今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

前作から2年、さらにパワーアップして奴らが帰ってきた!「キングスマン:ゴールデン・サークル」(2018)

ぷらすです。

今日の朝一の回で、年明け5日から絶賛公開中の『キングスマン:ゴールデン・サークル』を見てきましたよー!

衝撃の前作から2年、キャストも内容もパワーアップした彼らが帰ってきましたー!!・:*+.\*1/.:+

というわけで、まだ公開されたばかりの作品だし、前作ファンの人も多いと思うので、できるだけネタバレしないように注意して書きますが、これから本作を観る予定の方は、先に映画を観てからこの感想を読んでくださいねー!

いいですね? 注意しましたよ?

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あらすじと概要

コリン・ファースが粋なスパイを演じてヒットした『キングスマン』の続編。スパイ組織「キングスマン」の本拠地が壊滅状態に陥る中、敵を追ってアメリカに渡るスパイの奮闘を描く。マシュー・ヴォーン監督、タロン・エガートンマーク・ストロングらが続投し、新たにハル・ベリーチャニング・テイタムらが参加。

ストーリー:謎の組織「ゴールデン・サークル」によって、ロンドンにある高級スーツ店を隠れみのにしたスパイ組織「キングスマン」の根城がつぶされてしまう。残ったのは、以前スカウトされて腕を磨いたエグジー(タロン・エガートン)と、教官でありメカ担当のマーリン(マーク・ストロング)だけだった。二人は敵を追い、同盟組織の「ステイツマン」の協力を求めてアメリカへ渡る。(シネマトゥディより引用)

感想

キングスマンとは

2014年に公開された、マーク・ミラーとデイヴ・ギボンズによるコミック『キングスマン:ザ・シークレット・サービス』の実写映画化作品です。

どの国にも属さない世界最強のスパイ機関「キングスマン」の活躍と、亡き父の後を継いでキングスマンのスパイとなる道を選んだ青年ゲイリー・“エグジー”・アンウィン( タロン・エガートン)の成長を描いたスパイ映画。

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露悪的なまでに過激な描写で、ヒーローに憧れる少年の成長とヒーローの“リアル”を描いた「キックアス」のマシュー・ヴォーン監督が、荒唐無稽なスパイ組織や秘密道具、不謹慎な人体破壊ギャグなどを織り交ぜながら描いた、ダニエル・クレイグ版007などシリアスなスパイ映画へのカウンター的作品です。

続編となる本作では、すっかり一人前のスパイになったエグジーや、前作でエグジーを育てる先輩ハリー(コリン・ファース)、彼らのサポーターとして活躍したマーリン(マーク・ストロング)などが続投。

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さらに本作では、謎の組織「ゴールデン・サークル」の攻撃でピンチに陥ったキングスマンと共闘する同盟組織「ステイツマン」も登場。前作からさらにパワーアップした物語になっているんですねー!

前作以上の豪華メンバー

で、エグジーらと共に「ゴールデン・サークル」に立ち向かう米国の組織「ステイツマン」のメンバーとして、ハル・ベリーチャニング・テイタムジェフ・ブリッジスペドロ・パスカル

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「ゴールデン・サークル」のサイコな女ボス ポピー・アダムズ 役に、ベテラン名女優のジュリアン・ムーアと、超豪華なメンバーが勢ぞろいしていますよ!

さらに、(これはCMでも登場してるのでネタバレにはならないと思いますが)なんと、 エルトン・ジョンが本人役で登場してるんですねー!

余談ですが、本作でハル・ベリーはネットをハッキングして、ステイツマンのメンバーをサポートする“ジンジャー”というキャラクターを演じているんですが、このジンジャーという役名は2001年公開の「ソードフィッシュ」オマージュかな? なんて思いましたねー。

今度の舞台はアメリカ!?

前作では貧民層で街のチンピラだったエグジーが、大先輩のハリーに英国紳士としての「マナー」を教えられて一人前の男になるという物語でもあったのですが、本作ではそんな彼らが自国を離れ、型破りな“米国式マナー”の洗礼を受けることになります。

といっても、カウボーイにバーボン、投げ縄などなど、イギリス人の目線を通して“カリカチュア”された異国文化がてんこ盛りで、この辺はコミック原作ならではのデフォルメっぷりなんですよね。

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キングスマンの表向きの職業が高級テーラーだったのに対し、ステイツマンはウィスキー工場という設定も面白かったですねー。

また、「ゴールデン・サークル」の女ボス ポピーが、ジャングルの奥地隠れ家に祖国アメリカの町並みを再現してるのは、「地獄の黙示録」のカーツ王国オマージュかな? 思ったりしました。
他にも、歴代007オマージュも随所に散りばめられてましたねーw

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前作よりもパワーアップ! だけど…。

映画冒頭、エグジーがイキナリ襲われてスタートするカーチェイスシーンで、もう僕の興奮はマックス!
見かけはただの古いタクシーなのに、昔の007を思わせるガジェットが仕込まれているのもサイコーだったし、相変わらずおもちゃ箱をひっくり返したような秘密道具の数々や、スタイリッシュなアクション、コメディーシーンも満載なんです。が、前作に比べればパンチに欠けるというか…。

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もちろん、続編なので観ているこっちが「キングスマン」の世界に慣れてる部分もあるんですが、前作がR-15指定だったのに対し、今回はPG-12指定だからか、露悪的で不謹慎な人体破壊描写はかなり控えめ。

また前作で強烈なインパクトを残した、両足義足の女殺し屋ガゼルのような、インパクトのある悪役がいなかったのもちょっと残念でしたねー。
その代わりになるのが「彼」なんでしょうけど、そこまでのインパクトはなかったというか。

前作の「威風堂々」に乗せて繰り広げられる、超不謹慎すぎて思わず笑っちゃう、ヌケのいい“悪ふざけ”が今回はなかったのも、ちょっと残念だったかも。

この辺は好みの分かれるところかもですが、全体的に表現がマイルドになっているんですよね。

まぁ、その分各キャラクターを掘り下げるようなストーリーになってたし、小五脳全開のガジェットやアクションは超楽しかったので、個人的には全然アリだったし、観終わったあとはずっと、カントリーロード」のメロディーが頭から離れませんでしたよー!

ひとつ言えるのは、本作を楽しむなら、前作は押さえておいたほうがいいってことでしょうか。前作の引用や、流れを踏まえているシーンも多いですしねー。

ともあれ、是非、劇場の大画面で堪能して欲しい作品でした!

興味のある方は是非!!

 

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*1: °ω°

邦画監督トップランナーの一人、吉田大八が三島由紀夫の小説を映画化「美しい星」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは三島由紀夫が1962年に発表した同名小説を、「霧島、部活辞めるってよ」などで知られる吉田大八監督が、現代に舞台を変えて映画化した『美しい星』ですよー!

良い人から凶悪な役まで幅広く演じ、役者としても評価の高いリリー・フランキーを始め、ベテラン女優の中島智子、ジャニーズの亀梨和也、朝ドラ「あまちゃん」などで知られる橋本愛など、個性豊かなキャスト陣が出演でも話題になりましたね。

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あらすじと概要

三島由紀夫が1962年に発表した核時代の人類滅亡の不安を捉えた小説を、『桐島、部活やめるってよ』などの吉田大八監督が大胆に翻案して映画化。突如自分たちは地球人ではなく宇宙人だと信じ込んだ平凡な一家が、美しい星・地球を救おうと大暴走するさまが展開する。世界救済の使命に燃える火星人として覚醒した主人公はリリー・フランキー、水星人として目覚めた長男を亀梨和也、金星人として目覚めた長女を橋本愛、地球人のままの妻を中嶋朋子が演じる。

ストーリー:予報が当たらないと話題の気象予報士・重一郎(リリー・フランキー)は、さほど不満もなく日々適当に過ごしていた。ある日、空飛ぶ円盤と遭遇した彼は、自分は火星人で人類を救う使命があると突然覚醒する。一方、息子の一雄(亀梨和也)は水星人、娘の暁子(橋本愛)は金星人として目覚め、それぞれの方法で世界を救おうと使命感に燃えるが、妻の伊余子(中嶋朋子)だけは覚醒せず地球人のままで……。(シネマトゥディより引用)

感想

今や邦画監督としてはトップランナーの1人と言っても過言ではない吉田大八監督ですが、僕は代表作とも言える「霧島、部活辞めるってよ」が個人的にはそこまでハマれなかった事もあって、吉田作品にはちょっと苦手意識があったんですね。

なので本作も公開時はスルーしていたんですが、今回、TSUTAYAで作品を物色している時にたまたま本作を見つけたので、思い切って観てみる事にしました。

「美しい星」について

原作の「美しい星」は1962年、東西冷戦時代の核兵器による人類滅亡の不安・世界終末観を背景に、三島由紀夫が宇宙的観点から見た人間の物語を描いた異色のSF(というかSFベースの寓話?)小説です。

1964年にテレビドラマ、75年にラジオドラマ、2012年に舞台と、様々なメディアに展開されているようですが、映画化は今回が初めてなのかな?

吉田大八監督は、大学時代に三島の『美しい星』を読んで以来ずっと映画化したいと考え、周囲にもそう言い続けてきて、今回、ようやく30年越しの念願が叶ったんだそうですよ。

僕は原作未読なんですが、本作は時代設定だけでなく、一部キャラクター設定やラストシーンなどなど、割と大胆に原作を改変しているようです。

やっぱり上手い吉田監督

本作鑑賞後の第一印象としては、「やっぱり上手いなー」でした。。
今の邦画の世界で、セリフではなく映像でストーリーを語れる監督はあまり多くないんじゃないかと思うんですが、アバンのレストランの食事シーンでサクッと主人公家族の関係や、それぞれのキャラクターを流れの中で説明している手際の良さや、(恐らくは監督が影響を受けている)スピルバーグの「未知との遭遇」オマージュも盛り込まれてて、思わずニヤリとしてしまいました。

それ以降も語り過ぎず語らな過ぎず、過不足なくストーリーを映像とセリフなどで見せていくスマートさはさすがだなーと。

キャラ設定も絶妙で、主人公の大杉重一郎(リリー・フランキー)は、原作では無職で火星人として目覚めてからは「宇宙友朋(UFO)会」を作り、各地で「世界平和達成講演会」を開催して回る活動をするという設定なんですが、本作では、あまり当たらなくてニュースキャスターにいじられる天気予報士という設定です。

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映画冒頭、愛人のキャスターとの電話の最中に、2人の女性が握手と写真を求めてくるんですが、この「テレビに出ていてそこそこ有名人だけどナメられてる感」だったり、羽場裕一演じるニュースキャスターにぼんやり反感を持ってる感じを、ちょっとしたセリフや表情で見せています。

息子の一雄(亀梨和也)は学生時代野球部で、多分学校でも人気者だったけど今は自転車メッセンジャーのバイトをしていて、娘の暁子(橋本愛)は、美人ゆえに自分の中身を見てもらえない事に不満を抱いているし、奥さんの伊余子(中島朋子)はバラバラになってしまった家族や専業主婦という立場にぼんやりした不満があって、怪しげな水を売るねずみ講にハマって行くんですね。

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前半は、そんな家族の閉塞感や不満を、吉田監督ならではの嫌ぁぁぁな感じでじっくりじっくり見せていきます。

そして、お母さん以外の3人が宇宙人として“覚醒”してからは、それまで溜まりに溜まった鬱憤を爆発させるように、物語が一気に加速していくんですねー。

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特に、一雄と暁子の覚醒シーンでは、ヨーロッパのクラブ音楽っぽい曲に合わせて、両者のシーンがサブリミナル的に高速でカットバックして見せるドラッキーな映像で、観ているこっちが圧倒されるような凄いシーンでした。

で、そんな家族とともに、もう一人重要人物が登場します。
それが、佐々木蔵之介演じる議員秘書の黒木で、彼は自称(一雄と同じ)水星人で、議員を影から操り、大杉家族とも深く関係を持っていく謎の男。

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本作では特にCGなどの特殊効果は使わず、佐々木蔵之介の演技(と撮り方)だけで黒木の怪しさや不気味さを表現してるんですが、佐々木蔵之介って演技上手いんですよねー!(お正月に「超参勤交代リターンズ」を観たばかりなので余計にそう感じましたw)

現実か妄想か

ただ、この作品では大杉家や黒木が本当に宇宙人なのか、それともただの妄想なのかは、曖昧なまま最後まで明かされることはありません。

何度か登場するUFOも、ハッキリとその姿を見せることはないし、劇中で超常的な事も起こらないし、大杉家や黒木の姿が変わるわけでもない。

宇宙人であるというのはあくまで彼らの自己申告で、さらに、実は溜まったストレスで彼らがおかしな妄想を見ているだけという風にも取れるエピソードがどんどん出てくるわけです。

その一方で、やっぱり彼らは宇宙人なのではと思わせるシーン(クライマックスのディスカッションとか)もあったりして、観てる方は「一体どっちなの!?」と、最後までモヤモヤするし、ラストシーンには「え、どういうこと?」ってなっちゃうんじゃないでしょうか。

もちろん、これは吉田監督を始めとした製作陣が意図的にそうしてるわけで、大杉家や黒木が本当に宇宙人なのか、それともイカれた地球人なのかは、ぶっちゃけどうでもいいわけです。

テーマ

じゃぁ、本作のテーマは一体何かといえば、スバリ「環境問題」……ではなく、「美しさとは何か」っていう事なんじゃないかと。
いや、そこにはもちろん環境問題も含まれてはいるんですが、もっと根本的な、自然の美しさだったり、人類の文明や文化や歴史がもたらした美しさだったり、家族や人々の営みの美しさだったり。
それらは全て繋がっていて、この「繋がり」が失われたとき「美しい星」も失われてしまうというのが、本作のテーマなのではないかと思いましたねー。

 

そんな感じで、やりたい事や言いたいことは分かるし、表現や語り口も上手いなーとは思うんですが、個人的にはやっぱり、大絶賛! ってほどはハマれませんでした。
ただ、本作の場合は「霧島~」の時とは違って、原作も含めた物語自体のヘンテコさによるところも大きいような気がします。

なので、原作を読んでいたら、また印象は変わっていたのかもしれませんね。

興味のある方は是非!!

 

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孤独なチンピラがヒーローになるまでの物語「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、日本のアニメ「鋼鉄ジーグ」をモチーフにした、イタリア産ヒーロー映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』ですよー!

日本公開前から注目してた作品ですが、残念ながら僕の地元では公開されなかったので、DVDレンタルが始まるのを待ってたんですよー。

いろいろツッコミどころも多いけど、個人的には好きな映画でしたねー(´∀`)

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あらすじと概要

アニメ「鋼鉄ジーグ」をモチーフとし、イタリアのダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で最優秀新人監督賞などを受賞したアクション。荒廃したイタリアを舞台に、超人的な力を得た男が「鋼鉄ジーグ」ファンの少女を守るため、闇の組織と戦う姿を描く。『緑はよみがえる』などのクラウディオ・サンタマリア、『グレート・ビューティー/追憶のローマ』などのルカ・マリネッリらが出演。ダークな世界観やクライマックスの激闘が見どころ。

ストーリー:テロが頻発するローマ郊外。チンピラのエンツォ(クラウディオ・サンタマリア)は、ひょんなことから人知を超えた力を手に入れる。ある日、エンツォが慕う“オヤジ”が殺害されてしまう。オヤジの娘のアレッシアは、エンツォを日本製アニメ「鋼鉄ジーグ」の主人公・司馬宙に重ね、二人の距離は少しずつ近づいていく。そんな中、闇の組織のリーダー・ジンガロ(ルカ・マリネッリ)の脅威が迫り……。(シネマトゥデイより引用)

感想

鋼鉄ジーグとは

本作のタイトルにもなっている「鋼鉄ジーグ」とは、1975年から1976年まで放映された永井豪・安田達矢とダイナミック企画原作のロボットアニメです。

サイボーグ化した主人公が変形する頭部パーツと、バラバラに射出される体のパーツが磁力で合体して巨大ロボットになるというコンセプトが斬新な作品で、僕も玩具持ってましたねー。

ただ、本作は「鋼鉄ジーグの実写映画」ではなく、「鋼鉄ジーグをモチーフにしたヒーロー映画」なので、「鋼鉄ジーグ」を期待して観ると肩透かしを食らってしまうと思います。

イタリアの“ジーグ”はコソ泥で孤独なダメ中年!?

本作の主人公エンツォ(クラウディオ・サンタマリア)は孤独なダメ中年で、盗んだ品物を“故買屋”のセルジョ(ステファノ・アンブロジ)に買い取ってもらうことで食い繋いでいるコソ泥なんですね。

映画は、そんな彼がイタリアの街を逃げ回るところからスタート。
散々走りまくった挙句、エンツォが逃げ込んだ川の底には、放射性廃棄物の入ったドラム缶が不法投棄されていて、漏れ出した放射性廃棄物の混じった水をしこたま飲んだエンツォは、不死身の体と怪力を手に入れます。

その能力にエンツォが気づくのは、セルジョの手伝いで麻薬取引の現場に行き、取引相手に拳銃で撃たれて建設中のビルの9階から落っこちるも、体は無傷で弾丸が当たった傷も翌日には綺麗に治っている事に気づいたことや、うっかり自分の家のドアを破壊してしまったから。

ただ、エンツォはダメ人間なので、その能力を使ってATM強盗とかするくらいしか思いつかないんですね。

家族や友達もいない彼の好物はヨーグルトで、趣味はAV鑑賞なんですが、ATM強盗で得た金で、ヨーグルトとAV(あとローション)を山ほど買ってくるあたりは、思わず笑っちゃうような切ないようなw

麻薬取引でエンツォと共に撃たれて死んだセルジョには、アレッシア(イレニア・パストレッリ)という一人娘がいるんですが、母親の死や辛い現実に心を病み、アニメの「鋼鉄ジーグ」の世界に逃げ込んでいる彼女が、セルジョのボス ジンガロ(ルカ・マリネッリ)に(父親の行方を聞き出すために)拷問されそうになるところを、エンツォがなけなしの罪悪感で助けるんですね。

彼女はエンツォの力を目撃し、彼を鋼鉄ジーグの主人公司馬宙(しば・ひろし)と重ね合わせて慕い、エンツォはそんな彼女をどう扱えばいいか分からず、しかし一緒に行動するうち、孤独だった彼の心に愛が芽生え……というな感じで、物語は2人の奇妙なラブストーリー? へと進んでいくのです。

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画像出典元URL:http://eiga.com 主人公エンツィオとヒロインアレッシア

ヒーロー誕生の物語

エンツィオを公司馬宙と重ね合わせているアレッシアは彼に「人類のために力を使い、父さんを助け、闇の日から世界を救って」と懇願し、貧民層の生まれで、仲間や友達を次々と失って自暴自棄に陥っていたエンツィオは、力をアレッシアのために使おうと考えるようになっていきます。

一方、ギャングのボス ジンガロは、かつてTVのオーディション番組に出たことだけを誇りにしていて、世間の目を自分に向けさせたいと思ってる小物。
本当はただのチンピラなのに「俺はすごい」って思ってる、典型的な誇大妄想狂で、身の丈に合わない麻薬取引に手を出して失敗(セルジョが撃たれ麻薬が手に入らなかった)。上位組織の女ボス・ヌンツァによって殺されかねない状況になります。

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画像出典元URL:http://eiga.com ある意味主人公以上の存在感を見せた悪役ジンガロ(カラオケ中)

本作は、ヨーグルトとAVだけが楽しみなエンツォと、誇大妄想に取り憑かれたチンピラのジンガロという、社会の底辺にいる鏡合わせの2人の対決を軸に、エンツィオがヒーローになるまでを描いたヒーロー誕生の物語なんですねー。

ダメ中年がヒーローになる物語といえば、昨年感想にも書いた「アメリカン・ヒーロー」もそうですが、本作でメガホンを取ったガブリエーレ・マイネッティ監督は、子供の頃に観ていた日本のアニメが大好きなオタクなので、設定や物語がいちいちツボを抑えているなーって思いました。

気になったところ

そういう意味で、本作はヒーロー誕生譚として過不足ないし、「鋼鉄ジーグ」の絡め方も絶妙だと思うんですが、ただ、ヒロインの言動がエキセントリックすぎて、正直ちょっと引いちゃうんですよねーw

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本来なら主人公と年の差がある少女のほうが、「レオン的」な感じで物語が収まりがいいと思うんですが、本作のヒロインはどう見ても主人公と同年代なんですよね。

物語に「鋼鉄ジーグ」を絡めたいとか、主人公との(セックスシーンもある)ラブストーリーだとか、ヒロインの設定的な問題とかが絡んでるからなのかもですが、大人の色っぽい女性が「鋼鉄ジーグ」の世界に逃げ込んで、少女のように振舞う姿は、どうにもノイズになっちゃうというか、もっと単純に(オタク的に)観ていて痛々しいというか。
まぁ、本作に限って言えばそれも正解なのかもですが。(´ε`;)ウーン…

おそらくイタリアでも「鋼鉄ジーグ」は大分前に放映されたアニメだと思うし、それをストーリーに絡めるために、設定に無理が出ちゃってるかなって思いました。

あと、普通に街中の川に放射性廃棄物が捨てられてるってのも、若干違和感を感じたけど、そこはまぁ物語の展開上仕方ないのかな。

それ以外の戦闘シーンがショボイとか、クライマックスのサスペンスシーンがあまりハラハラしないとか、爆発シーンが思いのほかショボイとかは、予算の都合上仕方がない部分だと思うし、それでも格好良く見せようという工夫や努力が見えるところは、個人的には好感が持てました。

一方で、ジンガロが自分の残虐シーンをスマホで撮影してYouTubeにアップするとか、エンツォの超人的なシーンを防犯カメラで捉えるとか、今風な映像演出もされてて良かったし、エンツォ役のクラウディオ・サンタマリアは、その佇まいも含めて凄く良かったし、ジンガロ役のルカ・マリネッリはどんどん狂っていく悪役を魅力たっぷりに演じてましたねー。

あと、本作のタイトルはイタリア語のタイトル「LO CHIAMAVANO JEEG ROBOT」の直訳なんですが、映画が開幕すると「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」と日本語で映し出されるんですね。
僕は最初、日本の配給会社がタイトルを差し替えたんだと思ったんですが、これ、オリジナルそのままの状態らしいです。

子供の頃にイタリアで放送されていた日本のアニメに、並々ならぬ愛情とこだわりを持っていて、長編デビューとなる本作以前にも「ルパン三世」や「タイガーマスク」をモチーフにした短編を撮っているガブリエーレ・マイネッティ監督のこだわりだったらしいんですが、だからと言って一部のオタクに向けた映画ではなく、一本の映画としても十分面白いし見ごたえのある作品でしたよ!

興味のある方は是非!!

 

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ストップモーションアニメの究極形「パラノーマン ブライス・ホローの謎」(2013)

あけましておめでとうございます。
ぷらすです。
今年もよろしくお願いします。

さて、2018年1発目にご紹介するのは、現在公開中の「KUBO /クボ 二本の弦の秘密」が話題沸騰中のストップモーションアニメスタジオ「ライカ」2012年公開作品『パラノーマン ブライス・ホローの謎』ですよー!

僕の地元では、未だ「KUBO~」の公開予定がないんですが、万が一の公開に備えて予習も兼ねて観ることにしましたー!

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 あらすじと概要

300年前の魔女の呪いによって死者たちに襲撃された町を舞台に、死者と会話のできる少年の活躍をファンタジックに描くストップモーション・アニメ。ホラー映画好きのどこにでもいるような少年でありながら、死者が見え話すこともできる主人公の声を、『ザ・ロード』『モールス』のコディ・スミット=マクフィーが担当。アカデミー賞にノミネートされた『コララインとボタンの魔女 3D』の製作会社によって作り出された、繊細でユーモラスな動きや表情を見せる人形たちに夢中になる。

ストーリー:300年前に魔女狩りが行われていた町、ブライス・ホロー。ノーマンはどこにでもいるホラー映画好きの少年だが、死者と話せる特殊な能力を持っていた。ある日、ノーマンの前に死んだおじさんが現れる。そして、魔女の呪いによって町が滅ぼされる日がすぐそこまで近づいており、それを救うことができるのはノーマンだけだと言われ……。(シネマトゥデイより引用)

感想

驚異の“人形アニメ

本作を制作しているのは、米国のストップモーションアニメスタジオ「ライカ」
ストップモーションアニメとは、ミニチュアのセットに置いた人形を少しづつ動かして撮影する手法で、日本だと「人形アニメ」っていう方がしっくりくるかもですね。

基本的には絵を動かす普通のアニメーションと理屈は同じですが、実際にセットの中で人形を動かすので、実写と同じ立体的な映像が作れます。

ライカはそこに、CG映像を組み合わせたり、3Dプリンターでキャラクターの顔を作成、一コマ単位で人形の表情を変える「リプレイスメント・アニメーション」という技法を開発するなど、とんでもない手間をかけてストップモーションアニメを進化させているスタジオなのです。

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なので、本作は限りなく3DCGアニメに近い作品ながら、キャラや町並みの質感なんかはCGに比べて実在感を感じたし、逆にストップモーションアニメ独特の“ぎこちなさ”みたいなものは、ほとんど感じられませんでしたねー。

ストーリー

そんな本作なので、どうしても技術的な事にばかり目が行きがちですが、ストーリーの方もシンプルで無駄がなく、普遍的な重いテーマを寓話的に分かりやすく伝えていて、本当に素晴らしかったです!

ストーリーをざっくり説明すると、幽霊とコミュニケーションができるせいで変人扱いされる少年ノーマンが、その力で魔女の呪いを解く物語で、日本でいえば「夏目友人帳」に似ているかもしれません。

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舞台は300年前に魔女狩りが行われていた町ブライス・ホロー。
幽霊と話ができる事を、最初は誰にも信じてもらえずに、大人たちには白い目で見られたり、同級生にはいじめられているノーマンはある日、同じ力を持つ親戚のおじさんに、魔女を封じて町を呪いから守る役目を継ぐように迫られ……。
というのが物語の大筋で、そこにノーマンを理解しようとする母親、逆にノーマンの言葉を受け入れられない父親、いじめっ子、太っちょの親友、ノーマンを疎ましく思っている思春期の姉と、心を閉ざしたノーマンとのエピソードが語られていきます。

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そこには多様性を認める事の大切さだったり、排他主義の恐ろしさだったり、いじめや集団心理の怖さなどなど、人間が根本的に抱える普遍的な問題が描かれていて、「魔女の呪い」の事件キッカケに、ノーマンとメインキャラクターの関係が少しだけ変わっていくわけです。
そんな風に書くと「最後はみんな仲良くなって大団円」って思うかもですし、まぁ概ねそうなんですが、例えば同じテーマを扱っているディズニーやピクサー作品のほどはスッキリはしないかもw

でも、それが大人の着地と言う感じがして、個人的には凄く新鮮でしたねー。

その辺は「ライカ」が、ポートランドストップモーション・アニメーションを制作していたウィル・ヴィントン・スタジオの流れを汲んでいる事も関係しているのかも。

なので、子供たちはノーマンに感情移入して純粋に楽しめると思いますが、大人はクライマックスやラストでの少量の毒に、ドキっとしてしまうかもしれませんw

ただし、だからと言って小難しい映画というわけではなく、映像もストーリーも、大人から子供まで楽しめるエンターテイメント作品になってるんですけどね。

この作品には、お化けと話せる少年の姿を通して、人と違う事に悩む少年少女たちへの「人と違うのは悪いことじゃない」というメッセージが込められているし、それはライカのスタッフ自身の経験が反映されたテーマでもあるんですね。

www.youtube.com

そして、僕は本作を観て益々「KUBO~」をスクリーンで観たくなってしまいましたよー!!(血涙) 2ヶ月遅れでもいいから、何とか地元でも公開してくれないかなー。|ω・)チラ

興味のある方は是非!!

 

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金子修介的怪獣論「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(2001)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、金子修介監督で2001年に公開されたゴジラシリーズ25作目

ゴジラモスラキングギドラ 大怪獣総攻撃』ですよー!

この作品、僕はすっかり観た気になってたんですが、ほかの作品と勘違いしてた事に気づいて、今回観ることにしました。

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/61rm7RoM6YL.jpg

画像出典元URL:https://www.amazon.co.jp

あらすじと概要

グアム島沖で突然消息を絶つ米原子力潜水艦。その救助に向かった作業艇は深海で巨大な生物と遭遇する。防衛軍准将・立花は、半世紀前に東京に上陸したゴジラではないかと主張するが、兵力に慢心する軍上層部は彼の言葉に耳を傾けない。一方、TVスタッフとして日本各地で起きている超常現象を追っていた立花の娘・由里は、民間伝説<護国聖獣伝記>の存在に行き当たる。そして立花の予感通りついに破壊神ゴジラが姿を現した。だが圧倒的な猛威をふるうゴジラを倒せるのは“ヤマトの守護神”である3匹の護国聖獣しかいないのだ!(allcinema ONLINEより引用)

感想

シン・ゴジラと本作

ゴジラといえば、昨年公開されて大ヒットとなった庵野秀明監督の「シン・ゴジラ」を連想する人も多いかと思いますが、遡ること15年前に公開されたのが本作、「ゴジラモスラキングギドラ 大怪獣総攻撃」です。

監督は平成ガメラ3部作で一気に名前を知られた金子修介監督。

一見、まったく別モノに思える両作ですが、ゴジラに対して批評的という意味で(アプローチは真逆ですが)本質的には「シン・ゴジラ」と本作はかなり近いものがあると思いましたねー。

金子修介的怪獣論

というのも、「シン・ゴジラ」と本作、両作ともゴジラとは何か” もっと言えば、“怪獣とは何か”について語る作品なのです。

庵野監督はゴジラを、原発のメタファーとして、またSF的なアプローチで完全生物として解釈。
対する金子監督は本作でゴジラを荒ぶる神、もしくは太平洋戦争で散っていった人々の亡霊として描き、対するモスラキングギドラ、バラゴンを大和(ヤマト)国を守る“神獣”として、オカルト的、もしくはスピリチュアル的に解釈しているんですね。

金子監督は、平成ガメラ3部作でガメラを地球を守る“バランサー”として描いているので、ゴジラもその流れで金子修介ゴジラ論はできているのかも。

また、庵野監督は「ゴジラのいない日本」を描いたのに対し、金子監督は「(第1作が公開された)1954年に日本がゴジラに襲われた日本」を描いています。

その上で、両者ともそんな日本にゴジラが現れたとしたらという、ある種のシュミレーション映画になっているんですよね。

なのでシン・ゴジラに対するのは自衛隊ですが、本作でゴジラに対するのは、過去のゴジラ襲撃で自衛隊は「防衛軍」という軍隊として存在しているのです。

それは言うまでもなく、3.11以前、以降という決定的な違いがあり、そもそも3.11がなければ、シン・ゴジラが誕生することもなかったし、もし立場が逆だったら本作は怪獣プロレス的ゴジラではなく、シン・ゴジラ的な映画になっていたかもしれませんね。

ゼロ年代の「VSゴジラ映画」

もちろん「怪獣プロレス」は悪口でも何でもなくて、2作目以降のゴジラは基本、怪獣VSゴジラの戦いを見せるエンターテイメントで、本作はそんな「VSゴジラ」映画の中での意欲作なのは間違いないと思います。

黒目を失くして、白目だけのゴジラという、完全に観客の感情移入を拒否する造形も、シン・ゴジラに通じるものがありますしね。

さらに本作では、バラゴン・モスラキングギドラの設定をガラリと変えて、大和(日本)を守る神獣であるという斬新なアプローチをすることで、いわゆる金子版怪獣映画に一本筋を通している気がしましたねー。

キャスト問題&スピリチュアル問題

そんな本作の主役は新山千春演じる、BSのヤラセオカルト番組のリポーター。
そして、そんな彼女の父親で防衛軍准将役の宇崎竜童。

もちろん二人共役柄を熱演してたわけですが、正直に言うとこのキャスティングは如何なものかなーって思いましたねー。

実力派有名俳優が多数出演する本作の中で、歌手としては一流でも役者としては素人同然の宇崎竜童や、本作がほぼ役者デビューの新山千春の二人はどうしても浮いちゃいますよね。演技の方も普通に話してる時はいいけど、声を張るようなシーンだと素人感が出てしまいますしね。(新山千春は時間の経過とともに上手くなってましたけど)

あと、篠原ともえゴジラ小笠原諸島孫の手島で襲われ、さらに入院した病院でも襲われるわけですが、金子監督は篠原ともえに何か恨みでもあるのかと思いましたw

そして本作はかなりオカルトというかスピリチュアルに寄せている感じが気になってしまいました。
平成ガメラではそこまで気にならなかったんですけど、本作ではスピリチュアルな部分を物語を進める為の方便みたいに使ってて、ゴジラ映画としては結構バランスが崩れてしまった感じがしましたねー。

ただ、ほとんどの部分をCGではなく特撮で製作していて、シン・ゴジラを観たあとだけに懐かしさもあり、ミニチュアの街や自然をゴジラや怪獣が壊していく際の爆破シーンなどは、CGとは違った良さがありましたねー。

興味のある方は是非!

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【オススメ】今年日本で公開された映画ベスト10【2017】

ぷらすです。
今年もいよいよ終わりですねー。
というわけで今年も年末恒例、今年日本公開された中から、僕が観た作品の中で気に入った映画ベスト10をランキング形式でご紹介しますよー!

とはいえ、まだ観れてない作品もあるので、あくまで僕がこの記事をアップする12/28までに観た分限定だし、順番もあってないようなランキングですが、年末年始のお休みに、どのDVDをレンタルしようか迷った時の参考になれば嬉しいです(*´∀`*)ノ
ちなみに下にスクロールするほど、順位が上がっていくシステムですよー!

では、スタートです!

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昨年公開の作品ランキングに入れられなかった映画

この世界の片隅に(2016)

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僕の住んでいる旭川市は田舎なので、作品によっては新作公開が2ヶ月遅れなんてことも普通にあります。
で、この作品も2ヶ月遅れて今年1月の公開になってしまったので、昨年のランキングに入れられなかったんですよねー。

というわけで、今年公開分のベスト10とは別枠でご紹介です。
っていうか、もはや映画好きで知らない人はいないんじゃないかという本作。
素晴らしい作品なので、もしまだ未見という方は是非! 是非!! ご覧下さい!

僕が見た今年公開の映画

2017年12月28日現在、僕が観た映画の総数は新旧合わせて162本。
その中で今年公開分の映画は全部で46本でした。

2015年、2016年は名作のリブート作品や話題作の公開が相次いで、それはそれでランキングをつけていくのを大いに迷ったわけですが、今年はそれに比べると多少は落ち着いたものの、どの作品も面白くて結局迷ってしまいましたねーw

というわけで、惜しくもTOP10に入らなかった作品はこんな感じ。

11・ブレードランナー 2049
12・スパイダーマン ホームカミング
13・ジャスティス・リーグ
14・ワンダーウーマン
15・ジョン・ウィック:チャプター2 
16・マイティ・ソー バトルロイヤル
17・ザ・コンサルタント
18・人魚姫
19・ダークレイン
20・アメリカン・ヒーロー

*それぞれタイトルクリックで感想に飛べます。

どの作品も面白かったんですが、それぞれ一長一短あって残念ながら選外に。
特にシリーズものや続編は、単体の作品として観て面白いかってのもあるので難しいところなんですよね。

例えば「ワンダーウーマン」は、それまでのDCEU作品の流れをガラッと変えて世界的にも大ヒットしてるし、その流れを受けての「ジャスティスリーグ」もこれまでのDCEU作品の中で一番面白かったんですよ。

もちろんMCUの「スパイダーマン」も「マイティー・ソー」も超面白かったんですが……それまでの流れを知らずにイキナリ観ても楽しめないんじゃないかということで残念ながらランキング外に。

ジョン・ウィック:チャプター2」「ザ・コンサルタント」は新時代のアクション映画として超面白いし大好きなんですが、今回は強豪揃いだったので惜しくもランキングから外れてしまいました。

チャウ・シンチーの「人魚姫」や「アメリカン・ヒーロー」「ダークレイン」は決してビックバジェット映画ではないけど、それぞれ工夫や作家性が前面に出ていて面白くて、最後までTOP10に入れるかどうか迷ったし、「ブレードランナー2049」はホント寸前までベスト10入りするかどうか迷った末に、惜しくもランク外という結果になってしまいましたねー。

というわけで、いよいよTOP10の発表です!

青空ぷらす的2017年度ベスト10

10位 スターウォーズ/最後のジェダイ

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ついこの間公開されたばかりのスター・ウォーズのシリーズ最新作です。

ネット上での評価は真っ二つという感じですが、個人的には(作劇的にツッコミどころは多いものの)面白かったですねー。
次世代のスター・ウォーズを作ろうという意気込みを感じましたしね。
っていうか、僕は「スター・ウォーズ」が過去話をほじくり返すのではなく、前に進んでくれてさえいれば大体満足なんですよねw

なのになぜ10位かと言えば、(シリーズものだから仕方ないんですが)前作ありきの作品だからなんですよね。

 

9位 レゴバットマン ・ザ・ムービー

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DCパロのレゴ映画にも関わらず、どのDC映画より面白かった作品ですw

もちろん、レゴ版だしコメディー作品だからこそ、縛りなしで自由に作れたというのもあるんでしょうけど、「バットマン」というキャラクターや作品の本質をしっかり捉えてるなーと思いました。
歴代バットマンやDCの小ネタもたっぷり入ってますが、それらが分からなくても十分に楽しめるエンターテイメント作品になってたと思います。
親子で楽しむのに最適な一本じゃないでしょうか。(´∀`)ノ

 

8位 LION/ライオン ~25年目のただいま~

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インドで迷子になってオーストラリアで養子になった少年が、グーグルアースを駆使して25年後に生家を見つける作品です。
原作者の体験した実話を元にした映画で、インドという巨大な国が抱える問題や、アイデンティティや、養子縁組の実情など、丁寧かつ繊細に描かれた良作でしたねー。

7位 ムーンライト

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アカデミー賞で、前代未聞の発表間違えが話題になってしまった作品ですね。
LGBT、貧困、人種差別など、重いテーマを扱った作品ですが、決して声高に叫ぶのではなく、美しい映像に乗せて静かに、主人公に寄り添うように描いた作品です。
小規模のインディペンデント作品だし、映画としては少し歪な作りではありますが、心に残る作品でしたねー。

 

6位 LOGAN/ローガン

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X-MEN」シリーズ最新作というより、「ウルヴァリン」シリーズ最新作になるのかな?
ファミリー向けヒーロー映画として、これまで描いてこなかった残虐描写やメタ視点を取り入れることで、突然変異のミュータントとして生まれてしまった男の悲劇と贖罪。そして救いを描き出しています。

長年同役を務めたヒュー・ジャックマン、最後のウルヴァリンとしても話題になりましたね。

一応シリーズものになるとは思いますが、これまでの作品を観ていない人でも楽しめる作品なんじゃないかと思いますよー!

 

5位 メッセージ

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ブレードランナー2049」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が描く、21世紀版「未知との遭遇」的なSF映画です。
ぶっちゃけ難解なテッド・チャン原作小説を、主題を変えることなくエンターテイメントとして映像化してみせた手腕は流石の一言。

小説の方は中編くらいなので、映画を観たあとに原作を読むと、より作品を理解できるし楽しめるんじゃないかと思います。(´∀`)ノ

 

4位 ベイビー・ドライバー

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傑作ゾンビコメディー「ショーン・オブ・デッド」や「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」などで知られる英国映画界の鬼才 エドガー・ライト監督による、青春ノアール“ミュージカル”です。

音楽と映像を完全にシンクロさせるシーンは観ていて超気持ちいいし超アガります!

色々話題のケヴィン・スペイシーも、不気味だけど、それでいてどこか父性的な役柄で物語を締めていましたよー!

それでは、いよいよ今年度トップ3の発表です!

 

3位 ナイスガイズ!

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70年代のロスアンゼルスを舞台に、へっぽこ探偵と腕力で揉め事を解決する示談屋が、バディを組んで事件を解決するアクションコメディーです。

へっぽこ探偵マーチを演じるのは人気俳優のライアン・ゴズリング
腕力バカの示談屋ヒーリーを演じるのは、ハリウッドのむっつりおじさんこと、ラッセル・クロウ

ラ・ラ・ランド」や「ブレードランナー2049」で、影のある二枚目を演じるライアン・ゴズリングですが、本作では口髭を生やし、(タマフル的に言うなら)喜々として安い笑いを取りにいっていて、ライアン・ゴズリングのファン必見ですよw

監督は「リーサル・ウェポン」シリーズや「キスキス・バンバン」「アイアンマン3」で知られるシェーン・ブラック
1980~90年代にかけてのアクション映画黄金時代を支えた彼が、本作でも過剰なくらい不謹慎な笑いとアクションを織り交ぜた傑作ですよー!

 

2位 ハクソー・リッジ

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映画製作者やファンの誰もが監督としての手腕を認める、メル・ギブソン10年ぶりの新作です。

太平洋戦争末期、熾烈を極めた沖縄決戦に、ただひとり武器を持たずに参戦し75人もの命を救った男の実話を元にした戦争映画。
メルギブお得意の(地獄のような)残虐描写をふんだんに入れながらも、周囲からの圧力に負けず自分を貫き通す男の姿を通して、信念を描いた傑作ですよ!

そして、今年度第1位はこの作品!

 

 

1位 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス

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2014年、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の一本として製作されながら、世界中のボンクラ映画ファンを歓喜の渦に巻き込んだスペースオペラ映画の第2弾!

多分、誰もこの映画を2017年度の1位にはしないだろうと思ったので、「俺が推さねば誰が推す!」と1位にしましたよー!!(と思ったら、タマフルの視聴者ランキングで1位になってましたw)

いや、それは横に置いても、ELOの名曲「ミスター・ブルー・スカイ」に合わせ、ノリノリで踊るベイビーグルートサイッコー!に可愛いし、ヨンドゥサイッコー!にカッコイイし、ロケット、ガモーラ、ピーター、ドラックス、ネビュラたん、そしてもちろんピーターという前作のメンバーも本作を通してしっかり成長してるし、笑って泣いて、ドキドキハラハラして、なにより超ワクワク出来る。
サイッコー!な作品です!

もしもまだ未見の人は前作と合わせて、是非 是非! 観てください!

最後にメンバーの関係性やこの映画の面白さが一発でわかる、本編冒頭5分のプレビュー映像を貼り付けておきますよー!

www.youtube.com

 

というわけで、僕の個人的「今年、日本公開作品された映画ベスト10」でしたー!

多分、全作品レンタルされてると思うので、年末年始、どの映画を観ようか迷っている方の一助になれば嬉しいです。

ではではー(´∀`)ノ

 

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シリーズ3作目にして最高傑作!「カーズ/クロスロード」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ピクサーの『カーズ/クロスロード』ですよー!
カーズは1作目は面白かったんですが、2作目はちょっと「あれれ??」っていう感じで、本作も最初は「もう見なくていいかなー?」と思っていたんです。

が、ネットで感想をチェックしてみると思いのほか評判もよくて、例のショッキングな予告映像もあり、今回、DVDがレンタルされてたので観てみる事にしました。

そしたら、これがもうサイコーに良かった!

間違いなくシリーズ最高傑作でしたよー!!

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

自動車たちの世界を舞台に、スポーツカーのライトニング・マックィーンの活躍を描いた人気シリーズの第3弾。最新型のレーサーに勝てなくなった上に、事故でクラッシュしてしまった彼が引退を考えて苦悩する姿を、仲間たちとの絆を絡めながら追う。監督を務めるのは、『カーズ』シリーズなどに携わってきたブライアン・フィー。シリーズ前2作の監督でもあるジョン・ラセターが製作総指揮を務める。

ストーリー:迷い込んだ田舎町ラジエーター・スプリングスで、ドック・ハドソンをはじめとする心優しい仲間との触れ合いを経て、自分勝手だった性格を改めたスポーツカーのライトニング・マックィーン。目覚ましい活躍を見せてきたマックィーンだったが、最新型レーサーが次々と台頭してきて苦戦を強いられる。いつまでも第一線にいたいという焦りに駆られたマックィーンは、ある日レース中にクラッシュ事故に遭遇。運にも世間にも見放され、頭の中に引退という文字がちらつき……。(シネマトゥディより引用)

感想

「カーズ」とは

「カーズ」はピクサー7作目の3DCGアニメで、ジョン・ラセター監督作品としては4作目の当たる作品です。

カーレースを題材にした物語ですが、人や動物などは一切登場せず、自動車や乗り物を擬人化したキャラクターで物語が構成されていて、虫や牛なども車化してる世界観なんですね。

「ピストン・カップ」シーズン最終レースの「ダイナコ400」で、初の新人チャンピオンを狙う、自己中心的で自信家のライトニング・マックィーンが、ある田舎町に迷い込み、そこの住人たちや師匠と出会うことで、一人前のレーシングマシーンに成長するという物語。

2作目の「カーズ2」はレース中心ではあるものの、スパイものの要素などを盛り込んだため、ちょっと毛色の違う物語になってしまいます。

そして3作目となる本作では、スーパースターのマックィーンも世代交代の波に飲み込まれ、次第にレースにも勝てなくなって……という物語。

それでも現役で価値を狙うのか、それとも別の人生を歩むのかという、タイトル通り「人生の岐路」に立たされたマックィーンの選択を描いているんですねー。

本作は、過去2作品で監督を務めたジョン・ラセターは制作総指揮に回り、監督に代わって絵コンテを描くストーリー・ボード・アーティストや、脚本を絵に起こすストーリー・アーティストだったブライアン・フィーが監督を務めました。

実写と見まごうばかりの見事な映像

ピクサーといえば、CG表現で常に新たな挑戦をすることで有名です。

本作ではマックィーンたちレースカーや、コースと客席を分ける金網の描写(車が駆け抜ける時に金網が振動する描写まで!)など、過去2作と比べてさらにリアルになり、臨場感も増しているんですが、そんな本作で今回ピクサーが挑戦したのは泥の表現。

http://eiga.k-img.com/images/movie/85218/photo/c1b9af50ab9bd917/640.jpg?1496973659

画像出典元URL:http://eiga.com

普通のレースだと思って、トレーニングのために参加した草レースが、実はデモリション・ダービー(車同士を衝突させる競技)だったというエピソードの中、ダートのコースに水を巻いて泥んこ状態にするんですね。

この泥の表現がリアルで、実写と見まごうばかりでしたねー。

「継承」の物語

第1作では、伝説のレーシングカーだったドックとの出会いで真のスーパースターとなったマックィーンですが、本作では次世代マシンにまったく勝てなくなり、焦った末に大クラッシュ。

復帰を誓うも、自身のスポンサー「ラスティーズ」が、スターリングという車にラスティーズが売却されたことが判明。
そこで、クルーズ・ラミレスという女性トレーナーの指導のもと再起プロジェクトを始めるものの、そのやり方が合わず、スターリングは復帰しても勝てずにブランド力を下げるより、このまま引退してキャラクター商品を売っていく道を提示。

しかし、マックィーンはレースで優勝出来ればレーサー引退を撤回・引退するときは自分が決めることを条件をだし、2017年シーズン初戦「フロリダ500」に挑むわけです。

ただしスターリングは、ラミレスをトレーナーとすることを条件にして、マックィーンも渋々了承。

ところが、ここでもマックィーンとラミレスのやり方は合わず、迷走を続ける彼は、師匠ドックの師匠(マックィーンにとっては大師匠)スモーキーに教えを請うわけですね。

ここまで観て「なるほど、これは『ロッキー4的』な流れになるんだな」と思ったんですが、クライマックスはそんな僕の予想を裏切るまさかの展開に。

なるほど、そう来たか! と、膝を打ちましたねー!

ざっくり言うなら、本作は人生の岐路に立たされた主人公がどの道を選択するのか。まさにタイトル通り「クロスロード」の物語であり、同時に先代から受け取ったものを次世代へと継承していく物語なんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com

同時に、数々のヒット作を生み出し、3DCGというジャンルを根付かせ、ピクサーを世界有数の一流企業にのし上げたジョン・ラセターと、マックィーンがどうしてもダブってしまうし、本作が初監督のブライアン・フィーとラセターの関係は、まるでマックィーンとラミレスそのものだなーと思わずにいられません。

また、これはスポーツ選手やクリエイターなどの世界に身を置いた人だけでなく、どんな世界であってもある程度年齢を重ねた大人なら、誰もがグッときてしまう内容なんじゃないかと思いました。

元々、大人向けな要素の多いピクサー作品ですが、本作は完全に大人たちの為の作品という感じがしましたねー。

興味のある方は是非!

 

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