今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

本当にシリーズ最後の作品!?「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ジョニー・デップ主演のディズニー映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』ですよー!

僕はこのシリーズを、公開当時は観ていなくて後追いで一気に観たんですが、ジョニデ演じるジャック・スパロウを始めとした魅力的なキャラクターたちや、圧倒的な迫力の映像が素晴らしかったですねー。

本作はそんな「パイレーツ・オブ・カリビアン」のシリーズ最新作です。

で、まだDVDが始まったばかりの作品だし、出来るだけネタバレしないように注意して感想を書くつもりですが、これから観る予定の方は映画を観てから、この感想を読んでくださいねー!

いいですね? 注意しましたよ?

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あらすじと概要

ジョニー・デップが孤高の海賊ジャック・スパロウを演じる、大ヒットシリーズ第5弾となるアクションアドベンチャージャック・スパロウが、全ての海賊の滅亡をもくろむ“海の死神”サラザールとの闘いを繰り広げる。過去のシリーズにも出演してきたオーランド・ブルームジェフリー・ラッシュのほか、悪役に『ノーカントリー』などのハビエル・バルデムがふんし、カヤ・スコデラーリオやブレントン・スウェイツらが共演。監督を、『コン・ティキ』のヨアヒム・ローニングとエスペン・サンドベリが務める。壮大なスケールで描かれる冒険とバトルに注目。

ストーリー:ヘンリー(ブレントン・スウェイツ)は、過去に伝説の海賊ジャック・スパロウジョニー・デップ)と旅をした父のウィル・ターナーオーランド・ブルーム)の呪われた運命を、何とかしたいと考えていた。そこで海にまつわる伝説を調査したところ、呪いを解くには伝説の秘宝“ポセイドンの槍”が必要なことがわかる。その後、英国軍の水兵になったヘンリーが船に乗っていたところ、“海の死神”サラザールハビエル・バルデム)の襲撃に遭い……。(シネマトゥデイより引用)

 

感想

シリーズの歴史を感じさせる古参キャスト&新キャストが集結

シリーズ5作、1作目の「~呪われた海賊たち」から数えて17年も続く本シリーズ。
そんな本作には、1~3でジャック・スパロウと共に冒険を繰り広げたウィル・ターナーオーランド・ブルーム)の息子がメインキャラとして登場します。

映画冒頭、夜の海に浮かぶ小舟に乗った少年が、自分の足に石をくくりつけて海に身を投げます。
すわ自殺か!? と思ったらそうではなく、彼はシリーズ3作目「~ワールド・エンド」で、永遠の命を得る代わりに「フライング・ダッチマン号」の船長になり、10年に1度しか陸に上がれない呪いを受けたウィルの息子、ヘンリー(ブレントン・スウェイツ)なんですね。

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それから9年が経ち、父の呪いを解く事を誓うヘンリーは、イギリス海軍の乗組員として、伝説の海賊ジャック・スパロウジョニー・デップ)を探しているわけですが、彼の乗った船が「魔の三角水域」に入ろうとしている事に気づき船長に進言するものの相手にされず、逆に反逆者として捉えられてしまいます。

しかし、魔の三角水域に入った船は“海の死神”サラザールハビエル・バルデム)の襲撃に遭い、牢に囚われていたヘンリーはスパロウにある“伝言”を伝える事を条件に命を助けられるんですね。

一方、ガリレオ・ガリレイの日記の謎を解き明かした天文学者、カリーナ・スミス(カヤ・スコデラリオ)は、魔女として捉えられ、隙をみて逃亡している最中に銀行強盗をしているスパロウと遭遇。

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スパロウは結局、銀行強盗に失敗し部下たちからも見放され、カリーナは魔の三角水域を生き残ったヘンリーに会いに行き、すったもんだあって共通の目的である“ポセイドンの槍”を探す旅に出る事になるんですねー。

ヘンリー役のブレントン・スウェイツとカリーナ役のカヤ・スコデラリオは、中学生の頃に第1作を観たそうで、シリーズの歴史を感じます。

また、今回スパロウの敵である恐ろしい亡霊ラザールを、「ノーカントリー」の怪演などで知られる名優ハビエル・バルデムが演じています。

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その一方で、バルボッサ役のジェフリー・ラッシュや、ギブス役のケヴィン・マクナリーというお馴染みのメンバーに加え、初期3部作で登場したオーランド・ブルームエリザベス役のキーラ・ナイトレイマーティ役のマーティン・クレバなどオリジナルメンバーも復活。

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シリーズを観続けたファンにとっては嬉しいキャスティングなんじゃないでしょうか。

スパロウの叔父さんはあの人!?

そんな本作でジャック・スパロウの叔父「ジャックおじさん」を演じるのは、あのポールマッカートニー!

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出演のきっかけは、ポールのミュージックビデオに出演した縁で、ジョニで自ら出演を依頼したからだとか。

アカペラですがビートルズも最後のアルバム『レット・イット・ビー』(1970)のなかでカバーしている、”マギー・メイ”を歌っています。

それにしても、父親ローリング・ストーンズキース・リチャーズで、叔父さんポール・マッカートニーとか、スゴイ家系ですよねww

映像の迫力

 「パイレーツ・オブ・カリビアン」と言えば、あっと驚く発想を、迫力満点に描く映像の面白さが売りの一つですが、本作もスラップスティックなコメディーシーンから、船同士の戦闘シーンまで、実写とGCを組み合わせたリアルでド迫力の映像が目白押し。

特に、ラザールや部下の体が欠けていたり、海上でも髪の毛が水中にいるみたいにユラユラ揺れている感じなんかは如何にも「亡霊」といった不気味さで、ハビエル・バルデムの鬼気迫る演技と相まって非常に恐ろしい悪役になっていましたねー。

また、本作では若き日のスパロウがキャプテン(船長)になった経緯も語られるんですが、若き日のスパロウはミュージシャンで俳優のアンソニー・デ・ラ・トーレが実際に演じたものにデップの表情をデジタル加工して生み出されたんだそうですよ。

そして、スパロウが船長になったキッカケにはラザールとの、浅からぬ因縁があるんですね。っていうかスパロウ恨み買いすぎw

二組の親子の物語

本作では、もちろんジャック・スパロウが主役なんですが、過去作のように中心的な立ち位置というよりは、狂言回し的な役割に徹しています。

で、物語のメインはウィルとヘンリーのターナー親子と、もうひと組の親子の物語がメインで描かれているんですね。

本シリーズを観続けてきたファンの人なら、クライマックスのあるシーンに思わず涙してしまうかもしれません。

ファンは大満足だけど

そんな感じで、本作はシリーズ総決算とも言うべき作品だし、1作目から観ているファンの人にとっては大満足の一本なんじゃないかと思うんですが、本作から観た人との間には温度差もあるかもしれません。

もちろん、本作だけ観ても話の筋は分かるし、映像やキャスト陣の熱演もあり楽しめる配慮はされていますが、細かいところやファンなら「おぉ!」とアガるシーンなんかは、その前の作品を知らないと「??」ってなってしまうかも。

まぁ、それは本作に限らずシリーズ化された作品の宿命なんですけどねー。

なので、まずは本作を観て、面白かったら過去作に遡って観てみるのもアリなんじゃないかと思いますねー。

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「海賊もの」は当たらないという映画界のジンクスを、スタッフとジョニデが作り上げたジャック・スパロウというキャラクターや新たな解釈によって大ヒットに導いたこのシリーズ、観ないのはもったいないですよー!

あと、EDクレジットの後におまけ映像があるので、最後まで観たほうがいいですよー

興味のある方は是非!!

 

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まさかの展開に唖然! そして納得! 「クライング・ゲーム」(1993) *ネタバレあり

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、前回ご紹介した「モナリザ」も監督した ニール・ジョーダンの作品『クライング・ゲーム』ですよー!

モナリザ」と一緒にTwitterでオススメしてもらった作品で、僕は恥ずかしながら僕は初見だったんですが……衝撃の展開にビックリでした!!

そしてこの作品、感想を書くにあたってネタバレせずに書くのが非常に辛い作品なんですよねw

というわけで、古い作品だし今回も前回に引き続きネタバレありで感想を書きますので、これから観てみようという方は映画を先に観てから、この感想を読んでくださいねー。未見の方は前情報なしで観たほうが絶対に衝撃度は大きいと思いますよ!

いいですね? 注意しましたよ?

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あらすじと概要

アイルランド、川辺りの移動遊園地。そこに出会ったばかりの男女がいた。イギリス軍黒人兵士ジョディと、ブロンドの女ジュード。遊園地を出ると女は男を誘い、2人は抱き合ってキスを交わす。と、その時、男の頭上で拳銃の撃鉄を上げる音がした。慌てて見上げるジョディ。するとそこには、銃口を向けた男が立っている。驚く間もなく彼は、数人の男に押さえつけられると顔に袋を被せられ、いずこかへ連れ去られた……。(allcinema ONLINEより引用)

感想

巧みな脚本が評価され数々の賞に輝いた作品

本作は、物語のベースに「北アイルランド問題」が絡んだイギリス映画です。
北アイルランド問題とは、超ざっくり言うとイギリスからの独立派と残留派による内紛ですね。

アイルランドに派遣されていたイギリス軍兵士のジョディ(フォレスト・ウィテカー)は、ガールフレンドとのデート中に突然、複数の男たちに拉致されます。
彼らとガールフレンドはIRA(独立過激派)メンバーで、イギリス軍に逮捕されたメンバーを解放するための人質にするため、ジョディにハニートラップを仕掛けたわけです。

3日経ってもイギリス軍が取引に応じなければ、ジョディは処刑されることになってしまうんですが、そんなジョディの見張りはお人好しのファーガス(スティーヴン・レイ)で、二人きりで過ごすうち彼らは互いに友情を抱き始めます。

僕は「ははーん、ジョディが言葉巧みにファーガスを騙して逃げ出すか、ファーガスが組織を裏切ってジョディを逃がす物語なんだな」と思って観ていたんですが、全然違いましたねーw

というわけで、ここからネタバレしますよー!

 

 

 

期限が迫る中、ジョディはファーガスに「カエルとサソリ」の話をします。

カナヅチのサソリが、自分を乗せて川を渡って欲しいとカエルに頼む。
カエルは「君は僕の背中を刺すだろう」と断るが、サソリの「君を刺したら僕も溺れてしまう」という言葉を信じて、サソリを乗せて川を渡り始める。
川の真ん中まで来ると、カエルは背中に痛みを感じ、サソリが自分の背中を刺した事に気づく。

「自分も溺れる事が分かっていて何故…」と尋ねるカエルに、サソリは「仕方がないんだ。これが僕の“性”(さが)なんだから」と答え、カエルとサソリは死んでしまう。

という話で、持って生まれた“性”は変えることが出来ないというんですね。

そして、ジョディはファーガスに「自分が死んだらロンドンにいる恋人のディルに、“愛していた”と伝えて欲しい」と頼みます。

で、無常にも時が過ぎ、ついにジョディは処刑されることに。
「最後はせめて自分の手で」と彼の処刑を買って出たファーガスが、ジョディを連れて森の奥に行くと、突然ジョディが逃げ出しますが、ファーガスはジョディの背中を撃つことが出来ずに必死に追いかけます。

クリケットの選手で足の速いジョディは、ついにアスファルトの道路まで逃げ延びるんですが………

そこでアジトを突き止めてやってきたイギリス軍のトラックに轢かれて死んでしまうんですよ! 工エエェェ(´д`)ェェエエ工

さらに、イギリス軍は戦闘ヘリでアジトを襲撃。アジトは壊滅してしまいます。

ここから第二幕

何とか逃げ延びたファーガスは、知り合いのツテでロンドンに逃亡し名前を変えて仕事をしていますが、ジョディとの約束を果たすためにジョディの恋人ディルに会いに行きます。

ディルに絡むチンピラを撃退したりするうちに、ふたりは惹かれあい距離は段々縮まっていくわけですが、いよいよ初めての夜、ファーガス(と僕)は彼女の裸を見て驚愕の事実を知ることに。

 

チ〇コついてるーーー!!Σ(゚д゚lll)

 

いや、股間にモザイクがかかってるので映像だけではハッキリは分かりませんでしたけど、もうね、ビックリですよ!

確かに、ちょっと声が低いなーとか、冴えないジョディの彼女にしては綺麗すぎるなーとか、何となく違和感は感じたものの、ポスター写真でも分かるように、超美人だしスタイルもいいし、もう完全に女性だと思い込んでました!

ディルを完全に女性だと思い込んでいたファーガスもこれにはビックリで、彼女(彼)と離れようとするも、「ビックリして引っぱたいたりしてゴメン」的な手紙をポストに入れたり、なんやかんやあって仲直りしたと思ったら、ジョディにハニートラップを仕掛けたIRAの女性メンバーのジュード(ミランダ・リチャードソン)が現れて、判事殺害計画に参加しないとディルを殺すと脅すんですね。
その様子を、ディルが見てジュードをファーガスの恋人と誤解してしまいます。

で、ここから第三幕

ファーガスは何とかディルを守ろうと、髪を切って「彼女」を「」にしてホテルに匿うんですが、誤解したままのディルは勝手にアパートに戻ってしまい、精神安定剤を大量摂取。そんな傷ついたディルの様子にファーガスはついに真実を話します

翌朝、先に起きたディルは、眠っていたファーガスをベットに縛り付け(ファーガスの)持っていた銃を突きつけて、ふたりの前に現れたジュードやジョディを誘拐したIRAの事などを尋問。
その間にも計画実行の時刻は迫り、いつまで待っても約束の場所に来ないファーガスに痺れを切らしたリーダーが機関銃で突入し判事を撃ち殺すものの護衛に撃たれて死亡。

裏切り者を始末しようとアパートに乗り込んだジュードに、ディルは容赦なく復讐の銃弾を撃ち込み殺害し、止めようとしたファーガスにも銃口を向けますが、愛する男を撃つことは出来ず……。

で、ディルを逃がしたファーガスは彼女の身代わりで逮捕され、刑務所に足繁く通うディルとアクリル板越しの会話をするところで物語は終わるんですねー。

ジェイ・デヴィッドソン

本作でディルを演じたのは、ファッションデザイナーだったジェイ・デヴィッドソン。
彼は自身もバイセクシャルであることを公言しています。
ぶっちゃけこの作品が成功したのも、奇跡的な美しさを持つジェイ・デヴィッドソンのキャスティングあればこそで、当時僕と同じように多くの観客がビックリした事は想像に難くありません。

しかし、彼自身はあまり俳優に執着はなく、また本作の大ヒットで名前を知られたことで、心ない誹謗中傷や好奇の目に晒されて傷つき、現在はファッション業界に戻っているようです。

フォレスト・ウィテカースティーヴン・レイ

本作でイギリス軍の兵士ジョディを演じているのは、「ラストキング・オブ・スコットランド」のアミン大統領役や、「大統領の執事の涙」の主演で名を知られる個性派俳優のフォレスト・ウィテカー
印象的な風貌と存在感で、数多くの作品に引っ張りだこですが、この作品でもまだ若い彼の名演が、映画前半部分を引っ張っている感じでした。

ファーガス役のスティーヴン・レイは本作以降、ニール・ジョーダン作品の常連となったそうですが、決して華のある二枚目という感じではなく、味のある脇役という感じの役者。ただ、本作ではそんな彼の飄々としつつも、どこか厭世観をたたえた表情が役柄にピッタリハマっているように感じましたねー。

カエルとサソリの話

作中、ジョディがファーガスに話すカエルとサソリの話
僕は最初、自分たち末端の兵士の悲哀や、ファーガスがテロリストや犯罪者に向いていない優しい男だと事を物語に例えて言っているのかなーと思っていたんですが、実は自分の事を話していた事がディルが男性だったことで明らかになるんですね。

ディルを深く愛しながらも、ハニートラップにまんまとハマってしまった彼は、バイセクシャル、または元々はストレートだったって事だと思うんですね。
カエルと~の話は、ディルへの愛は決して揺るいでいないけれど、女性にも欲情してしまう自分を自嘲していたのかなーと。

で、その話をファーガスに聞かせてディルに会いに行って欲しいと頼んだのは、自分と同じ“性”をファーガスから感じとった彼が、万一自分が死んでも、こいつになら愛するディルを任せていいと思っていて、同時にディルと“友人”を孤独から救う意味もあったのかもしれません。

で、物語のラストでは、まさにそんなジョディの予感(とうか計画)が的中したんですね。

巧妙なトリック

そんな事を踏まえて思い返してみると、実はディルの勤めている美容室や行きつけのパブ「メトロ」は、いわゆるゲイコミニティーである事が分かります。

しかし、初見では(カエルと~の話も含めて)ハッキリそれとは分からないように、映像や語り口で真実を巧妙に隠しているんですね。

そして、主人公のファーガスが所属するIRAは、北アイルランドでは差別されているカトリック教徒の派閥であることと、ディルやジョディが黒人であり人種的にも性的にもマイノリティーであることと掛かっているんだなーと思いました。

そこが分かったあとで、もう一度見返せば、この物語の見え方は所見とはまったく違う見え方の作品になるんだろうと思いましたねー。

興味のある方は是非!!

 

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チビでハゲで小太りなオッサンの純愛「モナリザ」(1987) *ネタバレあり

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、Twitterで紹介してもらった映画『モナリザ』ですよー!
古い作品ですが、主演のボブ・ホスキンスが数々の映画賞を受賞したノワール映画の隠れた名作ですよ。

今回は古い作品ということでネタバレありで感想を書いていくので、もしもこれからこの映画を観ようという方は、映画を観たあとにこの感想を読んでくださいねー!

いいですね? 注意しましたよ?

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あらすじと概要

高級コールガールの運転手になった刑務所帰りの男ジョージ。彼はシモーヌというコールガールから、行方の分からなくなった妹分の捜索を依頼される。調査をするうち、ジョージは次第にシモーヌに惹かれていくが……。夜のロンドンを舞台にしたミステリアスなアクション。タイトルは、ナット・キング・コールの同名ヒット曲から採られた。(allcinema ONLINEより引用)

感想

本作は1986年のイギリス映画(日本公開は1987年)で、『ロジャーラビット』など多くの作品に出演してきた主演のボブ・ホスキンスは、この映画でカンヌ国際映画祭男優賞、英国アカデミー賞主演男優賞ゴールデングローブ賞主演男優賞ニューヨーク映画批評家協会賞主演男優賞など様々な賞を受賞しました。

監督は『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』などのニール・ジョーダンです。

表情がコロコロ変わる映画

物語は、ナット・キング・コールの名曲『モナリザ』に乗せたオープニングからスタート。
OPが終わると、ハゲでチビで小太りな冴えない中年男が緊張した面持ちで花束を持ち、家のドアをノック。すると一人の少女が出てきます。
男は一瞬怯んだような顔をしますが、その少女に持ってきた花束を渡そうとします。
すると、出てきた母親がいきなり鬼のような形相で「何しに来たのよ!」と。
男は「俺の娘だろ!」と言い返し娘は「ママ! やめて!」母親にしがみつきという、いきなりの大修羅場に発展。

この修羅場で男=ジョージ(ボブ・ホスキンス)は娘の父親で、別れた奥さんの家にやってきたことが分かるんですね。

結局怒鳴り合いのあとドアを閉められ、手近なゴミ箱を蹴り倒し「挨拶に来ただけだろ!」と荒れ、近くの野次馬と揉めるジョージを止めて自分の車に乗せるのが、親友のトーマス (ロビー・コルトレーン)。

日本の食品サンプルを輸入したり光るマリア像を売ったりしている変わった男で、彼との車中での会話で、ジョージはボス、モートウェル ( マイケル・ケイン)の身代わりで7年刑務所に服役していたこと、トーマスは服役中のジョージに推理小説を差し入れしていたこと、出所して娘に会いに行った(そして奥さんにたたき出された)こと、モートウェルが出所後の仕事の世話を約束している事がわかります。

で、モートウェルには会えなかったものの、高級娼婦シモーヌ(キャシー・タイソン)の運転手になったジョージですが、育ちの悪さからホテルで悪目立ちしてはシモーヌに迷惑をかけ(今風に言えばシモーヌはホテトル嬢なのでホテル側に目をつけられている)、マシな服を買うようにと金を渡されれば、派手な開襟シャツに革ジャン、ジーパンとチンピラ全開の服を買う始末。

一方、シモーヌも美人だけど高飛車で二人は最初いがみ合うわけですが、シモーヌジョージにスーツをプレゼントするあたりから、徐々に打ち解けて仕事もうまく回るようになっていきます。

ここまでは、逆「マイ・フェア・レディ」的なラブロマンスなのかな? と思って観ていると、シモーヌジョージに「キャシーという娘を探して欲しい」と頼むあたりから、徐々に物語はサスペンスミステリーに変わっていきます。

ジョージは街の歓楽街でキャシーを探し始すうち、シモーヌの元ヒモの黒人、アンダーソン (クラーク・ピータース)とボスのモートウェルが組んで、女性たちにSM専門の売春をさせていること、シモーヌとキャシーもそうであったことが次第に分かってくるんですね。そしてある日、シモーヌのアパートをアンダーソンが急襲。
シモーヌを庇ったジョージは腕に傷を負ってしまい、シモーヌの家も知られていることが分かり、二人はトーマスの工場に身を隠します。

そして、ジョージはついにキャシーを発見。
彼女を連れ出して、シモーヌとともに海辺のホテルに逃げ込むんですが、そこでシモーヌレズビアンでキャシーを愛している事を知ってしまうんですね。

そこに、アンダーソンが現れ、ホテルに逃げ帰ると部屋にはモートウェルが。
シモーヌは、ジョージに“念のため”持たされていた拳銃で二人を撃ち殺し、止めようとしたジョージにも銃を向けます。

フラれただけでなく二人と同類に思われていた事にショックを受けたジョージは彼女の元を去っていき……と、ここで場面変わって車を修理しながら事の次第をトーマスに話して聞かせるシーンに移り、そこに娘がやってきて二人が工場の外で話すシーンで物語は終了します。

つまり、本作の骨格自体はハードボイルド映画的ですが、恋愛映画の要素や、ミステリーやサスペンスの要素も入っているという、一つの作品の中に色んな表情を持つ作品なんですね。

シモーヌは本当にレズビアンなのか問題

シモーヌレズビアンであることは、キャシーとシモーヌの様子やセリフ、トーマスのセリフ、すべてを察したジョージのセリフなどで分かる構成になっているんですが、本当にシモーヌレズビアンだったかはちょっと疑問です。

というのは、彼女もキャシーも娼婦として客の男たちに辛い目に合わされていて、さらにはドラッグ漬けにされてたり、SMを強要されたり、有力者の弱みを握る道具にされていたり、ヒモのアンダーソンに殴られて言うことをきかされたりするわけで、シモーヌレズビアンというより男性恐怖症で、彼女とキャシーは恋愛というより共依存関係なのではないかと。

で、大金持ちのアラブ人という新しい後ろ盾を得て、アンダーソンやモートウェルの支配から抜け出せるシモーヌは最初、腕っ節の強いジョージを利用して妹分のキャシーを組織から救い出そうとしていたのではないかと思うんですよね。

ただ、お人好しで優しいジョージに彼女も少なからず好意を持っていたのだけれど、それは“ラブ”ではなく“ライク”だったのではないかと思いました。

シモーヌのアパートでのシーン

ついに、キャシーの居場所を突き止めたジョージとシモーヌが、アパートのエレベーターから出るとアンダーソンが襲いかかってくるシーンはとても印象的です。
このエレベーターは旧式で、ドアがジャバラ式になっいるので外が丸見えなんですね。
なんとか、アンダーソンの急襲を逃れエレベーターで降りて行くも、階下に降りる度に、階段を駆け下りたアンダーソンがドアの外から襲いかかってくるという構成はサスペンス的で、ドキドキしてしまいました。

桟橋のシーン

そんなシモーヌの気持ちに気づきながらも彼女を諦めきれないジョージは、キャシーが眠ったのを見計らって、シモーヌを散歩に誘うんですね。
で、桟橋でのシーンになるんですが、桟橋のお店で買った星とハート型のサングラスを掛けて、ジョージはダメだと分かりながらも縋るようにシモーヌに告白。
しかし、その想いはシモーヌには届きませんでした。

もうね、アホみたいなサングラスを掛けたまま涙ながらに告白するジョージの心中を思うと、切なすぎて思わず涙が出てしまいますよ。
この桟橋のシーンは本作でも屈指の名場面だと思いますねー!

実はジョージの空想!?

で、この作品では工場でトーマスが推理小説の内容を話し、ジョージが先読みして先の展開を予想するというシーンが、一つ一つのシークエンスの合間合間にブリッジとして挿入されています。

その話の中で、ジョージは仕事やシモーヌの話しを、物語仕立てにしてトーマスに話して聞かせるんですが、その流れでラストシーンを観ると、(普通に見ればジョージの後日談ですが)考えようによっては今までの内容は全部ジョージが考えた空想かも。という取り方も出来なくもないんですよねー。

つまり、実はジョージは、悪でもなんでもない自動車整備工のおっさんで、同僚で推理小説マニア仲間のトーマスに自分の考えた小説の構想を話して聞かせていて、その内容を映像つきで観せられていたのがこの映画だった――みたいな?

本当のことは分かりませんが、もしかしたらニール・ジョーダン監督は、どちらにも取れるようにわざとブリッジのシーンを伏線にしてラストに繋げたのかも…なんて思いましたねー。

 

事ほど左様に、本作は一本の映画なのに色んな表情があり、また観終わったあとにあーだこーだ考えられる作品でもあるんですが、ザックリ一言で言えば「オッサンが美人にフラれる物語」で、もしかしたらそれすらもオッサンの妄想かもしれないメタ構造を持った映画でもあります。

86年の映画なので、今観ると会話やセリフがまどろっこしいし、映像的にも古さを感じる作品ではあるんですが、同時に今見ても色褪せないシーンや新鮮な表現もあるし、ドラッグや暴力で売春を仕切る男たちと(年端もいかない少女も含めた)女性たちがその犠牲になっているのは、物語全体を通しての一つの大きなテーマとして、男性社会で虐げられている女性差別格差社会の象徴でもあるのかなと思ったりしました。(実際に当時のイギリスでそういう問題があったのかもしれませんが)

あと、粗野で乱暴者なジョージを最初は「なんだこいつ」って思うんですが、ボブ・ホスキンスの演技力なのか物語が進むうちにだんだん感情移入して可愛く見えてくるし、シモーヌ役のキャシー・タイソンは今見てもすごく美人で、ファム・ファタール(運命の女)にうってつけだなーって思いましたねー。

そんな感じで、古い映画だしちょっと観づらいかもですが面白い映画でしたよー!

興味のある方は是非!!

 

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カンフーアクションなしのジャッキー映画「レイルロード・タイガー」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ジャッキー・チェン主演の中国映画『レイルロード・タイガー』ですよー!
ジャッキーと、中韓の人気俳優が集合して作られたアクション・コメディ映画です。

 

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あらすじと概要

『ポリス・ストーリー/レジェンド』のディン・シェン監督と、ジャッキー・チェンが再び組んだアクション。ジャッキー演じる男のチーム「レイルロード・タイガース」が橋の爆破というミッションに挑む姿を活写する。K-POPグループEXOのメンバーだったファン・ズータオや『私の少女時代-Our Times-』のワン・ダールーらが共演。痛快アクションとコメディー要素満載の内容が見どころ。

ストーリー:1941年、中国の鉄道で働くマー・ユエン(ジャッキー・チェン)と仲間たちは、何度も日本軍の目を盗んでは物資の略奪などを行っていた。またたく間にうわさは広がり、彼らは“レイルロード・タイガース”と呼ばれ日本軍から敵視されることになる。ある日、マーは日本軍に追われた負傷兵ダーグオー(ワン・ダールー)を助ける。ダーグオーは、日本軍による物資輸送を妨害すべく橋を爆破しようとして失敗していた。(シネマトゥディより引用)

感想

63歳のジャッキーと日中韓イケメン俳優が共演

本作は、1954年に発表された劉知侠の大衆小説『鉄道遊撃隊』を映画化した1956年の同名作品のリメイク的作品。
日中戦争下の1941年の中国を舞台に、日本軍と庶民のレジスタンスが戦うという物語で、ジャッキーはレジスタンス「レイルロード・タイガース(飛虎隊)」のリーダー、マー・ユエン役を演じています。

そんな大ベテランのジャッキーと共演するのは、K-POPグループEXOのメンバーだったファン・ズータオ、中国のイケメン演技派俳優のワン・カイなど中韓のイケメン俳優たち。

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そして本作では、なんとジャッキーの「兄弟役」でジャッキー・チェンの息子のジェイシー・チャンも出演。ふたりの初共演は、「1911」(2011)以来で、同じシーンでの共演は本作が初めてなんだそうですよ。

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画像出典元URL:http://railroadtiger-movie.jp/

また、ジャッキーたち「飛虎隊」の敵となる日本人将校山口役には、「イップ・マン序章」でも将校役を演じた池内博之が出演。

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「イップ・マン」とは違い、本作ではコミカルな演技を披露しています。
他に山口の部下、佐々木役で矢野浩二も出演していますよ。

監督はディン・シェン

本作の監督は「ラスト・ソルジャー」(2010)「ポリス・ストーリー/レジェンド」(2014)に続き、ジャッキーとは3度目のタッグとなるディン・シェン
元々は数々の作品で美術デザインやCMを担当していましたが、初監督作品の「アンダードッグ」(2008)がジャッキーの目にとまり、タッグを組んだヒットメーカーです。

今回のジャッキーはノーカンフー

ジャッキーと言えばカンフーアクションですが、本作では鉄道で荷下ろしの親方を生業にしている一般人という設定。

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そんなジャッキーをリーダーとしたチームは、日本軍と戦うレジスタンスを気取っているものの、やっていることは日本軍の物資をくすねるコソ泥のようなことばかりなんですね。
そんなある日、マー・ユエンは、中国側の負傷兵に日本軍の列車が物資を運ぶのに通る橋を爆破する計画を聞いて……という内容。

なので、基本的に本作ではカンフーアクションはほぼないし、ジャッキーのカンフーアクションを期待して観ると、肩透かしを食らってしまうかも

ただ本作はその分、(中国・香港映画としては)ストーリーが一本道で構成がわりとシッカリしていて、アクションを見せるためのアクションシーンではなく、基本的には物語を進めるためのアクションになっているし、クライマックスの列車でのアクションシーンは、実際に蒸気列車を走らせているだけあって、とても迫力がありましたねー。

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また、中国映画にありがちな悲壮感やエモーショナルな展開も控えめで、あくまでアクションコメディーとしての面白さに特化している作りになってました。

確かに日中戦争を題材にしているので、日本人的には居心地の悪さも感じなくはないし、現代劇に比べるとスピードが遅く牧歌的だったり、ジャッキー映画としては珍しく銃撃戦や人が死ぬシーンも出てきますが、ジャッキーや池内博之らのコミカルなシーンも多く、全体的には痛快活劇として楽しめるようになっていました。(それでもところどころ(´ε`;)ウーン…っていうシーンはありましたけどねw)

まぁ、題材が題材なだけに「抗日」だの「反日」だの言う人もいるようですし、そう思いたい人は勝手に思っていればいいんですが、個人的には本作はそういうイデオロギー的な側面はあまり出さないように気を使っているように見えたし、それよりも昔の古き良きハリウッド活劇と中国の武侠映画のテイストをミックスして、今風にアップデートしようとしてるように感じました。

若手をフックアップ

そして、2000年代以降のジャッキーは自分中心というよりは、積極的に若手の監督や俳優と組むことで、次世代の才能をフックアップしようとしている感じがします。
本作でも全体的には若手に華をもたせつつ、最後の最後だけは自ら物語を締めくくる感じでした。

これは同世代のサモ・ハンやユン・ピョウにも感じるんですが、ジャッキーは60歳を超えてなおハリウッドの第一線で頑張りながら、香港映画界では次世代へとゆるやかにバトンタッチしようとしているのかなーと思ったり。

ともあれ、ジャッキー映画としては多少の物足りなさはあるものの、画面は派手でアクションやコメディーシーンも満載な痛快活劇でした!

あ、日本語吹替版でジャッキーの声を演じるのは、もちろん石丸博也さんですよ。

興味のある方は是非!!!

 

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こんなDC映画が観たかった!!「ジャスティス・リーグ」(2017)

ぷらすです。

今日は劇場で『ジャスティス・リーグ』観てきましたー!!

もう……最高じゃないかー!!
ヤッタァ━━━v(*´>ω<`*)v━━━ッ!!

映画を観ながらずっと心の中で「YES! YES!」言いながら、小さくガッツポーズを取ってましたよー!

というわけで、今回は劇場公開されたばかりの作品なので、できる限りネタバレしないよう気をつけて感想を書きますが、これから観に行くという方は先に映画を観てから、この感想を読んでくださいね!

っていうか、オススメなのでみんな観に行けばいいじゃない!

いいですね? 注意しましたよ?

 

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あらすじと概要

DCコミックスのヒーローたちが集結したドリームチーム、ジャスティス・リーグの活躍を描くアクション大作。バットマンワンダーウーマンが団結し、特別な能力を持つヒーローたちを集めた新チームで敵に立ち向かおうとする姿を活写する。『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』同様バットマンベン・アフレックが演じ、ワンダーウーマンガル・ガドットが熱演。個性派ヒーローたちの活躍ぶりに血が騒ぐ。

ストーリーブルース・ウェインベン・アフレック)は、スーパーマンの捨て身の行動に影響を受け、再び人類を信じるようになる。彼は新たな相棒ダイアナ・プリンス(ガル・ガドット)の手を借り、強敵との戦いに備えて準備を進める。バットマンワンダーウーマンとしてお互い協力を約束した彼らは、共に戦ってくれるヒーローたちを集めるが……。(シネマトゥデイ より引用)

感想

こんなDCEU映画が観たかった!

DCコミックで活躍するヒーローが集合して強大な悪と戦う実写映画プロジェクト、『DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)』は、これまでに、

マン・オブ・スティール」(2013)

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」(2016)

スーサイド・スクワッド」(2016)

ワンダーウーマン」(2017)

と、計4本の作品が公開され、本作がシリーズ第5弾となります。

個人的感想としては、「マン・オブ・スティール」ではスーパーマンがウジウジしすぎでイライラさせられたし、「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」はワンダーウーマンの登場シーンはガン上がりしたし全体的に楽しめたけど、よくよく考えるとストーリーの方はいい加減な部分が多すぎたし、「スーサイド・スクワッド」は予告であれだけ期待させておいて「ナンジャコリャー!ι(`ロ´)ノムキー」だったし、「ワンダーウーマン」ではかなり盛り返したけど、最後のあの展開には思わず
いるんかーい!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ」とつっこんでしまったしw

全体的に同じヒーロー大集合シリーズのMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)に、大きく水をあけられていたんですよね。

これはMCUがシリーズ用に1からヒーローを構築していったのに対し、DCEUは比較的新しい原作コミックをベースにしていて、本シリーズ以前、78年の「スーパーマン」や「ダークナイト」三部作のバットマンありきで始まってしまったので、このシリーズから観始めた観客は途中から観始めたような感覚になってしまったこと。

「スーサイドスクワッド」では、監督のデヴィッド・エアーとワーナー製作陣とのシリーズに対するイメージの共有が出来てなかったことが大きいんじゃないかと思うんですよね。(多分「ワンダーウーマン」も同じだと思います)

加えて、「マン・オブ~」と「バットマンvs~」の監督でシリーズの中心的存在でもあるザック・スナイダーの、重くて暗くて長い、中二感満載の語り口は、ヒーロー映画としてのカタルシスや良い意味で抜けのいいバカっぽさがない分、僕には辛い感じだったんですね。(そこが好きという人もいるとは思いますが)

これは多分、ヒーロー大集合映画としては後発のDCEUが、MCUとの差別化を図ろうと悩んだっていうのもあるかとは思うんですけどね。

救世主登場!

で、本作も当初はザック・スナイダーが監督し3時間の長尺な作品になる予定だったらしいんですが、身内の不幸から途中降板。

親友のジョス・ウェドンが、ザック・スナイダーのプランを引き継ぎつつ、3時間分の映像を2時間に編集したらしいんですよ。

ジョス・ウェドンと言えば、「アベンジャーズ」や「キャプテン・アメリカ」シリーズなど群像アクションを整理して観客に分かりやすく観せる事で有名な監督でもあり、作品にコメディーシーンやエモーショナルな展開を織り込んで初見の観客でも楽しませる、ヒーロー映画の作り方を熟知したクリエイター。

そんな彼が参加したことで、ザック・スナイダーコミックから抜け出たような超カッコイイ画作りと、ジョス・ウェドン初見の観客にも分かりやすくヒーロー映画のツボを押さえたストーリーテリング融合し、超面白くて超カッコイイ『ジャスティス・リーグが完成したんですよー!!(;゚∀゚)=3ハァハァ

こんなDC映画が観たかったー!!

メンバー紹介

そんな本作では、バットマンワンダーウーマンに加え、3人のヒーローが登場します。というわけで、ジャスティス・リーグのメンバーをザックリご紹介しますよー。

ブルース・ウェイン / バットマンベン・アフレック

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多分、世界一有名なアメコミヒーロー・バットマン
本シリーズでは、「ザ・コンサルタント」のベン・アフレックが長年に渡って孤独な戦いを続けた初老のバットマンを演じています。

超人が集まる本作で一人だけ普通の人間である彼は、今回チームのスカウト・マン兼リーダー的存在として、メンバーのサポート役に回っています。

何かと批判も多いベンアフバットマンですが、個人的には歴代バットマンの中で一番好きだったりします。やっぱバットマンアゴが割れてないとね!

ダイアナ・プリンス / ワンダーウーマンガル・ガドット

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バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」で鮮烈なデビューを飾り、単独の映画も大ヒット。
まさに「DC映画の幸運の女神」となったワンダーウーマンは、本作でも大活躍ですよー!

神と人間のハーフで長命。超強くて超美人な彼女は、ある意味で本作のお母さん的存在であり、チームの良心的な存在でもあります。

アーサー・カリー / アクアマン(ジェイソン・モモア

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本作で初登場のアクアマンは、海底王国アトランティスの女王と人間のハーフで水陸両棲ヒーローです。
幼い頃、地上に捨てられてすっかりやさぐれてしまった彼は、バットマンのスカウトを最初は断りますが、ある事がキッカケでチームに加入するんですね。

原作では金髪碧眼の美青年で、魚と話す能力やイルカに乗って登場したりして、ファンのあいだではチームの面白キャラ的な扱いだったそうですが、本作では荒々しくワイルドな容姿になっています。

バリー・アレン / フラッシュ(エズラ・ミラー

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“妻殺し”の冤罪で投獄中の父親を救うため、警察の化学班を目指す大学生の彼は、ある実験で雷に打たれて超スピードで動けるヒーロー・フラッシュになります。

孤独だった彼は“友達”が欲しさにバットマンの誘いに軽いノリで参加を決めるんですね。

すでに単独主役のテレビシリーズで人気のフラッシュですが、本作では気弱でお調子者の半人前なヒーロー見習いの若者として戦いの中で成長していきます。

チームの中ではコメディーリリーフ&ムードメイカー的役割として活躍しますよー!

ビクター・ストーン / サイボーグ(レイ・フィッシャー

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ゴッサム・シティ大学のフットボール選手でしたが、ある事故に巻き込まれて瀕死の重傷を負った彼の命を救うため、科学者の父親が「マザーボックス」という未知のキューブの力を利用して体の大部分を機械化。文字通り“サイボーグ”になります。

強いだけでなく世界中のあらゆるコンピューターに繋がる能力を持つ彼ですが、マザーボックスの影響で日々「勝手にアップデート」される能力で、いつか自分は地球を滅ぼす怪物になるのではないかと不安に思っているんですね。

原作やアニメでは、ティーンエイジヒーローチーム「ティーン・タイタンズ」の一員として活躍していましたが、今は原作でもジャスティスリーグのメンバーに昇格したみたいです。

ファミリーの物語

本作では人間界に居場所がない若く未熟な3人を、ベテランヒーローのバットマンが父親的存在として、人生経験豊富なワンダーウーマンが母親的存在として、一つのチームになるまでを描いた、ある種の擬似家族的な物語でもあります。

しかし、バットマンワンダーウーマンにも、それぞれ抱えている悩みや葛藤があったりもして、そんな彼らが共に戦うことでそうした悩みや葛藤から解放されていく物語でもあるんですね。

言いたいことがないわけではないが

ここまでベタ褒めしてはいるものの、ストーリー的には言いたいことがないわけではないんですよね。
ネタバレになってもいけないので詳しくは書けませんが、後半のある展開には、「え、それってアリなの!?」と思ってしまいましたねー。

まぁ、今後の展開を考えれば致し方ないのかもですが、なんていうか、これまで積み重ねてきたストーリーをひっくり返しちゃってるというか。

とは言っても、ザック・スナイダージョス・ウェドンの奇跡のコラボによって、今までのDCEU作品の中では、最高傑作と言える作品になってるのは間違いないし、観ていて気持ちのいい作品でしたよ!

興味のある方は是非劇場で!!!

 

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タイトルまんま。期待しすぎなければそこそこ楽しいコメディー「燃えよ!ピンポン」(2008)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ブルース・リーの「燃えよドラゴン」のパロディーで卓球をモチーフにしたコメディー映画『燃えよ!ピンポン』ですよー!

ラジオかネットの番組で名前を知って「なんか面白そう!」と思ってレンタルしてきたんですが、可もなく不可もなくという何かこう、そこそこ楽しめる作品でしたねー。

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

ナイト ミュージアム』の脚本を手掛けたロバート・ベン・ガラントとトーマス・レノンが手掛けたパロディー満載のおバカ映画。負ければ死を宣告される卓球大会に挑む元天才卓球少年の死闘を、最新CGやカンフー・アクションを駆使して描く。オスカー俳優クリストファー・ウォーケン、『M:i:III』のマギー・Q、テレビドラマ「HEROES/ヒーローズ」のマシ・オカらが出演。次々に繰り出される痛烈なおバカギャグや、濃いキャラクターに爆笑必至。

ストーリー:ランディ・デイトナは過去に天才卓球少年として持て囃されていたが、88年のソウルオリンピックで苦い敗北を喫し、中年となった今は卓球曲芸で細々と生計を立てていた。そんなある日、彼は裏社会で極秘に行われる卓球世界大会への潜入捜査をFBIに命じられた。彼は盲目の老人卓球マスターに弟子入りし、中華料理の特訓を通じて心・技・体を鍛える。
努力が実り、出場権を獲得したランディは大会の詳細を知り驚愕する。大会には各国のメダリスト達が集い、敗者は殺害されるという恐るべきデスマッチ・トーナメントだったのだ。しかも大会の首謀者は、ランディの父を殺した男。父の敵討ちのために、そして過去の挫折を乗り越えるために、彼は再び金メダルを目指す。(シネマトゥディより引用)

 感想

燃えよドラゴン」というよりはチャウ・シンチー オマージュ?

本作の原題は「Balls of Fury」で、このタイトルは「ドラゴン怒りの鉄拳」の原題である「Fists of Fury」パロディーなわけですが、主人公が闇の卓球トーナメントに出場して、最終的に敵のボスと戦うという設定は、表題通り「燃えよドラゴン」のパロディー。ただ、CGの使い方や荒唐無稽な展開なんかは「少林サッカー」などに代表されるチャウ・シンチーのテイストっていう、色々混ざっている作品ですw

ソウルオリンピックでの試合中に父親を中国マフィア? に殺され、金メダルも逃した卓球の天才少年ランディ・デイトナ (ダン・フォグラー)が主人公。
その後すっかり落ちぶれた彼は卓球曲芸で細々と生計を立てているボンクラ中年に成長した彼はある日、裏社会で極秘に行われる卓球世界大会への潜入捜査をFBIに依頼されます。

その卓球大会を主催するのが父親を殺した中国マフィアのボス、フェン(クリストファー・ウォーケン)と知ったランディは、父の敵討ちのため、そして過去の挫折を乗り越えるために卓球大会に出場を決めた彼は、長年のブランクを取り戻すため盲目の卓球マスターに弟子入りして……。というストーリー。

あらすじだけを追うと面白そうですけど、わりとゆるめのコメディーで、個人的感想としては「まぁ、そこそこ楽しめる」位の感じでしたねー。

何気に豪華キャスト

ちなみに、本作で主役を勤めるダン・フォグラーは、昨年公開の「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」でドジだけど気のいいパン屋を夢見る缶詰工のジェイコブを好演していましたね。

で、そんな彼を導くワン師匠役が、「カンフーパンダ」シリーズでダチョウのお父さんの声も担当している ジェームズ・ホン

師匠の姪っ子でヒロインのマギー役は「ミッション:インポッシブル3」や「ダイ・ハード4.0」にも出演しているマギー・Q

敵のボス、フェン役には大ベテランのクリストファー・ウォーケンと、何気に豪華なキャスティングなんですよね。

……って、ウォーケン先生何してんすか!ww

他にも、ドラマ「HEROES」の「ヤッター!ヽ(´▽`)/」でお馴染みマシ・オカこと岡 政偉やパットン・オズワルトもチョイ役で登場していますよ。

監督・脚本は「ナイトミュージアム」の脚本チーム

本作で監督を勤めるのは、映画「ナイトミュージアム」1・2の原案と脚本を務めた ロバート・ベン・ガラント。
脚本はガラント監督&「ナイトミュージアム」でも共同脚本を担当したトーマス・レノンです。
この二人、アメリカでは「ナイト~」よりも、TVコメディ・シリーズ「Reno 911!」の監督・脚本のコンビとして有名みたいですね。
このドラマ、日本では知られてないですが、アメリカでは映画化もされた人気作らしいです。

カンフー・パンダを意識?

本作から1年後、ドリームワークスのCGアニメ「カンフー・パンダ」が公開されるんですが、ランディ役のダン・フォグラーの体型や雰囲気が、ポー役のジャック・ブラックにどことなく似ていたり、「カンフー・パンダ」ではポーの義父(ガチョウ)の声を当てているジェームズ・ホンが師匠役で登場したり、フェンが屋敷でパンダを飼っていたり(そして死んでいる)と、もしかして「カンフー・パンダ」を意識してるのかなー? なんて邪推してしまったりw(いや、偶然なんでしょうけどもw)

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画像出典元URL:http://eiga.com / どことなくジャック・ブラックを思い出しちゃう。

とはいえ、物語の随所に織り込まれるオフビートなギャグだったり、「燃えよドラゴン」パロディーだったりは、王道のアメリカンコメディーって感じで、チャウ・シンチーとも「カンフー・パンダ」とも被る部分はないっていうか、そこまでは突き抜けていないというか。

約2500万ドルも予算をかけて作っているわりには、全体的にゆるい感じなんですよね。
で、近年のアメリカンコメディーほど下品すぎたり過激すぎる描写もなく「ほどほど」にまとまってる感じ(PG-13)で、正直物足りない気もしますが、逆にあまり下品で過激なのが苦手な人には丁度いいのかもって思いましたねー。

結論としては、「期待“しすぎ”なければ、そこそこ楽しい」コメディー映画でした。

興味のある方は是非!

 

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前作で残された謎が明かされる続編「REC/レック2」(2009)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、先日ご紹介したスペイン発のパニックホラー「REC/レック」の続編、『REC/レック』ですよー!

前作がかなり良く出来ていたので、本作もかなり期待してたわけですが。

結論から言うと「う、うーん…ちょっと期待しすぎたかなー?」って感じでしたねー。

で、今回は後半で前作共々ネタバレしつつ感想を書いていく予定なので、まだ未見の方はご注意くださいねー。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

全世界に衝撃を与えたスペイン発のパニック・ホラー『REC/レック』の続編。伝染病に侵されたとあるアパートを舞台に戦慄(せんりつ)の数々を描いた前作の直後という設定で、新たな登場人物が真相究明のためにCCDカメラを装着。ポイント・オブ・ビュー方式で、惨劇の一部始終と感染の謎をリアルに描く。監督は前作と同じく、ジャウマ・バラゲロとパコ・プラサ。前作よりさらに緊張感を増した密室の恐怖と絶望、仲間同士が襲い合い、逃げ惑う残酷描写は必見。

ストーリー:完全隔離された伝染病の発生源であるアパート。医師と警官隊がヘルメットにCCDカメラを装着し、感染の深層部であるアパートの最上階に向かう。しかし、次々に仲間たちが感染。閉鎖されたアパートの中で凶暴化した仲間におびえ、精神的に追い詰められながら、彼らはあるものを目にする。(シネマトゥディより引用)

感想

前作で残された謎解きがメイン

今回は、時系列で言うと前作の直後(というか後半くらい?)から物語がスタート。

一応ざっくりと前作のあらすじを説明すると、スペインのテレビクルーでカメラマンのパブロとリポーターのアンヘラが地元の消防隊員に密着取材中にレスキュー通報があり、隊員とテレビクルー2人は市内のボロアパートに向かいます。

アパートに入ると、そこにゾンビが現れ住民や警察官、消防隊員が次々襲われていきます。
次々ゾンビになっていく仲間や住人から逃げ惑う消防隊員とアンヘラたちでしたが、外に出ようにも政府によってアパートは閉鎖され監禁状態の中、一人、また一人とゾンビウイルスに感染していき、最後に残されたテレビクルー2人がゾンビウイルスの秘密に触れたところで物語は終了するんですね。

で、今回はSWAT隊員4人と、ゾンビウイルスの秘密を知る専門家が、ゾンビウイルスの血清を作るために封鎖されたアパートに入っていくのだが……。
というストーリー。

前作では、カメラマンのパブロ・ロッソさんが「カメラマン役」で出演。
彼のカメラを通して物語が語られるPOV形式(主観映像)でしたが、今回はSWATの記録係として出演・撮影してました。
一応呼び名を前回の「パブロ」から「ロッソ」に変えてましたけどw

正直、物語的にも怖さよりも前作で残された謎が明らかになっていく謎解きの興味で物語を引っ張る感じへとシフトしている印象を受けたし、前作に比べると怖さに慣れてしまった感もあって、「怖さ」の面では前作には及ばない感じでした。
恐怖映画の続編で前作のインパクトを超えるのは難しいですから、仕方ないんでしょうけども。

で、本作ではゾンビウイルスの正体が実は…という展開になるんですが、この展開は正直好き嫌いが分かれそうだなーと思いました。

というわけで、ここからネタバレするので未見の方はご注意ください

 

 

 

ゾンビパニック映画だと思ったら!?

前作はラストで、テレビクルーの二人がゾンビウイルスの謎に迫ったところでラスボスに襲われて物語が終了したんですが、その時にざっくりゾンビウイルスの正体や感染の「概要」が明かされてるんですね。

このシリーズでは前作で「REC」という映画の世界観が提示され、本作でゾンビウイルスの謎が解き明かされ、「~3」は飛ばして「~4」で物語が完結するという作りになっているようです。

なので、本作はゾンビウイルスの正体は何か。なぜ、このアパートで感染が始まったのかという謎が解き明かされていきます。

全ての始まりは悪魔憑きの少女メデイロス
悪魔憑きを一種の伝染病と考えた教皇庁は、(直属の)医師に命じ、秘密裏にワクチンを開発するため、このアパートの最上階でメディロスの血液を研究、(同じ悪魔憑きの)子供たちを被験者にメディロスと子供達を救う研究を続けていたんですね。

ところが、順調に見えた研究が行き詰まり、教皇庁はメディロス抹殺を命令します。
しかし、諦めきれない医師は研究を続行。
結果、子供達とメディロスに巣食う「悪魔」は力を増し、メディロスを封印しようとした医師は殺されてしまうわけです。

そこで前作で秘密を知る神父が、保健省の役人に身分を偽ってメディロスの血液を採取するため、アパートに入るも失敗。
本作では、医師で神父のDr.オーウェンが任務を継続するため、何も知らないSWATを引き連れてアパートに……という流れなのです。

つまり、本シリーズは「ゾンビ」かと思ったら「エクソシストだったんですよ!(; ・`д・´)ナン…ダト

前作とはまったくテイストの違う物語に

前作のパニックホラーからオカルトに方向性が変わってしまった本作に、醒めてしまった人も多いとみたいですし僕もその一人ではあるんですが、ただ、個人的にゾンビと悪魔憑きを合体させるという意欲的な試み自体はそんなに嫌いではないんですよね。

実際、現代のカトリックが悪魔祓いをする時には、いきなりエクソシスト(悪魔祓いの神父)を派遣するのではなく、事前に悪魔憑きの人に対して心理学的、状況に対して科学的な検証を行うのは有名な話で、映画「死霊館」シリーズで登場する実在の人物エド・ウォーレンは、カトリック教会が唯一公認した非聖職者の悪魔研究家で、依頼のあった悪魔憑きが本物かどうかを科学的に検証する仕事もしていたようですしね。

なので、ゾンビに「ウィルス感染」という科学的説明をつけたように、悪魔憑きにも科学的な説明をつけてみせるのは、それほど突飛な発想ではないとは思うし、試みとしては面白いと思うんですよね。

ただ、本作では悪魔憑きが起こす超常現象がいくらなんでも自由すぎるのが問題なんじゃないかと。

メディロスが他の感染者を操るという設定はまぁいいとしても、赤外線の暗視カメラでないと発見できない隠し部屋とか、アパートの最上階なのに井戸があるとか、メディロスも暗視カメラでないと見ることができないとか、十字架をかざすとメディロスの血液が燃えるとか、オカルトに寄り過ぎてて、SF的な設定とオカルト的現象のバランスがおかしなことになってる感じがしたし、前作とテイストが違いすぎてついていけなくなる人が多いのもわかる気がしましたねー。

ストーリー

また、前作と比べるとストーリーも粗が目立つ気がしました。

SWAT隊員は基本役に立たないし、本作のキーパーソンとなるDr.オーウェンは余りにも無策すぎるし、ビデオカメラを持ってアパートに下水道から侵入するクソガキたちはストーリーをPOV形式で観せる為だけ要員で、行動がバカすぎていちいちイライラしてしまうんですよね。(自業自得で悪魔憑きになったときは(^Д^)9mザマァ って、ちょっとだけスッキリしましたけどw)

前回、あれだけアンヘラたちを追い回したゾンビ(悪魔憑き)たちは、びっくりするくらい出てこないし。(悪魔憑きの説明が終わるまで空気を読んでどこかに潜んでたのかな?)

前作でも若干感じたご都合主義感が、本作ではさらにひどくなっている感じでした。

前作では上手く機能していたPOV(主観映像)形式も、本作ではPOVのためのPOVみたいになってましたしねー。

敢えて言うなら、序盤で中々ゾンビを見せないで不穏な感じで引っ張るところや、ラストで明かされる、ウイルスだと思ったら本体は寄生型だったというオチは「お!」と思ったし、メディロスのビジュアルはやっぱり怖くて良かったです。
あと、後半でアンヘラが登場してからは、中弛みしてた物語にエンジンが掛かってきた感じでワクワクしましたねー。

まぁ、今回は謎解き編でもあるので、ある程度は仕方ないのかもですし、「~4」では、いよいよ物語が完結するっぽいので、ここまできたら最後まで付き合おうと思いますよ!

興味のある方は是非!

 

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