今日観た映画の感想

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ステイサムの出世作!「アドレナリン」(2007)&「アドレナリン ハイボルテージ」(2009) *ネタバレ

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、超でっかいサメをナイフ一つで倒す男ジェイソン・ステイサム出世作アドレナリン』と、続編の『アドレナリン ハイボルテージ』ですよー!

今回は久々の再鑑賞なんですがやっぱ面白かったし、個人的にはこの2作のステイサムこそがベスト・オブ・ステイサムだと思いますねー!

あ、ちなみに今回はネタバレ全開で書きますんで、ネタバレ嫌って人は先に映画を観てからこの感想を読んでくださいねー!

いいですね? 注意しましたよ?

 

アドレナリン(2007)

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監督は

本作の監督は、 マーク・ネヴェルダインブライアン・テイラー
DCコミック原作の西部劇「ジョナ・ヘックス 傷を持つ復讐者」(2010)
ニコラス・ケイジ主演でマーベルコミック原作の「ゴーストライダー」(2013)
など、勢いのあるアクション映画を撮った2人で、昨年はニコラス・ケイジが子供を殺そうとしたり両親に命を狙われる「マッド・ダディ」をブライアン・テイラーが監督。

そんな二人の長編デビュー作となるのが、ジェイソン・ステイサム主演の本作『アドレナリン』なのです。

ストーリー

ストーリーは単純。
目覚めたシェヴ・チェリオス(ジェイソン・ステイサム)は「ファッ〇・ユー」と書かれたメモ紙と一緒に、リビングに置かれたDVDを発見。

再生してみると、メキシコ系マフィアのリッキー・ヴェローナ(ホセ・パブロ・カンティーロ)に劇毒を投与されている自分の姿と、その毒が“ペキン・カクテル”といわれるアドレナリン分泌を抑制する毒によってあと1時間で心停止に至ることが告げられる。

これにブチ切れたチェリオスは、友人の医者ドクのアドバイスを受け、あらゆる手段でアドレナリンを出しながら、復讐の為にリッキーの行方を探す。

という内容。

リッキーを探す道すがら、心臓が止まらないようにアドレナリンを出し続ける手段のバリエーションが本作の見所なんですね。

アドレナリン大喜利

で、ステイサムはリッキーを探す道すがら、とにかくアドレナリンを出す為にあらゆる手段を使います。

エフェドリンエピネフリン、興奮剤、コカインなどの薬物摂取はもちろん、敵から身を隠すため入院着に着替えて病院から脱出。
そのままバイクで爆走するも、心臓が弱まってきたステイサムはハンドルから手を離してタイタニックみたいな立ち乗り。なんですが、入院着が風になびいてステイサムのケツが丸出しになるっていう。

パンツまで脱がなくていいだろ!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッww

途中、恋人のイヴ(エイミー・スマート)と行動を共にするステイサム。
チャイナタウンでまたまた心臓が弱ってきて、アドレナリンを出すために公衆の面前でイヴにエッチを迫り、そして……とかねw

もちろん、その間にも次々と現れる敵を片っ端から殴り、斬り、撃ってのぶっ殺し祭り。

下品な下ネタギャグと過度なバイオレンスが交互に描かれるんですねー。

まさに、THE・80年代アクション映画のノリです。

そしてクライマックス。
リッキーの裏で糸を引いていたボスを追って飛び立つヘリコプターに飛びついたステイサム。

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すったもんだの挙句、ボスと共に地面に落下し死亡……かと思いきや、耳から血を流しながら、ステイサムがピクリと動いてエンドロールなんですねー!

とはいえ、ビルより高い上空からコンクリートの地面に落っこちてるわけで、まぁ、普通は死にますよねw

 

アドレナリン ハイボルテージ(2009)

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ステイサムがヘリから落ちて3ヶ月。

どっこい、ステイサムは生きてました!(そりゃそうだ)

実は警察が到着する前に、ステイサムは身柄を中国マフィアに拉致されていたのです。
そして、目を覚ましたステイサムが見たのは、医者らしき男たちが自分の胸を開いて心臓を取り出し、代わりに人工心臓を埋め込んでいる光景。

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その人工心臓はバッテリー式で、定期的に充電が必要。しかも24時間しかもたない粗悪品なのです。

というわけで、ここからステイサムの心臓追跡劇がスタートするのです。

充電大喜利

前作はアドレナリン大喜利でしたが、本作は充電大喜利

早々にバッテリーを壊されたステイサムは、とにかく人工心臓を動かすために車のバッテリーに繋いだバッテリーケーブルを乳首と舌に挟んでビリビリーっと充電!
いや、100歩譲って体にバッテリーコード繋ぐのはいいとして、なんで乳首と舌をチョイスしたのかとw

で、更にその後、瀕死状態になるたび敵から取り上げたスタンガンや高圧電線などで充電

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さらに前回に引き続きドクに相談すると、肌の摩擦で静電気を起こして充電というアドバイスを受け、競馬場で見知らぬオッサンと腕をすり合わせ、見知らぬお婆ちゃんのお尻に腰をスリスリし、挙句恋人のイブとレース中の芝生で……っていうね。
本作では前作以上にステイサムはケツ丸出しでしたよ。

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悪ふざけもハイボルテージ

前作でクライムサスペンスの皮を被ったトンデモバカ映画だということがバレてしまっているので、本作はもう最初からぶっ飛ばしてます。

下品な下ネタギャグも競馬場だけでなく、冒頭の中国マフィアのアジトでは手術直後にも関わらず、医者やギャングを撃ち殺しまくり、警備していたギャングをぶん殴って四つん這いにすると尻にショットガンを突っ込み「俺のストロベリータルト(心臓)は何処だ?」と気が効いてるのか効いてないのか分からないセリフを吐く。
よそ見運転で車が路側帯に正面衝突し、フロントガラスを勢い良く突き破って道路に放り出されたり、盗んだパトカーで逃亡していると何故かAV女優や男優のストライキに遭遇したり。

高圧電流で充電したときは、何故か巨大化(そして何故か顎が伸びる。ホント何故だ!w)して、同じく巨大化した敵と戦うステイサム。(まぁステイサムの妄想なんだけど)

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なんか、超しょぼい怪獣映画チックな映像が繰り広げられます。

クライマックスでは、前作で死んだはずのリッキーも生きてましたよ!
ただし首だけで。

…って、何でやねん!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッww

もちろん人も前回以上にサクサク死んでいくので、観てるとムスカ気分が味わえますよーw(「人がゴミの…ry」)

開き直りなのかやけくそなのか分からない悪ふざけが、文字通りハイボルテージで繰り広げられるんですねーw

まぁ、一見すると…っていうか全編見ても、トンデモバカ映画には違いないんですが、意外と物語に必要なディテール描写は丁寧だし、何より物語のテンポも速いくて、ワンアイデアを考え抜いて観客が飽きないように観せてるんですね。

その辺の手際の良さやスピード感で、一気に突っ走る感じは生理的に気持ちいいし(もちろん肌に合わない人もいるでしょうが)、僕は大好きなんですよねー。

興味のある方は是非!!

 

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大人の少年と少女の物語「ビューティフル・ディ」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、バットマンの宿敵ジョーカーの単体映画「Joker」でジョーカー役に抜擢された、ホアキン・フェニックス主演の『ビューティフル・ディ』ですよー!

少年は残酷な弓を射る」(2011)のリン・ラムジーが脚本・監督ということで、とにかく一筋縄ではいかない映画になってました!

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概要

第70回カンヌ国際映画祭で男優賞と脚本賞に輝いたスリラー。失踪した少女の捜索で生計を立てる男が、ある依頼によって思わぬ事態に直面する。メガホンを取るのは『少年は残酷な弓を射る』などのリン・ラムジー。『ザ・マスター』『her/世界でひとつの彼女』などのホアキン・フェニックス、ドラマシリーズ「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」などのジュディス・ロバーツ、ドラマシリーズ「GOTHAM/ゴッサム」などのジョン・ドーマンらが出演。(シネマトゥディより引用)

感想

ジョナサン・エイムズの原作小説を、「少年は残酷な弓を射る」のリン・ラムジー脚本・監督で映画化した本作は「21世紀のタクシードライバー」と賞賛され、カンヌ映画祭で男優賞と脚本賞を受賞したそうです。

僕は、本作がリン・ラムジー監督初体験なんですが、いくつかのレビューを読むと「レオン」(94)を絡めたレビューがあって、そのつもりで観たら確かに近いけど真逆な映画になってましたねー。

大人の少年と少女の物語

どちらも「大人の少年と少女の物語」という点は一緒なんですが、レオンがイノセントな存在として描かれているのに対し、ホアキン演じる本作のジョーは父からのDVによって少年時代(過去)から抜け出せずに苦しんでいる男なんですね。

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また、「レオン」は殺し屋レオンとマチルダの(精神的)恋愛を描いているのに対し、本作のジョーとニーナは心に傷を負った者同士であり、鏡合わせ的存在なのです。

女性の行方不明者捜索・救出のスペシャリストであるジョーがその職を選んだのは、元兵士として敵国で人身売買や理不尽な暴力に晒される少女や女性を救えなかった後悔からだし、彼が敵を殺すのにハンマーを使うのは父親がDVで使っていたからです。

そんなある日、彼のもとにアルバート・ヴォット上院議員から娘の救出依頼が。
誘拐されたニーナが高級少女売春宿で働かされているのが分かったのです。
しかし、議員は選挙中にその事実を明るみに出すわけにはいかず、ジョーに内密にニーナ救出を頼むわけです。
「奴ら(少女売春宿の連中や客)を“痛めつけて”くれ」という短いセリフに、議員の強い怒りが表されていましたねー。
そうして、ジョーはハンマー片手にニーナ救出に向かうのだが……という物語。

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この筋立てだけ見れば「あー、よく見るやつね」と思うかもですが、そこは「少年は残酷な弓を射る」で映画界をざわつかせたリン・ラムジー一筋縄ではいきません。

音楽のクセが凄い

本作でサウンドトラックを担当したのは、世界的人気を誇るロック・バンド「レディオヘッド」のグリーンウッド。
例えば、緊張感と不穏な空気が高まるシーンでは神経を逆なでするノイジーでメタリックな不協和音が鳴り響いたり、犯罪組織に迫るシーンでは、重低音が主人公の鼓動を表現するかのように高まっていったりと、一つ一つのシーンやカットと前衛的な音楽が完全にシンクロしてるんですよね。

かと思えば、年老いた母親とジョーのシーンでは、母親が「サイコ」を見ていたと言うとジョーが例のシャワーシーンの音楽を口真似したり、サミュエル・フラーの『裸のキッス』の音楽を使ってたり、自宅に乗り込んできた敵の男を瀕死の状態にしたジョーが、死にゆく男と二人で「I've Never Been to Me(愛はかげろうのように)」を口ずさんだり。

ちなみにこの曲の歌詞は、劇中の二人の状況としっかりリンクしてたりします。

ホアキン・フェニックスの肉体の説得力

普段はシュッとした美男子のホアキンですが、本作ではでっぷりとした贅肉をつけて白髪まじりの髭と髪も伸ばしています。
体重が重いこともあり、歩くときもドスドスした感じで、筋肉ムキムキボディではなく厚い贅肉の下にうっすら筋肉がみえる感じは、「きっとリアルに強い男の体って、こんな感じなんだろう」という説得力があるんですよね。

また、特殊メイクでつけたであろう背中の傷などは、彼が過酷な状況で生きてきた事をセリフや表情で“説明”するのではなく、映像で“語って”いるんですね。

映像で“語る”映画

本作はびっくりするくらいセリフが少ないし、回想の入れ方やカットの繋ぎ方なんかも普通の映画とはちょっと違ってて、そこに違和感を感じるんですね。
もちろんそれは意図的にそうしていて、観客が感じる違和感やある種の不快感は、ジョーの頭の中を映像化する試みなのだと思います。

幼少期のトラウマやPTSDに苦しむジョーの脳内を、(前述の音楽も合わせ)まるで悪夢の中をさまようジョーの脳内を観客に追体験させるように描いているんですね。

また、バイオレンスなアクションシーンをほぼ直接的に描かくことはなくて、例えば防犯カメラの映像で観せたり、殴られたり撃たれたりする相手が映らないようにしていたり。監督によると自身がアクションシーンを撮ったことがないってのもあったらしいですが、あえて暴力描写を見せないようにすることで、観客に想像させる狙いもあったみたいですね。

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これは、初期の北野たけし映画にも通じるメソットで、あえて暴力描写を直接的に見せないで、始まりと結末を見せることで暴力を想像させてるのです。

だからハリウッドアクション映画的な安易なカタルシスはこの映画にはないし、ジョーという男も少女を救うヒーローとしては描かれていません。

なので、「レオン」的な映画を望んで本作を観ると、肩透かしを食らっちゃうかもしれませんねー。

その辺が正直、個人的にこの映画が面白かったかどうかの判断に迷うところだったりしますがw

この映画だからなのか、リン・ラムジー作品だからなのかは分かりませんが、例えばハリウッドアクション映画が8ビートや16ビートの聞きやすいロックだとすると、本作は変拍子を多用するプログレ的?な音楽(あまり音楽詳しくないので例え的に間違ってたらスイマセン)で、最初は少々戸惑うかもですが、本作のリズムを掴んでくるとどんどん作品の世界に引き込まれて行くと思います。

興味のある方は是非!!!

 

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テイラー・シェリダンによる現代版西部劇三部作の完結編「ウィンド・リバー」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「ボーダーライン」「最後の追跡」の脚本家 テイラー・シェリダンが脚本・監督を務めた『ウィンド・リバー』ですよー!

ホークアイ役のジェレミー・レナーとスカーレット・ウィッチ役のエリザベス・オルセンという「アベンジャーズ」コンビが、先住民居留地ウィンド・リバー」での少女“殺人”事件の謎を追っていく過程で、ウィンド・リバーの過酷な現実とアメリカの闇を描き出す骨太な社会派ミステリーです!

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

最後の追跡』などの脚本を手掛けてきたテイラー・シェリダンが監督と脚本を務めたサスペンス。ある事件を調べる女性FBI捜査官と地元のハンターが、思わぬ真相にたどり着く。『アベンジャーズ』シリーズなどのジェレミー・レナー、『マーサ、あるいはマーシー・メイ』などのエリザベス・オルセン、『スウィート・ヘル』などのジョン・バーンサルらが出演。『最後の追跡』で音楽を担当したニック・ケイヴウォーレン・エリスが本作でも組んでいる。(シネマトゥディより引用)

感想

現代アメリカのフロンティア、辺境の地の現実を探求する三部作完結編

脚本・監督を務めたテイラー・シェリダンによると本作は、
メキシコ麻薬戦争を描いた「ボーダーライン」
家族の土地を守るため銀行強盗を繰り返す兄弟と、彼らを追う年老いたテキサス・レンジャーを描いた「最後の追跡

に続く、現代アメリカのフロンティア、辺境の地の現実を探求する三部作の完結編。なのだそうです。

とは言っても、それぞれの作品に関連性はなくて、テイラー・シェリダンが同じテーマで描いた三作品であり「現代版西部劇」三部作という感じ。

そして、本作のキャラ配置や役割はほぼ「ボーダーライン」と一緒で、FBI捜査官ジェーン(エリザベス・オルセン)が、まったくルールの違う土地に放り込まれて、その土地の内情を知り尽くした男コリー(ジェレミー・レナー)と協力して事件に挑む。という内容。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 地元警察はほぼ左のオッサンしか登場しないのです。

まぁ「ボーダーライン」ほどFBI捜査官が完全に蚊帳の外って訳ではない。という違いはありますけども。

で、捜査を進めるうちに事件やその土地に横たわる過酷な背景を、“よそ者”であるジェーンの目を通して観客が知っていくという構成なんですね。

ただ、アメリカと日本の警察システムの違いや、ウインド・リバー(先住民居留地)という土地の成り立ちや状況を知らずに観ると、劇中の描写だけでは日本人にはちょっと分かりづらいかもなーって思ったりしました。

ざっくり解説

というわけで、映画の背景となる警察組織のあり方や、ウィンド・リバーの状況を「タマフル」での町山智浩さんの解説をパク…参考にざっくりと解説したいと思います。

アメリカの警察システム

アメリカの場合、警察は市警察・州警察・連邦警察(FBI)があります。
西部劇などに出てくる保安官は、警察ではなくて郡に属する政治家に近い立場の人で、地元の選挙で選ばれるのだそうですね。

市・州・連邦警察にはそれぞれ管轄があって、市警察はそれぞれの市の中以外は捜査権がなく、州警察は主に市と市を繋ぐ高速道路などが管轄。市や州をまたぐ事件はFBIが捜査する決まりなんですね。

で、今回のウィンド・リバー(先住民居留地)は連邦政府、つまりFBIの管轄なのです。

で、物語は少女の遺体をコリーが雪山で発見することからスタートするんですが、少女の死因は零下30度の冷気を吸い込んだことで肺が凍って死亡、つまり一応は自然死なんですね。

遺体を調べるとレイプされていることが分かるんですが、レイプ事件は連邦法ではなく州の法律で規定されているので、FBIには捜査が出来ない。

しかし、州警察や市警察は連邦政府の管轄である居留地の中では捜査権がないので、レイプ犯を捕まえることも裁くことも出来ないのです。

で、このウインド・リバーは鹿児島県と同じぐらいの面積に2万人以上の先住民が暮らしているのに、警察官はたった6人

そんな状況もあって、ウィンド・リバーでは(ほかの土地と比べて)異常にレイプとか女性の行方不明者が多いっていうルポ記事がニューヨークタイムスに載って、それを読んだテイラー・シェリダンが、(居留地在住のネイティブ・アメリカンの)友人のつてで地元を調査して脚本を書いたのが、本作「ウィンド・リバー」なのです。

ウィンド・リバー先住民居留区

ご存知のように、アメリカは元々はネイティブ・アメリカンの土地だったのを入植してきた白人が奪っていった歴史があって、ネイティブ・アメリカンの多くは、合衆国が管理する先住民居留区に押しやられてしまったわけですが、このウィンド・リバーもその一つ。
ワイオミング州の山岳地域にあるので、とにかく寒い不毛の土地なんですね。

そこに暮らす先住民たちは、仕事や収入も少なく(10代の)自殺者もずば抜けて多いらしいし、石油? は出るけど土地は政府のものなので、採掘権がない住民は全然潤わない。

つまり、この映画は少女の死の真相を描きながら、アメリカという国が抱える原罪を暴いていくストーリーなのです。

ざっくりストーリー紹介

物語は、雪の中18歳の少女が“何者か”から走って逃げているシーンからスタートします。この時、女性の声で詩の朗読がオーバーラップするんですが、これは後のある伏線になってます。

場面変わって、合衆国魚類野生動物局の害獣ハンターであるコリー( ジェレミー・レナー)が奥さんと話してるシーンに移るんですが、奥さんは元々ウィンド・リバーの先住民で二人は離婚してるんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ジェレミー・レナーは弓をライフルに持ち替えて大活躍

どうやら二人が離婚したのには何か理由があることが匂わされます。

そして、コリーは息子を連れて依頼を受けたウィンド・リバーに仕事に行くんですが、その最中に少女の遺体を発見。警察所長はFBIに連絡し、女性捜査官のジェーン(エリザベス・オルセン)が派遣されます。

しかし検死の結果、少女はレイプされ逃げている途中で零下30度の冷気を吸い込んで肺が凍ってしまったことによる“自然死”であることが判明。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 唯一捜査権を持つFBI捜査官として孤軍奮闘するエリザベス・オルセン

それだとFBIは捜査が出来ないので、ジェーンは詳しい検死結果が判明するまでの6日間で、何とか捜査を進めようとしますが、FBIの増援は頼めないので、地元の警察所長と、ウィンド・リバーを知り尽くすコリーの協力を得ながら捜査を進めていくのだが……。という物語。

少女に何があったのかと、ウィンド・リバーの特殊な事情が並行して描かれて行くわけです。

“謎解き”がメインではない

冒頭で社会派ミステリーと書きましたが、基本的には一本道のストーリーなので事件の謎解きがメインの物語というわけではありません。
むしろ、捜査を進めるうちにウィンド・リバー居留地という土地の特殊性や実情を徐々に明らかにしていく事が物語のメインなんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ジェレミー・レナーが胸につけてるアレがずっと気になった。(湯たんぽ的な何か?)

 また、物語が進む中でコリーと奥さんとの離婚の理由なども明らかになっていきます。

その辺の物語の進め方、伏線の張り方と回収の仕方は、さすが脚本家として評価の高いテイラー・シェリダンだなーと思ったし、不穏な空気が高まり、突如始まるバイオレンス描写も「ボーダーライン」を彷彿させるなーと思いました。

不満点

物語が進むごとに善悪の境界があやふやになって、観客の倫理観を揺さぶる「ボーダーライン」とは違って、本作はわりと善悪がハッキリしているし、クライマックスで行われる報復もアバンの少女と対になってたりして、観ていてスッキリするんですね。

ただ、中盤で会って間もないジェーンにコリーがベラベラと身の上話を語るシーンや、コリーが被害者の父親を慰める(というより説教) シーンは、物語全体のトーンから浮いているように感じました。

それと北国住まいの観からすると、零下30度の冷気を吸い込むと肺が凍るっていうのや、そんな状況で少女が10キロ走り続けたってのも、ちょっと飲み込みづらいっていうか。
少女は零下30度の中を、薄着のまま“裸足”で走り続けたから体温が低下、さらに口から大量の冷気を吸い込んだ事で肺が凍ったってことだと思うんですが、ただ零下30度の冷気を吸い込んだから――では、少々説明不足かなと。

あと、雪山が舞台という特殊な状況もあるかもですが、絵面にそんなに変化がないとか、脚本家としては優秀だけど監督としては荒いなーと思う部分もあったりしました。

デジタルで撮影してるから、映像がのっぺりしているみたいなのは、個人的にはそれほど気にならなかったですけども。

テーマがテーマなのでドスンと重い映画ではありますが見ごたえがあるし、映画としては若干地味ではあるけど印象深い作品だと思いましたねー。

興味のある方は是非!!!

 

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謎すぎる男が伝説のクソ映画を作り上げるまで「ディザスター・アーティスト」(2017/日本は劇場未公開)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、“史上最低の駄作”としてカルト的人気を集めた2003年の映画「ザ・ルーム」(日本未公開)の製作過程を、ジェームズ・フランコの監督・主演で映画化した『ディザスター・アーティスト』ですよー!

謎すぎる男トミー・ウィソーが、600万ドルの制作費を“自腹”で支払って映画を完成させるまでを描いた「映画を作る映画」です。

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画像出典元URL:http://amazon.co.jp/

概要

“史上最大の駄作”としてカルト的人気を集めた2003年製作の映画「ザ・ルーム」(日本未公開)の製作過程を、「127時間」などの俳優ジェームズ・フランコの監督・主演で映画化。1998年、サンフランシスコ。俳優を目指す19歳のグレッグ・セステロは、演劇クラスでトミー・ウィソーという風変わりな男と出会い、その型破りな言動に興味を抱く。同じ夢を目指す仲間として意気投合した2人は、俳優としての道を切り開くべく一緒にロサンゼルスへ引っ越すことに。しかし現実は厳しく、2人とも成功とは程遠いまま月日だけが過ぎていく。しびれを切らした2人は、自分たちで映画を制作することを思いつき、実行に移すが……。トミーとグレッグをジェームズ・フランコ実弟デイブ・フランコが演じるほか、セス・ローゲンザック・エフロンシャロン・ストーンらが共演。(映画.comより引用)

感想

あまりにも謎すぎる男トミー・ウィソー

この映画はいわゆる実話ベースの作品で、史上最低の駄作と言われている「ザ・ルーム」という映画で脚本・監督・製作・製作総指揮・主演を務めたトミー・ウィソーを、彼の“親友”グレッグ・セステロの視点で描いている伝記映画?です。

www.youtube.com

「史上最低の映画監督」を描いた伝記映画といえば、ティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演で製作したエド・ウッド(95)が有名。

本作もその系譜の作品ではあるんですが、トミー・ウィソーのあまりにも強烈なキャラと謎過ぎる出自が気になって、物語に集中出来ないんですよねーw

このトミー・ウィソー(ワイゾー?)、劇中では黒髪の長髪で陰気。ちょっと吸血鬼っぽいんですね。

東欧なまりの英語を話し恐らくはヨーロッパ出身なのに、ルイジアナ州ニューオーリンズ出身のアメリカ人だと言い張り、サンフランシスコやLAのダウンタウンに部屋を持っている大金持ちで、グレッグ・セステロに年齢を聞かれると「君と同じ(19歳)」と答えるけど、どう見ても30代。

本作は、そんな謎だらけのトミー・ウィソーが、役者として認められたいとグレッグと共にハリウッドに進出するもオーディションに落ちまくり、グレッグの「自分で映画を作れれば……」というつぶやきに、「それや!」と自ら脚本を書きあげ、スタッフ・キャストを集め、600万ドル(約6億円)もの資金を全額自腹で出して本当に映画を作っちゃうっていう映画なのです。

とはいえ、無名の新人監督が無名のキャストで作る恋愛映画なのだから、普通に考えたらそんなに予算が掛かるわけがないんですが、そこがウィソーの凄いところ。

普通ならレンタルする撮影機材一式をキャッシュで購入し、ロケで撮ればいいような背景も全部セットで作り、 400人以上をスタッフとして雇用、4回もスタッフ総入れ替えしたんだとか。

そりゃぁ、無駄に予算が膨れ上がるわけです。

なぜそんな無駄な予算を掛けたのかというと、ウィソー自身にまったく映画製作の知識なくて、無駄にセットを作ることや機材を自前で揃えるのが「ハリウッド流」だという妙な思い込みを頑なに信じて、人の意見を一切聞かなかったからなんですね。

その様子は劇中でも描かれていて、ベットシーンでは「尻を見せないと客が喜ばない」と言って無駄に全裸になり、スタッフ全員が「お前の尻なんか見たくないわい!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ」と、心の中でツッコミを入れたりします。

しかもこのウィソー、役者としては超大根で、(自分の脚本なのに)セリフは覚えない、超棒読み、シリアスなシーンを笑いながら演じるなど、とにかくしっちゃかめっちゃか。

しかし、監督兼スポンサーでもあるウィソーには誰も強く意見出来ず、意見すればクビになるという状況でスタッフキャストはみんな辟易していきます。

そして最初は必死にウィソーをフォローしていたグレッグも、折角のドラマ出演のチャンスをウィソーに潰されたことで、ついに決別し……。という物語。

エド・ウッド」との違い

そんなわけで、この映画は前述した「エド・ウッド」にかなり近いテイストの作品だし「映画作りの才能がない」という一点は同じなんですが、大きな違いはエド・ウッドは映画を愛していたのに対し、(少なくとも劇中の)トミー・ウィソーは、別に映画を愛しているようには見えないんですよね。

彼は最初は役者を目指しているけれど演技や映画が好きという風でもなく「何者かになりたい、誰かに認められたい」男として描かれているのです。

なので、役者や映画はあくまでその為の手段でしかないっていう感じに見えちゃうんですよね。

お金は持ってるし無駄に行動力はあるので、映画は作れるけどその為の知識は全くないし勉強もしないので、やることなすことムチャクチャで、案の定出来上がった映画は支離滅裂。大真面目に作ったハズがコメディーとして人気が出る始末。

その辺がこう……、ちょっとモヤっとしてしまいました

劇中で描かれるウィソーのサイコパスっぽい言動も含め、イマイチ彼に乗れないし、ウィソーという人をどう受け取ればいいのかが分からなかったんですよねー。

それでも、結果的にウィソーが作り上げた映画「ルーム」は、最初一館での上映から噂が噂を呼び、好事家の間でカルト的な人気を得て、最終的に収支は黒字になったということなので、きっと、人々を惹きつける「何か」はあったんでしょうね。

また、本作の公開後に「ザ・ルーム」が映画館で追加上映される現象も起きていて、確かにこの映画を観ると、本家の「ザ・ルーム」も観たくなりますw

興味のある方は是非!

 

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ニコラス・ケイジがノリノリでマッドなダディを怪演「マッド・ダディ」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、みんな大好きニコラス・ケイジがノリノリでマッドなダディを演じるホラーコメディー? 『マッド・ダディ』ですよー!

良くも悪くも、それ以上でもそれ以下でもない映画でしたねーw

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

ニコラス・ケイジと『アドレナリン』シリーズなどのブライアン・テイラー監督が、『ゴーストライダー2』に続いて組んだスリラー。わが子を殺そうと暴れ回る主人公の姿を描き出す。さえない中年から一転して狂気をむき出しにする父親をニコラスが怪演するほか、『ヘルボーイ』シリーズなどのセルマ・ブレアや『フィフス・ウェイブ』などの子役ザカリー・アーサーらが共演する。(シネマトゥデイより引用)

感想

ちょこっと昔話

僕がまだ小学生の時に読んだのが、永井豪先生の短編「ススムちゃん大ショック」というマンガでして。
要は、突如親たちが自分の子供を殺し始めるというホラーなんですが、これが子供の僕にはトラウマになるくらい怖かったんですよね。

だって、親といえば子供にとって一番信じ頼れる存在じゃないですか。
その親が突然自分を殺そうとするってのは、当時としてはかなりショッキングな内容だったのです。

マンガを呼んでしばらくは、台所に立つ母の後ろ姿が怖くてたまらなかった記憶がありますねーw

で、本作はまさにそういう映画…ていうか、それ以上でもそれ以下でもないんですねw

ざっくりストーリー紹介

ブレント・ライアンニコラス・ケイジ)と、妻ケンダルセルマ・ブレア)には、高校生の姉カーリー(アナ・ウィンターズ)と、小学生?でイタズラ盛りの弟ジョシュ(ザカリー・アーサー)の二人の子供がいるんですが、カーリーは反抗期真っ只中で、喧嘩してケンダルを傷つけたり、黒人の彼氏との交際を反対するブレントに口答えしたり。おまけに(友達のために)ママの財布からお金を盗んだりしてるんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com  / カーリーとジョシュ

そんなある日、カーリーの高校の校門前に親たちが押し寄せ子供達を待ち構えていて、お母さんに呼ばれて近づいた子を惨殺したのを皮切りに門を乗り越えて次々に学校に乗り込んできたからさぁ大変。

なんと、理由は分からないけど、突如アメリカ中の父母が自分の子を殺し始めたというんですね。

彼氏と合流したカーリーは、家にいる弟を救いに家に戻ったものの、運悪くそこにブレントが戻ってきて……という、荒唐無稽な上に、ある意味で超不謹慎な物語なんですねー。

ただ、大人が子供を、または子供が大人を殺し始めるという物語は、過去に遡ればないわけではなく、前述の「ススムちゃん~」は(マンガだけど)前者だし、後者でいうと、孤島の子供たちが大人たちを殺し始める「チャイルド」(1976)なんて映画もあったりしました。

なぜ大人たちは我が子を殺し始めたのか

で、なぜ「突然大人たちが我が子を殺し始めたのか」という理由は、終始まったく明かされないままなんですが、ヒントっぽいワードはいくつか出てきます。

学校の授業で先生は
「商品には設定された寿命があり、その時が来ると新しいのを買うことになる」
的な話をしている。

テレビのニュースでは専門家らしき人たちが、
「動物や家畜の子殺しは珍しいことではない」
「子供を守るという本能を破壊する細菌兵器のせいではないか」
と言ってる。

子殺しをした親にインタビューすると、自分の行為について
「本当に恐ろしい事をしていると分かっているが止められない」と話してるんですね。

また、そうなる兆候としてテレビやパソコンなどの身近なモニター画面が突如砂嵐になり、そのうえブレントとケンダルは深刻なミドルエイジ・クライシス(中年の危機)を抱えているのです。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ブレントとケンダル夫妻

つまり、この作品は荒唐無稽な設定を通して「老い」の恐怖を描いてるのではないかと。

それは「子供に自分の人生を侵食されている」と感じる超個人的な嫉妬の感情かもしれないし、もっと大きく人類が種として老いて、寿命が尽きかけているみたいなことを描きかったのかもしれません。

っていうか、発想の原点はもっと単純で「我が子は可愛いけど、たまに殺したいくらい憎たらしい時ってあるよね」って事だと思うんですが。

なので、お子さんを持つ親御さんがこの映画を観たら、きっと「けしからん!」と思う反面「あー分かるわーニコラス」って思っちゃう部分もあるかもです。

ニコラス・ケイジがノリノリでマッドなダディを怪演

そもそも僕がこの映画を観てみようと思ったのは、ネットか何かの記事で主演のニコラス・ケイジが「今までで最高の演技が出来た」的な事を言ってた(うろ覚え)からなんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / こんなに優しいパパが…

確かに、本作のニコラス・ケイジはマッドなダディ役を超ノリノリで演じていて、まさに怪演と呼ぶにふさわしい熱演っぷりでした。
まぁ、正直ノリノリすぎて思わず笑ってしまうシーンも多々あったりするわけですが、怖いシーンはマジ怖いんですよね。さすがオスカー俳優。

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画像出典元URL:http://eiga.com / こんな事に。

奥さん役のセルマ・ブレアは、デル・トロ版「ヘル・ボーイ」でヘル・ボーイの恋人リズ役を演じていて、個人的に大好きな女優さんですしね。

キャラ造形も中々考えられてて、一家四人の誰かが、憎らしすぎたり可哀想になりすぎないように、ゲスかったり憎たらしいところと可愛げのある部分を上手くバランス取ってましたねー。

そのへん、ステイサム初期の名作「アドレナリン」シリーズや、ニコラス・ケイジ主演のマーベルヒーロー「ゴーストライダー2」を手がけたブライアン・テイラーの手腕と言えるかもしれません。

85分しかないのでサクっと観られるし、(倫理的に)子供が死んだり殺されたりする直接描写はないので、「ホラーはちょっと…」という人でも大丈夫じゃないかと思います。

興味のある方は是非!!

 

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画面にゲイリー・オールドマンはいなかった「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」(2018)

ぷらすです。

新年一回目にご紹介するのは、名優ゲイリー・オールドマンがイギリスの政治家ウィンストン・チャーチルを演じて、第90回アカデミー賞で主演男優賞を受賞した『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』ですよー!

映画を観終わったあと、すぐにYouTubeで本物のチャーチルの演説動画をチャックしたんですが、ゲイリーの完コピっぷりにビックリでしたねー。

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

『つぐない』などのジョー・ライト監督と、『裏切りのサーカス』などのゲイリー・オールドマンが組んだ歴史ドラマ。第2次世界大戦下のヨーロッパを舞台に、苦渋の選択を迫られるウィンストン・チャーチルの英国首相就任からダンケルクの戦いまでの4週間を映し出す。チャーチルの妻を『イングリッシュ・ペイシェント』などのクリスティン・スコット・トーマスが演じるほか、リリー・ジェームズベン・メンデルソーンらが共演。『博士と彼女のセオリー』などのアンソニー・マクカーテンが脚本を担当している。(シネマトゥデイ より引用)

感想

画面にゲイリー・オールドマンはいなかった

ウィンストン・チャーチルは、第二次大戦中ナチスドイツの猛威にイギリスが大ピンチの時に首相に就任した人で、近年だとクリストファー・ノーランの「ダンケルク」(17)のラストで演説音声が流れていましたよね。

もちろん僕はその当時まだ生まれてなかったし、チャーチルの姿や声もテレビで観たことがある程度。
だから、本作でゲイリー・オールドマンが演じたチャーチルが、“本当の意味で”リアルかどうかは分かりませんが、少なくとも本作の中のチャーチルに、演じているゲイリー・オールドマンの姿は微塵も感じなかったです。

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画像出典元URL:http://eiga.com 辻一弘による特殊メイクで完全に変身したゲイリー・オールドマン

見た目は日本人アーティストの辻一弘による特殊メイクで、完全に小太りで丸顔の老人になってたし、声、なまりやイントネーション、抑揚のつけ方、動きの癖など(メイキングによれば)チャーチルを完コピした上で、ゲイリー・オールドマンは皮肉屋で短気で怒りっぽくて、でも憎めないチャーミングさやユーモアを併せ持つ魅力的な人物像を作り上げていて、本物のチャーチルを知らない僕が「チャーチルってきっとこういう人!」って思うくらい、ウィンストン・チャーチルでした!

普通、あれくらい有名な俳優が演じる時って、観ているこっちも頭のどこかで「〇〇が演じている〇〇」って思うじゃないですか。
でも、ゲイリー・オールドマンって演じる役を知って観ていても、完全に役と同化していつの間にか画面から消えてしまうんですよね。

カメレオン俳優って彼のためにある言葉だと改めて思いました。

ざっくりストーリー紹介

本作は、第2次世界大戦勃発後ナチスドイツは西ヨーロッパ各国を次々に侵攻、その手はすでにフランスにも伸びて陥落寸前。フランスがナチスの手に落ちれば、次はいよいよ英国かという状況化、不信任を叩きつけられその座を追われた前首相に代わり首相の座に着いたのは、政界の嫌われ者ウィンストン・チャーチルだった。

就任早々、ヨーロッパの命運を握ることになった彼は、圧倒的戦力を持つヒトラーとの和平か徹底抗戦かという判断を突き付けられ……。という物語。

そんなチャーチルの1940年5月9日からの1カ月弱を、2時間の濃密なドラマに凝縮した本作は、映画「ダンケルク」の裏側とも言うべき物語なんですね。

ナチスが世界の驚異となる前から、ヒトラーに危機感を感じていたチャーチルは徹底抗戦の姿勢を打ち出すも、ただでさえ国王の覚えも悪く、交渉路線を進める鳩派議員の裏工作によって一時は追い詰められてしまう。

これにはさすがのチャーチルも参って弱気になるんですが、そこに思わぬ救いの手が伸ばされ、チャーチルは再び立ち上がるという熱いドラマなんですねー。

まぁ、この時のチャーチルの決断が、国民の命を預かる一国の首相として正しかったのか間違っていたのかは僕には分からないし、時世と状況が違えばチャーチルの判断は危うい感じがしなくもないですが、劇映画的には燃える展開で観ていて胸が熱くなりましたねー。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 国王ジョージ6世役のベン・メンデルソーン

そんなチャーチルの心情を、映像派の監督ジョー・ライトを始めとしたスタッフによる照明やカメラワークで見事に演出していたし、国王ジョージ6世役のベン・メンデルソーンや、奥さん役のクリスティン・スコット・トーマスなど名優が脇を支えて、重厚さと軽やかさを併せ持つ映画になってたと思います。

興味のある方は是非!!

 

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2018年公開映画、個人的ベスト10

ぷらすです。

今年も残り僅かとなりました。

というわけで年末恒例、今年公開された作品の中で僕が個人的に気に入った作品ベスト10をランキング形式でご紹介しますよー!

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その前に

が、その前に2017年日本公開の作品ながら、昨年中に観られずランキングに入れられなかった作品のベスト10を先に発表です。

 

 

10位 ありがとう、トニ・エルドマン 

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「ウザイ親父に娘が迷惑をかけられた挙句救われる」というドイツ映画。
コメディーだけど笑えないのはご愛嬌。

 

9位 スイス・アーミー・マン

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ハリー・ポッター」のダニエル・ラドクリフが、なんと死体役を演じる異色にコメディー映画。
ただのナンセンスコメディーかと思って観ていると、最終的に哲学的なところに着地するっていう何とも不思議な味わいの作品。

 

8位 アトミック・ブロンド

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シャーリーズ姐さんがスーパースパイとなって、男どもとガチバトルを繰り広げるサイコー過ぎる映画。

 

7位 セブン・シスターズ

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ノオミ・ラパスが1人7役を務めるSFサスペンス。
一見、荒唐無稽な設定だけど、SFとしてもサスペンスとしても味わい深い作品。

 

6位 勝手にふるえてろ

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こじらせ系女子を熱演した松岡茉優の初主演映画。
実在感たっぷりの主人公に共感する女子も多いのでは?

 

5位 スウィート17モンスター

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ヘイリー・スタインフェルドが空回りしまくりの主人公を快演する、痛々しくも愛おしい物語。


4位 ドリーム

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1960年代のNASAを舞台に、3人の黒人女性が差別に負けずに夢を掴み取る痛快な物語。

 

3位 KUBO / クボ 二本の弦の秘密

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(多分)世界一の技術を誇るストップモーションアニメ会社「ライカ」が、日本を舞台に制作したファンタジー作品。
未見の人は必見!

 

2位 新感染 ファイナル・エクスプレス

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韓国発「ゾンビ映画」の大傑作。
ゾンビ映画が苦手という人にこそ観て欲しい!

 

1位 バーフバリ 王の凱旋

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王を讃えよ!!!

 

いや、ぶっちゃけバーフバリは今年分に入れてもいいんだけど、2018年作品もランキングが渋滞してるのでこちらに。

僕が観てきたハリウッド映画の「映画理論」とか「脚本論法」とかを力でねじ伏せるインド映画の熱量の凄まじさ。
僕自身は、それほどインド映画を観てるわけではないけど観た映画は全部素晴らしかったし、バーフバリが当たったことで、これからのインド映画は映画ファンにとって無視できない存在になっていくんじゃないでしょうか。

というわけで、いよいよ2018年公開作品の個人的ベスト10発表です!

2018年公開映画、個人的ベスト10

 

 10位 ブリグズビー・ベア

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人類の殆どが絶滅し、有毒ガスによってシェルターで育った青年ジェームス唯一の楽しみは、教育番組「ブリグズビー・ベア」だった。
彼は他のシェルターで暮らす“仲間”と、ネットフォーラムで毎週番組の考察をやりとりしていたのだが……。という物語。
スター・ウォーズ」でルーク・スカイウォーカーを演じた、マーク・ハミルが出演していることで話題になったインディペンデント映画で、本当に愛おしい作品でした!

 

9位 フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法

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フロリダにあるディズニーワールドのすぐ裏にある安モーテルに暮らす、ホワイトトラッシュの母娘のひと夏の物語。
母親のキャラやラストシーンは賛否分かれるようですが、アメリカの歪みや問題を決して大上段に構えて大声で叫ぶのではなく、「そうならざるを得なかった」彼女たちに寄り添うように、でも容赦なく描く姿勢が素晴らしいと思いました。

 

8位 ダンガル きっと、つよくなる

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インドの大スター、アーミル・カーンが主演とプロデュースを務めた「インド版巨人の星」的な伝記映画。
アーミル・カーンの映画はホント外れがないです。
最初アーミル・カーン演じる父親はとんでもない毒親に見えるわけですけど、物語が進むごとに娘たちに一体何を託していたのかが分かっていくという内容で、20代~50代まで演じたアーミル・カーンだけでなく、二人の娘たちも素晴らしかったですねー。

 

7位 タクシー運転手 約束は海を越えて

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1980年に韓国で実際に起こった光州事件を元に劇映画化した作品。
韓国最高の俳優と名高いソン・ガンホ演じるタクシー運転手とドイツ人ジャーナリストが、内戦中の光州の現実を目の当たりにすることで、それぞれの使命に目覚めるという内容。もちろんエンターテイメントとしても面白いけど、こういうことは世界中で起こっているし、決して他人事で片付けてはいけないって思いました。

 

6位 シェイプ・オブ・ウォーター

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アカデミー賞二冠ほか、多くの映画賞に輝いたギレルモ・デル・トロ監督作。
人魚姫の物語と彼が子供の頃に観た「大アマゾンの半漁人」をベースに、様々な差別を寓話化した作品で、美しくもダークな映像は彼がこれまで一貫して作り上げてきた、まさに集大成と呼ぶにふさわしい世界観だと思いました。

 

5位 エンドレス・ポエトリー

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前作「リアリティのダンス」に続く、アレハンドロ・ホドロフスキーの自伝的映画第2弾。未だ進化し続ける86歳の鬼才の最新作は、年齢を感じさせない熱量と、低予算を感じさせない映像センスが爆発した凄い映画でした。
未見の方は是非!

 

4位 ボヘミアン・ラプソディ

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今回一番順位に悩んだ作品。
今まで、有名アーティストの伝記映画は多々ありましたが、本作が凄いのはクイーンやフレディ・マーキュリーを知らない世代の人たちをも巻き込んで大ヒットしたってところじゃないでしょうか。
元々のファンの人達にしてみれば、史実との違いなどが気になってしまうところかもですが、多分、この映画で一番重要だったのはそこじゃないし、若い世代の人達がクイーンを知る「入口」としての機能も見事に果たした素晴らしい作品だったと思います。

 

3位 カメラを止めるな!

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はい、みんな大好き「カメとめ!」ですよー!
もちろんハードルが上がり切った状態で観ても超面白かったですが、出来れば事前情報が最小限の状態で観たかった!!
あと、ネタバレが気になって感想が書きにくい!ww
ともあれ、実はこの手のストーリーテリングは結構あって、仕掛け自体もそんなに新しいわけじゃないんですが、この映画が凄いのは、低予算の自主映画であることも“含め”て仕掛けに利用してるところと、圧倒的な脚本の上手さじゃないかと思います。
ここまで映画の隅々まで計算しつくしたソリッドな脚本は、邦画では中々観られないですからねー。

 

2位 ミッション:インポッシブル/フォールアウト

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年々ジャッキー・チェン化してるでお馴染み、トム・クルーズの「MI:」シリーズ最新作。
「もう、ちょっとやそっとじゃ驚かないぞ」と思って観ててもやっぱり驚かされるトムの体当たりアクションが凄すぎて、内容は殆ど覚えてませんw
でも、ファンに内容を忘れられても、語り継がれるシーンが一つでもあれば、その映画は勝ちなのです!

 

1位 リメンバー・ミー

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4回観て、同じシーンで4回泣きました。

邦題は「リメンバー・ミー」だけど、原題は「COCO」
つまり、本作はミゲルのひいおばあちゃん、ママ・ココの物語なんですよね。
だから、物語はラストでミゲルとママ・ココが一緒に歌うシーン一点に集約されているのです。
家族の呪いや血の繋がりに拘らない擬似家族を描いた映画が多い中、大家族を描く本作は一見、時代に逆行しているようにも思えるかもですが、あらゆる面から人同士の繋がりが分断されている現代だからこそ、(その面倒くささやしんどさも含めて)人と人が思いやり繋がることの大切さや素晴らしさを描くことには大きな意味があるように思います。

そういう意味で、この「リメンバー・ミー」は今年公開の作品の中でダントツの1位だし、個人的にオールタイムベストの1本になりました。

まぁ、僕がおばあちゃん子だからってのもあるんですけどねw

 

というわけで、今年公開された作品の個人的ベスト10でした。
ちなみに、惜しくもベスト10に入らなかった作品は以下の通り。

 

パディントン2

ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書

アベンジャーズ /インフィニティー・ウォー

デッドプール2

スリー・ビルボード

イコライザー2

ヴァレリアン 千の惑星の救世主

レディ・プレイヤー1

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル

ゲーム・ナイト

 

どの映画も面白かったし、ベスト10との差なんかほとんどないに等しいんですけどねw
なので「今は」この10本って感じで、明日になれば順位は入れ替わってるかも――くらいのいい加減な順位なのです。
「~インフィニティー・ウォー」は、来年公開の続編とセットで観なくちゃ何とも言えませんしねw

今回ご紹介した作品の多くは、すでにレンタルDVDやネットで配信されてると思うので、年末年始にゆっくり映画でも観て過ごそうかという時の、参考になれば幸いですよー!

ではでは、良いお年をー!(´∀`)ノ

 

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