今日観た映画の感想

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やりすぎ感満載のボリウッドSFアクション「ロボット」(2012)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「ムトゥ 踊るマハラジャ」のラジニカーント一人二役を演じたボリウッド版SFアクション映画『ロボット』ですよー!

インドでは2010年公開と8年前の作品ながら、CG、ストーリー、アクションシーンなど、やりすぎアクションシーンの爆発力は、「DEAD OR ALIVE」三部作の頃の三池崇史や、塚本晋也監督の「鉄男」を思い起こしましたねー。

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

最先端VFX、ド派手なアクション、マサラムービーならではの絢爛(けんらん)さを融合させたカオスな世界観が評判となり、世界興収100億円を超えるヒットをマークしたSFアクション。自身を無残に破棄した博士をうらむ超高性能ロボットが引き起こす暴走劇が繰り広げられていく。インド映画界のスーパースターとして日本でも知られる『ムトゥ踊るマハラジャ』のラジニカーントが、天才博士と狂気に支配されたロボットを一人二役で熱演する。監督は、『ジーンズ/世界は2人のために』などのシャンカール。

ストーリー:10年もの月日をかけて、バシー博士(ラジニカーント)は自分と同じ姿かたちをしたハイテク・ロボットのチッティ(ラジニカーント)を開発。さまざまなトラブルを巻き起こしながらも、人間社会の規律や習慣を学んでいくチッティだったが、次第に感情が芽生えるようになる。やがて、博士の恋人サナ(アイシュワリヤー・ラーイ)に心を奪われ、強引に彼女に気持ちを伝えようとするが、それが博士の逆鱗(げきりん)に触れて解体されてしまう。博士への激しい怒りと、サナへの絶ち切れぬ思いから、チッティは殺人マシンとなって復活を果たすが……。(シネマトゥデイより引用)

感想

ツッコミどころは満載。でもパワーに圧倒されてどうでもよくなる

昨年末公開された「バーフバリ 王の凱旋」の大ヒットで、俄かに注目されているインド映画ですが、本作はインド映画界が本格的に世界市場に照準を合わせた作品作りをする以前の作品って感じで、何というか、ツッコミどころは満載なんですが、発想や映像の熱量と爆発力に圧倒されて、細かい事がどうでもよくなる作品でした。

特にクライマックスでの組体操的なアクションシーンは、オールCGなのかと思ったら実際にスタントマンが演じている実写のシーンも多数あるとかで、インドのマンパワー恐るべしって思いましたねー。

どんな感情で観ればいいのか混乱する

ではこの映画がどうな内容なのかというとですね。

工学博士のバシーガラン博士が10年の歳月をかけて自分そっくりスーパーロボットを作ります。
その目的は、戦争で人間の代わりにロボット兵士を――という発想なんですね。

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なんかこう、ロボット兵士という発想が悪役のマッドサイエンティストっぽいなーなんて思ったりして、この時点で若干モヤっとしてしまうんですが博士の方は大真面目だし、パキスタンや中国などの隣国との問題もあるインドなので、そういう発想になるのもお国柄なのかもしれません。

で、ついに完成した博士と見た目そっくりのロボット チッティでしたが、これをよく思わなかったのが、バシー博士の師匠ボラ博士(ダニー・デンゾンパ)。

彼はチッティを認可する委員の一人なんですが、自分は上手くいかないロボット作りを完成させたバシー博士に嫉妬し、誰の命令にも従ってしまうチッティの弱点を突いて不認可に持ち込みます。

ならばと、チッティに感情を与える回路を組み込もうとするバシー教授ですが、中々上手くいかずにイライラしていると、雷が直撃したショックでチッティに感情が芽生えるという、「フランケンシュタインの怪物」的な偶然が。

しかし、感情を得たチッティは、あるキッカケでバシー博士の恋人サナ(アイシュワリヤー・ラーイ)に恋をしてしまい……という内容。

内容だけ観ると結構シリアスなんですが、インド映画特有の大らかさだったり、ケレン味溢れすぎなアクション映像だったり、ダンスシーンだったり、ハリウッドオマージュ映像とか、割と適当な設定だったりのせいで、全体的にはコメディー映画っぽい感じなんですよね。

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なので、シーン毎に笑わせようとしてるのかマジなのかがイマイチ掴めず、ちょっと混乱するというか、どういう感情で観ればいいのか悩んじゃう感じでした。

マイノリティーの象徴としてのロボット

あと、結構モヤモヤするのが、バシー教授のチッティへの扱いでして。
基本的には良い博士っぽい設定になってるんですが、恋人のサラともどもチッティを徹底して「道具」か「奴隷」的に扱うんですね。

なので、本作では人間の方には全く感情移入出来ないというか、特に中盤で博士がチッティに行うある仕打ちにはドン引きでしたよ。

もちろんそれは監督の狙いで、チッティというロボットの目を通して見た人間という生き物のエゴや愚かしさみたいなものを描いているわけで、つまり、自分よりも下等だと見下げていた存在によって、自分の愚かしさに気付かされるな物語なんですね。

そう考えると、チッティはマイノリティーの象徴でもあり、インドのカースト制や、世界中のマイノリティー差別に対する批判がテーマになってるのかな? と思ったり。

それをシリアスに見せるのではなく、コメディー要素満載のエンターテイメント映画にして、ラストシーンで未来に希望を託すような終わり方にしているのが、個人的には良かったです。

 ただまぁ、インド映画独特のクセもあり、その辺ちょっと好き嫌いは別れちゃうかなーって感じではありますが。

興味がある方は是非!!

 

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予算もスケールも大幅アップ! “普通”にカッコイイ映画に「西遊記2~妖怪の逆襲~」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、2014年に公開された西遊記の前日譚「西遊記〜はじまりのはじまり〜」の続編となる、『西遊記2~妖怪の逆襲~』ですよー!

アジアナンバー1面白おじさんこと、チャウ・シンチーが監督して大ヒットした前作から予算もスケールも大幅アップした本作ですが、メインキャストだけでなく監督も変わって、前作とは別物の“普通”にカッコイイ西遊記になってましたねー。

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あらすじと概要

チャウ・シンチーが監督を務めたアクションファンタジー『西遊記~はじまりのはじまり~』の続編。天竺を目指して旅する妖怪ハンター三蔵法師が、孫悟空らと共に妖怪たちに立ち向かう。メガホンを取るのは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズなどに携わってきたツイ・ハーク。『あの場所で君を待ってる』などのクリス・ウー、『修羅の剣士』などのケニー・リン、『ドラゴン・クロニクル 妖魔塔の伝説』などのヤオ・チェンらが出演。

ストーリー:病気ながら、孫悟空(ケニー・リン)、猪八戒(ヤン・イーウェイ)、沙悟浄(メンケ・バータル)を引き連れ天竺へ旅をする妖怪ハンター三蔵法師(クリス・ウー)。美女に化けては近づく人間を食う蜘蛛女たちを退治した孫悟空が、理不尽な三蔵法師を始末しようとその機会をうかがう中、一行は比丘国へ。国王・九宮真人(ヤオ・チェン)に迎えられるが、常軌を逸した気分屋である国王の機嫌を三蔵法師が損ねてしまう。困った彼は孫悟空に助けを求めるが、事態は悪化するばかりで……。(シネマトゥデイより引用)

感想

予算もスケールも大幅アップ!

カンフー・ハッスル」のチャウ・シンチーが監督し、中国全土で大ヒットした前作「西遊記〜はじまりのはじまり〜」から4年。

ファン待望の続編となる本作が公開されたんですが、新作の監督を務めるのは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズなどで知られるツイ・ハークに変わり、チャウ・シンチーは制作と脚本のメンバーのひとりとして参加(実質彼がどこまで本作に関わったのかは分かりません)。

三蔵や悟空などメイン・キャストも前作から総入れ替えされ、ストーリーと世界観は同じだけど、前作とはまったく別の映画という感じになってしまってましたねー。

ただ、前作の大ヒットで予算は大幅にアップしたようで、中盤と終盤のクライマックスでのCGを駆使した悟空と妖怪の戦いは前作より大幅にスケールアップ。
まるで、マーベルやDC映画並のスケール感とカッコ良さでしたねー!

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画像出典元URL:http://eiga.com

特に大猿化した悟空は、前作とはデザインが変わって超カッコ良かったし、この戦いのシーンだけでも、本作を観る価値があるんじゃないかと思いました。

この辺は、「蜀山奇傅 天空の剣」で香港映画で初めて本格的SFX作品、「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー スーシン」では香港映画初の長編アニメーションを手掛けるなど、近代香港映画界では常に先駆者としれ知られ、「香港映画界のスピルバーグと称されるツイ・ハークの手腕なんだろうなーと。

しかし、チャウ・シンチー印はほぼ無くなって…

そんな感じで映像は申し分ないくらい素晴らしいんですが、正直、何かが物足りない。

何て言うか、“普通”にカッコイイ映画なのです。

前作でホアン・ボー演じる悟空を見たときのあの衝撃。
西遊記で悟空を演じるんだから長身の二枚目俳優なんだろうと思いきや、登場したのはハゲ散らかした小さいオッサン。

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画像出典元URL:http://eiga.com / チャウ・シンチー版悟空

で、そんなどう見ても悟空感のない、調子が良くて卑屈なオッサンだから、三蔵を上手く騙して解放された時に見せるあの残忍な笑いの怖さが際立ったし、もちろん笑いのシーンは満載だったけど、沙悟浄は女子供も容赦なく喰らい、猪八戒もアジトに人間を誘い込んでは丸焼きにして食べる残忍な妖怪で猪化したときは超怖かったわけで。

僕が子供の頃から観ていた日本の西遊記とは違う、妖怪本来の恐ろしさを描いているところが新鮮だったし、やりすぎなくらいのチープさや、悪乗りにも見えるバカバカしい笑いの奥に、愛や毒、人生観や死生観=チャウ・シンチーの作家性が垣間見えた前作だから僕は感動したわけで。

そういう、チャウ・シンチー印がほぼ根こそぎ無くなっていて、本作は単に何度も観てきたヒーロー譚としての西遊記になってしまってるんですよね。

残されたのが、前作で病弱王子を担いでた女性軍(今回はタイ国王の側室役)と、三蔵のズラ師匠だけってあんた……。

いや、例えチャウ・シンチーが監督してたとしても、前作を超えるインパクトが残せたかどうかは分からないし、ツイ・ハーク監督を責める気はないんです。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ツイ・ハーク版悟空(左:猪八戒・右:沙悟浄

むしろ、あの前作から上手く繋げて、ヒーローとしての孫悟空をカッコ良く描いた手腕を賞賛するべきなんでしょう。

ぶっちゃけ前作とは別物として観れば、普通に面白くてカッコイイ西遊記ですし、今回の敵役である、クモ女、紅孩児、九宮真人のデザインも現代風で良かったし、悟空との戦いも迫力満点で観ている間は楽しめましたしね。

ただ、あえて言うなら、音楽の使い方が無頓着すぎるとは思いましたけど。

あと、EDロールが終わったあと、それでもオマケ映像あるはずと劇場に残る観客を、掃除婦に扮したチャウ・シンチー「超大作じゃないからオマケ映像なんかないよ」と追い出すという、マーベル映画オマージュ(とういかデップーオマージュかな?)的なオマケ映像には思わず笑ってしまいましたねーw

興味のある方は是非!

 

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大勢の男たちがバトる奇祭!「HiGH&LOW THE MOVIE」 (2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、EXILE TRIBEによる世界初の総合エンタテインメントプロジェクトとして企画・制作された「HiGH&LOW」の長編劇場映画『HiGH&LOW THE MOVIE』ですよー!

正直僕はEXILE TRIBEのメンバーもほぼ知らないし、本作のドラマ版も観てないんですが、この映画は割と良い評判も聞こえてきてたので気になってはいたんですよね。

で、4本(TV総集編も入れると5本?)続いた劇場版も完結したらしいので、今回思い切って1作目をDVDで観てみることにしましたよー!

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

EXILE三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE らが所属するLDH日本テレビがタッグを組み、ドラマやライブツアーなどが連動するプロジェクトの映画版。さまざまな不良チームが抗争を繰り広げるSWORD地区を舞台に、男たちのプライドを懸けた壮絶な戦いや生きざまを、迫力あるバトルを通じて描く。AKIRAやTAKAHIROなど EXILE TRIBE のメンバーが出演するほか、窪田正孝林遣都山田裕貴らが熱いドラマを盛り上げる。

 ストーリー:とある一帯を支配する最強のグループ「ムゲン」が「雨宮兄弟」と激しい抗争を繰り広げた後、ムゲンが解散し雨宮兄弟も姿を消す。その後、頭角を現した五つのチーム「山王連合会」「White Rascals」「鬼邪高校」「RUDE BOYS」「達磨一家」の頭文字を取り街は「SWORD」地区といわれ、「G-SWORD」と呼ばれるグループが互いにしのぎを削っていた。そこへある男が帰ってきたことで、SWORD地区には不穏な空気が漂い始め……。(シネマトゥデイより引用)

感想

イキナリの大爆破スタート!

映画冒頭、どこの街か(そもそも現代なのかどうかも)は分かりませんが、「無名街」という映画「スワロウテイル」の街っぽいスラム? の様子が映し出されたと思ったら……突然の大爆発!
「な、なんだ!?(´Д`;≡;´Д`)」と思うまもなく、トラックで乗り付けたいかにもっぽいやつらが「ヒャッハー!」と、近くのの商店街を襲撃っていうスタートに面食らっていると、いかにもメインキャストっぽい女の子が輩に捕まったと思っったらバイクの轟音を響かせて、不良少年たちが登場という怒涛の展開。

どうやら、彼らはこの映画の主役っぽい感じで、輩どもとイキナリのバトルがスタートですよ!

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画像出典元URL:http://eiga.com / すっかり人が変わってしまった琥珀さんに戸惑うコブラ

本作はドラマの続編という位置づけの映画なので、ドラマを観ていない状態で果たして楽しめるかな? という不安もあって、このアバンに嫌な予感が的中かと思いきや、すぐに本作に至るドラマ版のあらすじと登場キャラクターの紹介OPが入る親切設計でした。

とはいえ、人数が多すぎて誰が誰やらって感じですが、心配は無用。

物語が進むうちに、何となく分かるようになります。

それをざっくり説明すると、

・龍也(井浦新)・琥珀(AKIRA)の二人で始めた走り屋チームのMUGEN(ムゲン)は、次第にメンバーが増えて、いつしか100人を超える伝説のチームに。
彼らによって地区の平和は保たれていました。

・しかし、達也がMUGENの新メンバー? に殺害されたことでチームは解散。
MUGENの意志を継ぐ山王連合会・ホスト(?)集団のWhite Rascals (ホワイトラスカルズ)・全国の不良が集まる鬼邪高校 (おやこうこう)・スラム出身の若者たちRUDE BOYS (ルードボーイズ)・法被がユニホームの武闘派集団 達磨一家 (だるまいっか)という、5つのチームが台頭し、彼らが縄張りにする地区はそれぞれのチームの頭文字をとって「S.W.O.R.D.地区」と呼ばれているらしいです。

・そんな「S.W.O.R.D.地区」を再開発して、カジノを作ろうと狙っているのが、ヤクザ組織の九龍グループで、実は龍也を殺害したのもMUGEN解散を狙った九龍グループの一員だったわけです。

・そんな九龍グループを壊滅させ、日本進出を狙うコリアンマフィア張城 (チャンソン)は、プロ喧嘩集団? 「マイティ・ウォーリアーズ」「DOUBT」を抱き込み、九龍グループ壊滅の協力、その交換条件として「S.W.O.R.D.」潰しを、復讐に狂う琥珀に持ちかけるんですね。

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 画像出典元URL:http://eiga.com / 琥珀さんを使って日本進出を目論むコリアンマフィアの李(V・I)

で、冒頭の無名街爆破と商店街急襲などを仕掛けたのは、マイティ・ウォーリアーズとDOUBTなのです。

つまり本作は、「S.W.O.R.D.」「九龍グループ」「張城」による縄張り争いが軸になったストーリーなんですねー。

リッチな映像、そして奇祭

で、前述した無名街爆破シーンなんですが、(もしかしたらCGと組み合わせてるのかもですが)多分、どこかにセットを組んで本当に爆破しているんじゃないかと思うんですよね。

また、グループ同士の抗争では、大勢の男たちの大乱闘を(多分)ドローンで上空から撮影するなど、なので、近年の邦画としては相当リッチな映像になってました。

100人近い男たちが一斉に大乱闘を繰り広げる様子は、何かもう喧嘩祭り的な「奇祭」でしたねーw

不良映画の系譜

ハッキリとは分かりませんが、多分、テレビドラマ版は「S.W.O.R.D.」の各チームのゴタゴタや喧嘩を描いた、いわゆる「クローズ ZERO」的なヤンキー抗争映画の系譜のドラマだったと思うんですが、本作では物語がさらにスケールアップ。
土地の再開発に関わる利権を巡って、日本のヤクザやコリアンマフィアも介入してくる展開になってるんですね。

そこに、伝説のチーム「MUGEN」の元リーダー琥珀や、元MUGENのメンバーで琥珀を慕う、山王連合会のコブラ(岩田剛典)とヤマト(鈴木伸之)のエピソード。
かつて伝説のMUGENに一歩も惹かなかった「雨宮兄弟」のエピソードなども絡めているんですねー。

(´ε`;)ウーン…なところ

ただ、映画としての出来はまぁ…正直かなりアレです。

ストーリーは色々雑でもう100回は見たことがあるような展開の連続だし、劇中の細かいアレコレはツッコミどころ満載。
キャスト陣の芝居も(若手が多いこともあって)正直あまり上手くないんです。
特に琥珀役のAKIRAの芝居は、(´ε`;)ウーン…って感じ。

いや、みんな動ける役者さんばかりなので、アクションシーンは本当に素晴らしいんですけど、それ以外の芝居が、(そういう狙いなのかもですが)あまりにオーバーアクト過ぎて、観ていてちょっと引いちゃうというか。

あとまぁ、これは本作に限った事ではないんですが、邦画のアクションシーンでみんな叫びすぎ問題ってのがあってですね。
やたら「ウ゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァァァ!!!」とか叫ぶじゃないですか。

マンガやアニメなら絵に命や熱を吹き込む意味でも効果があって良いと思うけど、実写でアレやるのは本当に止めてほしいんですよねー。

もちろん作品にもよりますけど、あの無駄吠えならぬ“無駄叫び”で、物語が一気に嘘っぽくなっちゃうっていうか、最後のキメで1回くらいなら良いけど、実際のケンカや格闘で、普通、あんな頻繁に叫ばないでしょ。って白けちゃうんですよねー。

本作の場合、かなり動けるキャストの人たちを使って、乱闘シーンやケンカシーンもスピーディーで迫力満点なだけに、ホントもったいないって思ってしまいました。

キャラ萌え映画

まぁ、でも本作は、ある意味で歌舞伎的(もしくは仮面ライダー的)というか、みんな知ってるテンプレ通りのカッコイイ展開の中で格好良く動くお気に入りのキャラクターを愛でる、いわば「キャラ萌え映画」だと思うし、そこを楽しむのがこの映画の正しい鑑賞法だと思うんですよね。

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 画像出典元URL:http://eiga.com / 雨宮兄弟の広斗(登坂広臣)とスモーキー(窪田正孝

個人的には、雨宮兄弟次男の雅貴(TAKAHIRO)、RUDE BOYS リーダーのスモーキー窪田正孝、達磨一家 のリーダー日向林遣都)、White Rascalsのリーダーロッキー黒木啓司)、鬼邪高校のリーダー村山(山田裕貴がお気に入りでした。

それぞれさほど出番は多くないんですが、キャラが立ってていい感じでしたねー。

あと、コブラ「どうしちまったんすか、琥珀さん!!」は、口に出して真似したくなるし、絶叫上映が満員になるのも分かるなーと。

ほら、この作品は映画っていうか大勢の男たちが殴り合う「奇祭」ですからね。祭りは観るんじゃなくて参加したほうが絶対楽しいですもんね。

興味のある方は是非!

 

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ジャッキー映画観てる!って思えるバディームービー「スキップ・トレース」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ジャッキー・チェン主演映画『スキップ・トレース』ですよー!
近年は中国大作映画で、脇に回る事も多かったジャッキーですが、本作では香港マフィアの黒幕を追うベテラン刑事という役柄で、なんかこう、久しぶりに「ジャッキー映画観てる!」って思える作品でしたねー!

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あらすじと概要

アカデミー賞名誉賞を受賞するなど長年にわたり活躍してきたジャッキー・チェンが、『ダイ・ハード2』などのレニー・ハーリン監督と組んだアクションコメディー。ある犯罪王を長年追い続ける香港のベテラン刑事が、ひょんなことからアメリカ人詐欺師と共に追われる身となり世界中を逃げ回るさまが描かれる。図らずも主人公の相棒となり、コミカルな掛け合いを繰り広げる詐欺師を『ジャッカス』シリーズなどのジョニー・ノックスヴィルが演じるほか、『ブッダ・マウンテン ~希望と祈りの旅』などのファン・ビンビンらが共演。

 ストーリー:相棒を殺した犯罪王ヴィクター・ウォンを9年間追い続けるベテラン刑事ベニー・チャン(ジャッキー・チェン)は、犯罪に巻き込まれた亡き相棒の娘サマンサ(ファン・ビンビン)を救うため、事件の鍵を握るアメリカ人詐欺師コナー・ワッツ(ジョニー・ノックスヴィル)を追ってロシアへ向かう。マフィアに捕らえられていたコナーを無事に確保するベニーだったが、なぜか彼と一緒に追われる身となってしまい……。(シネマトゥディより引用)

感想

明るく、楽しく、カッコイイ! みんなのジャッキーが帰ってきた!

本作はアメリカ・中国・香港合作映画で、監督は「クリフハンガー」や「ダイ・ハード2」など、多くのアクション映画を手がけたレニー・ハーリン

香港マフィアの“黒幕”を追っていた刑事ベニー・チャン(ジャッキー・チェン)は、目の前で相棒を殺されて以来、彼の娘サマンサ(ファン・ビンビン)を育てながら復讐のために“黒幕”と思われる犯罪王ヴィクター・ウォンを9年間追い続けていた。

そんなある日、ベニーは犯罪に巻き込まれたサマンサを救うため、事件の鍵を握るアメリカ人詐欺師コナー・ワッツ(ジョニー・ノックスヴィル)を追ってロシアへ。

色々あって、ベニーとコナーはロシアから香港へと“陸路”で向かう事になるのだが……。

というアクションコメディーのバディームービーです。

ジャッキーのバディームービーと言えば、クリス・タッカーと組んだ「ラッシュアワー」を思い起こす人も多いと思いますが、本作のテイストはどちらかといえば、ロバート・デ・ニーロ主演の「ミッドナイト・ラン」に近いロードムービーでしたねー。

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そんな本作で、ジャッキーの相棒役を務めるのは、米ケーブルテレビのイタズラ番組「ジャッカス」のメインキャスト、ジョニー・ノックスヴィル

僕は本作で初めて彼を知ったんですが、さすがコメディーな演技はお手の物だし、ジャッキーとの相性も良かったと思いました。

ジャッキー映画的アクションシーン

近年の出演作では、中国映画らしく重力無視のワイヤーアクションなどを使ったり、シリアスな役柄の作品が多かった印象のジャッキーですが、本作ではアクションシーンもコミカルさを入れ込むジャッキースタイル全開で、キメるところはバッチリキメつつ、随所に全盛期のジャッキー映画を思わせるオマージュも入っている「ディス・イズ・ジャッキー・チェン主演映画」って感じでしたねー!

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もちろん、アクションのスピードもキレも、全盛期のジャッキーと比べるべくもないし、ワイヤーアクションやCG、(恐らくシーンによっては)スタントマンも使っているとは思いますが、それでも60歳を超えて、やっと普通(より少し上)のアクション映画レベルですからね! ほんとジャッキー恐るべしですよw

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予告で、ロシアンマフィアの女用心棒(?)とのマトリョーシカのシーンを、観た人も多いんじゃないかと思いますが、あのシーンにワクワクした往年のジャッキーファンも多かったのではないかと思います。

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ラッシュアワー」との類似点と80年代を感じさせるストーリー

上記したように、本作の構造自体は確かに「ミッドナイト・ラン」に近いんですが、作品の雰囲気やキャラ設定はやっぱり「ラッシュアワー」に近いんですよね。

つまり、真面目で堅物のジャッキーと、おしゃべりで破天荒な相棒というハリウッド版ジャッキー映画的な図式。

でもそれは致し方ないというか、ジャッキーは英語は話せるけど、決して得意って訳ではないので、どうしたって相棒役はおしゃべりにならざるを得ないというか。

まぁ、その分、アクションシーンはジャッキーが担当してますからね。

今回の相棒役ジョニー・ノックスヴィルは、クリス・タッカーみたいなマシンガントークのキャラではないけど、“今の”ジャッキーの相棒には丁度良いと思ったし、軽薄で小ズルくて油断できない曲者だけど、ドジで決して悪人ではないという設定が、いかにも80年代アクション映画っぽくて観ていて懐かしい感じでした。

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ロシアンマフィアとチャイニーズマフィアと主人公たちの三竦み関係も、もう100回くらい観たような良くある設定ですが、そこはさすがベテランのレニー・ハーリン監督だけあって、設定に懲りすぎて状況が分かりずらくならない程度に上手く三者を絡ませてクライマックスを盛り上げてましたねー。

あえて言えば

そんな感じで僕的には超楽しめた作品ですが、あえて言えば、ロシアから香港に戻る工程が若干冗長だったかなと。
それと、二人が何処にいて香港までどれくらいの距離なのかとか、タイムリミットが設定されてるわりに、時間の流れがわりと適当だったかなーと思いました。

あと、“あの人”はどういう仕掛けで、ジャッキーの目を欺いたんだろうってのも、謎でしたけど(なんかこう初代・引田天功的な感じだったのかしら)とか。
そんな感じで粗を探せばいろいろあるけど……。

まぁ、細かいことはどうでもいい! んですよ!

僕的には、「ジャッキー映画観てる!」って思わせてくれるだけで大満足だったし、近年の作品の中ではジャッキーアクションも満載で、十分に楽しめる映画でしたよー!

興味のある方は是非!!!

 

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リアルな感情表現に心を揺さぶられる!「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは昨年のアカデミー賞主演男優賞脚本賞の2冠を受賞した『マンチェスター・バイ・ザ・シー』ですよー!

非常に良い評判は聞いていて気になってはいたんですが、正直「何か重そうだなー」と観るのを怖気づいていたんですよねー。
でも、意を決して観てみたら、確かに重い内容でしたが、それ以上に心揺さぶられる素晴らしい作品でしたー!

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あらすじと概要

マット・デイモンがプロデューサー、ケイシー・アフレックが主演を務め、数々の映画賞を席巻した人間ドラマ。ボストン郊外で暮らす便利屋が兄が亡くなったのを機に帰郷し、16歳のおいの世話をしつつ自身が抱える過去のトラウマと向き合う姿が描かれる。メガホンを取るのは、『ギャング・オブ・ニューヨーク』などの脚本を担当してきたケネス・ロナーガン。共演には『ブルーバレンタイン』などのミシェル・ウィリアムズ、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』などのカイル・チャンドラーらが名を連ねる。

ストーリー:ボストン郊外で便利屋をしている孤独な男リー(ケイシー・アフレック)は、兄ジョーカイル・チャンドラー)の急死をきっかけに故郷マンチェスター・バイ・ザ・シーに戻ってくる。兄の死を悲しむ暇もなく、遺言で16歳になる甥のパトリック(ルーカス・ヘッジズ)の後見人を引き受けた彼は、甥の面倒を見るため故郷の町に留まるうちに、自身が心を閉ざすことになった過去の悲劇と向き合うことになり……。(シネマトゥディより引用)

感想

本当は、マット・デイモン初監督作になる予定だった

本作は当初、数々の作品で賞を受賞、役者だけでなく脚本家としても評価の高いマット・デイモンの監督デビュー作になる予定だったんだそうです。

当初は、自ら監督・主演を考えていたマット・デイモンですが、スケジュールの都合が合わず、監督脚本を、マーティン・スコセッシも認めるストーリーテラーケネス・ロナーガンに依頼。また主演は旧友でベン・アフレックの弟ケイシー・アフレックに譲って、自分はプロデューサーになったことでも話題になったんですよね。(その時マット・デイモンが主演した映画も含めて)

どんな内容?

心臓病を患っていた兄、ジョーカイル・チャンドラー)の急死で生まれ故郷のマサチューセッツ州マンチェスター・バイ・ザ・シーに戻った主人公リー・チャンドラー(ケイシー・アフレック)。
拭いきれない過去の深い傷を背負っていた彼は故郷を離れていたが、兄の遺言で甥パトリック(ルーカス・ヘッジズ)の後見人として、故郷に留まる内に、自分の過去と向かい合うようになる。という物語。

このあらすじだけ聞けば、いくらでも(分かりやすく)感動的な映画に出来そうなものですが、ケネス・ロナーガン監督はそれを良しとせず、徹底的にキャラクターのリアルな感情の動きや言動にこだわり、結果的に、そのリアルさが多くの観客の共感を呼んで、アカデミー賞を2部門を受賞することになったわけですねー。

そして、本作は主人公リーの現状と回想を行き来しながら、彼の心の傷の原因に迫るという、ある種のミステリー要素で物語を引っ張っていくのです。

“安易な感動”を許さない、監督のリアルな感情表現

映画冒頭、リーは故郷から車で1時間30分ほどのボストンでアパート設備などの管理・修繕の仕事をしているんですが、仕事には真面目だけど無愛想で、住人から度々苦情が入る厭世的で暗い男です。
しかし、回想の中の彼は、兄と甥と3人で船に乗って釣りに出ればジョークを言いまくり、友人と夜中まで騒いで奥さんに怒られるような陽気な男なんですね。

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そんなリーの過去に、一体何があったのか? という謎が、徐々に明らかになっていくというのが、序盤から中盤にかけての流れです。

実は彼は、ある取り返しのつかない過ちを犯して全てを失い、以来、人が変わってしまったんですね。

それが明らかになる回想シーンは、観ているこっちの心が抉られるくらい辛かったです。なぜなら、それは他人事ではなく誰の身にも起こり得ることだから。

本作は、そんなリーや周囲の人達が、それぞれの喪失と折り合いをつけて再生していく様子を、静かに淡々と描いて行くんですね。

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これが、上記のように凡百の監督であれば、多分、全員が悲しみを乗り越えて故郷で幸せに暮らす的な大団円にするだろうし、その方が観客もスッキリする「良い映画」になると思うんですよ。

でも、本作ではジョーを失ったリーも、息子のパトリックも、大声を上げて泣いたりはしません。
リーは、兄ジョーの葬儀やら残した資産(家とか船とか)の手続きで大忙しだし、16歳の息子のパトリックはそれまでと変わらず、ガールフレンドとイチャイチャしたり、バンドやったり、アイスホッケーをやったりしています。

そんな彼らに「え?」 って思うし、二人とも薄情に見えるかもですが、実際近しい人が亡くなった時って、わりとそんな感じですよね。
亡くなった人に近しいほど、ゆっくり悲しんでいる暇も、受け入れる心の余裕もないっていうか。

しかも、ジョーが亡くなったのは真冬で、地面が凍って掘り返せないので、地面の氷が溶ける春まで冷凍保存することに。(個人的に一番のビックリポイントでした)

つまり、二人はジョーが埋葬されるまでは宙吊り状態で、ジョーの死に整理をつけて前に進むことが出来ない状況なんですね。

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しかも、ジョーの遺言によって、パトリックの後見人に指名されたリーですが、彼的には、このマンチェスター・バイ・ザ・シーに残ることは出来ない=パトリックをボストンに連れて行くしかないし、パトリックは故郷を離れたくないのでリーに来て欲しい。そんな二人は衝突を繰り返しながら、徐々に長く離れていたお互いの心の溝を埋めて理解しあっていくのです。

最後まで観ると、ジョーはもしかしたら、そこまで全部見越して遺言やら手続きやら、自分の死後の準備をしていたのかなって思ったりして、またグッときてしまうんですよね。

で、これからの事を考えたり準備したり葬儀をあげたりするため、故郷を奔走するリーは、別れた奥さんや友人たちと再開し、彼ら、彼女らもまた、心に消えない傷や後悔を抱えている事に気づくわけです。

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その事で彼自身が救われるわけではないけど、リーにとってはやっと過去と向きあって、長いトンネルを抜ける一歩を踏み出すキッカケになるんですよね。

それでも生きて行かざるを得ない

つまり、この作品は「残された者たちの物語」で、大切な人を失って絶望したとしても、残された者たちはどこかで折り合いをつけて、それでも生きて行かざるを得ないという事を描いているんじゃないかと思います。

本作が素晴らしいのは、それを大上段に構えて大声で叫ぶのではなく、劇中の彼ら、彼女らにそっと寄り添うように、静かに淡々と描いているところなんですよね。

だから観客は物語が終わっても、彼らの人生はここから続いていくと思えるし、自分の人生や後悔を彼らに重ね合わせて、勇気づけられるのではないかと思いました。

興味のある方は是非!!

 

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大人気! イルミネーションが贈る大人気シリーズ!「怪盗グルーのミニオン大脱走」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、今やユニバーサルの顔と言っても過言ではない大人気シリーズ最新作『怪盗グルーのミニオン大脱走』ですよー!

なんやかんやで結局、短編を除くシリーズ4作を全部観てしまうくらいハマってしまいましたよw

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あらすじと概要

『ペット』『SING/シング』などのイルミネーション・エンターテインメントによる人気シリーズ『怪盗グルー』の第3弾。アグネス、イディス、マーゴの姉妹と家族になったグルーが、突如として現れた怪盗バルタザール・ブラットによって思わぬ事態に直面する。監督を務めるのは、『ミニオンズ』でも組んだカイル・バルダピエール・コフィンスティーヴ・カレルが、前2作に引き続きグルーの声を務めている。笑いとスリルに満ちた騒動や、人気キャラクターのミニオンたちのかわいい姿に注目。

 ストーリー:いろいろなガジェットを使い犯罪を繰り返すバルタザール・ブラットを逃したことで、反悪党同盟を追い出されてしまうグルー。意識消沈する中、生き別れになっていた双子の兄弟であるドルーの存在が判明する。対面を果たしたグルーは、豊かな金髪に輝く笑顔で父親からばく大な遺産を受け継いだ、自分とは違い過ぎるドルーに驚く。一方、グルーが悪の道に戻らないことがわかり彼と決別したミニオンたちは、新たなボスを探す中で思わぬ事態に……。(シネマトゥデイより引用)

 感想

「怪盗グルー」シリーズとは

「ペット」「SING/シング」など、(日本では)今やディズニーピクサーと並ぶCGアニメ制作会社となった「イルミネーション・エンターテインメント」が世に知られるキッカケとなった大ヒットシリーズです。

2010年年公開の「怪盗グルーの月泥棒」を皮切りに、 
2013年続編の「怪盗グルーのミニオン危機一発」が公開され、
2015年にはグルーの手下ミニオンズたちのスピンオフ、その名も「ミニオン」が公開されました。

普通、映画は続編が続くほど人気が落ちていくものですが、このシリーズは新作が公開される度に人気が上がっていく、ちょっと異例な作品なんですよね。

その人気の源は、黄色くて、小さくて自由で、ヘンテコでカワイイ、ミニオンズたちで、あいつらが集団でキャッキャしてるのを観ているだけで幸せな気分になっちゃうわけですw(だからスピンオフが作られるわけですが)

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今回もミニオンズたちは絶好調で、公開オーディション番組で歌い(アーサー・サリヴァンのコミックオペラ「ペンザンスの海賊」の「I Am the Very Model of a Modern Major General」をミニオン語で!)踊り、刑務所を支配し、結局グルーが恋しくなって大脱走と大暴れ。もうね…何て言うか……

ホント、自由で可愛いなお前ら。(;//́Д/̀/)'`ァ'`ァ とw

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ただ、本作の主人公は彼らではなく、「悪党」から「反悪党同盟」のエージェントへとジョブチェンジしたグルー。
本作は、奥さんのルーシー、マーゴ、イディス、アグネスの三姉妹(グルーの養女)というグルーと家族の物語がメインになっていて、今回ミニオンズは殆ど本筋には絡まないんですよね。

ざっくりストーリー

第1作では世界的悪党として名を知られていたグルーですが、ひょんなことから孤児の三姉妹を引き取ることになり、第2作では娘たちのために悪党を引退。反悪党同盟エージェントのルーシーと結婚し反悪党同盟エージェントになります。

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そして第3弾となる本作では、夫婦エージェントとして活躍していたグルーとルーシーが無職になっちゃうんですねーw

毎作、大悪党と様々なアイテムやガジェットを駆使して戦うグルー(とミニオンズたち)の、初期007やキングスマンのようなスパイ映画的面白さやワクワク感は本シリーズの魅力の一つ。今回の敵は、80年代ファッションに身を包み当時のヒット曲をBGMに、様々なガジェットやアイテム駆使して悪事を繰り返すバルタザール・ブラット(トレイ・パーカー)。

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映画冒頭、世界最大のダイヤモンドを盗もうとするブラッドを逮捕するため、ルーシーと共に出動したグルーは、ダイヤは取り返すもののブラッドを取り逃がしてしまったことを「反悪党同盟」の新長官に責められクビにされてしまうんですね。

そんな失意のグルーの前に、生き別れた双子の兄からの使いという老人が現れ……。

というのが、本作のストーリー。

ちなみに、グルーと双子の兄ドルーは、第1作からグルーの声を当てているスティーヴ・カレル一人二役です。

負け犬たちの自己実現の物語

本作で登場するもう一人の新キャラが、赤ん坊の頃に両親の離婚で父親に引き取られた(グルーは母親に)兄のドルー。

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養豚業で大成功を収めている大富豪ながら、大怪盗だった父親からは「悪党の才能なし」と認めてもらえない事がコンプレックスで、元悪党だった弟グルーに「悪党道」の教えを請います。

敵役のバルタザール・ブラットは80年代に子役として人気を博すも、思春期の成長によって人気がなくなり、ハリウッドを追い出された過去があります。

やがて彼は、自分が子役時代に演じたキャラクターが使っていた、武器やアイテムを再現して悪事を働く本当の悪党(子役時代に子供の悪党役で人気を得た)になり、自分を追放したハリウッドに復讐を企んでいるのです。

子役時代そのままの肩パット入りのスーツに身を包み、80年代のヒット曲をBGMに(しかもカセットテープ)、過去の栄光を再現しようとするアメリカ版の「ともだち」みたいなキャラなんですね。

グルーとドルーは性格が正反対のキャラクターですが、「親に認めてもらえずに育った」という共通点があり、ブラッドは子供時代に一度は栄光を掴みながら、それを失ってしまっている本作のグルーとよく似た境遇の持ち主。
つまり、グルーと彼らはある意味で合わせ鏡的で、3人ともいわゆる「負け犬」なんですね。

本作は、そんな彼らが手に入らなかった、もしくは奪われた過去を(それぞれのやり方で)取り戻し自己実現しようとする物語でもあるのです。

そんな彼らの姿を象徴するのが、劇中の末っ子アグネスとユニコーンのエピソード。

幼いアグネスに、グルーは大切なことを教えられるんですが、この辺のエピソードの絡め方はとても良かったです。

映像もさらに進化

動きや質感に徹底したリアリティーにこだわりを持つ、ディズニーピクサーに比べると、本シリーズはリアルさよりもカートゥーン的な動きの面白さに重きを置いていた感じだったんですが、本作では、さまざまなシーンで動きや質感に進化が見られました。

ブラッドが乗るロボや昔の特撮で使われるミニチュアなどの作り物然としたチープさを完全再現していたり、キャラクターのちょっとした動きや表情の変化など、格段にリアルになっていながら、カートゥーン的な動きの持ち味も失っていないんですよね。

『ペット』『SING/シング』などの作品での経験値が、本作で確実に反映されているんだなーって思いました。

敢えて言うなら、物語でもっとミニオンズとグルーが連携するシーンが観たかったですが、それでも、個人的にはかなり楽しめたし、ミニオンズが可愛かったので、大満足でしたよー!

興味のある方は是非!!!

 

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有名リストランテを舞台にした一夜の群像劇「ディナーラッシュ」(2002)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ニューヨークのイタリアンレストランを舞台に、様々な人間模様を殺人事件を絡めて描いた一夜の群像劇『ディナーラッシュ』ですよー!

僕はこの作品をTwitterで教えて貰ったんですが、超面白い映画でしたー!!

 

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あらすじ

冬のニューヨーク、トライベッカ。イタリアン・レストラン“ジジーノ”のオーナー、ルイは、長年のビジネスパートナー、エンリコがギャングに殺害されたことを知り気分が滅入っていた。もう一つルイを悩ませていたのは、彼の息子ウードの存在。イタリア帰りのこのチーフ・シェフは、ルイの反対を押し切り、伝統的な家庭料理で街の人々に愛されてきたこの店を、おしゃれな人々が集うトレンディ・レストランへと変えてしまったのだった。やがて日が沈み、今日もまた厨房もフロアも様々な思惑が錯綜する<ディナーラッシュ>の時間がやって来た。しかし、今日はいつもとどこか様子が違っていた……。(allcinema ONLINEより引用)

感想

ディナーラッシュ」とは

本作のタイトルにもなっている「ディナーラッシュ」とは、その名の通りディナーにやってきた客で、レストランが最も賑わう時間。

本作は、ニューヨークトライベッカの四ツ星リストランテ「ジジーノ」を舞台にした、一夜の物語で、昔気質のオーナー、息子の天才シェフ、ギャンブル狂の副シェア、イタリアンギャング、アーティスト志望のウェイトレス、嫌味な画廊のオーナーなどなど、一癖も二癖もあるキャラクターたちが織り成す群像劇です。

監督について

本作の監督、ボブ・ジラルディは、ミュージックビデオやCMディレクターとして有名だそうで、更に、何件ものレストランを経営するオーナーでもあるんだとか。
本作の舞台になったレストランも、セットではなく実際に彼のレストランで撮影したんだそうですよ。

だからなのか、厨房や客席、バーカウンターなど、レストラン内部の映像はどこも実在感があってリアルなんですよねー。

そして、<ディナータイム>の客席の賑わいや、狭い厨房(イタリアンレストランの厨房は、フランス料理などに比べて狭いらしい)で料理を作るコックたちの様子がテンポよく映し出され、何というか、観ているだけで気持ちがいいのです。

実際にレストランの実態を熟知しているオーナーだからこそ、ディナー時のレストランのリアルな活気を演出出来たのだろうし、ミュージックビデオにも携わっている監督だからこそ、このテンポのいい映像が作れたんじゃないかと思いましたねー。

キャラクター

ルイス&ウード

ニューヨークトライベッカのリストランテ“ジジーノ”のオーナー、ルイス・クローパ(ダニー・アイエロ)は、両親から受け継いだレストランを長年に渡って経営し、その裏でノミ屋もやっていたものの、今は足を洗ってレストラン経営一本に絞っています。

そんな彼の息子で、辛口評論家からも絶賛される天才シェフでモテモテのウード(エドアルド・バレリーニ)のおかげで店は連日大繁盛。
しかし、伝統的なイタリア料理の味を好むルイスは、ウードの作る斬新な料理には否定的なんですねー。

一方、息子のウードは店を繁盛させた功労者の自分に、中々店を譲らない父親に反抗心を抱いていて、ふたりの関係はギクシャクしているのです。

そして本作は、ビジネスをめぐって揉めていたウェールズの新興イタリアンギャングにルイスの長年の親友、エンリコが殺されてしまうところからスタートします。

ダンカン&ニコーレ

“ジジーノ”の副シェフ ダンカン(カーク・アセヴェド)は腕のいいコックで、シェフのウードからも一目置かれ、ルイスにも可愛がられています。
ところが、彼はギャンブル狂でノミ屋に多額の借金があり、そのせいでウェールズのギャングにエンリコは殺されてしまい、あまつさえ店を乗っ取られそうになるんですね。

そんな、ダンカンはウードのデスクの上に置かれた、恋人でホール係のニコーレ(ビビアン・ウー)のピアスを発見。ウードと関係を持った事を知ります。

マルティ&フィッツジェラルド

“ジジーノ”のウェイトレス マルティー(サマー・フェニックス)は画家志望。
そんな彼女が受け持った客は、お高くとまったやり手の老画商フィッツジェラルド(マーク・マーゴリス)と、彼が目をかけている著名な新人アーティスト。
普段以上に混み合う店内で、長時間待たされた事が面白くないフィッツジェラルドは、ワインのサービスを強要し、酔いに任せて店内に飾られた絵画をバカにし始めます。

ショーン&ケン

“ジジーノ”のバーテンダー ショーン(ジェイミー・ハリス)はチャラいけど、雑学なら誰にも負けないと自負する“雑学王”。客を相手に雑学クイズの賭けをしては、小銭を巻き上げています。そんなバーカウンターに一人でやってきた証券マンのケン(ジョン・コーベット)は、ショーンと会話を楽しみながらも、誰かを待っているんですね。

カーメン&ドルリー刑事

ルイスの親友を殺し、ダンカンの借金を盾に“ジジーノ”を乗っ取ろうと店に乗り込んできたイタリアンギャングのカーメン( マイク・マッグローン)と義兄。
実はダンカンの借金トラブルを解決するべく、ルイスが店に招待したのですが、カーメンはルイスの店の権利を譲るよう脅してきます。

一方、ルイスはもうひと組、市警のドルリー刑事夫妻も密かに招待していて、親友を殺したのはカーメン義兄弟であることを密告するんですね。

ジェニファー&ウード

NYでは有名なグルメ評論家ジェニファー(サンドラ・バーンハード)は、シェフ、ウードの恋人。彼女が料理を絶賛したことで“ジジーノ”は有名店になったんですが、ふたりの関係がバレると困ると思った彼女は、カツラを被り、お忍びで来店します。

 

本作は、オーナーで父親のルードと、息子でシェフのウードという親子の確執を軸に、複雑に絡み合う様々な人間模様を99分という時間で、実にスマートに描いているんですね。

例えば冒頭、コックの一人が使っている包丁の切れ味が悪い事に腹を立てたウードは、コックをクビにしてしまいます。
このシーンでは、ウードの傲慢で独善的な一面を描き出す一方で、自分の仕事道具をキチンと手入れしていないコックの怠慢を許さない、彼のプロ意識の高さを表現しているのです。

他にも、一つのシーン、一つのカットの中で、それぞれのキャラクターを多面的に描き、かつ、ストーリーに絡めてくる脚本と、それを見事に映像に写し取る監督の手腕は素晴らしいと思いましたねー。

また、ルード役のダニー・アイエロを始め、キャスト陣もみんな素晴らしかったですよー!

停電シーン

本作中盤、ただでさえ混み合う“ジジーノ”が停電になります。
ざわつく客を宥めようと一丸となるホールスタッフ、明かりのない中、ガスコンロの火の明かりで料理を作り続ける厨房のコックたち。

このシーンは、それまでバラバラだったキャラクターやストーリーが、この停電を境にひとつの物語として収束していく分岐点で、そういう意味で、本作のクライマックスと言っても過言ではないと思いました。

そして驚愕のラストへ

そして本作の物語終盤、恐らくは本作を観た人は全員「あっ!」と驚く驚愕のラストが待っています。

同時に「なるほど、そういうことだったのか!」と誰もが膝を打ったのではないかと思います。
このラストのシーンは本作の肝なので、内容について触れることは出来ませんが、最後の最後にこんなどんでん返しを持ってくるとは! と、ストーリー構成の見事さに感心してしまいましたねー。

映画的にも、いわゆるハリウッド映画的な雰囲気というよりは、ニューヨーク的というか、(上手く言えませんが)例えるならウディ・アレン的っていうか、映像もストーリーも洗練された、小粋な作品という感じなんですよね。

99分と観やすい長さだし、それでいて情報量は多い作品で、観終わったあとは、まるで一流レストランで美味しいフルコースを食べたような満足感がある映画でしたよー!

興味のある方は是非!

 

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