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「欲望のバージニア」(2013) 感想

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画像出典元URL: http://eiga.com/

ぷらすです。
今回ご紹介するのは、禁酒法時代に実在した伝説のボンデュラント三兄弟を描いた『欲望のバージニア』ですよー!
日刊オレラというサイトで、僕と同じく映画の記事を書いてらっしゃる烏之介さんから教えて頂いた映画です。
2時間弱の映画ですが、実に見応えがありしたよー!

 

▼日刊オレラ▼

orera.hatenablog.com

▼烏之介さんのブログ▼

unosuke-0812.hatenablog.com

 

 

概要

バージニアを縄張りとして密造酒ビジネスで金を儲け、バージニアでは伝説になっている無法者兄弟、長男ハワード(ジェイソン・クラーク)、次男フォレスト(トムハーディー)、末っ子ジャック(シャイア・ラブーフ)のボンデュラント3兄弟を描いき、2008年に出版されると大反響を呼んだ小説「The Wettest County in the World」(邦題「欲望のバージニア」)の映画化作品。
作者のマット・ボンデュラントは、三男ジャックの実の孫。
監督はジョン・ヒルコート

 

あらすじ

舞台は禁酒法時代の1931年のバージニア州の田舎町フランクリン。
この地を縄張りに密造酒ビジネスを行っているボンデュラント三兄弟は、不死身の兄弟として地元では「伝説」になっていて、シカゴのギャングも一目置く存在。

次男フォレストの方針で堅実なビジネスを重ね、地元保安官とのパイプもあってビジネスは順調だったが、ある日、新しく着任した特別補佐官レイクス(ガイ・スピアーズ)が高圧的な態度で密造酒グループに高額な賄賂を請求周りが次々権力に屈する中、フォレストはこの要求を拒否。

その日を境に、レイクスの執拗な脅迫と卑劣な暴力が始まる。

 

感想

上記のとおり、この物語の主役である三兄弟は実在する人物です。
しかもバージニアでは、ボンデュラントミュージアムが建つほどの人気で、まさに『地元のヒーロー』なんですね。

三男ジャックのナレーションで、ふたりの兄の逸話が語られます。
長男ハワードは戦争中同じ隊の仲間が全滅した中一人だけ生き残り、次男フォレストはスペイン風邪にかかって両親は亡くなったけれど彼は生き残った。だからハワードは「俺たちは兄弟は死なない」と語るんだと。

ところが三男ジャックだけは、そんな兄たちと違ってひ弱で小心者です。
そんな三人のキャラクターを映画冒頭、牧場の豚を射殺するシーンで見せてるんですね。
ハワードが命令し、ジャックはビビって撃てず、フォレストが撃つ。
いきなりイヤンなシーンですが、この冒頭のシーンが三人のキャラや力関係の説明でもあり、後のある展開の伏線になってたりします。

村全体のリーダー的存在で、腕っ節が強くジャックの父親変わりでもある寡黙な男フォレスト。
陽気でおしゃべりだけど、兄弟の中で一番ケンカっ早く酔っ払うと手がつけられないハワード。
そんなふたりの兄たちに劣等感を抱き、なんとか認めさせたいと思っているひ弱で小心者だけど野心家のジャック。

なんかもう、テンプレみたいな三兄弟ですw

そんな三人に転機が訪れるのが、今までパイプのあった捜査官に変わりやってきた、特別補佐官レイクス。演じているのはガイ・スピアーズなんですが、潔癖症でキザでレイシストで田舎者を小馬鹿にするっていう、絵に書いたような憎たらしい奴なんですよ。

このレイクスがいきなりやってきて、それまでよりもずっと高額な賄賂を請求を、高圧的な態度で請求するんですが、フォレストがキッパリ拒絶することで物語は動き始めます。

まさに昔ながらの西部劇的な勧善懲悪の展開で、ストーリーは至ってシンプル。
ただし、暴力描写は超エグいです。

特に印象的だったのはで、機関銃や拳銃の発射音、弾丸が車の外装に着弾する音、人を殴るときの嫌な音なんかが他の映画よりも重く低い感じがしました。
それが、ショッキングな映像と相まって、なんとも言えない緊張感なんですよ。

あと、シカゴのギャング フロイド・バナーを、ゲイリー・オールドマンが演じてます。悪党だけど渋くて、けれどキレると超怖い男。
ここ最近は疲れてしょぼくれたオッサン役が多かったゲイリー・オールドマンの、こういう激しい役は久しぶりに観ました。

出番自体は少ないんですけど、ヘマをしてそれに気づかない子分をいきなりスコップでぶん殴るシーンのインパクトとかもう、
 僕らのゲイリーが帰ってきたー!!

って感じでめっちゃテンション上がります!!

そしてフォレストですよ。
寡黙で腕っ節が強く、ナイフで喉を切り裂かれても、鉄砲でお腹を撃たれても死なない不死身っぷりは、男の僕でも思わず惚れちゃうカッコよさです。

それなのに、超オクテで、シカゴから兄弟の経営する店にやってきたワケありの女 マギー(ジェシカ・チャスティン)がいいのよサイン出してるのに、全然手を出そうとしないんですよね。その童貞感と普段のギャップがまたいいんですけどもw

長男ハワードは、お調子者でいかにも気のいいあんちゃんって感じなんですけど、ここぞっていう時の狂犬ぶりは、ボンデュラント兄弟の特攻隊長って感じ。
男の色気もあって、魅力的なキャラクターなのに、全体的に出番が少ないのがちょっぴり残念でした。二人のサポート役って感じです。

で、本作の主人公ジャックなんですが、正直観ててちょっとイラッとするんですよねw
腕っ節が弱くて小心者で考えなしのくせに野心家。
ちょっと成功すると調子に乗ってドジを踏んで、結果ひどい目にあったり。

本作のメインテーマは、ジャックの成長譚なんで、仕方ないんですけどね。
ラストの方では結構頑張ったし。

ラストの方といえば、非常に燃える展開がありまして、僕も思わずガッツポーズで「よっしゃ、やっちまえー!!」ってなりましたねー。

アメリカ南部を舞台にした物語って、(特に最近は)ネガティブなものが多い気がするんですけど、本作では南部男のゴリゴリマッチョなカッコよさをこれでもかと描いてるんですよね。
劇中レイクスが、村の人たちはネイティブアメリカンの血が混じってるみたいな事を言ってたんですが、そのへんがこの地域で密造酒作りが盛んなことや彼らのキャラクター、物語の背景になってるのかなー?(一応村にある水飲み場に『白人専用』の札がかかってたりするんで違うのかもですが)

まぁ、どちらにせよ結論は南部の田舎者を怒らせたらエラいことになるでしたけどもw

ちょっとバイオレンス描写はキツイ作品ですが、それでもとても面白かったし見ごたえのある作品でした。

興味のある方は是非!!!