今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

ナチスxゾンビ「オーヴァーロード」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、今年公開される「スターウォーズ:スカイウォーカーの夜明け」でメガホンを取ったJ・J・エイブラムスが制作を務めたホラー?映画『オーヴァーロード』ですよー!

ナチスxゾンビ」っていうボンクラ映画ファンの大好物なB級ネタを、予算を掛けてガチで作ったヤツです。

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概要

ノルマンディー上陸作戦開始直後のフランスで、アメリカ軍が未知の敵と戦うサバイバルアクション。数々の話題作に携ってきたJ・J・エイブラムスが製作を務め、『ガンズ&ゴールド』などのジュリアス・エイヴァリーがメガホンを取った。『フェンス』などのジョヴァン・アデポ、『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』などのワイアット・ラッセル、『ある戦争』などのピルー・アスベックらが出演。(シネマトゥディより引用)

感想

ナチス伝奇もの

西洋映画界でヒットラーナチスといえば、2019年の今でも、数多くの映画で引っ張りだこという、まさにKING・OF・THE・悪役

真面目な戦争映画や実録ものだけでなく、70年代にはエログロ系低予算エクスプロイテーション映画「ナチ女収容所/悪魔の生体実験」シリーズとか、近年だとタランティーノ監督のユダヤエクスプロイテーション映画「イングロリアス・バスターズ」とか、あとMCUシリーズに登場する「ヒドラ」も、宇宙戦艦ヤマトデスラー総統率いる「ガミラス」も、仮面ライダーの敵「ショッカー」も、ガンダムの「ジオン軍」だって、全部ナチスがモデルになっていて、言い方は悪いですけど非常に汎用性の高い悪役として、各ジャンルで重宝されているんですよね。

その理由は大きく2つ。
1つは戦時中ナチスが行ったホロコーストという悪逆非道な行い
もう1つは、大戦後期にナチス(というかヒトラー)がオカルト主義に傾倒していたという史実です。

このナチスのオカルトへの傾倒は、SFやホラー、ファンタジーなど様々なジャンル映画に、いわゆるナチス“伝奇もの”として引用されてるんですね。

例えばアメコミヒーローの「ヘル・ボーイ」なんかは大戦末期にナチスに召喚された悪魔だったりしますしね。

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そしてホラー映画業界でもナチスが登場する作品は沢山あったりします。
その多くは、劇場公開されてないけどDVDスルーとしてレンタル店の棚に並んでいるようないわゆる安物B級ホラーで、近年だと人気のゾンビものとナチスをクロスオーバーさせた作品も多々あるんですよね。

そのほとんどは、ナチスが不死のゾンビ兵士を作る(作っていた)のを主人公が発見するというストーリーですけどもw

ナチスxゾンビもの

で、そんなナチスxゾンビものB級ホラーを予算をかけてガチで作ったのが、みんな大好きJ・J・エイブラムス

この人はかなりの映画オタクで、特にスピルバーグが大好きなんですね。

スーパー8」はモロにスピルバーグだったし、制作を務めた「クローバーフィールド」は怪獣映画。

トム・クルーズ主演の「ミッション:インポッシブル」3を監督(以降の作品では製作)。
スタートレック」新劇場版2作で監督。
さらにスターウォーズ」続三部作では製作総指揮と、7・9で監督も努めてます。

まさに全てのオタクドリームを叶えた男で、同じ映画オタクでもタランティーノとはベクトルが違うというか、タランティーノが(興味の範囲が広い)サブカル寄りなのに対し、JJは(SFなどのジャンル映画に特化した)モロにオタクってうイメージ。

そんなJJが「ガンズ&ゴールド」などのジュリアス・エイヴァリー監督で制作したナチスxゾンビホラーが本作「オーヴァーロード」なのです。

ジャンル横断ムービー

本作の舞台は、ノルマンディー上陸作戦直後のフランス・シエルブラン
心優しい新米兵士ボイス(ジョヴァン・アデポ)が所属する落下傘部隊は、ナチスが教会に建てた通信アンテナ破壊の任務のため現地に向かうが、到着直前、ナチスの対空砲が飛行機に被弾。ボイスらは間一髪降下に成功するも仲間の多くは死亡、生き残りもナチス占領下のど真ん中でバラバラになってしまうんですね。

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そんな中、ボイスはヨーロッパ戦線を生き延びたルイス・フォード伍長(ワイアット・ラッセル)、チェイス(イアン・デ・カーステッカー)ティベット(ジョン・マガロ)と合流。

4人は任務遂行のため現地に向かうも、件の教会地下室ではナチスが不死の兵士を作り出す為の、恐ろしい生体実験を行っていた。

というストーリー。

ちなみに、ルイス・フォード伍長を演じたワイアット・ラッセルは、あのカート・ラッセルの息子さんなのだそうですね。

ここ数年、“ノルマンディー上陸作戦”を描いた大作映画が次々公開されていて、本作もアバンタイトルから序盤にかけては、その流れの作品なのかな?と思わせる作りなんですが、ナチスが占領しているフランスの村にボイスたちが潜入。村民のクロエ(マティルド・オルヴィエ)の家に匿われたボイスが、奥の部屋で不気味な唸り声を上げているクロエの叔母の姿を見るあたりから、物語のテイストが変わっていくんですよね。

僕は本作が“普通の戦争映画”ではない事を事前に知っていたから「お、キタキタ!」と思いましたけど、事前情報なしで観た人はビックリしたかもしれませんw

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で、色々あってウッカリ教会に潜入しちゃったボイスは、ナチスのゾンビ製造人体実験を目撃、ついでに捕まってた親友とクロエの家に生還というホラーパートを経て、最終的にはヤバい注射で自らをゾンビ化したナチス将校と対決というSF?アクション映画へと変わっていくんですねー。まさにジャンル横断ムービー。

その合間にも、古き良き70年代ハリウッド戦争映画的シークエンスが盛り込まれていて、怖がればいいのか、感動すればいいのか、燃えればいいのか、一体どんな気持ちでこの映画を観ればいいのか分からないっていうねw

 まぁ、ビデオスルーのB級ホラー映画でよく観るようなヤツを、予算をかけてガチで作るっていうのは、ルーカスやスピルバーグ大好きなJJらしいと言えるかもですが。

オマージュも盛りだくさん

そんな本作、JJか、それともジュリアス・エイヴァリー監督の趣味かは分かりませんが、とにかくオマージュが盛りだくさん。

冒頭のアバンタイトルの飛行機が撃墜される件なんかは「プライベートライアン」以降の戦争映画を連想させるし、タイトルロゴは(映画名は分からないけど)70年代戦争映画っぽい。

クロエの家にナチ将校が来てのバレるかバレないかサスペンスはタランティーノっぽいかな?

一方、ナチスが人体実験を行う地下施設や、ゾンビ造形、爆発シーンなどは、極力CGを使わず実際にセットを組み、特殊メイクとSFXを多用することで、80年代ホラー的な画作りになっているんですよね。

つまりノスタルジックというか、僕みたいなオッサンが「子供の頃に観てワクワクハラハラドキドキした映画体験」を想起させる作りになってるのです。

それでいて、全体のテンポや構成はちゃんと今風にアップデートされているので、若い観客も楽しめるのではないかと。

もちろんゾンビものなのでグロシーンも結構ありますが、個人的にはアトラクション的というか、血もそんなに出ないしSFXならではの作り物感やアクション要素が強いので、そこまでグロい印象は受けませんでしたよ。(僕がゾンビものに慣れすぎなのかもですがw)

個人的にナチスxゾンビというボンクラ設定は大好物だし、上映時間も110分と丁度いい長さで、サクっと楽しめる映画でした。

興味のある方は是非!!

 

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“ザム”三部作一応の決着「HiGH&LOW THE MOVIE 3 FINAL MISSION」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ハイロー劇場版4作目『HiGH&LOW THE MOVIE 3 FINAL MISSION』ですよー!

またかよって思われるかもですが、またです

九龍グループvsSWORDメンバーの最終決戦を描いた本作。
果たして勝つのは九龍か、SWORDか。

多分、興味ない人が大多数とは思いますが、気にせずこの熱い思いを書き散らしていきますよー!

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概要

EXILE TRIBE を中心にテレビドラマ、配信、映画などさまざまな展開を見せるプロジェクト「HiGH&LOW」の映画シリーズ。九龍グループの力によって壊滅の危機にさらされたSWORDのメンバーや雨宮兄弟らが、九龍グループとの最後の闘いに挑むさまを活写する。AKIRAやTAKAHIRO、窪田正孝林遣都津川雅彦岸谷五朗、YOU、小泉今日子飯島直子らが集結。前作に続いて久保茂昭と中茎強がメガホンを取る。(シネマトゥディより引用)

感想

~THEMOVIE三部作、一応の完結編

というわけで、前作でついに九龍グループとSWORDメンバーの全面戦争に発展した本シリーズ。

実はこの作品、前作で終わりの予定が尺が伸びて入りきらなかったので、二部作に分けたらしいんですね。

なので、1作目や前作のような、度肝を抜かれるアクションは少なめで、広げた風呂敷を畳むためドラマパートがメインになっていて、なので物語としてはわかりやすいんだけど、“ハイローシリーズ”としては正直物足りなさが残ってしまう結末に。

っていうか、前作の感想でも書いたようにハイローって各キャラクターやアクションのカッコよさを観せる映画で、ドラマはその為のブリッジ(繋ぎ)に過ぎないのに、そっちが多くなって、肝心のSWORDメンバーの見せ場が減ってしまうのは、ハイローの魅力が減ってしまうのとイコールだと思うんですよね。

しかも肝心の物語の方は、相変わらずアレですしね。(´ε`;)ウーン…

ざっくりストーリー紹介

前作ラストで、ついに九龍グループとの全面戦争に発展したSWORDメンバー。
しかし、九龍グループの攻撃は凄まじく、SWORDはその大きな暴力の前に次々と倒れていく。

そんなメンバーを守るため、山王連合会リーダーのコブラは、九龍グループの一角「克也会」会長に単身殴り込みをかけるも、逆に捕らえられ拷問にかけられてしまう。

一方、前作ラストで九龍に狙撃された琥珀さん、九十九、雨宮兄弟は、西郷刑事から今回のカジノ計画の裏にある、政府の巨大な陰謀を聞かされ、その証拠を集めるミッションに挑む。

その道すがら九龍暗殺部隊に生コンを飲まされたコブラをサクッと救出した琥珀&九十九は、そのままSWORDメンバーと合流。

無名街の地下に隠された証拠資料&証人&被害者を探し、政府と九龍の陰謀を白日の元に晒し、今度こそ九龍グループを壊滅&カジノ計画撲滅というミッションに挑む。しかし、世界各国のメディアを集めて行われる、再開発のための「無名街爆破セレモニー」までの時間はわずか。

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画像出典元URL:http://eiga.com / RUDE BOYSリーダーのスモーキー

果たしてSWORDメンバーは“最後のミッション”を達成することが出来るのか!?というストーリー。

相変わらずツッコミどころしかないストーリー

ちなみに、その新事実っていうのは、政府が支援していた製薬会社の新薬にヤバい副作用があって、しかも毒性の強い工業廃棄物が湖に流れだしたので湖を埋め立てたのが、現在の「無名街(RUDE BOYSの縄張り)」でした。っていうね。

でもね、最後の最後に新事実とか出されても…っていうのが正直なところではあるんですよね。

しかも、その証拠となる極秘資料は無名街にある工場跡地の地下に置きっぱなしっていう。それくらいは事前に押収しておこうよ。政府の脇が甘すぎるよ!

さらにRUDE BOYSリーダーのスモーキーの病気はこの公害が原因だったとかね。(もしかしたらドラマ版でその辺は触れてたのかな?)

っていうか、だったら前作の九龍グループと政府の繋がりを記録したUSB云々の件はまるごといらないよねっていう。

それを省いたら、前作に収まったんじゃないかって思ったりしました。

あと、例えばコブラが単身殴り込みをかけてとっ捕まるシーンも、画的には超カッコイイんですが、その前のシーンでコブラは「俺たちの街に誘い込めば勝てる」みたいな事を言ってて、実際作戦は成功してるんですよね。
それが何でイキナリ単身乗り込んだのかっていう描写がないから、んん??ってなるし、拷問を受けて危機一髪っていうシーンでも、特に琥珀さんがコブラを探す手がかりを見つける描写もなく、サクッと乗り込んで助けちゃうので、盛り上がりに欠けるとか。(あと、生コン飲んでるのにコブラは平気だったり)

で、その際たるシーンが、無名街爆破セレモニーで、無名街に乗り込んだ山王連合会のメンバーが、爆弾の“受信機”(離れた会場から起爆スイッチを押すシステムらしい)を見つけて、数本のコードのどれを切るか切らないかみたいな、100万回見た件があるんですけど、いや、まって? 別に時限爆弾じゃないし、ただの受信機なんだからコード全部切っちゃえば良くね? っていう。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 邦画とは思えない大迫力の爆破シーン

100歩譲って、間違ったコードを切ったら爆弾が爆発するという設定だとして、セレモニー会場でスイッチが押され、1回目の爆発(なぜか2回に分けられてる)が起きたとき、彼らはまだ線を切ってないんですよね。

切れや!!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

とまぁ、必要な描写はないけどいらん描写はたっぷりあるでお馴染みのハイローらしいっちゃらしい展開。

それでも、これまではそういうストーリーの粗を補って余りある日本離れしたスケールのアクションがてんこ盛りだったから良かったんですが、本作は風呂敷を畳むためにアクションを減らしたことで、このストーリー上の粗が悪目立ちする形になっちゃったんですよねー。

結局、九龍とSWORDの戦いも有耶無耶でしたしね。

良かったところ

とはいえ、今回少なめとはいえ画面やアクションシーンは、相変わらずカッコイイんですよね。

今や邦画ではほぼ観られないカーチェイスも凄いし、前作のクライマックスでは廃駅で行われた広い空間での大乱闘に対し、本作は狭いビルの中での高低差を利用したアクションをメインに構築してるのも良かったです。

あと、本作の白眉はクライマックスでの達磨一家リーダー日向の登場シーン。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 達磨一家リーダーの日向は車のボンネットが定位置

毎回なぜか座席じゃなくオープンカーのボンネットに乗っかって登場する彼ですが、なんと本作では片輪走行してる車のボンネットに乗って登場ですよ!

もはやカッコイイを通り越して大爆笑してしまいましたねーw

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画像出典元URL:http://eiga.com / 九龍の殺し屋源治は、ターミネーター松田優作を足して2で割ったようなカッコよさ。

前作から登場した、ターミネーターと「ブラックレイン」の松田優作を足して2で割ったような殺し屋の源治vs雨宮兄弟のアクションも良かったし、無名街に乗り込んだ笹野高史演じるヤクザが、カメラに向いて「シー」ってやると、BGMがストップする謎演出もちょっと面白かったです。

まぁ、これだけの登場人物にそれぞれ見せ場を作って一本の映画にするのは、なんだかんだ言っても凄いとは思うし、ハイロー劇場版はまだ続くので、この超絶アクションがまだ観られると思うと、ワクワクしますねー。

興味のある方は是非!!

 

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ナメてた映画が意外と面白かった「翔んで埼玉」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは昨年公開の話題作『翔んで埼玉』ですよー!

パタリロ」の原作者である魔夜峰央先生が、1982~83年に花とゆめで連載していたマンガが、何故か36年越しに実写映画化。
「なんで今頃!?」と思ったし、正直観る気もなかったんですがね。

先日友人が「一緒に観ようぜ!」って言ってくれたので観ることにしました。

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概要

人気コミック「パタリロ!」の作者である魔夜峰央の人気漫画を実写映画化。埼玉県民が東京都民から虐げられている架空の世界を舞台に、東京都知事の息子と埼玉出身の転校生の県境を超えたラブストーリーが展開する。『ヒミズ『私の男』などの二階堂ふみと『カーラヌカン』で主要人物を演じたミュージシャンのGACKTが主演を務める。『テルマエ・ロマエ』シリーズなどの武内英樹がメガホンを取った。(シネマトゥディより引用)

感想

なぜ、2018年の今なのか

本作が連載されてた1982年~83年といえば日本はバブル前夜。
まぁ好景気に老いも若いきも浮かれていた時代でしてね。

で、タモリさんがデビューしたのもこの頃で、当時DJをしていたオールナイトニッポンのコーナーで“さいたまんぞう”が歌う「なぜか埼玉」という曲を取り上げたのが始まり。さらに、当時原宿で流行した奇抜な衣装で踊る竹の子族ってのがいましてね。
その衣装が奇抜で垢抜けない。タモリさんはそれを「ダサい」と評し、しかも踊っている若者の多くが埼玉や千葉の子だったことから、「笑っていいとも」で「ダ埼玉」という言葉を頻繁に使って、それが流行語になっていったんだそうです。(Wikipediaより)

で、そこから派生して、千葉と茨城を合体させたチバラギなんかの流行語も生まれたりして、ある種の“地方イジリ”が流行ったわけですね。

今にして思えば結構ヒドイなーと思いますが、当時はそういうのもギャグとしてある程度は許容される空気があったんですよね。ほら、みんな浮かれてたし。

で、そこに目をつけたのが当時「パタリロ!」の大ヒットで売れに売れていた、自身も埼玉在住の魔夜峰央先生で、東京と埼玉を始めとした近隣県の格差を極端なデフォルメで描いた、本作の同名マンガが生まれたんですね。

しかし、それから30年以上も経った今になって、なぜこの「翔んで埼玉」が実写映画化されたのかといえば、テレビなどでご当地自慢やご当地対決(特に関東県)的な番組が制作されて人気なのが要因なんでしょうね。

80年代から時代が一周して、地方イジリや自虐ネタすらも、ある種の「ご当地自慢」として許容されるようになった事が、本作の制作に繋がったんだと思います。

マンガの世界観を完全再現

で、友人と本作を観た感想を一言で言うなら「ナメてた映画が想像以上に面白かった」って感じでしょうか。

成功の大きな要因は、徹底的にやりきってる感

本作では、二階堂ふみが男装して美少年壇ノ浦百美を、そんな彼が恋してしまう美青年麻実麗をリアル2.5次元アーティストのGACKTを配することで、荒唐無稽を通り越して、もはや素っ頓狂とも言える本作の世界観にある種の説得力を持たせています。

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画像出典元URL:http://eiga.com / GACKTを主役にキャスティングした時点でこの映画は“勝ち”なのです。

中世ヨーロッパの貴族みたいなあのギラギラな衣装や髪型も、同性愛(というか耽美)も、デフォルメにデフォルメを重ねた突拍子のない世界観も、全てを飲み込んでアリにしてしまう存在感がGACKTにはあるんですよねw

そんなGACKTの存在感を下支えしているのが、二階堂ふみ中尾彬京本政樹伊勢谷友介麿赤兒などGACKTに負けないクセの強さと確かな実力を併せ持つキャストの面々。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 伊勢谷友介のアクの強さは、こういう映画にはハマるんですよね

そんな彼らが、ある意味で異世界とも言える“カントウ”を舞台に大暴れし、その中にあるあるや、地方人抱える東京へのコンプレックスや反発心といった、普遍的な“ご当地マインド”を入れ込み現実との架橋にすることで、ファンタジーとして楽しめるけれど完全な他人事にはならないバランスを取っているんですよね。

そこは「テルマエロマエ」の武内英樹監督だけあって、見事なバランス感覚で原作の世界観を忠実に再現しつつ、未完に終わった原作に+αして、日本のエンターテイメント作品としてのカタルシスを持たせているのです。

あと、東京の会場に結納に向かう一家が、ラジオの都市伝説としてこの物語を聞いている(=ツッコミ役になっている)という作劇も上手いなって思いました。

とはいえ

とはいえ、基本物語は埼玉、千葉、茨城、群馬など関東県に集約されているので、それ以外の地域の人がどのくらい本作に乗れたのかな?という疑問は残るというか。

もちろん各県のライバル関係みたいなものはテレビで観ているから、知識としてはある程度分かってるつもりですが、関東圏の人ほど実感を持って楽しめるかと言うと(´ε`;)ウーン…と思ったり。

特に僕みたいに北海道の人間は、本州とは津軽海峡物理的に分断されてますからね。いわゆる隣県とのライバル関係みたいのは、感覚的にピンとこないんですよね。

なので「物語」としては楽しめるけど、感覚的な部分は登場キャラクターと共有出来てないのかもって思ったりしました。

まぁ、そもそも「ご当地映画」ってそういうものなんでしょうけども。

あとはエンディング曲ですよね。

なぜ、はなわなのかと。

いや、調べるてみると生まれは埼玉らしいですが、一般的には彼って佐賀県のイメージの方が強いですしね。
最後の最後があの歌で良かったのかな?って感じもあったりなかったり。

玉出身の有名アーティストは他にもいっぱいいるんだし、そういう人に頼んでスカっとカッコイイ曲で締めてもよかったんじゃないかな?って思ったりしましたねー。

興味のある方は是非!!

 

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沼にハマった!「HIGH&LOW THE MOVIE2 / END OF SKY 」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ハイロー劇場版第3弾(正確には総集編があるので第4弾)『HIGH&LOW THE MOVIE2 / TND OF SKY』ですよー!

先日ご紹介した劇場第2弾「HIGH&LOW THE RED RAIN」は雨宮兄弟のスピンオフということで、登場人物が少ない分、物語はスッキリ分かりやすかったけど何か物足りない的な事を書いたんですが、本作を観て「そうそう、これこれー!」って思いましたねー!

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

映画やドラマ、ライブツアーなどのメディアミックスを展開しているプロジェクトの劇場版『HiGH&LOW THE MOVIE』シリーズ第2弾。収監されていた巨大スカウト集団のリーダーが釈放され、因縁深い「White Rascals」との対立が激化し、SWORD全体を巻き込む戦いへと発展していくさまを描く。前作から続投するおなじみのメンバーに加え、新キャストに中村蒼、NAOTO、小林直己関口メンディー津川雅彦岸谷五朗加藤雅也笹野高史高嶋政宏、木下ほうから多彩な顔ぶれが集結する。(シネマトゥデイより引用)

感想

ここまでのおさらい

えー、前作でハイローの概要についてはザックリお話したので省略しますが、今回は「HIGH&LOW THE MOVIE」のここまでの流れについてザックリ掻い摘んでお話しますね。

舞台は「SWORD地区」(スオード地区)と呼ばれる架空の街。
元々は伝説のチーム「ムゲン」がこの地域一体を仕切っていたんですが、色々あって「ムゲン」解散後、台頭した5つのチームがそれぞれの縄張りを仕切っています。
「SWORD」とは、山王連合会、White Rascals、鬼邪高校(おやこう)、RUDE BOYS、達磨一家の頭文字なんですね。

そんな時、日本にカジノ計画が持ち上がり候補地として「SWORD地区」が選ばれます。
その裏には、カジノの巨大な利権を狙う暴力団組織「九龍グループ」がいて、邪魔者である5チームを潰し、「SWORD地区」を手に入れようと狙っているんですね。

さらに、九龍グループを潰して日本進出を狙う海外マフィアも登場し、三勢力がこの「SWORD地区」を巡って抗争するというのが本シリーズの大まかな流れ。

そして、前作では「ムゲン」に唯一対抗していた「雨宮兄弟」が、九龍グループと政治家や大企業の癒着を記録したデータを手に入れて、それをムゲンのメンバーだった琥珀さんに託すんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 前作ラストで琥珀さんに九龍グループを壊滅に追い込むUSBを預けた雨宮兄弟。

ラストでは琥珀さんがそのデータの入ったUSBを持って渡米するところで物語が終わったのです。

何しに行ったんすか、琥珀さん!

で、本作。

九龍グループを壊滅に追い込むデータを公表するため渡米した琥珀さんはそのままUSBを持って帰国。
雨宮兄弟に「これは(九龍グループに殺された兄貴の意思を継いで)お前らが公表しろ」とUSBを返すんですよ。

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画像出典元URL:http://eiga.com / アメリカまで何しに行ってたんすか、琥珀さん!!(右)

いや、いい話風に言ってるけどさ……、

じゃぁ、アメリカまで一体何しに行ったんすか、琥珀さん!!

バカンスか!? バカンスなんすか!? 琥珀さん!!

まぁ、その後、九龍グループの殺し屋部隊とすったもんだのチェイスの末に、ギリギリでデータをネット?に公表するんですけどね。前回のラストの引きは一体なんだったんや…。

一方、山王連合会リーダーのコブラは、九龍グループが壊滅しても、その後「SWORD地区」を狙うであろう海外勢力対策として、他のチームのリーダーに休戦&連携を申し出るわけですが、White Rascalsと達磨一家が反対したことで話し合いは決裂。

White Rascalsが連携を断ったのは、自分たちの宿敵DOUBTのリーダー蘭丸が出所したとの情報を得て抗争に発展することを確信。ほかのチームに被害が及ぶのを懸念しての事だったんですね。

一方、山王地区ではカジノ建設による再開発で、ジリ貧の地元商店街が持ち直すのではという期待が地域にはあって、そんな親を持つ山王連合会メンバーとコブラが対立、チームは分裂の危機に陥り――というストーリー。

まぁ、相変わらずとっ散らかってて、ストーリーはよく分からないんですけど……

細けぇこたぁいいんだよ!(突然の逆ギレ)

このシリーズは、各キャラクターがいかにカッコ良さを見せるか、カッコイイアクションを見せるかが全てで、ストーリーなんてその為の“繋ぎ”に過ぎないんですよ!

ハイローの上手さ

そういう意味で、ハイローは完全なキャラ萌え映画であり、ある意味「テニプリ」や「弱ペダ」、「刀剣乱舞」などの舞台版と同じ2.5次元ものなんですよね。
とにかく人数は大勢いるので1人は必ずお気に入りのキャラが見つかるはず。

さらにキャラクターの見せ方も非常に上手い。

各チームにはそれぞれテーマソングがあって、例えばあるチームが「もうダメだ」っていうピンチの時、チームのテーマ曲が掛かってから、助っ人に駆けつけたチームが登場するシークエンスに、観ているコッチはキタ――(゚∀゚)――!!と、爆アガりするわけですよ!(仮面ライダー的な感じ)

あと、アクションが始まる前のムーブも上手くて、チーム同士の乱闘の前にはそれぞれのメンバーを従えたリーダーのアップ→決め台詞→両軍雄叫びを上げながら激突。みたいな、これまたアガる流れがあります。

この辺の演出は、まさに「戦国バサラ」的とも言えるんじゃないでしょうか。

さらに先日も書きましたけど、チームごとに戦い方のスタイルも違っていて、例えば達磨一家は比較的パワー系の戦い方なのに対し、RUDE BOYSはパルクールベースの空中戦がメインだったり。

そんな感じでアクションシーンをガンガン盛り上げていくし、アクション自体もかなりレベルが高いので非常に見ごたえがあるんですね。

そんな超絶アクションと魅力的なキャラクターをフックに、気が付けば“ハイローの沼”にハマってしまうという仕組みなんですね。

で、本作のクライマックスは、White Rascalsのリーダーのロッキー vs DOUBTの蘭丸による因縁の対決。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 数にものを言わせてWhite Rascalsを潰しにかかるDOUBT

DOUBTはムショ仲間だったプリズンギャングと共闘、圧倒的戦力差でWhite Rascalsが大ピントに陥ったその時、テーマソングに合わせて、山王連合会を始めとした「SWORD」の面々が駆け、「SWORD」協定結成からの大逆転というありがちだけど激アツな展開でしたよ!(*゚∀゚)=3 ムハー

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画像出典元URL:http://eiga.com / 大ピンチのロッキー(左)を助けにやってきたコブラ(右)

これまでは鬼邪高校&達磨一家推しの僕でしたが、本作を観てWhite Rascalsというか、リーダーのロッキーのカッコよさと漢っぷりにグッときてしまいましたねー!

 まぁ、ハイローの感想って結局最後はそこに落ち着いちゃうんですけどねw

そしてめでたしめでたしかと思いきや、そこに現れたのは善信吉龍率いる九龍グループ最大派閥にして武闘派の「善信会」

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画像出典元URL:http://eiga.com / 本職のヤクザ善信の脅しにも引かないコブラ

善信は、プロの迫力で「降伏か全滅か選べ」と脅しをかけてきて、さすがの「SWORD」協定のみなさんも若干及び腰になったその時、山王連合会リーダーのコブラが善信を前蹴りで吹っ飛ばし「これが答えだ!(`・ω・´)キリ」って……コブラカッコイイーーー!!(*」>д<)」オォ───!!

というところで終了ですよ。
いわゆるクリフハンガーってやつです。

ハイローは毎回最後にこのクリフハンガーで締めるので、ついつい気になって続きに手を出しちゃうんですよねーw もちろん続編も観ること確定ですよ!

まぁ、観てない人は多分、「だってEXILEの映画だし…」って思ってると思うんですが(僕も思ってました)、騙されたと思って1回観て欲しいですねー。

そして、もし気に入ったら僕と一緒に、沼にハマってみませんか?(ΦωΦ)フフフ…

興味のある方は是非!!

 

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カメ止めを超えられるか「スペシャルアクターズ」(2019)

ぷらすです。

上田慎一郎監督の新作『スペシャルアクターズ』を観てきました!

奇跡の大ヒットで社会現象にもなった「カメラを止めるな!」からおよそ1年半。
果たして上田監督は「カメ止め」を超える作品は出来るんだろうか?と思いながら観たんですが、結論から言うと前作ほどの衝撃はなかった。けど、ちゃんと面白かったですねー!

というわけで、今回は劇場公開されたばかりの作品なので、出来るだけネタバレしないように気をつけて書きますが、これから本作を観に行く予定の人やネタバレは絶対にイヤ!という人は、先に映画を観てからこの感想を読んでくださいね。

いいですね?注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

『カメラを止めるな!』がインディーズ映画としては空前のヒットを記録した上田慎一郎監督作。ある秘密を持つ売れない役者が、カルト集団と闘おうとする。上田監督が脚本、編集、宣伝プロデューサーを兼任。松竹ブロードキャスティングのオリジナル映画プロジェクト第7弾で、オーディションで選ばれた俳優たちが出演する。(シネマトゥディより引用)

感想

「カメ止め」という重圧

上田慎一郎監督の前作「カメラを止めるな!」は、製作費約たった300万円のインディーズ映画ながらネットを中心にクチコミで話題になり、最終的には興行収入31.2億円の大ヒット作を記録し社会現象にもなりました。

その事で映画監督上田慎一郎の名前は広く世に知られたわけですが、それだけに、多くのファンは「果たして監督はこれ以上の作品を作れるのか」と思ったし、上田監督自身のプレッシャーも想像を絶するものだったようです。

それはそうですよね。
“あの”「カメ止め」の監督最新作となればコッチだって当然期待してしまうし、逆にあれだけの話題作の後だけに、意地悪な目で見ている人も納得させるだけの作品にしなければと、監督だって思うハズですしね。

そんなプレッシャーの中、本作は「作家主義」×「俳優発掘」を揚げ、13年に始動した「松竹ブロードキャスティングオリジナル映画プロジェクト」の第7弾として制作。

ストーリーは、緊張が極限に達すると気絶してしまう主人公・和人が、演技でトラブルを解決する“何でも屋稼業”を務める俳優事務所「スペシャル・アクターズ」に所属することになり、そこで旅館乗っ取りをもくろむカルト集団と対決するという、いわゆる“ケイパーもの”系の作品です。

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画像出典元URL:http://eiga.com

前作とは趣向が違うものの、オーディションで選んだ無名俳優とワークショップを行い、役者本人に当て書きした脚本であること、“ある種”のバックステージもの(映画や演劇の舞台裏を物語)という設定であるのは前作と共通しています。

つまり、上田監督は大きなプレッシャーのかかる中、敢えて自分が最も得意で面白いと思うやり方や作劇で勝負に出たわけですね。

 監督の持ち味が存分に活かされた作品

個人的に上田監督最大の持ち味は、何と言ってもストーリーテリングの上手さだと思っています。
前作「カメ止め」でも、ワークショップを行いながら役者本人の性格や個性を見て“当て書き”することで一度観たら忘れないアクの強いキャラクターを生み出し、そんなキャラクター同士が劇中に起こす掛け合いや摩擦によって、物語は熱を帯びていく。

また、基本的にはセリフ劇でありながら、物語で本当に大事なところはセリフに頼らず映像で語るストーリーテリング映画を分かっている人だなーという印象でした。

さらに、インディー映画故の粗さすらも、観客を「あっ」っと驚かせる仕掛けとして利用するクレイバーさは見事という他なかったです。

それは本作も同じで、主役の和人を始めとしたメインキャラクターたちは、キャラ名は覚えられなくても、1度観たらキャラクターや顔は覚えてしまうアクの強さで、キャラクターの多い作品にありがちな「コイツ誰だっけ?」はありません。

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画像出典元URL:http://eiga.com

また、基本はコメディーですが、和人と仲間たちがカルト教団に潜入してインチキの証拠を掴むという構成は和人の“緊張すると気絶する”という個性を活かしつつ、バレるかバレないかというサスペンスも生んでいるので、最後まで飽きることなく楽しむことが出来ましたねー。

しかし「カメ止め」超えはならず

とはいえ、残念ながら「カメ止め」を超えるほどのインパクトはなく、個人的には普通に面白い秀作といった感じ。

それは2作目ということで、上田監督のクセというか手口に、こっちが慣れた部分もあると思うし、どんでん返しに次ぐどんでん返しという話運びもちょっと強引さが目立ってしまった感じがしたんですよね。

観客に“そう思わせる”こと自体がラストのある展開への伏線にもなってるんですが、個人的には、劇中でどんでん返し→ネタばらしが複数回あることでラストのインパクトが弱まってしまっているかなと。

ケイパーもの(相手を策略にハメるストーリー)の醍醐味は、いよいよ窮地に陥ったかに見えた主人公チームが、最後の一手で全てをひっくり返して大逆転するカタルシスですからねー。

あと、あのラスト自体も評価が分かれるポイントかと思ったりしました。
あれだと、物語を通して成長した主人公が、最初に逆戻りしたように見えなくもないですから。

それと個人的に主人公が大好きなヒーローやカルト教団などの細々したディテールも、もっと詰めて欲しかったです。
この2つは物語にとって重要な要素なので、和人が本当に憧れそう&こんな教団本当にありそうって観客が思えないと、映画が一気に安っぽくなってしまうんですよね。

とはいえ作劇の志も高いし、邦画としてはストーリーテリングのレベルも非常に高くてコメディとしても十分に面白いエンタメになっていたので、本作で上田監督の実力は十分に証明出来た作品だと思いますよ!

興味のある方は是非!!

 

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あの伝説のスラッシャーホラー復活!「ハロウィン」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、スラッシャーホラーの名作「ハロウィン」シリーズ最新作で、第1作の40年後を描く『ハロウィン』ですよー!

僕は1978年の第1作は、観たような観てないような曖昧な感じだし、内容もまったく分からないので実質本作が初「ハロウィン」でしたが、面白かったですねー!

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

殺人鬼がハロウィンの夜に起こす悪夢を描いた、ジョン・カーペンター監督のシリーズ第1作『ハロウィン』のその後の物語となるホラー。第1作から40年後を舞台に、生存者の女性が再び「ブギーマン」ことマイケル・マイヤーズに立ち向かう。第1作にも出演したジェイミー・リー・カーティスが同じ役で続投し、ジュディ・グリア、アンディ・マティチャックらが共演。『ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~』などのデヴィッド・ゴードン・グリーンが監督を務めた。(シネマトゥデイより引用)

感想

スラッシャーホラーの古典

1978年公開の本シリーズ1作目「ハロウィン」は、超ざっくり言うとハロウィンの夜に精神病院から脱走した男が、道すがら色んな人を殺しながら、女子高生のローリー・ストロード(ジェイミー・リー・カーティス)を殺そうとつけ狙うというホラー映画。

遊星からの物体X」「ゴースト・ハンターズ」「ゼイリブ」など、主に1970年代~1980年代に活躍したジョン・カーペンター監督出世作であり、「13日の金曜日」など後の80年代スラッシャーホラー(殺害シーンにおける生々しい描写が特徴のホラー)ブームの先駆けと言える作品で、低予算作品ながら大ヒットとなり、その後、外伝も含めたシリーズ8作、リブート版2作が作られる大人気シリーズになってるんですね。

また、本シリーズの殺人鬼ブギーマン”ことマイケル・マイヤーズは、「悪魔のいけにえ」のレザーフェイス、「13日の金曜日」のジェイソンと並ぶ、世界三大仮面殺人鬼の1人とも言われる大人気キャラ。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 世界三大仮面殺人鬼の一人、マイケ・ルマイヤーズ

まぁ、3人とも大男でマスクを着用していることから、キャラを混同して覚えている人も多いんですけどねw

ちなみに、
レザーフェイス=人皮のマスク+チェーンソー
ブギーマン=ハロウィン用仮装マスク+刃物
ジェイソン=ホッケーマスク+ナタ
ですよ。これ、試験にでますからね。

で、本作はそんな1978年に公開された第1作の40年後を描いた直接の続編で、要は2以降は全部なかった事にして1作目の続編として作りましたよっていう、最近流行りのアレです。

1作目でヒロインのローリーを演じたジェイミー・リー・カーティス、殺人鬼マイケルを演じたニック・キャッスルが、本作で再び同役を演じたことでも話題になりましたね。

ざっくりストーリー紹介

1作目のあと、40年の間精神病院に入院していた殺人鬼マイケル・マイヤーズは、近々強固な刑務所に搬送される事に。
そこに40年前の事件をネット新聞の記者が取材に来るところから物語はスタートします。

記者はその後、ローリーの家にも取材に行くわけですが、郊外にある彼女の家はフェンスに囲まれ、無数の監視カメラに守られた、まるで要塞のよう。

彼女は、マイケルに襲われてから40年、事件のトラウマに苦しみ、またマイケルは必ずハロウィンの日に精神病院を脱走し、自分を殺しに来ることを確信していて、年老いた今も日々、射撃訓練やサバイバル訓練を行っているんですね。

また、自分の娘カレンジュディ・グリア)にも幼少期から銃の取り扱いや撃ち方、サバイバルを仕込んだせいで虐待容疑で親権を剥奪されていて、娘夫婦とはほぼ絶縁状態に。唯一、そんな祖母を孫娘のアリソン(アンディ・マティチャック)だけは慕っているのです。

そして移送の日、監視員たちを殺してまんまと移送バスから脱走したマイケルは、ガソリンスタンドの店員、整備士、件の新聞記者2人を殺して、整備士のツナギと記者が持っていた40年前のハロウィンマスクを奪うと、ハロウィンで盛り上がるイリノイ州ハドンフィールドの町に向かう――というストーリー。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 子供部屋のクローゼットに隠れるお茶目な一面も

ツナギ姿に白いゴム製のハロウィンマスクは彼のトレードマークですからね。
往年のファンは、このガソリンスタンドでの「ブギーマン」復活に多いに盛り上がったんじゃないでしょうか。

で、マイケルは道すがら、昔取った杵柄で街の人々や警官をサクサク殺しながら、やがてローリーの家に辿り着くんですが、対するローリーの方もマイケルを殺すことだけを目的に40年待ち構えてますからね。

ついにクライマックスでは母子3代vsマイケルの最終対決が始まるのです。

なぜ、マイケルはローリーを狙うのか

それにしても、マイケルが執拗にローリーを狙い続ける理由も、ローリーがマイケルにこだわる理由も、1作目を観てない人にはよく分からないと思います。

というわけで、ここで1作目のネタバレ

マイケル最初の殺人は6才の時。
相手は実の姉でマイヤーズ家長女のジュディス・マイヤーズでした。(これは本作でも語られる)

で、責任無能力の異常者として、マイケルは精神病院に措置入院していたんですね。
しかし21才のハロウィン前夜に脱走。病室には「Sister(シスター)」の文字が残されていたわけです。

その後、マイケルはローリー・ストロードを執拗に追うわけですが、実は彼女は両親が事故死したためにストロード家へ引き取られた、“マイヤーズ家の次女”だったんですね。

つまり、マイケルとローリーは実の兄妹で、本作は40年越しの兄妹喧嘩(というか殺し合いだけど)を描いた作品なのです。

ローリーにしてみれば、自身が被害者遺族でもあると同時に加害者の親族でもあるので、自らの手で決着をつけたいという気持ちもあるのかもしれません。

1作目のオマージュ

そんな本作には、1作目のストーリーやショットなどのオマージュがたっぷり入っていて、それもまた往年のファンにとっては嬉しいサービスなのではないかと思います。

例えば1作目で、ローリーが建物の窓から覗くと反対の歩道にマスクを被ったマイケルが立っているというショットに対し、本作では学校の教室の窓からアリソンが見ると、向かいの歩道にローリーが立っている。みたいな。

また、本作では1作目の監督であるジョン・カーペンターが製作総指揮と音楽を担当。

息子のコディ・カーペンター、そしてその教え子であるダニエル・デイヴィスと共同で、お馴染みのテーマ曲や、不協和音が耳に残る象徴的な音楽を製作してるんですね。

www.youtube.com

 

 ジュディス・マイヤーズがカッコイイ!

そんな本作の白眉は、何と言ってもローリーを演じたジュディス・マイヤーズ。
1作目で元祖スクリームクイーンと呼ばれた彼女も本作撮影時は59才。
実の兄であるマイケルを殺すと口では言いながらも、実はマイケルの襲撃に怯えたり、過去のトラウマからくるPTSDに悩まされる難しい役どころを貫禄たっぷりに演じていましたねー。

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画像出典元URL:http://eiga.com / マイケルを殺すため40年間射撃の腕を磨き続けたローリーお婆ちゃん

細身の彼女が銃器を扱う姿は普通にカッコイイし、またクライマックスの舞台となる彼女の家に仕掛けられた対マイケル用のギミックの数々にもグッときてしまいました!

また、ずっと母親と相容れなかった娘のカレン、そして孫娘のアリソンが、マイケルという共通の敵を前に、家族の絆を取り戻していくクライマックスも良かったです!

どうやら続編も作られるらしいので、本作の“あのラスト”から物語がどう続いていくのかが楽しみですよー。

興味のある方は是非!!

 

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日本離れしたアクション映画「HIGH&LOW THE RED RAIN」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは「HIGH&LOW」劇場シリーズ第2弾『HIGH&LOW THE RED RAIN』ですよー!

先日、TSUTAYAに行ったら観たかった新作が全部借りられてたので、そういえば1作だけ観たけどその後の作品を観てなかった本作&「HIGH&LOW THE MOVIE2」をレンタルしてきました。

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

EXILE TRIBE による、ドラマやライブなどをメディアミックスプロジェクトとして仕掛ける企画の映画第2弾となるアクション。他を圧倒する強大な力で街を支配していた「ムゲン」と互角に渡り合った雨宮兄弟と、彼らの兄の謎を描く。雨宮3兄弟を演じるのは斎藤工、TAKAHIRO、登坂広臣。監督は『極道兵器』『珍遊記』などの山口雄大。彼らの固い絆と、ド迫力のアクションシーンが見どころ。(シネマトゥディより引用)

感想

「HIGH&LOW」とは

まず、「HIGH&LOW」を知らない人にザックリ説明すると、

EXILE TRIBEの総合エンタテインメントプロジェクトとして企画・制作され、テレビドラマ・映画・漫画・ネット配信・音楽・ライブツアー・SNS・イベント・フラッシュアニメ・ソーシャルゲームなど様々なメディアで展開する完全オリジナル作品。EXILE HIROが総合プロデュースを務めており、EXILE TRIBEのメンバーをはじめ、EXILE TRIBE以外からも多数キャスティングされている。(Wikipediaより引用)

だそうです。

2015年10月22日から2016年6月26日まで2期に渡ってドラマ「HiGH&LOW〜THE STORY OF S.W.O.R.D.〜」が放映され、その後2016年に劇場版第1作「HiGH&LOW THE MOVIE 」が公開。

そして1作目でも登場した雨宮兄弟を主役に据えたスピンオフ作品として劇場公開されたのが本作なんですね。

雨宮兄弟は、本シリーズで主人公的立ち位置のチーム「山王連合会」の前進で、伝説のギャングチーム「ムゲン」が唯一潰せなかった、長男の尊龍(タケル/斎藤工)、次男の雅貴(マサキ/TAKAHIRO)、三男の広斗ヒロト/登坂広臣)の最強の3兄弟。

本作は、そんな雨宮兄弟の(両親の敵である)九龍グループ下部組織、上園会への復讐を描いた物語なんですね。

ざっくりストーリー紹介(ネタバレ有り)

多分、このシリーズはネタバレしても面白さは1ミリも損なわれないと思うので、気にせず書きますが、日本の裏社会を牛耳る「九龍グループ」は政治家や財界と組んでカジノを作ろうとしていて、その候補地になってるのが、5つの不良グループが治めている通称「S.W.O.R.D.地区」なんですね。

で、かつて工場を経営していた雨宮兄弟の両親は「SWORD地区」を狙う上園会に自殺を装って殺されてるわけです。

それを知った長男のタケルは弟たちに内緒で上園会に潜入し、密かに復讐の機会を狙っていて、弟のサキとヒロトは、道すがら絡んでくる不良どもをぶっ飛ばしながら、兄の行方をずっと探していたわけですが、両親の命日に墓参りに行くとそこには一人の少女が。

両親のことを知っている少女が何者かを訊ねようとした2人の前に、上園会が現れたので取り敢えず全員フルボッコにしたあと、3人はタケルの隠れ家に向かうんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com /左からマサキ・ヒロト愛華

少女の正体は上園会に殺された人権派弁護士の娘の成瀬愛華吉本実憂)。

彼女の父親は上園会を調べるうちに、政治家・財界・九龍グループの繋がりを記録したUSBメモリを手に入れたことで殺され、USBを託された彼女もまた上園会に追われているわけです。

で、危ないところを潜入中のタケルに救われ、一週間ほどタケルの部屋に匿われていたわけですが、ある日、タケルは彼女のUSBを持って忽然と姿を消してしまったと。

「一体、どこに行ったんや」と3人が悩んでいると部屋の電話が鳴り、出てみるとそれはタケルにUSBの解析を頼まれていた山王連合と繋がりのあるスーパーハッカーの女。

で、その後色々あって山王連合のアジトにUSBと愛華を預けたマサキ&ヒロトは、単身上園会に戦いを挑むタケルを救いに向かうわけです。

一方タケルは、密かに拳銃を購入、偽装USBも作って上園会に取引を持ちかけ、復讐を企てているんですが、対する上園会は拳銃や機関銃で武装した組員全員でお出迎え。

そこにマサキとヒロトも現れてすったもんだの末、タケルはヒロトを庇って死亡。
マサキとヒロトは、両親と兄の復讐のため上園会に乗り込むーーというストーリー。

キャラ萌え映画

基本、ハイローは5つの地区をそれぞれのギャング(不良?)グループが治めていて、グループ同士で抗争したり対九龍グループのために共闘したりするという、アニメで言えば「戦国バサラ」的な現代版の戦国絵巻なんですね。

なので、登場キャラがとにかく多くて初見だと誰が誰だか分からないんですよ。(一応冒頭で設定と登場キャラは説明されるけど)
対する本作はスピンオフで雨宮兄弟vs上園会と非常にシンプルな物語なので、1作目に比べるとかなり観やすかったです。

とはいえ、それが面白さに繋がるかというとハイローに限って言えばそうはならなくて、やっぱ色んなキャラが大勢登場してガチャガチャやってるのが面白かったりするし、そもそも雨宮兄弟に思い入れのない人が本作から観ても面白くはないと思うんですね。
なので、やっぱり前作から観たほうがいいと思うし、たったこれだけの登場人物なのにストーリーの方もツッコミどころ満載、ご都合主義全開で、映画としては決して出来はよくないのです。

https://eiga.k-img.com/images/movie/85319/photo/6a224800d088592f/640.jpg?1473128041

画像出典元URL:http://eiga.com /シリーズの主役的グループ、山王連合会のみなさん

ただ、前作の感想でも書いたけど結局このシリーズって「キャラ萌え映画」なんですよ。

ストーリーは二の次で、とにかくいろんなタイプの男性キャラがケンカしたりイチャコラしたりするのをキャッキャと楽しむ2.5次元映画

なので、ストーリーにあれこれ文句をつけること自体が野暮ってもんなのでしょう。

まぁ敢えて言えば(これは個人的な好みの問題だと思うんですが)、全体的に過剰にエモいんですよね。っていうか、「エモい」を通り越して「浪花節っぽい」というか。
本作でも、実は異母兄弟だったヒロトと、タケル・マサキが本当の“雨宮兄弟”になるまでを延々回想で見せたり、タケルの死を過剰にエモーションたっぷりに描く演出が、個人的には若干苦手でした。

アクション映画

もう一つ、ハイローシリーズの見所といえば何と言ってもド迫力のアクションシーン。

EXILEのメンバーを始めとした“動ける俳優”たちが出演しているだけあって、近年の邦画では中々観られない過剰なアクションは、それ自体がキャラクター紹介やストーリーとも直結していることもあり、本シリーズの大きな魅力になっています。

本作でも、バイクや車のチェイスアクションや、格闘シーンなど見所満載。

ハイローは無国籍映画というか、一応は日本が舞台ではあるものの、どう考えてもパラレルワールドの“ニホン”としか思えない、ある意味異世界ファンタジーですが、法律上銃器は禁止という世界観にすることで、格闘アクションが大きな見せ場として成立しているわけです。

この設定自体は本作でも受け継がれているものの、相手は極悪非道の暴力団ですからね。
クライマックスでは銃を持つ暴力団のみなさんを、マサキ&ヒロキが素手でバッタバッタとやっつけます

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画像出典元URL:http://eiga.com

それを可能にしているのが、陸上自衛隊でも採用されている(らしい)近接格闘術ゼロレンジコンバット」を使った振り付けで、例えるならジョン・ウィックの“ガンフー”みたいな感じって言えばイメージしやすいかもしれません。

また、冒頭のバイクチェイスや、クライマックスの車とバイクのチェイスなども、今の邦画としてはかなり派手ですし、これらのアクションだけでも本作やハイローシリーズを観る価値はあると思いますよ。

興味のある方は是非!!

 

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