今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

「ボクらのボンクラ映画」発売のお知らせ

ぷらすです。

当ブログやnoteなどのサイトに投稿した映画感想や考察、解説などをまとめた電子書籍ボクらのボンクラ映画 vol.1』が、本日よりKindleで発売されましたー!!

f:id:aozprapurasu:20190705125921j:plain

©青空ぷらす

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07TYWTJKN/ref=kinw_myk_ro_title

↑のリンククリックでAmazonページにジャンプします。

 

このブログを始めたのが2015年。
それから平均週3本ペースで観た映画の感想を書き散らかして、それで満足していたんですが、キッカケは昨年12月。

札幌でのオフ会である方に「せっかく沢山書いているんだから電子書籍にしてAmazonで売ってはどうか」(意訳)という助言をいただき、( ゚д゚)ハッ!確かに!! と思ってそこから密かにゴチョゴチョと動いていたのです。

しかし、Amazon Kindle電子書籍を……というか1から『電子書籍』なるものを作ったこともなく、一体どこから手をつければいいのか分からないので「電子書籍の作り方」をネットで検索しまくって、あーでもないこーでもないと頭を悩ませ、何度も心が折れそうになりながら、なんとか完成させたのが本作となります。

本作は、ブログで2015年~2016年までに書いた記事の中から、自分が観て面白かった映画や印象に残った映画82本を選び、映画記事で参加していたブログサイトRes-Cや僕個人の「note」などで書いた解説や考察などに加筆・修正して1冊?にまとめたものです。

タイトルの『ボクらのボンクラ映画』は、映画作品が“ボンクラ”ということではなく、アクション、SF、ヒーローもの、ホラー、コメディー、怪獣など、僕のようなボンクラオタクが好きそうな、いわゆる「ジャンル映画」の総称として使っている造語で、実際今回選んだ映画の大半がそういう作品ばかり。まるで小学校5年生男子のようなセレクトになってしまいました。

映画好きと言うと、いわゆる名作と呼ばれる映画は全て観ているとか、映画に詳しい人というイメージを持たれがちですが、僕は映画に詳しいわけでもないし、ただただミーハー的に興味のある映画を観ているだけ。

なのでブログでも、ファミレスで友人に「あの映画は面白かった、あの映画はつまらなかった」と話すような感覚でブログに感想をアップしていて、本作でもそこは変えないようにしています。

Kindle本初挑戦なので勝手が分からず、もしかしたら使用する端末によっては読みづらいかもしれませんし、お値段も323円と中途半端な値付けになってしまいましたが、購入して下さった方の映画ライフの一助になればと思いながら作りました。

興味のある方は是非、ご一読頂けたら嬉しいです。

ではではー(´∀`)ノ

 

驚異の新人キム・ダミの圧倒的存在感「The Witch/魔女」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは韓国のバイオレンスアクション映画『The Witch/魔女』ですよー!

いわゆる韓国ノワールものとは違い、物語自体は漫画っぽいエンタメ映画なんですが、練りこまれた脚本の妙や主役のジャユンを演じた新人女優キム・ダミの圧倒的な存在感、そしてある意味で凄く新鮮だったアクションシーンなどなど、韓国映画の力を見せてくれる作品でしたねー。

ちなみに今回は若干のネタバレを含むので、これからこの映画を観る予定の人やネタバレは絶対に嫌!という人は、先に映画を観てからこの感想を読んでくださいね。

いいですね? 注意しましたよ?

https://eiga.k-img.com/images/movie/89763/photo/22bd8b3ec012505d.jpg?1539243020

画像出典元URL:http://eiga.com

概要

『新しき世界』『V.I.P. 修羅の獣たち』などのパク・フンジョン監督が放つアクション。幼いころの記憶をなくした少女の特殊な能力が呼び起される。ヒロインを演じるのは、本作でファンタジア国際映画祭の最優秀女優賞を受賞したキム・ダミ。その脇を『嘆きのピエタ』などのチョ・ミンス、『密偵』などのパク・ヒスン、『オクジャ/okja』などのチェ・ウシクらが固めている。(シネマトゥディより引用)

感想

韓国産「異能バトル」

早速、軽いネタバレなんですが、本作はいわゆる「異能バトル」モノだったりします。

ある特殊な施設で育ち8歳の時に脱走。
記憶をなくし人里離れた農家の夫婦に育てられた少女ジャユン(キム・ダミ)は、頭の手術をしなければ余命2~3ヶ月と医者に言われてしまいます。

しかし両親は決して裕福とは言えず、ジャユンは手術費捻出のため歌のオーディションを受けることに。
しかし、そこで特技として見せた“手品”をキッカケに、謎の集団に追われるようになるというストーリー。

https://eiga.k-img.com/images/movie/89763/photo/257d7c436624ab10/640.jpg?1539243161

画像出典元URL:http://eiga.com / ごく“普通”の少女として育つジュユンだったが… 

実は彼女が育った施設とは、脳の研究によって人知を超える人間を作り出そうとしている組織の施設で、彼女と他の子供たちはモルモットとして人体実験を受けた結果、人並み外れた超能力を得ているわけです。

記憶を失い普通の少女として育てられた彼女ですが、彼女を追ってきた組織との対決によって、その恐るべき能力がついに開放されるわけですね。

つまり本作は「脳を100%使ったらトンデモ能力が使えるようになる系SF」で、同じ題材を扱ったリュック・ベッソン監督2014年の作品「ルーシー」の系譜にある作品と言えます。

最初に「漫画っぽい」と言ったのはそういう事で、序盤でその事はある程度匂わされているので、いざジャユンの能力の片鱗が見える後半でも「あー、はいはいそういうヤツねー」と、正直ナメてかかってたわけですが、ジャユンの“真実”が分かるクライマックスで「そういうことかー!」と、まんまと一杯食わされていた事に気づくっていうね。

そして、物語的な動きがなくてモヤモヤする序盤から中盤の中に、実は巧妙にクライマックスに向けての伏線が張られていた事に気づいて、見事な作劇に舌を巻いてしまいましたよ!

驚異の新人キム・ダミ

さらに驚かされるのが主人公ジャユンを演じたキム・ダミの圧倒的な存在感
彼女は無名の新人で、本作の主演で多くの映画賞を受賞。一気にスターダムに駆け上ったんだとか。

https://eiga.k-img.com/images/movie/89763/photo/ddf0fdd446dcbd24/640.jpg?1539243158

画像出典元URL:http://eiga.com / 新人とは思えないキム・ダミの存在感

それも納得で、いわゆるアイドル的な分かりやすい可愛らしさとは違って、ぱっと見は地味な普通の少女のようにも見える彼女。
しかし、なぜか目が離せない不思議な魅力があって、ミーハーな親友ミョンヒとのやり取りなどは何処にでもいそうな普通の少女に見えるのに、何故か目が行ってしまう。
さらに、謎の集団に付け狙われて怯えたり、“能力”の副作用で苦しんだりする表情を見ると心底同情してしまうんですが、一転、クライマックスで能力を開放してからの彼女は心底恐ろしいと思わせるうすら笑いを浮かべながら、同じ能力を持つ敵を次々と殲滅していくんですよ。

そんなとても新人とは思えない見事な存在感に目が釘付けになるし、またある意味で突拍子もない設定すらすんなり飲み込ませるだけの説得力を彼女は持っているんですよね。

っていうか、こんなに返り血が映える女優を見たことがないw

そんな彼女の影に隠れがちですが、親友ミョンヒを演じたコ・ミンシの超ウザイんだけど何故か憎めない演技も良かったですねー。

新鮮な異能バトル

そしてやはり超能力ものといえば「異能バトル」の見せ方ですよね。
実は本作のバトルシーンでは、それほど目新しいことはしていないんですよ。(多分)

例えば映像の早回しだったり、ジャッキー映画でもよく使われていた「コマ抜き」だったり、人が吹っ飛ぶようなシーンは多分ワイヤーアクションだったり。

https://eiga.k-img.com/images/movie/89763/photo/c79949daee492217/640.jpg?1539243160

画像出典元URL:http://eiga.com / 韓国のお家芸ナイフバトルもあるよ!

ただ、例えばジャユンのショットから相手の顔のショットに振って、再びジュユンにカメラを振ると消えている。そこで驚いた相手にカメラを振ると後ろにジュユンが立ってるみたいな。

ホラー映画なんかでよく使われるカメラワークを、本作では異能バトルの演出として採用して効果的に使っているんですね。

そして、足りない部分や細かいディテールをCGで補強するという、非常に丁寧な演出と構成で、クライマックスの異能バトルに一味違った新鮮味を与えているのです。

残念だったところ

そんな感じで全体的にとても面白く観れた本作ですが、あえて残念だったところを挙げるとすれば、ラストシーンでしょうか。

自分を苦しめたドクター・ペクや異能集団を倒したジュユンは、ある目的のため両親の元を離れます。
その後、ドクター・ペクの双子の妹の元に現れたジュユンが、彼女と話しているその後ろに少女?が立っているわけですが「お前は誰やねん!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ」と。

その後「第一部完」みたいなテロップが出るんですよね。

つまり最初から続編ありきの作品だった事が分かるんですが……いや、いいんですよ。面白い作品だったし続編が出ればそりゃぁ観ますよ。
ただ、ラストシーンは両親との別れにしたほうが良かったと思うし、ドクター・ペクの妹とのやり取りはEDロールの後ろにオマケ的につけるとかさ。

何にせよ、宙ぶらりんな状態で終了させない方が良かったんじゃないかなーと。
長い物語の途中であれ、キチンと物語のオチをつけて一本の映画として終わらせて欲しかったってのが正直なところで、「あーまたか」と折角アガっていた気分がちょっと冷めちゃうんですよね。

そういうのはアベンジャーズで散々観てきてるし、いまさら真似たところで二番煎じ三番煎じ感が出ちゃって、損するばかりで得はしないんじゃないかなと。

……まぁ、そんな文句を言いながらも続編が出たら観ちゃうんですけどねw

興味のある方は是非!!

 

▼よかったらポチっとお願いします▼


映画レビューランキング

 

スパイダーマンを見事に“アップデート”!「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」(2019) *ネタバレあり

ぷらすです。

昨日公開初日の最初の回で観てきましたよー『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』をー!!

いやー、控え目に言ってもう……最高でしたーー!!!

と・こ・ろ・が、この作品ネタバレ無しの感想が非常に難しい上に、前作「アベンジャーズ/エンドゲーム」のネタバレが避けられないという、映画レビュアーにとってはまさに鬼仕様

こっちはネタバレが怖くて未だに「エンドゲーム」の感想をアップしてないっつーのにね!(っていうか、本作予告で既にネタバレしてるんですけどねw)

「エンドゲーム」の感想はDVDリリースに合わせて完全ネタバレでアップしようと思ってるんですが、こっちの感想については諦めてネタバレありで書く事にしました。

なので、「エンドゲーム」と本作をこれから観る予定の人、ネタバレは絶対に嫌 !っていう人は、くれぐれも先に2本を観てからこの感想を読んでくださいね。

いいですね? 注意しましたよ!?

https://eiga.k-img.com/images/movie/89601/photo/260ab661365110d4.jpg?1560298902

画像出典元URL:http://eiga.com

概要

スパイダーマン:ホームカミング』に続き、トム・ホランドが主人公ピーター・パーカーを演じたアクション。ヨーロッパで友人たちと旅行を楽しむピーターがミッションを与えられ、新たな戦いに向かう。共演は、前作にも出演したジェイコブ・バタロン、ゼンデイヤ、マーベル作品のニック・フューリー役でおなじみのサミュエル・L・ジャクソンら。監督はジョン・ワッツが続投する。(シネマトゥディより引用)

感想

ざっくり「スパイダーマン」の歴史

先日スパイダーマンっていっぱいいてよく分からない」という話を友人から聞きました。というわけで、先にザックリスパイダーマンについて説明しようと思いますよ。

スパイダーマンのオリジン(誕生譚)といえば、科学オタクのいじめられっ子高校生ピーター・パーカーが放射能を浴びた蜘蛛に噛まれたことでスーパーパワーが覚醒。ベン叔父さんの死をキッカケに“親愛なる隣人”スパイダーマン」として活躍するストーリーで、今は亡き原作者のスタン・リーとアーティストのスティーブ・ディッコが生み出し「Amazing Fantasy#15(1962年8月)」で初登場したスーパーヒーローです。

2002年にサム・ライミ監督版の無印「スパイダーマン第1作が公開されると世界的大ヒットとなり、シリーズ3作が作られますがサム・ライミが降板。

ソニーはマーク・ウェブを監督に迎え世界観や設定をリブートした「アメージング・スパイダーマンを2012年に公開。当初3部作の予定でしたがサムライミ版から間がなかった事などから人気が出ずに2作で終了してしまいます。

その後しばらくスパイダーマンの企画は宙に浮いた形になるんですが、一方で原作の版元マーベルコミックは自社が運営するマーベル・スタジオは、自社のキャラクターをひとつの世界観で集合させるシェアード・ユニバース作品を計画。

それが「MCUマーベル・シネマティック・ユニバース)」で、2008年公開のMCU第1作「アイアンマン」は予想を超えるヒットになります。
その後は作品を重ねるごと話題を呼ぶ人気シリーズとなったMCU
ディズニー傘下になったこともあり映画化権を保有するソニーと「スパイダーマン」のMCU傘下を話し合いの末に、キャラクターを使用するライセンス契約(平たく言うとスパイダーマンのキャラをレンタルする契約)を交わしMCU版「スパイダーマンは誕生したわけですね。

ちなみにソニーは今年劇場アニメスパイダーマン: スパイダーバース」を公開し、こちらも大ヒットしました。

つまり、サム・ライミ監督の「無印」、マーク・ウェブ監督の「アメージング~」、MCU版、アニメの「スパイダーバース」に登場するスパイダーマンは(名前は一緒でも)それぞれ別人だとお考え頂けば、混乱はしないんじゃないでしょうか。

見事な“アップデート”

すっかり前置きが長くなりましたが、MCU版のスパイダーマンはこれまでの作品から設定を一新。
能力を得て自警活動をする少年ピーター・パーカーを、アイアンマンことトニー・スタークがスカウト・育成するという展開になっています。
憧れのトニー・スタークにスカウトされて舞い上がったピーターが、色々な失敗をしながら“親愛なる隣人”として成長するまでが前作「~ホームカミング」の大まかな流れ。

その後ピーターは「アベンジャーズ:インフィニティー・ウォー」でのサノスによる指パッチンで消されてしまいますが前作「~エンドゲーム」で復活。
本作に繋がるわけです。

というわけでここから色々ネタバレしますよー!

 

 

 

 

 

前作で師であり父親的存在でもあったトニーを亡くしたピーター。

前述したようにスパイダーマンのオリジンでは、ベン叔父さんを亡くしてしまった事と叔父さんの最後の言葉を胸にピーターはスパイダーマンになるんですね。

ですがMCUスパイダーマンでベン叔父さんは登場せず、代わりにベン叔父さんの役割を担っていたのがトニー・スターク

つまり前作「ホームカミング」と本作が、MCUスパイダーマンのオリジンストーリーなんですね。

「~ホームカミング」で父親のように見守り、導いたトニーという大きな存在を失った彼は周囲から英雄トニーの志を受け継ぐ者として祭り上げられるプレッシャーと不安の中、親愛なる隣人スパイディーとして活躍する一方、前作でも登場した同級生のMJことミシェル・ジョーンズに絶賛片思い中。そこで学校が企画したヨーロッパへの二週間の研修旅行中にMJに告白することを決意します。

https://eiga.k-img.com/images/movie/89601/photo/b20a75dca65af5c4/640.jpg?1557219253

画像出典元URL:http://eiga.com

ところがそんなピーターに、元S.H.I.E.L.D.長官のニック・フューリーから何度も呼び出しが。夏休みを満喫したいピーターはこれを無視して、スパイダーマン・スーツも家に置いてヴェネツィアへ向かうも、突如運河から意思を持つ水の巨人に襲われてしまうんですね。

装備もなく思うように戦えないピーター。
そんな彼の前にミステリオと呼ばれる魔法のようなパワーを操る男が現れ、水のモンスターを制圧するのです。

https://eiga.k-img.com/images/movie/89601/photo/33b9dd45b19f3641/640.jpg?1557219256

画像出典元URL:http://eiga.com

彼の正体は「~エンドゲーム」で開いた異次元の穴から、ピーターたちを襲った怪物“エレメンタルズ”を追ってやってきたクエンティン・ベック(ジェイク・ジレンホール)という男だったんですね。

その後、フューリーはピーターに「E.D.I.T.H.」と呼ばれる人工知能を宿した眼鏡を手渡し、トニー・スターク/アイアンマンの後継者に指名されたことを伝えますが、自分に自信がもてないピーターはエレメンタルズとの対決をミステリオに任せて旅行に戻るのだが――というストーリー。

実はこのミステリオは、スパイダーマンの有名なヴィラン(悪役)でして。
なので、スパイダーマンのファンは全員、いつミステリオが正体を現すのかと思いながら観てるわけですw

原作版のミステリオは特殊効果のエキスパートで、SFXやバーチャル・リアリティといった映像技術と催眠ガスで幻覚を見せる悪者で、基本的にはただの人間なんですね。

本作では、「キャプテンアメリカ/シビルウォー」の劇中、発明品“BARF”のプレゼンでトニーが出てくる回想シーンがあるんですが、そのBARFの開発者がクエンティン・ベックで、トニーにクビにされた事を恨んでいるという設定になっているんですね。

また、ベックのチームの中には「アイアンマン1」で、悪役のオッサンにアーク・リアクターの小型化を急かされてた研究員(同じ役者が演じている)もいたりして、結果トニーの蒔いた種だった事が分かります。

ベックの狙いは亡きトニーの代わりに英雄になることで、その為にフューリーやピーターに近づいて信用を得て、ピーターに渡された高性能サングラスをだまし取ろうとしているのです。

結果、正体に気づいたピーターにミステリオは負けて事なきを得るんですが、ED後のオマケ映像での驚きの展開があります。

本作のテーマはズバリ近年問題になっている「フェイクニュース」で、ミステリオはそんなテーマにピッタリのヴィランとして“アップデート”されているわけです。(というかミステリオ→フェイクニュースの順番かも?)

さらにエレメンタルズ(偽物)の映像もMCU作品としては若干ショボく見えるように作られていたり、二度に渡る対決でピーターがミステリオの幻覚攻撃に苦しめられるわけですが、その幻覚もSFXで作った世界に見える嘘っぽいCGになっていて、その辺も原作版のミステリオの設定を今風に表現する上手い表現で良かったです。

またアップデートといえば、前述したように前作「~ホームカミング」から設定を一新していて、同級生や先生はインド系やラテン系黒人のキャストも増えて、ヒロインのMJもこれまでの赤毛の白人から、スパニッシュ系で勝気で若干中二病的なキャラクターになっているし、ピーターたちの年齢も若干引き下げて、今の若者たちの感覚に合わせた“アップデート”が行われています。

https://eiga.k-img.com/images/movie/89601/photo/d2ee5ced3035375c/640.jpg?1557219255

画像出典元URL:http://eiga.com

スパイダーマンがまるでアイアンマンのサイドキック(相棒・助手)みたいだと、一部の古参ファンにはウケが悪かったMCUスパイダーマンですが、「~エンドゲーム」を経て、本作でピーターはトニー・スタークから“遺産”を受け継ぎ真のスーパーヒーローとして“アップデート”したわけで、そういう意味で前作「ホームカミング」と本作は前後編と言えるかもしれません。

フェーズ3最終作

わりと勘違いされがちですが、ファーストアベンジャーズ(アイアンマン・キャップ・ハルク・ソー)シリーズの最終作は前作「エンドゲーム」ではなく、本作「ファーフロム・ホーム」だったりします。

アイアンマンことトニー・スタークが死んで終りではなく、彼の意思をスパイダーマンことピーター・パーカーが受け継いだ本作を持ってファーストアベンジャーズのストーリーは終焉を迎え、同時に本作からスパイダーマンが中心となる新たなストーリーが幕を開けたわけです。

実にMCUらしい見事なエンディングでありオープニングじゃないですか。

そしてまだ未熟なピーターを守りサポートするのが、アイアンマン1・2の監督であり、トニーのボディーガードとしても登場するジョン・ファブロー演じる“ハッピー”・ホーガンなのです。

https://eiga.k-img.com/images/movie/89601/photo/02d56d15a1db121d/640.jpg?1557974141

画像出典元URL:http://eiga.com

劇中、トニーが残したテクノロジーを使ってオリジナルスーツを作るピーターに「音楽は任せておけ」と言ってハッピーがかけるのがトニーがアイアンマンスーツを制作するときにかかっていた、AC/DCの「Back In Black」なんですよ!!

www.youtube.com

そして、「Back In Black」をバックに、オリジナルスパイダースーツを制作するピーターは、アイアンマンスーツを作っている時のトニーそっくりで、そんなピーターを感慨深げに見守るハッピー。

もうこのシーンだけで5億点ですよ!!

音楽がかかった時ピーターが「ツェッペリン最高!」と言ってひと笑いとるんですが、ピーターはトニーがスーツを作っている時は当然知らないわけで、ハッピーと僕ら観客だけは“分かってる”わけじゃないですか。

もうね、そっとガッツポーズとりながら泣いちゃいましたよ!

トニーの死からスタートする本作ですから、そのままやったら重くなってしまいそうな物語ですが、ハッピーがコメディーリリーフとしてこの映画に軽やかさを与えてくれるんですよね。

オマケの話

あと、個人的にツボだったのが、映画冒頭でアイアンマンやキャップなどの映像が流れて泣きそうになるんですが、そこでかかるBGMがホイットニー・ヒューストン「I will always love you」っていうね。

エンダアアアアアア じゃねえよw

もう泣いていいやら笑っていいやらっていう。
つまり、この冒頭で「この映画で湿っぽいことはやりませんよ」っていう宣言なんですよね。

それと前述したED後のオマケ映像での驚きの展開で、ニュースを伝えているキャスターが、あの人じゃないですか!!

とんでもないサプライズに思わず声が出ちゃいましたよ!w

「あの人」が誰なのかは、是非、映画館でご覧下さい!

興味のある方は是非!!!!

 

▼よかったらポチっとお願いします▼


映画レビューランキング

 

▼関連作品感想リンク▼

aozprapurasu.hatenablog.com

aozprapurasu.hatenablog.com

 

 

主人公の味わった地獄を追体験する「暁に祈れ」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、イギリス人ボクサー、ビリー・ムーアの自伝小説を映画化した『暁に祈れ』ですよー!

残念ながら僕の地元では劇場公開されなかったので、今回DVDをレンタルしてやっと観る事ができました。

https://eiga.k-img.com/images/movie/89761/photo/d912e35af447cbb4.jpg?1541123428

画像出典元URL:http://eiga.com

概要

イギリス人ボクサー、ビリー・ムーアの自伝小説が原作のドラマ。タイの刑務所に送り込まれた男が、所内でムエタイを習得して過酷な環境を生き抜く。メガホンを取るのは『ジョニー・マッド・ドッグ』などのジャン=ステファーヌ・ソヴェール。『きみへの距離、1万キロ』などのジョー・コールが主人公を演じ、その脇を『オンリー・ゴッド』などのヴィタヤ・パンスリンガムやボクサーのソムラック・カムシンらが固める。数か月のトレーニングを積んだジョーが屈強な肉体を披露する。(シネマトゥディより引用)

感想

イギリス人ボクサーが堕ちた地獄

主人公ビリー・ムーアは実在の人物で、本作は彼の自伝小説を「ジョニー・マッド・ドッグ」など圧倒的リアリティーの演出に定評のあるジャン=ステファーヌ・ソヴェール監督が映画化した作品です。

ストーリーをざっくり要約すると、タイに渡ってきたイギリス人ボクサーのビリーは自堕落な生活を重ねるうち麻薬中毒になり逮捕。汚職、殺人、レイプが公然と行われている劣悪な刑務所に(言葉も分からぬまま)放り込まれる。という物語。

「ジョニー・マッド・ドッグ」では、リベリア内戦で兵士として駆り出され、戦闘行為、もっと言えば残虐行為を行ってきた元少年兵たちと1年間一緒に生活して信頼関係を築いた上でキャスティングし、彼らがかつてリベリア内戦で本当にやった残虐行為を演技として再現させるという、極めてドキュメンタリー的な手法で圧倒的リアリティーを生み出したジャン=ステファーヌ・ソヴェール。

https://eiga.k-img.com/images/movie/89761/photo/e9c106a62f060362/640.jpg?1542081716

画像出典元URL:http://eiga.com / 「オンリー・ゴッド」で超怖いギャングのボスを演じたヴィタヤ・パンスリンガム

本作では、主人公ビリー・ムーア役のジョー・コール、刑務所長役で「オンリー・ゴッド」で恐ろしいギャングのボスを演じたヴィタヤ・パンスリンガム、「七人のマッハ!!!!!!!」などに俳優としても参加しているアトランタオリンピックボクシングフェザー級の金メダルボクサーのソムラック・カムシン以外のキャストは、褐色の肌に顔から手足までビッシリと刺青の入った本物の元囚人たち。

https://eiga.k-img.com/images/movie/89761/photo/040f252583e1e427/640.jpg?1542081714

画像出典元URL:http://eiga.com / 本物の元囚人のみなさん。超怖い

そんな彼らがタイ語でまくし立て、ゲラゲラ笑い、怒鳴り、命令してくるわけですよ。
もう超怖い!!((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタ

で、この作品は全てビリーの一人称で語られるので、彼がタイ語が理解できない序盤ではタイ語の翻訳が出ないんですね。
なので囚人たちが何を言ってるのか分からない。
つまり、観ているこっちもビリーの地獄を追体験させられる仕組みになっているのです。

なので冒頭、警察に踏み込まれたビリーは何を言われているのか分からないまま逮捕され、よく分からないまま刑務所に入れられるんですね。

刑務所は明らかに許容量をオーバーしてて、パンイチで半裸の刺青おじさんたちと折り重なるように眠らなきゃいけないわ、初日の夜にビリーの目の前で若くて大人しそうな囚人がレイプされ翌朝には首吊って死んだり、ケンカで死人が出るのも日常茶飯事で看守は賄賂を渡さないと何もしてくれない。

まさにこの世の地獄ですよ!

ビリー・ムーアという男

ではなぜ、このビリー・ムーアという男がタイに渡って刑務所に入るハメになったのかというと、リバプールの貧しい育ちの彼は父親からずっと虐待を受けていて、そのため若くしてドラッグや犯罪に染まり刑務所に出入りを繰り返します。

その後一旦はリハビリを受けて麻薬を絶ち、ボクサー・スタントマンとしてやっていこうと2005年にタイに渡ったものの、再び麻薬や犯罪に再び手を染める様になってチェンマイの刑務所に入れられるまで堕ちてしまうんですね。

その辺の詳しい生い立ちについては劇中では殆ど語られないんですが、本作で起こっていることはほぼ彼が実際に経験したことなのです。

そんなこんなで、刑務所に入れられた彼は最初は言葉も分からず翻弄されているんですが、やがて少し言葉や刑務所内のルールが分かってくるようになると、再び麻薬に手を染めるようになります。

そして、遂には麻薬欲しさに振るいたくもない暴力を憎くもない相手に振るうハメになり、自己嫌悪の末に自ら命を絶とうとするまでに追い詰められるんですね。

蜘蛛の糸

そもそも、ビリーは刑務所に入る前からずっと地獄の中にいたようなもので、そこから逃げようとしてはより深い地獄に堕ちて、行き着いたのがタイの刑務所というある意味究極の地獄。

しかし、そんな彼にも何度か救いの手が差し伸べられます。
それは所内の売店で働くレディーボーイ(ニューハーフ)の歌、ビリーと同じムエタイジムに所属していた少年の言葉、そしてムエタイと刑務所内のムエタイチームです。

https://eiga.k-img.com/images/movie/89761/photo/dacce072b2cc368c/640.jpg?1542081714

画像出典元URL:http://eiga.com / ビリーと好い仲になるレディーボーイの人(多分本物)

「このままではいけない」と一念発起してチームに所属しムエタイに打ち込むことで、目の前の地獄から逃げ続け、人に心を開けなかったビリーの心情に少しづつ変化が起こり、やがてチームメイトに心を開くようになっていくんですね。

そして、彼はタイ刑務所のムエタイ全国大会に出場するまでになるんですが――。と、ここから先は是非映画を見てください。

で、僕はこの映画を観ながら、何故か芥川龍之介蜘蛛の糸」を思い出したんですよね。

地獄に落とされるも生前一度だけ善行を行ったカンダタという男に、お釈迦様が一本の蜘蛛の糸を垂らすという話。

ビリーに何度か差し伸べられる救いの描写は、もちろん色んな映画で描かれるよくある描写ではあるんだけど、仏教的というかどこか東洋思想的なニュアンスがあるなーと。

まぁ、舞台が仏教国のタイってのもあるのかもですけども。

アート映画的な映像

本作は主人公ビリーの一人称視点で描かれた作品で、例えば前述したようにビリーがタイ語を分からない時はタイ語に字幕が入らないし、映画自体ハンディカメラでビリーに極端に寄った画が続きます。

普通、格闘シーンではある程度引きの画を入れて、主人公と相手の位置関係や動きを観客が分かるようにすると思うんですけど、本作はそんなのお構いなしでカメラがビリーに寄っていて、なのでほぼほぼバストアップの画ばかり。

https://eiga.k-img.com/images/movie/89761/photo/47d5c048a951cb8c/640.jpg?1539747672

画像出典元URL:http://eiga.com

その代わり、ビリーの息遣いや唸り声を耳元で聞いているような錯覚を受けるんですね。

それは、観る側にビリーの追体験をさせるという意図の他に、彼の視野をカメラで表現しているみたいなんですね。

いつも自分のことで精一杯のビリーの狭い視界をハンディーカメラの極端な寄りのショットで表現しているわけです。

その試みは映画全体を歪で息が詰まるくらい狭っ苦しくする一方で、ビリーから見える“セカイ”を映像化した独特な空気感の作品にしているのではないかと思いました。

ちなみに、ラストで登場するヒゲ面の男性はビリー・ムーア本人だそうで、それを頭に入れて本作を観ると(メタ的な意味で)ラストシーンの観え方が変わってくるかもしれませんね。

興味のある方は是非!!

 

▼よかったらポチっとお願いします▼


映画レビューランキング

女007を目指すも…「蜘蛛の巣を払う女」 (2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、大ヒットした北欧ミステリー「ミレニアム」シリーズの1作目を映画化した同名作品をデヴィッド・フィンチャーがリメイクした「ドラゴン・タトゥーの女」の続編『蜘蛛の巣を払う女』ですよー!

今回、フィンチャーは製作総指揮に回り、「ドント・ブリーズ」のフェデ・アルバレスがメガホンを取ったそうです。

https://eiga.k-img.com/images/movie/89322/photo/a85a642cc7757d84.jpg?1541125288

画像出典元URL:http://eiga.com

概要

ベストセラー小説「ミレニアム」シリーズの第1部を映画化した『ドラゴン・タトゥーの女』のヒロイン・リスベットの過去を解き明かすミステリー。『ドント・ブリーズ』などのフェデ・アルバレスを監督に迎え、前作の監督だったデヴィッド・フィンチャーが製作総指揮に回った。リスベットを演じるのは『ミスティック・アイズ』などのクレア・フォイシルヴィア・フークス、スヴェリル・グドナソンらが共演。(シネマトゥディより引用)

感想

三代目リスベット

この作品の原作となったのは小説版「ミレニアム」シリーズ4作目となる同名小説。
前3作の作者スティーグ・ラーソンが急死し、本作を ラーソンに託されたデヴィッド・ラーゲルクランツが執筆したらしいんですね。

前3作はスウェーデンで映画化されて大ヒット。
その後、第一作の「ドラゴン・タトゥーの女」がデヴィッド・フィンチャー監督でハリウッドリメイクされ、こちらも大ヒットとなります。

スウェーデン版「ミレニアム」三部作でリスベットを「セブン・シスターズ」でも知られるノオミ・ラパスが。フィンチャー版「ドラゴン・タトゥーの女」でリスベットを演じたのが、ルーニー・マーラが演じ、それぞれリスベットの違う魅力を引き出していました。

本作はフィンチャー版「ドラゴン~」の続編として製作され、イギリス人女優のクレア・フォイ“三代目リスベット”を演じているんですね。

ノオミ・ラパスはリスベットというキャラクターの激情を、ルーニー・マーラはクールな中にある純情をかすかに見せ、どちらも観客にリスベットというキャラクターを印象づけました。

対して、本作でクレア・フォイが演じたリスベットは、一言で言うなら普通
外見的には先代2人のリスベットを踏襲しているし、天才ハッカーとしての腕だけでなく、本作では007ばりの格闘アクションも見せてるんですが、ピンチになれば苦しい表情を見せ、双子の妹相手に怯えた表情も見せる。

https://eiga.k-img.com/images/movie/89322/photo/01691057a604f8c5/640.jpg?1544499175

画像出典元URL:http://eiga.com

前作でルーニー・マーラが演じたサイコパスギリギリのエキセントリックさや、ノオミ・ラパスの燃えるような怒りはなく、三人の中で一番人間らしいんだけど何か物足りないんですよねー

まぁ、初めてリスベットを視覚化したノオミ・ラパスや強烈なビジュアルイメージを植え付けたルーニー・マーラの後だから、演じる幅が少なくなっちゃってる部分もあるかもですが。

女007を目指すも…

本作のストーリーをざっくり紹介すると、依頼を受け女性を虐待する男を次々に天誅を加える天才ハッカーのリスベット(クレア・フォイ)は、人工知能研究の権威バルデル博士からある依頼を受けます。

 

https://eiga.k-img.com/images/movie/89322/photo/b06fa4da19d0cbec/640.jpg?1542707572

画像出典元URL:http://eiga.com

彼自身が開発した核攻撃プログラムをアメリカ国家安全保障局から取り戻すというもので、彼女はその以来を難なく達成するもプログラムを狙う謎の組織に襲撃を受けます。
その謎の組織のボスは生き別れた双子のカミラ(シルヴィア・フークス)で、カミラはリスベットへの復讐のために様々な罠を仕掛け、リスベットをピンチに陥れていく。というストーリー。

序盤の回想で子供時代の二人がチェスで対戦するシーンがあって、本作は二人の天才同士の頭脳戦を描いているのです。
なので、先手を打って彼女に罠を仕掛けていくカミラと、その罠を次々に破っていくリスベットの攻防が見所なわけですが、正直リスベットの脇が甘すぎて天才同士の息詰まる攻防に見えないんですよね。

https://eiga.k-img.com/images/movie/89322/photo/2008e17c47aefcf2/640.jpg?1542707572

画像出典元URL:http://eiga.com

また映画化に当たってアクションシーンを大幅に増量したらしく、その結果女007的な作品になってるんですね。
まぁ、製作総指揮のフィンチャーは「ドラゴン~」でも007をやりたかったみたいなので、その続編である本作の方向性としては合ってるんでしょうけど、「ミレニアム」シリーズとしても「ドラゴン~」の続編としても、“コレじゃない感”がスゴイんですよねー。

核プログラムもそれ自体はマクガフィン(ストーリーを展開させるための道具)でしかなく、アクション増量のおかげでリスベットとカミラの因縁や確執も掘り下げ不足で浅い物語に。

さらに原作ではそれまでのミレニアム3部作を踏まえて書かれた本作が、この映画版では「ドラゴン~」から直結した続編になっちゃってるので、リスベットのが過去はなくなって外見だけを真似た別物になってるし、ミレニアム2・3でのミカエルやその仲間との共闘もなかった事にされて、その代わりにアメリカ人にいいとこ持っていかれる始末。まぁ、確かにあのクライマックスの逆転シーンはアガりましたけどね。

でも、それは別の映画やキャラクターでも成立しちゃうので、わざわざスウェーデンである必要もリスベットである必然性もないんですよね。

悪い意味でハリウッドナイズされちゃったというか、ミレニアム3部作やリスベットというキャラクターの本質がなくなってしまったみたいな。

ダニエル・クレイグ版の007は、3作かけてジェームズ・ボンドに過去を描くことで彼に質量を与えたのに、その逆をやってどうすんだって感じですよ。

ただ、これは僕がミレニアム3部作を観てるからそう感じるだけで、フィンチャー版「ドラゴン~」から本作を観た人は違った感想になるかもですけどね。

興味のある方は是非!

 

▼よかったらポチっとお願いします▼


映画レビューランキング

 

▼関連作品感想リンク▼

aozprapurasu.hatenablog.com

aozprapurasu.hatenablog.com

aozprapurasu.hatenablog.com

aozprapurasu.hatenablog.com

可もなく不可もなく「メン・イン・ブラック:インターナショナル 」(2019)

ぷらすです。

メン・イン・ブラック」シリーズ第4作『メン・イン・ブラック:インターナショナル 』を観てきました!

本作では「クリード」シリーズや「アベンジャーズ:エンドゲーム」にも出演しているテッサ・トンプソンと、クリス四天王の一人であるクリス・ヘムズワースの2人がバディを組むということで、個人的にかなり期待していたんですよねー。

今回はまだ劇場公開中の作品なので、出来るだけネタバレはしないように書きますが、これから本作を観に行く人や、ネタバレは絶対に嫌! という人は映画を観てからこの感想を読んでくださいね。

いいですね? 注意しましたよ?

https://eiga.k-img.com/images/movie/90466/photo/22a6cb96dcae8167.jpg?1559700966

画像出典元URL:http://eiga.com

概要

地球に潜む宇宙人を監視するエージェントたちの活躍を描いた『メン・イン・ブラック』シリーズの第4弾。敏腕だがいいかげんなHとエリート新人Mのコンビが、地球に迫る危機に挑む。監督は『ストレイト・アウタ・コンプトン』などのF・ゲイリー・グレイ。HとMを、『アベンジャーズ』シリーズなどのソー役でおなじみのクリス・ヘムズワース、『クリード』シリーズなどのテッサ・トンプソンが演じる。(シネマトゥディより引用)

感想

ソウとヴァルキルマーの「アベンジャーズ」コンビが共演

ウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズがコンビを組んで、地球に潜む宇宙人を監視するエージェントたちの活躍を描いた「メン・イン・ブラック」シリーズ7年ぶりの新作はキャストを総入れ替え。続編というよりは世界観を同じにしたリブート作という感じです。

これまでウィル・スミスが演じていた役どころをテッサ・トンプソンが、トミー・リー・ジョーンズが演じていた先輩役をクリス・ヘムズワースがそれぞれ演じているんですね。

https://eiga.k-img.com/images/movie/90466/photo/f4342801127e48c4/640.jpg?1552873222

画像出典元URL:http://eiga.com

クリス・ヘムズワーステッサ・トンプソンといえば「マイティー・ソー:バトルロイヤル」「アベンジャーズ:エンドゲーム」で、マイティー・ソーとヴァルキルマーとして共演している間柄。

MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)ファンとしては、否が応にも期待が高まってしまうわけですが、先に感想を一言で言うとビックリするくらい「可もなく不可もなく」って感じでしたねー。

何ていうかこう、見るに堪えないほどつまらなくはないが、決して諸手を挙げて喜ぶほど面白くもないっていう。

ざっくりストーリー紹介

子供の頃に偶然エイリアンとMIBエージェントを目撃したモーリーは、周囲におかしな目で見られながらエイリアンやMIBを調査し続け、ある日ついにMIBのアメリ支部を突き止めたことでエージェント見習いに。

見習いエージェントMとなった彼女(テッサ・トンプソン)は上司のエージェントO(エマ・トンプソン)からロンドン行きを命じられ、ロンドン支部で出会った先輩エージェントH(クリス・ヘムズワース)と共に、MIBに潜むスパイと宇宙人から地球を守るミッションに挑む。というストーリー。

内容は、↑のあらすじを読んだ人が「こんな感じの映画かな?」と想像したそのままで、それ以上の事もそれ以下の事も起こらない。
コイツがスパイなんだろうなー」と思うとその通りになるから、クライマックスのネタばらしのシーンでも「でしょうね!」としか思わないのです。

だから特に驚きもなく、感動もなく、ワクワク・ハラハラもしないんですよ。
全てが予定調和というか、観客を驚かせようとか新しいモノを作ろうみたいな気概は一切感じられませんでした。

現場でのゴタゴタ

そこには制作現場でのゴタゴタが少なからず影響しているのかもしれません。
ウィキペディアによれば、アート・マーカムとマット・ホロウェイによる初期段階の脚本には移民問題への提起が含まれて時事問題に沿うエッジの効いた内容だったそうです。

クリス・ヘムズワーステッサ・トンプソンもその脚本を気に入り役を受けたらしいんですが、制作のウォルター・F・パークスが脚本・撮影・編集に手を出しまくり、意見が対立したF・ゲイリー・グレイ監督は何度も降板しようとしたらしいんですね。

それもあってか本作を観ていると無難に仕上げている感がスゴイんです。
「新作作りましょう→主役のエージェントを女性に変えましょう→先輩のエージェントをコメディー・リリーフにしましょう→オマージュやパロディを沢山入れましょう」と、今の映画界の流行に全力で乗っていくスタイル。

もちろん、主役が女性でも先輩がコメディー・リリーフでも面白ければ何だっていいんですけど、(少なくとも本作は)それらに「前3作とは違う切り口で」以外の意図以外の、物語的意図やメッセージなどの必然性は特にないんですよねー。

上滑りする笑い

クリヘムといえば、メインキャラを女性に変えたリブート版「ゴースト・バスターズ」でもコメディ・リリーフとして登場しているし、彼が演じるマイティー・ソーもMCUの中ではコメディ・リリーフ的な役どころでしたよね。

ただ「ゴースト・バスターズ」では、メインの女性たちが実力派のコメディアンヌ揃いだったし、「マイティー・ソー:バトルロイヤル」では監督のタイカ・ワイティティが積極的にアドリブを取り入れてたし、ロキ役のトム・ヒドルストンやハルク役のマーク・ラファロといった芸達者な役者との絡みもありましたしね。

https://eiga.k-img.com/images/movie/90466/photo/f30cbfa189199159/640.jpg?1556177544

画像出典元URL:http://eiga.com

対して本作でのコメディー・リリーフはほぼクリヘム一人きり。

セルフオマージュやパロディ・ギャグシーンなどは尽く上滑りしてるし、肝心のクリヘムもやる気があまり見えなくて言われた通り無難にこなしてる印象。

笑いとカッコ良さのどちらにも振り切れず、中途半端に終わっちゃった気がしました。

 

ルックはいい

ただ映画全体のルックは悪くないのですよね。例えば公用車から対エイリアン用の兵器を取り出すシーンとか地下鉄が変形するシーンとか。

https://eiga.k-img.com/images/movie/90466/photo/7662dda090610e65/640.jpg?1549442904

画像出典元URL:http://eiga.com

あと、テッサ・トンプソンのブラックスーツにサングラスのMIB姿もキマっててカッコイイしクリヘムとのバランスもいい。だから内容的にはアレでも観てる間は楽しると思います。

ところどころで、最初の「MIB」を観たときのワクワク感を思い出すシーンもあったりしますしね。(この映画がワクワクするわけではないけど)

 興味のある方は是非!

 

▼よかったらポチっとお願いします▼


映画レビューランキング

 

▼関連作品感想リンク▼

aozprapurasu.hatenablog.com

aozprapurasu.hatenablog.com

 

 

いつも通りのニコラスだった「トゥ・ヘル」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、またまたニコラス・ケイジ主演の『トゥ・ヘル』ですよー!
昨年11月から「オレの獲物はビンラディン」「マッド・ダディ」「マンディ 地獄のロード・ウォリアー」と観てきて、そして本作。

我ながら、どんだけニコラス・ケイジ好きなんだよ俺!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ って思いましたよw

https://eiga.k-img.com/images/movie/90437/photo/b8b4909fe10ac835.jpg?1544752497

画像出典元URL:http://eiga.com

概要

リービング・ラスベガス』などのニコラス・ケイジが主演を務めたスリラー。死者の世界から戻ってきた妻に翻弄(ほんろう)される男の姿を映し出す。不思議な能力を持つ女性を『ディア マイ ファーザー』などのフランカ・ポテンテ、主人公の亡き妻の魂が乗り移る女性を『サバイバル・ドライブ』などのペネロープ・ミッチェルが演じる。マリア・プレラが監督と脚本を担当した。(シネマトゥデイより引用)

感想

いつも通りのニコラス

ニコラス・ケイジ主演作の枕でいっつも同じことを書いてる気がしますが、近年のニコラス作品は日本だと劇公開されることはほぼなくて、大体ビデオスルーのB級作品ばかり。(前述した3本も全部そう)

ただ、「オレの獲物はビンラディン」「マッド・ダディ」の2本は個人的に中々面白かったし、“ブチギレ面白おじさん”というニコラス・ケイジの新たな方向性が見えてきたのでは? なんて思ったりしたんですよ。

一方で近年の作品のニコラス・ケイジって、どの作品観ても似たような感じに見えちゃうんですよね。
ニコラスのアクが強すぎて映画を食っちゃうというか、「俺の獲物は~」みたいにニコラスの演技やキャラクターを“映画の中心”に持ってこないと上手くハマらないというか。

じゃぁ本作はどうかというと…やっぱりいつも通りのニコラス・ケイジっていう印象でしたねー。

ざっくりストーリー紹介

火事で妻子を亡くした辛さから立ち直れず、自堕落で借金まみれのトラック運転手ジョー(ニコラス・ケイジ)は、配達の途中で立ち寄ったスタンドのトイレで首を占められている女性ジュリー(フランカ・ポテンテ)を助けます。

実はジュリーには窒息状態になると幽体離脱できる特技があって、バイク事故で瀕死の娘ビリー(ペネロープ・ミッチェル)を救うため首を絞めてもらってたと言うんですね。

そしてジョーがジュリーを病院まで連れて行くとビリーの様態が急変。

https://eiga.k-img.com/images/movie/90437/photo/7a19e1c1b5277474/640.jpg?1544752984

画像出典元URL:http://eiga.com / 首を締められることで死後の世界に干渉出来るジュリー(フランカ・ポテンテ)

ジュリーはジョーに首を絞めてもらい、ビリーの魂を肉体に戻す事に成功したと思ったんですが、ビリーの肉体に入っていたのはジョーの亡妻メアリーだった。

というストーリー。

つまり彼氏の元嫁に娘(美人)の身体を乗っ取られて、さらに彼氏を寝取られたので、元嫁を娘の身体から追い出そうとしている母親と、今カノの娘だけど中身は元嫁と謎プレイでウハウハ? な男の物語なんですね。

ちなみに「トゥ・ヘル」は邦題で、原題は「BETWEEN WORLDS(世界の間)」
監督・脚本は新人のマリア・プレラ。
ジョー役のニコラス・ケイジは「ジョー役には彼しか考えられない!」というマリア・プレラ直々の指名だったそうですよ。

ニコラス ヤリまくり映画

この設定から「これは僕の大好きな“お祓い映画”か!?」と期待してレンタルしてきたんですが、蓋を開ければニコラス・ケイジフランカ・ポテンテとペネロープ・ミッチェルを相手にヤリまくる映画でしたよ。

首を締められて臨死状態になると死後の世界に干渉?出来る能力を持つジュリーと偶然出会ったジョーは二人で娘を救ったその夜、すぐさま恋人になってジュリーの家のソファーで野獣のようなHをかまします。

その後二人は、娘の悪い友達から取り上げたハッパでハイになりながらイチャコラしまくり、退院して家に戻ったビリー(中身はメアリー)はジョーにわざと裸を見せつけたり、一緒にテレビを見ながらハンドをシェイクしたり、「実はあたしメアリーなのよん」と明かしてからはジュリーが出かけている隙を狙ってエロ本?を朗読しながらHするという謎のプレイに興じたりと、ジョーにとってはヘルというよりヘブン状態

https://eiga.k-img.com/images/movie/90437/photo/2a44cb262183cea4/640.jpg?1544752985

画像出典元URL:http://eiga.com /体は娘、心は元嫁のビリー/メアリー(ペネロープ・ミッチェル)

しかし悪いことは続かず、娘(元嫁)との読書プレイを今カノ(母親)に見つかったジョーは、ジュリーを追いかけて事情を説明するんですが、そこでなぜかブリーフ(というかビキニパンツ?)姿のニコラスのニコラスにズームするという謎のカメラワークを見せるんですよね。

なんでだよ。

っていうか、ニコラスここ最近の作品でTシャツブリーフ姿を見せてるど、マイブームなの?

で、その後メアリーがジュリーをぶん殴って気絶させたり、“ビリー”の友達をぶっ殺してお金を奪って逃げたり。

https://eiga.k-img.com/images/movie/90437/photo/85576fb9c69c1777/640.jpg?1544752984

画像出典元URL:http://eiga.com /今回はバットでボーン!

元嫁のメアリーは生前からかなりのメンヘラだったようで、クライマックスで真実を知ったジョーは、文字通り地獄へ真っ逆さまというわけなんですが……結局どういうこと?っていうね。

さらに、エンディングのあとにジョーの回想シーンが入ることで、ただでさえ何が言いたいのかよく分からない映画が、さっぱり分からなくなるんですよねー。

まぁ、別に分からなくてもいいか

監督脚本のマリア・プレラはリンチやキューブリックペドロ・アルモドバルの「キカ」が好きらしいんですが、言われてみれば冒頭のシーンなんかはリンチの「ツイン・ピークス」っぽい?し、クライマックスはどことなくキューブリックの「シャイニング」を連想させなくもない感じだったかも。(「キカ」は観た事がないので分からないですが)

まぁ、基本的にはニコラス・ケイジを愛でる以上の何かは僕には見い出せなかったですねー。

興味のある方は是非!

 

▼よかったらポチっとお願いします▼


映画レビューランキング

 

▼関連作品感想リンク▼

aozprapurasu.hatenablog.com

aozprapurasu.hatenablog.com

aozprapurasu.hatenablog.com