蛇が合わさったようなオカミーは伸縮自在で大きくなったり小さくなったり。

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白いサルのようなデミガイズや、巨大な鷹のような鳥サンダーバードなど、どの動物たちもそれぞれ表情や動きに特徴や愛嬌があって、何とも言えずカワイイんですよねー。(;´Д`)ハァハァ

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魔法使いと人間という設定で、人種差別問題やマイノリティー問題などをメタファー的に盛り込みつつも、全体を通してワクワクドキドキする楽しく健全なエンタメ作品で、ハリー・ポッターに乗り遅れて、気にはなってるけど今から全作観るのは…っていう人は、本作から観るといいんじゃないかと思います。

興味のある方は是非!!

 

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メキシコを通して世界の闇を描く「ボーダーライン」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、当ブログでもレビューを書いた「メッセージ」「複製された男」を監督したドゥニ・ヴィルヌーヴのヒット作『ボーダーライン』ですよー!
近年何かと話題のメキシコ麻薬カルテルを題材にした、クライムサスペンス です。

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あらすじと概要

アメリカとメキシコの国境で巻き起こる麻薬戦争の闇を、『灼熱の魂』『プリズナーズ』などのドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が衝撃的かつリアルに描いたアクション。メキシコ麻薬カルテルを撲滅すべく召集された女性FBI捜査官が、暴力や死と日常が隣り合わせの現実を目の当たりにする姿を映す。主演は、『イントゥ・ザ・ウッズ』などのエミリー・ブラント。ほかにベニチオ・デル・トロジョシュ・ブローリンらが出演。ヴィルヌーヴ監督による臨場感たっぷりの演出と、名優たちの緊迫した演技に注目。

トーリー:優秀なFBI捜査官のケイト(エミリー・ブラント)は、メキシコ麻薬カルテルの全滅を目的とした部隊に入り、特別捜査官(ジョシュ・ブローリン)のもとで極秘任務に就く。ケイトは早速、謎めいたコロンビア人(ベニチオ・デル・トロ)と共に国境付近の捜査を開始。人が次々と亡くなる現実を突きつけられたケイトは……。(シネマトゥデイより引用)

 

感想

メキシコ怖ぇーー!!((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタ

近年、ニュースやドキュメンタリー、また映画の題材など、何かと取り上げられる機会の多いメキシコの麻薬カルテル
麻薬売買だけでなく、誘拐、拷問、見せしめ殺人などの残忍な犯罪を行う、中東のテロリストとは別の意味で恐ろしい集団です。

本作では、そんな麻薬カルテルを壊滅させようとする米国国防総省の男にスカウトされたFBIの女性捜査官ケイトが、巨大な組織の思惑に飲み込まれていく様子を描いた作品なんですね。

映画冒頭、ケイトの所属するFBIの誘拐即応班がある民家に突入するところから物語はスタートします。

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装甲車で民家に突っ込んでいくという非常に乱暴な突入からの銃撃戦。
そして、家の壁の中から大量の死体発見、その殺しの手口からメキシコの麻薬カルテル、ソノラ・カルテルの仕業と判明したところで、離れ小屋大爆発と、息もつかせぬ怒涛の展開。

で、同僚2人を失った彼女と相棒のレジーはFBIフェニックス支部のオフィスに呼び出され、「やっべー処罰とかされるんじゃね?」と思いながら待ってると、そこで上司と話し合ってるのは、サンダル履きの怪しげな男で自称国防総省のマット。

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で、ケイトは会議室に呼ばれて、人質大量殺人の黒幕を逮捕できるという誘いに乗せられ、組織(FBI、国防総省等)を超えた特殊捜査チームに加わります。

翌日、指定された空港についたケイトは、ここで正体不明の男アレハンドロと出会い、そして何も知らされぬままメキシコまで連れて行かれ、カルテルの大物を護送中に麻薬カルテルに襲撃され……。という展開になっていくんですが、このメキシコの描写が超怖いわけですよ。
高架橋からは何体もの死体が吊るされてるし、道端にも死体がゴロゴロ無造作に打ち捨てられてるし。
ちゃんとした説明もなく、アメリカとはそんなまったくルールの違う、いわば「異界」に放り込まれたケイトは当然混乱するんですが、それは同時に映画を観ているこちらの視点でもあるわけで、もう純粋に
「メキシコ怖ぇーーー!((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタ」と。

いやいや、フィクションだからと思うかもですが、「クレイジージャーニー」の丸山ゴンザレスさんの回を見たら、このメキシコの様子はかなりリアルみたいですよ。
余談ですが、一方で麻薬カルテルを支持する人もいるらしく、この問題はかなり複雑みたいですね。

謎の男アレハンドロの正体、胡散臭い上司マットの真の狙い、自分が選ばれた理由などなど、次々起こる事件の中でケイトと観客は徐々に真実に近づいていくという作りなんですが、状況が分かれば分かるほど見えてくる闇の深さも濃くなっていって、ケイトの正義がどんどん揺らいでいくわけです。

主人公は蚊帳の外

とはいえ、基本主人公であるケイトは基本いつも蚊帳の外に置かれています。
ほかのメンバーは状況を分かって行動しているのに、彼女だけは作戦の狙いや概要が分からないまま参加しているですね。

僕は最初、優秀さゆえに選ばれた主人公が、己の正義と現実の狭間で葛藤しつつも活躍する「ゼロ・ダーク・サーティ」的な映画なんだろうと思って観ていたんですが、全然そういう映画ではなかったです。

本作における主人公ケイトの立ち位置は、あくまで観客と同じ。
何も分からずに、ただアチコチ連れ回される役周りで、なので基本何の役にも立ちませんし、何も解決できません。
事態は、彼女の知らない場所で進行してるし、彼女はあくまでただの目撃者でしかありません。

なのでクライマックスの、麻薬カルテルがアメリカ国内に麻薬を運び込むトンネルに突入するシーンを境に、物語は真の主人公の視点に切り替わります。

その時初めてケイトと観客は、この物語の本質を知ることになるんですね。

ファウスト・アラルコンとメデジン

本作では、麻薬カルテルの組織ソノラ・カルテルとケイトの参加するチームの戦いが描かれるんですが、ここはちょっと分かりづらい部分だったりします。

作戦会議のシーンで、ターゲットとなる「ファウスト・アラルコン」はソノラ・カルテルの中ではナンバー3の下部組織なんですね。

この辺の説明はわりとサラッと流れていくので、僕も最初は麻薬カルテル「ソノラ・カルテル」を壊滅させる作戦だと思ってたんですが、実質劇中でのターゲットは組織ナンバー3の「ファウスト・アラルコン」になってるんですね。

これはどういう事かというと、この物語がまだ始まったばかりという事を示しているんですね。

ちなみに、すでに続編の製作も決定したそうですよ。

ちなみに劇中名前が出てくる「メデジン」は、コロンビアの麻薬カルテル組織です。

映像と音

ちなみに本作はジャンジャン人が死ぬ非常に血生臭い映画ですが、ゴアシーンは決して多くありません。
もちろん撃ち合いで人が死ぬシーンはあるけど、決定的な(例えば至近距離から頭を打ち抜かれるとか)シーンは殆どないんですね。
にも関わらず、何だかとても凄惨な映画を見せられている気持ちになるのは、凄惨なシーンの時ほど、引いたショットで見せたり、「やられる側」ではなく「やる側」の表情に切り替えたりしつつ、リアルで嫌な効果音で観ている側に何が起こっているかを想像させるからだと思います。

また、まだ何も起こっていないのに常に不穏な雰囲気が漂う重低音のBGMを流したり、対象がギリ見えるくらいの俯瞰から撮影したりすることで、メキシコの街全体が一匹の生き物に見えるような撮影をしてるんですね。

クライマックスの突入シーンなどは、暗視スコープを通した映像や暗闇でも映るカメラなどを使うことで、どこか「この世ならざる」世界のような感覚にさせられます。

そうすることで、映画全体に緊張感や緊迫感を持たせ続けているんですよね。

ベニチオ・デル・トロの怪演

そして本作の白眉はなんと言っても、謎の男アレハンドロを演じたベニチオ・デル・トロの怪演ではないかと思います。

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彼は劇中で「幽霊」と呼ばれたりするんですが、何というか生気のないぼんやりした佇まいはまさに幽霊そのもので、何かこう実在感がないんですよね。
それでいて、あるシーンになると観ているこちらが怖くなるような存在感のある演技をするんですが、それも演技を切り替えるんじゃなく、”幽霊”のままだけど内から沸き上がってくる殺意みたいなものを出してくるというか。

彼の演技がこの作品を一段上に引き上げているのは間違いないと思いましたねー。

ちなみに、僕が途中までベニチオ・デル・トロハビエル・バルデムを勘違いしていたのは内緒ですw

「世界」と「個人」

そうした大きな物語の合間に差し込まれていくのが、子煩悩な父親とその息子のエピソード。
つまりメインストーリーである「麻薬カルテルvs米国」の物語を「世界」の物語とするなら、この親子の物語は「個人」の物語です。
映画終盤ではこの二つの物語が交差していくわけですが、ケイトが「世界」の目撃者であるならこの親子は「世界」の中の個人であり、被害者と言えるんじゃないかと。
本作では、「世界」と「個人」の物語を交互に観せることで、「世界」の残酷さみたいな物を際立たせているんじゃないかと思いました。

かなり重い内容だし、好き嫌いは分かれる作品かもしれませんが、個人的には見ごたえのある作品でしたよー!

興味のある方は是非!!

 

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リチャード・リンクレイターが描く青春映画の傑作!「エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、『6才のボクが、大人になるまで。』のリチャード・リンクレイター監督が描くボンクラ青春映画『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』ですよー!

映画ファンの間では公開時から大評判だったのですが、タイミングが合わなくて劇場で観る事が出来なかったんですよねー。
で、ついにレンタルが始まったので早速観てみましたー!

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あらすじと概要

6才のボクが、大人になるまで。』で話題をさらったリチャード・リンクレイターが、監督と脚本を務めた青春ドラマ。野球推薦で大学に入学した主人公がこれからの数年を共にすることになる仲間たちと出会い、授業開始直前に過ごす濃密な時間を映す。出演は、ブレイク・ジェナー、ゾーイ・ドゥイッチ、グレン・パウエルら。主人公たちの青春が共感を呼ぶ。

トーリー:1980年夏、ジェイク(ブレイク・ジェナー)は、野球の推薦入学生として大学に通うことになる。本格的に授業がスタートする前の数日間、彼は新しく知り合ったチームメイトたちと共にどんちゃん騒ぎを始める。話題は野球や女子たちのこと、好みの曲や下品なジョークまでといろいろで……。(シネマトゥディより引用)

 

感想

6才のボクが、大人になるまで。』の続編!?

本作の監督はベルリン国際映画祭監督賞を受賞した「ビフォア・サンライズ 」とリアルタイムでその9年後を描いた『ビフォア・サンセット』や、2002年から2013年まで12年間をかけて一人の少年の成長を追った「6才のボクが、大人になるまで。」などで知られるリチャード・リンクレイター

そんな世界中の映画ファンに注目されている彼の最新作が本作「エブリバディ・ウォンツ・サム!!」で、監督は本作を夏休みを迎えた高校生の日常を描いたグラフィティ・コメディの傑作「バッド・チューニング」と「6才のボクが、大人になるまで。」の精神的続編的なものだと考えているとインタビューで答えているそうです。

「6才の~」では、6才の少年メイソンJr.が18才になり、母親の元を離れて大学寮に入るまでを描いていますが、本作は18才のジェイクが野球の推薦入学生として地元からテキサスの大学寮にやってくるところから、大学の一学期が始まるまでの3日間(と15時間)を描いた作品なんですねー。

ボンクラ野球部員たちがバカ騒ぎする超ゴキゲンな映画

本作の舞台は1980年代の南東テキサス州立大学。撮影はオースティンを始め、テキサス州各地で撮影されているそうです。

オープニング早々、ジェイクがザ・ナックの『マイ・シャローナ』をカセットテープでかけながらオンボロの愛車で野球部の寮にやってくるシーンで、「あ、ゴキゲンな映画だ」という匂いがプンプン。

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そして大学の野球部員用の学生寮(市が借りた一軒家)に到着したジェイクは、一癖も二癖もありそうな先輩たちや新入生の仲間たちに出会います。

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もうね、こいつらが如何にもな「僕らがイメージするアメリカのウェイウェイな若者」って感じで、チ〇コとおっぱいの話ばっかしてます。
小学生か!w

また、購入したウォーターベッドに水を入れてたら二階の床が抜けそうになったり、女の子をナンパしたりフラレたり、地元の店で飲んだり、ナンパしたり、ケンカして出禁になったり、寮で乱痴気騒ぎしたり、エッチしたり、演劇科のパーティーに乱入したり、ナンパしたり、エッチしたり、大麻吸ってラリったり、恋したり、下らないイタズラに興じたり。

お前らホントに強豪野球部なの? と呆れつつも、彼らの下らないけど超ゴキゲンな様子に思わず観ているコッチもつられて笑っちゃうんですよねーw。

ただのバカ騒ぎ青春映画ではないほろ苦さも

ただ、そんなバカ騒ぎの合間に、彼らがスポーツという勝負の世界で勝ち抜いてきたエリートだと感じさせるシーンも。

例えば、卓球やダーツ、ビリヤード、ゲンコツの骨の部分を爪で弾く(日本で言えばデコピンやしっぺ的な)我慢比べなど。
どうでもいい遊びでも彼らは異常なくらい勝負にこだわり、負けるとガチギレするくらい負けず嫌い。
他にも自分はプロ志向で大学やプロからもスカウトが来たとやたら自慢しまくる自称153キロのボールを投げるヤツもいます。

要は、それぞれが子供の頃から野球一筋で、ライバルたちとの争いに勝ち残って強豪校のスポーツ推薦を勝ち取ったというプライドもあり、一方でビックマウスで自分を鼓舞することでライバルに弱みを見せまいとする弱さも抱えている普通? の若者なんですよね。

新入生たちも強豪校の中で通じるのかという不安を抱えていて、そんな彼らプライドと将来への不安。期待と諦めをバカ騒ぎの最中にちょこちょこ挟み込んでいく事で、本作はただゴキゲンなだけのバカ騒ぎだけじゃない、厚みのある「青春映画」になってると思います。

舞台が大学っていうのも絶妙ですよね。
大学は大人時代への入口でもあって、高校生の時よりも自由だけど、その先には社会人っていう現実が見えていて子供の頃みたいに無邪気なままではいられない。
社会に出る準備期間でもあるし、社会へ出るまでのモラトリアム期間でもあるわけで、学年が上がるほど現実が迫ってくるわけですよ。

なので、大学の一学期が始まる前の3日間はジェイクにとって、無邪気な子供でいられる最後の時間なんですね。

また、劇中の時間も前作「6才の~」で12年をかけてじっくり子供の成長を描いたのに対し、本作では時間をたった3日間に限定したのも、両作が「対」になるように監督は考えていたのかもしれません。

という事も含めて、本作はゴキゲンでちょっぴりほろ苦い青春映画の傑作です!

興味のある方は是非!!

 

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全てはここから始まった「トイ・ストーリー&トイ・ストーリー2」(1996/2000)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ディズニーピクサー初の劇場用長編アニメ『トイ・ストーリー』とその続編『トイ・ストーリー2』ですよー!

「そういえば『トイ・ストーリー3』ってまだ観てないなー。3を観る前に前2作をおさらいしておこう」と思って観始めたわけですが、実は2も未鑑賞だったことが発覚。
さらに1の内容も随分内容を忘れてたので、とても新鮮な気持ちで観ることができましたよーw

 

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あらすじと概要

トイ・ストーリー
カウボーイ人形のウッディはアンディ少年の大のお気に入り。だがそれも誕生日プレゼントでアクション人形バズ・ライトイヤーを手にするまでの事だった。NO.1の座を奪われたウッディは何とかバズをこらしめようとするが、バズはバズで自分が本物のスペース・レンジャーだと思い込んでいる有り様。そんな二人がふとしたいざこざから外の世界に飛び出してしまう。なんとか我が家へ帰還しようとする二人だが、なんとアンディの隣に住む悪ガキのシドに捕まってしまった……。(allcinema ONLINEより引用)

トイ・ストーリー

フルCGで描かれた、人気ディズニーアニメの続編。カウボーイ人形のウッディを主人公に、オモチャたちの世界を躍動感一杯に描く。前作を上回るディテールの凝った映像は必見。声の出演にトム・ハンクス。ある日、ウッディがオモチャ屋のアルにさらわれてしまう。ビンテージ品としての価値に目を付けたアルは、彼を博物館へ売りつけようと奔走。ウッディの友人であるバズたちは、彼を助けるためアルの行方を追う。(allcinema ONLINE より引用)

 

感想

全てはここから始まった

トイ・ストーリー』はご存知ピクサーの代表作であり、また米国で1995年に公開された劇場長編アニメーションとしては、初のフルCG作品です。
そして、本作の大ヒットによりピクサーは注目され、現在に続く一大アニメーションスタジオになっていったわけですねー。

当時のCG技術はまだまだ過渡期で、1993年公開の『ジュラシック・パーク』が世界中に衝撃を与えたとはいえ、まだアニメーションはセル画で手書きが当たり前の時代。そんな時代に彗星のごとく登場した『トイ・ストーリー』の大ヒットで、フルCGアニメーション時代の幕が開いたんですよね。

トーリー重視の姿勢

とはいえ、当時としては革新的だった映像もCGアニメに慣れた今の視点で観れば、まだまだ「CG感」ありありで、アニメの完成度として観れば手書きアニメの方が上って感じに思えるんですが、それでも「トイ・ストーリー」が世界中に衝撃を与えた要因は、なんと言っても徹底的に作りこんだストーリーにあると思います。

骨格はシンプルながら普遍的なテーマを盛り込み、その上でスタッフ全員でアイデアを出し合いながらストーリーをブラッシュアップしていくことで、キャラクターや世界観に実在感や物語内リアリティーが出ているし、それまでの子供向けな漂白された笑いだけでなく、ほんのりブラックな要素も入れ込むことで、大人の鑑賞にも耐える強度を持った作品に仕立て上げたんですね。

それが誰も見たことのない映像、ディズニーに象徴される伝統的なカトゥーンアニメの間や動きと合わせて、ピクサー独自のアニメーションになって行ったんだと思います。

あれ? こんなヤツだっけ!?

で、久しぶりに「トイ・ストーリー」を観てまず驚いたのが、主人公ウッディの性格。「あれ、お前そんなヤツだっけ!?」って思いましたねーww

アンディーの一番のお気に入りで、他のオモチャたちのリーダー的存在だったウッディが、新入りのアクションフィギアのバズに嫉妬してある行動に出るわけですが、主人公の行動としては「えーー!」って感じでした。
なんて言うか、超人間臭いなお前。そして器ちっちゃいなーっていうww

まぁ、ほんの出来心だったとはいえ、偶然が重なって大事件に発展したことで、仲間たちの信用は失うわ隣の悪ガキ シドに捕まるわとそれ相応の罰も受けてるし、試練を経て成長するっていう物語だから仕方ないのかもですが。

でもメイキングを観てみると、初期のウッディ案ではもっともっと嫌なヤツだったみたいなので、それでも良くはなってるんですよね。初期の設定のまま進まなくてほんと良かったw
そしてバズに嫉妬するウッディの様子は、子供よりむしろ大人の方が観ていてギクっとなるかもって思いました。
多かれ少なかれ、大人なら誰でも似たような感情を覚えた事があると思うんですよね。

あと、子供が超リアル。
子供向きのアニメに出てくる子供ってありえないくらい良い子じゃないですか。
「大人たちがこうあって欲しいと思う子供像」っていうか。

でも、本作のアンディーもシドも、二人の妹もそれぞれ、無邪気な子供だからこその残酷さをリアルに描いていて、「あーそうそう、子供ってこうだよねー」っていう感じ。

多分アンディよりシドの方がお兄ちゃん? な分、やってる事の酷さはアレですけど、でも「男の子」を経験した大人たちなら、過去の自分を思い返してしまうんじゃないかと思いました。

この辺の描写も「大人が子供に見せたいアニメ」の型にハメた作品にはしないぞっていう監督ジョン・ラセター他スタッフたちの心意気が見えます。
っていうか、ピクサーの人たち自身が子供のままなのかもですがw

だから、物語上悪役のシドも、決して「悪者」には描いていないですしね。

そして続編へ

対して続編の『トイ・ストーリー2』では、アルという明確な『悪者』が登場します。
ビンテージオモチャを高値で売りさばく、おもちゃ屋の店主。
偶然コイツに見つかってしまったウッディがさらわれて、自分の過去と仲間を見つけるというストーリー。

前作でウッディは成長しているしバズとも絆が出来上がっているわけですが、この作品では持ち主(=友達)である子供たちの成長に取り残されるオモチャの不安を描いています。

実はテレビで人気だった人形劇の主人公で、超プレミア人形だったウッディ。
アルに誘拐されて何とかアンディの元に戻ろうとしますが、同じ人形劇のキャラクター プロスペクターに「成長した子供はお前を捨てる」という言葉に心が揺れるんですね。

そして本作のヒロイン ジェシーはまさに成長した子供に捨てられたトラウマを持つオモチャでもあり、子供の成長は彼らオモチャにとっての深刻な問題でもあるんですよね。
そしてこのテーマは、まだ観てないけど続編「トイ・ストーリー3」の伏線にもなってるんですよね多分。

ピクサー劇場用長編アニメ「バグズ・ライフ」を挟んで製作された本作は、映像的にも驚くほどの進歩をしています。
ピクサーは一作ごとに、「質感」の表現にチャレンジをしていて、この作品では前作以上にウッディーたちオモチャの質感や、草や葉っぱ、アスファルトなどの質感がリアルになっているし、劇中白黒テレビに映る人形劇は何も知らないで観たら、実写だと思うくらいリアルでしたねー。

一方で、ストーリーの方は前作に比べると若干あっさりした印象でした。
構成上仕方ないとはいえ、バズとウッディの絡みが少なかったり、ほかの登場キャラの活躍が少なかったり、そもそもウッディパートとバズ(と仲間たち)パートがバラバラに進むので、前作で感じた「バディ感」が薄れちゃってるのが原因なんじゃないかと思いました。

とはいえ、もちろん一定以上の面白さはあって、前作と比較すればって話ですけどね。

さて、次はいよいよ「トイ・ストーリー3」を観ますよー!
って、今更かよ! って話ですけどもw

そして、久しぶりに観た「トイ・ストーリー」と実は初見だった「トイ・ストーリー2」はやっぱり面白かったし、ピクサー作品の根幹に触れたような気がしました。

興味のある方は是非!!

 

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壮絶な眠気との戦い。その先に見たものは……「複製された男」(2014)*ネタバレあり

ぷらすです。

今回ご紹介するのは『メッセージ』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の2014年に公開した作品『複製された男』ですよー!
『メッセージ』がとても良かったので、監督の過去作も観てみようとレンタルしてきたんですが、観終わった感想を一言で言うと「一体、何が何だか……」でした。(´・ω・`)

で、今回『』ネタバレになってしまうので、これからこの映画を観てみようという方は、映画を観た後にこの感想を読んでいただけたら嬉しいですよー!
あと、今回は文句多めになっているので、この映画が好きっていう方にはスイマセンと先に謝っておきますw

いいですね? 注意しましたよ?

 

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

ノーベル文学賞作家でポルトガル出身のジョゼ・サラマーゴの小説を実写化したミステリー。至って普通の日々を送ってきた教師が、ある映画に自分と酷似した男が出ているのを見つけたことから思わぬ運命をたどっていく。メガホンを取るのは、『灼熱の魂』『プリズナーズ』などのドゥニ・ヴィルヌーヴ。キャストには『ブロークバック・マウンテン』などのジェイク・ギレンホール、『マイ・ファミリー/遠い絆』などのメラニー・ロランら実力派が集う。全編を貫く不穏なムード、幻惑的な物語、緻密な映像が混然一体となった世界観に引きずり込まれる。

トーリー:何も刺激のない日々に空虚なものを感じている、大学で歴史を教えているアダム・ベル(ジェイク・ギレンホール)。ある日、何げなく映画のDVDを観ていた彼は、劇中に出てくる俳優が自分自身とうり二つであることに驚く。彼がアンソニー・クレア(ジェイク・ギレンホール)という名だと知ったアダムは、さまざまな手を尽くして彼との面会を果たす。顔の作りのみならず、ひげの生やし方や胸にある傷痕までもが同じであることに戦慄(せんりつ)する。(シネマトゥディより引用)

 

感想

眠気と戦う90分

本作の一人二役を勤めるのは 数々の作品で存在感を示す俳優ジェイク・ギレンホール
トーリーをザックリ説明すると、歴史の教師ギレンホールは、ある日同僚に勧められた映画をレンタルで見たら、そこにチョイ役で自分そっくりの男が出ててビックリ。
超気になるのでストーカーまがいの方法で三流役者のギレンホールに会ったら、脅されて自分の恋人を寝取られて、役者ギレンホールの奥さんとHしてたら、役者ギレンホールと自分の恋人は交通事故にあって、役者ギレンホールの嫁さんがでっかい蜘蛛になってるという物語。

ね? ワケわからないでしょ? 

しかも画変わりしないし、セリフは少ないし、テンポはトロいし、物語もあんまり盛り上がりがないので、観ている間に何度も激しい眠気に襲われながら何とか鑑賞。

前回ご紹介した「PK」の役半分の時間なのに、体感時間は倍以上でしたよ。
しかも観終わったあとには謎だけが残されるっていうね。

で、鑑賞後僕が思ったのが、

①・タイトル通り、自分の知らないうちにクモ型エイリアンに複製された事に気づいた男が主人公のSF。

②・カフカ的な不条理なストーリー。

③・ジキルとハイド型心理サスペンス。二人の男は実は同一人物。

の3つでした。

分からないのでネットで調べた。

で、結局よく分からなかったのでネットで調べたところ正解? は、

④・夢オチ

でした。

……って、分かるかー!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

つまりどういう事かというと、(この映画は正解がなくて受け手に解釈丸投げ系の作品っぽいので、あくまで僕なりの解釈ですが)

気弱な歴史の教師アダムは、妊娠6ヶ月の奥さんと平凡だけど幸せに暮らしている。

しかし、彼はそんな平凡な暮らしに潜在的な不満と妻が母親になる事に潜在的な恐怖があり、インモラルな妄想や役者の自分を空想したりして自分を慰めている。

そんな時、彼は同僚が勧める映画を観ているうちに眠ってしまい、アダムは夢を観る。

独身のアダムが、映画の中に自分そっくりの役者アンソニーがチョイ役出演していて、超気になったので会ってみると単なるそっくりさんではなく、彼はもう一人の自分だった。
その男は役者として自由に暮らし、奥さんもいる。
そして、アンソニーは自分の奥さんとアダムの恋人の交換を持ちかける。
アダムはその提案に乗るが、アンソニーと入れ替わりに気づいた恋人は車中で揉めて、交通事故で死亡。アダムと役者の奥さんだけが残される。

そこで目が覚めたアダムは、自分は平凡に暮らすことしか出来ない事を悟る。

ってことなんじゃないかなーと。

ちなみに、劇中に度々登場するクモは原作にはない要素で、監督曰く、このクモは“母性”の象徴だそうだそうです。

劇中、教師のお母さんが登場するんですが、おそらく彼はこのお母さんに「平凡で手堅い人生」こそ幸せであると言い聞かされて育ったのだろうと推測できます。

映画冒頭の授業の中でアダムは、

古代ローマに置いて、支配するすることは、独裁者の最大の関心ごとだった。パンと娯楽を与えることもひとつの手段だが、別の方法もある。
それは、教育を制限することだ」

と語るんですが、これはそのまま彼と母親の関係の暗喩になっているんだと思います。

また彼は「恐ろしいのはこのことがくり返されること」とも語っていて、これは妻が母親になる……という恐れを表しているんだと思います。

怪獣のような大きなクモは、自分を支配する母親(と妻?)に監視されている教師の心理的イメージで、ラストで奥さんが巨大なクモになっているのは、夢から覚めた教師の諦めを映像的に表現しているんだと思います。多分。

結論

つまり、この映画をざっくり一言で言うならファイトクラブ」なんじゃないかと。
ただ、「ファイトクラブ」では主人公の妄想が現実を侵食していくのに対し、本作ではあくまで教師の脳内だけで物語が完結してしまうし、「ファイトクラブ」のタイラーにあたる役者の自分(アンソニー)を殺してしまうんですが。
妄想の中でアンソニーを殺したのは、結局、母親の教育で植えつけられた教師(アダム)の倫理観だった的なことなのかな?

そしてもう一つ「ファイトクラブ」との大きな違いは、「ファイトクラブ」は超面白かったけど、本作は(少なくとも僕にとっては)超つまらなかったってことですかねー。(´・ω・`)

多分、無駄に冗長な『余白』を全部省いたら、30分で終わる物語だと思いました。

唯一良かったところは、奥さん(サラ・ガドン)と浮気相手( メラニー・ロラン)のおっぱいが観れたことくらいでしたw

というわけで、個人的にあまりオススメは出来ませんが、

興味のある方は是非!

 

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「きっと、うまくいく」の監督と主演がどえらい映画を作った!「PK」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ボリウッド(インド)映画の傑作「きっと、うまくいく」の ラージクマール・ヒラーニ監督と主演のアーミル・カーンが再びタッグを組んだ映画『PK』ですよー!

公開当初から期待値は高かった本作ですが、もうホント……

どえらい映画でしたよー!!(*゚∀゚)=3

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

ヒットを記録した『きっと、うまくいく』のラージクマール・ヒラニ監督と、主演のアーミル・カーンが再び組んだヒューマンコメディー。テレビ局で働く女性が神様を探している謎の男に興味を持ったことから始まる物語を、世界中で起きている社会問題を絡めて描く。主人公のPKを熱演したアーミルが、50歳を超えたとは思えない肉体美を披露し、ヒロインを『命ある限り』などのアヌシュカ・シャルマが演じる。

トーリー:留学先のベルギーで恋に破れ、祖国インドのテレビ局に勤務するジャグー(アヌシュカ・シャルマ)は、ある日黄色いヘルメットをかぶって大きなラジカセを持ち、さまざまな宗教の飾りを身に着け、チラシを配布する男(アーミル・カーン)と出会う。PKというその男は神様を探しているらしく、興味を持ったジャグーは彼を取材する。しかし、PKが語る話は途方もない内容で……。(シネマトゥデイより引用)

 

感想

笑いを武器にタブーに切り込む名作!

「きっと、うまくいく」で世界を笑いと感動の渦に巻き込んだラージクマール・ヒラニ監督と、主演のアーミル・カーンが再びタッグを組んで挑む題材はなんと宗教。

まさにタブーとも言える題材に、本作は真正面から切り込んでいきます。しかもドキュメンタリーとかじゃなくて、コメディー映画で、です。

これは、多民族・他宗教の国インドだから出来た事なのかもしれませんが、それにしたって、商業メディアとしてはリスクの高く、扱いも難しい超デリケートな題材ですよね。それを正直、観ているコッチが心配になるくらい真正面から切り込んでいくんですよ!

しかし、そこはさすが最強コンビ。
世界中のあらゆる宗教問題に対し、おそらく世界一シンプルな言葉で回答を示してみせた上で、ボリウッド娯楽ムービーという枠をはみ出すことなく、見事に着地してみせたんですよ! 

笑いあり、涙あり、恋愛あり、ダンスありのエンタメ山盛り全部のっけ!

本作は冒頭からいきなりカマされます。
広大なインドの風景の中に浮かぶ、明らかに違和感感たっぷりの雲がぷかぷか浮かんで移動してるんですが、それはなんと巨大なUFO。

そして、そのUFOから降り立ったのが、主演のアーミル・カーン演じる宇宙人。
しかも全裸

っていうか、アーミル・カーン50過ぎてるのに筋肉モリモリ過ぎる

で、降り立った地でファーストコンタクトしたインド人に、いきなりUFOを呼ぶリモコンを盗まれるところから物語はスタートします。

で、場面変わってベルギー。
 アヌーシュカ・シャルマ演じるヒロインのジャグは、ある出来事からパキスタン人の青年と恋に落ちます。

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画像出典元URL:http://eiga.com

出会って、ケンカして、打ち解けたと思ったら、彼がパキスタン人ということで……っていう、日本人が見ると多分「はぁ!?」ってなるシーンですが、まぁそこは両国の歴史的に色々あったってことなんでしょう。

それでも、彼に惹かれるジャグは去っていく彼を追いかけて――――からの、歌とダーーンス!(しかもベルギーっぽい曲)

さすがボリウッドです。

しかし、娘の熱愛の知らせを聞いたジャグの両親は、彼がパキスタン人でイスラム教徒ということで猛反対、スカイプを繋げたまま、ジャグのパパが信仰してるヒンドゥー教の導師に相談に行き、導師は「彼は必ず裏切るであろう」なんて予言をします。

ジャグは、そんな導師の予言を覆してやると、彼と翌日結婚する約束をするんですが、式場に来たのは、彼女に手紙を渡すよう頼まれたという少年。

手紙は「家族を悲しませたくないから、結婚はできないし二度と合わない」という内容で、ジャグは失意のうちに故郷デリーに戻り、テレビの仕事を頑張るわけです。

そんなある日、彼女は電車でたまたま不思議な男PK(宇宙人)に出会い、これはネタになるとコンタクトを取り始めるのだが……というストーリー。

って、長いわー!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

それもその筈、この映画なんと153分もあるのです
なので、ここまで書いた分はまだまだ全然冒頭の部分なんですよww

ぶっちゃけこの冒頭、もっと短く出来ただろう! って思ったんですが、ストーリーが進むうちに、この冒頭部分が後に重要な意味を持つ伏線になっている事が分かるわけですね。

っていうか、こんなに長い映画なのに、観終わってみると冒頭部分を始め、不必要なシーンが一つもないんですよ。全部がクライマックスへの伏線になってるんですねー。

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もちろんボリウッドらしく歌やダンスも満載だし、リモコンを盗まれたPKが紆余曲折あって神様探しをする件は、カルチャーギャップと宗教間ギャップの笑いが満載。
観ながら何度も吹き出してしまいました。しかも、この長ーーいくだりもクライマックスに向けての伏線になってるのだから恐れ入ります。

しかもありとあらゆる宗教を茶化しまくって笑いにしながらも、その合間合間に宗教(の教義)によって苦しむ人たちや、矛盾点などに鋭くツッコミを入れていくんですよねー。そんな構成の一つ一つが本作のスパイスとして後々効いていくのです。

キーワードは「掛け違い」そして回答へ

PKの特徴の一つはもちろん宇宙人ということなんですが、彼は地球人じゃないからこそ、宗教に対し純粋で的を得た疑問を投げかけていきます。
その一方で、彼の星ではウソという概念がなく、何度も間違い電話をかけてくる相手に、ジャグが仕掛けたイタズラをキッカケに、一つの回答を見出すのです。

それが「掛け違い」

映画後半はこの「掛け違い」をキーワードに、一気にクライマックスに向かって物語が加速していくんですね。
そしてクライマックスのシーンでは、それまでの伏線が、「掛け違い」というキーワードのもと次々と組み上がっていき、それまで宗教に対して投げかけられた数々の疑問や問題に対して、これ以上ないシンプルな回答を示すことで、観客に最高のカタルシスと感動をもたらしてくれるのです。

もうね、このクライマックスは号泣ですよ!

その上で、どの宗教も傷つけない見事な着陸な着陸を観せるのだから、ラージクマール・ヒラニ監督恐るべしです!

インド映画というとやたら長い上に、ダンスや歌も入ってくるので苦手意識がある人もいるかもですが(僕もその一人だった)、「きっと、うまくいく」と本作は今まで僕の観た映画の中でもベスト級の映画なので是非見て欲しいし、特に本作は世界中の人に見て欲しい大好きな一本です!

興味のある方は是非!!!!

 

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▼「きっと、うまくいく」感想▼

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コミュニケーションを描いた新感覚SF「メッセージ」(2017)*ネタバレ有り

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、テッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」をドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が実写化した現在公開中のSF映画『メッセージ』ですよー!

アカデミー賞8部門にノミネート、音響編集賞を受賞した本作ですが、なんてういかこう……スゴイ映画でしたよ!(小並感)

で、今回はネタバレ無しで感想を書く事が出来ないので、感想の途中からゴリっとネタバレしていきます
ただこの作品は、まずは何も知らずに観るのが一番楽しめると思うので、これから観る予定のある人は、まず先に映画を観て、その後に答えあわせがてら、この感想を読んで頂けたらと思います。

 いいですね? 注意しましたよ?

 

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概要とあらすじ

テッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」を基にしたSFドラマ。球体型宇宙船で地球に飛来した知的生命体との対話に挑む、女性言語学者の姿を見つめる。メガホンを取るのは、『ボーダーライン』などのドゥニ・ヴィルヌーヴ。『ザ・マスター』などのエイミー・アダムス、『アベンジャーズ』シリーズなどのジェレミー・レナー、『ラストキング・オブ・スコットランド』などのフォレスト・ウィテカーらが結集する。

トーリー:巨大な球体型宇宙船が、突如地球に降り立つ。世界中が不安と混乱に包まれる中、言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は宇宙船に乗ってきた者たちの言語を解読するよう軍から依頼される。彼らが使う文字を懸命に読み解いていくと、彼女は時間をさかのぼるような不思議な感覚に陥る。やがて言語をめぐるさまざまな謎が解け、彼らが地球を訪れた思いも寄らない理由と、人類に向けられたメッセージが判明し……。(シネマトゥディより引用)

 

感想

宇宙人とのファーストコンタクトもの

本作は、ざっくり言うと「ばかうけ」そっくりの巨大宇宙船に乗ってやってきたクラゲ? 型宇宙人ヘプタポッド(7本脚という意味)と人間のファーストコンタクトものです。
宇宙人とのファーストコンタクトものと言えば、スピルバーグの「未知との遭遇」(1978)が有名ですが、本作もこの系譜の作品といえるかも。

ただ「未知との遭遇」が「音(ヒヤリング)」で宇宙人とのコンタクトを図るのに対し、本作は「文字」でのコンタクトを試みるという違いがあり、また彼らの言語体系を理解することで主人公が受けるある影響について描かれています。

ある日突然、地球各国にやってきた12機の巨大宇宙船。
そんな彼ら(宇宙人)の目的を知るため、各国は学者を招集してコンタクトを試みるわけです。

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そのコンタクトで得られた情報はすべて共有され、次第に宇宙人の言語体系が明らかになっていくんですが、中盤で解明されたある「言葉」をきっかけに、各国の足並みは乱れ一触即発の緊張状態になるのだが……というのが本作のざっくりした流れ。

アメリカに降り立った宇宙人とのコンタクトをとるため招集されたのは、エイミー・アダムス演じる言語学者のルイーズと、ジェレミー・レナー演じる数学者のイアンです。

最初はヒヤリングによるコンタクトを試みるルイーズですが、あまりにも違う言語体系のため不可能と判断、彼女は文字による意思疎通を図っていくわけですね。

で、本作の半分以上は宇宙人 の言語の解読と地球に来た目的を解明する過程とルイーズの「回想」が並行する形で構成されています。

そして、この二つの一見関係ない流れが一つになり、謎が明かされた時に驚愕の真実が明らかになるという仕掛けなんですね。

円環構造

ここからネタバレになります。

 

劇中、宇宙人の使う文字はまるで書道の筆文字で輪を書いたような感じの文字です。
しかも、その輪が文字ではなく、一つ(一行?)の文章になってるわけです。

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この墨文字のデザインは多分、原作者のテッド・チャンが中国系アメリカ人だから思いついたんじゃないかなーと思うんですが、この文章が輪になっている事が本作にとっては重要な鍵になっています。

宇宙人の使う文章が輪のような形になっているのは、彼ら? にはそもそも「時間」の概念がなくて、始まりから終わりまでを一つの輪として捉えているからです。
だから、彼らにとっては過去も現在も未来も全ては一つのエピソードとして同時に見えてる(認識してる)わけですね。

で、彼らの言語を解析・理解していくうちに、ルイーズの身にも変化が起こり始めます。どういう事かというと、彼女は「未来を思い出す」ようになっていくわけです。

もっと分かりやすい言葉で言うなら、未来視ができるようになっていくんですねー。

なぜ、そんな事が起こったのかというと、そこには「サピア=ウォーフの仮説」という考え方が関係していて、ざっくり説明すると「使用する言語体系によって思考や世界認識は変わる」っていう考え方らしいです。

例えば、日本語の場合は「〇〇はXXだから、◎◎だ。」みたいに過程が先で結論を後にもってくるけど、英語の場合「◎◎だ。何故なら〇〇はXXだから」みたいに結論を先に持ってきますよね。
そうした言葉や文字の成り立ちの違いが、人間の考え方や世界の捉え方に影響を及ぼすっていう事らしいんですね。(合ってるかな?w)

宇宙人の言語を解読、理解していくことでルイーズの思考プロセスに変化が起こって彼女は『未来を思い出す』ようになり、その能力によって世界のピンチを救う事になるわけです。
いわば、彼女は宇宙人とのコミュニケーションによって、進化するわけですね。

ということを踏まえて本作を振り返ると、冒頭で描かれるルイーズと愛娘の物語は物語のラストに繋がっているし、彼女(個)の物語は世界(全)の物語に繋がっていて、彼女の娘の名前はハンナ(Hannah / どちらから読んでもハンナになる)です。

実はこの映画の構造自体が円環構造で作られているう事が分かるんですねー。

二つのタイムパラドックス

言語を解読して「未来を思い出せるようになった」ルイーズのお陰で、人類の危機は回避されるわけですが、二箇所「あれ?」ってなる部分があります。

一つは、宇宙人に宣戦布告の先陣を切った中国のシャン上将をルイーズが思いとどまらせるシークエンス。
ここでルイーズはシャン上将に電話をして、彼の奥さんの最後の言葉を伝える事で彼を思いとどまらせ世界の危機を救ったことを、未来で出会ったシャン上将に教えられて「思い出し」ます。

でも、未来でシャン上将に出会うまで、ルイーズはシャン上将の電話番号も奥さんの最後の言葉も知らなかったわけで、ということは現時点でシャン上将に電話する事は出来ず、当然シャン上将を止めることは出来ないので、未来で彼に会うこともなく……っていう。
これって完全なタイムパラドックスですよね。

あと、ルイーズが宇宙人の言語を完全に理解するキッカケは、彼女が未来で宇宙人の言語について本にまとめた事を「思い出した」からなんですけど、これもシャン上将の件と同じタイムパラドックスになってると思うんですが、あれはどういう理屈なんだろう?? 

 僕は、ルイーズの未来視は自分の関わった事しか視えないと思ってたんですが、他人の、もっと言えば全ての過去現在未来を見通せるようになったって事なんですかねー?

愛娘との思い出

こうした大きな流れの合間に、本作ではルイーズと愛娘ハンナとの「回想」が描かれています。勘のいい方はすでにお気づきかもですが、この回想はルイーズの過去ではなく、未来に起こる出来事なんですね。

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映画冒頭で、ハンナが生まれてから、若くして病気で亡くなるまでをランダムに見せられるので、僕ら観客はこの回想をルイーズの過去だと思い込んでしまうというのが、本作で一番のトリックになっているんですね。

そしてこの仕掛けは、同時に観客への問いかけでもあります。

将来生まれてくるハンナは、自分よりも早く死んでしまうことをルイーズは知っている。それでも映画のラストで彼女は結婚して将来ハンナを生む決心をするんですね。

何故なら、子供を失う悲しい思いをしないためにハンナと出会わないようにしてしまったら(つまり結婚・妊娠・出産をしなければ)、自分の最愛の娘がこの世に存在しなくなってしまう。

それはつまり、最愛の娘の人生を奪ってしまう事だからです。

映画冒頭の「これはあなたの人生の物語です」というセリフは、この彼女の決断を見た観客への「あなたならどうしますか?」という、問いかけでもあるんだと思います。

それは「もし娘が~」という事じゃなく、もしも、傷つくと分かっていたら、あなたはコミュニケーションを諦めますか? っていう問いかけなんじゃないかと僕は思うんですね。

まとめ

というわけで、今回はゴリゴリネタバレ感想でした。

ちなみに、この作品の映像と音響はどちらも素晴らしかったと思いますよ。
全体的に色味を落とした白黒に近い映像は、多分宇宙人の使う文字に色調を合わせているんだと思うし、重低音で不安感を煽るような音響は映画館じゃないと味わえない体験でした。

あと、これは細かい情報ですが、イアンが二人の宇宙人につける固有名詞アボットとコステロは、映画評論家の町山さんによれば、アメリカの漫才師(二人組のスタンダップコメディアン?)の名前だそうです。

宇宙人とコンタクトを取るSFは映画・小説では沢山あると思いますが、本作がスゴイのは、「言語」によるコミュニケーションを哲学的に描いたと作品だということじゃないかと思います。そして、その極めて小説的な原作を映像作品に落とし込んだドゥニ・ヴィルヌーヴ監督他製作陣のセンスじゃないかなーと。

僕は、この映画を観たあと、すぐに本屋に寄って原作本を購入してしまったし、多分、この映画を観た人は、誰かとこの映画の話がしたくて仕方なくなるんじゃないかと思いますよ!

興味のある方は是非!!!

 

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