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今日観た映画の感想

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「アモーレス ペロス」(2002) 感想

ぷらすです。
今回ご紹介するのは、日本では2002年公開のメキシコ映画『アモーレス ペロス』です。

メキシコの街や人、理不尽や暴力、それに愛をスタイリッシュで、リアルで、生々しい映像で描いた作品です。
刺激は強めなので万人にはオススメ出来ませんが、好きな人は大好きな映画なんじゃないかと思いますよー!

http://ecx.images-amazon.com/images/I/51Cu1M2%2BGkL.jpg
画像出典元URL:http://www.amazon.co.jp/ref=nav_logo

概要

『バベル』や『ビューティフル』『バードマン』でその名を知られる、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督のデビュー作。
兄嫁に横恋慕する少年・不倫カップル・年老いた殺し屋の3篇のオムニバス映画で、劇中に起こるある事故を中心に僅かに絡み合いながら物語が進んでいく。
2000年のカンヌ映画祭批評家週間でグランプリを、また東京国際映画祭でもグランプリや監督賞を受賞した。

タイトルの『アモーレス ペロス』はスペイン語で『犬のような愛』という意味。

 

あらすじ

・メキシコ貧民街で暮らすラミロ(マルコ・ペレス)はスーパーの従業員として働く傍ら、夜は強盗で稼いで暮らす乱暴な男で、スサナとラミロの間には赤ん坊が一人。
ラミロの弟オクタビオガエル・ガルシア・ベルナル)は、一緒に暮らす兄嫁のスサナ ( バネッサ・バウチェ)に横恋慕している少年で、スサナと共に何処か違う土地で暮らすことを夢見ている。
ある事件をきっかけに、スサナと暮らす金を作るため、オクタビオは飼い犬「コフィ」を闘犬に仕立て、荒稼ぎを始めるが…。

・メキシコで超有名なスペイン出身のモデル、バレリア(ゴヤ・トレド)は、仕事で知り合った家庭のある男ダニエル(アルバロ・ゲレロ)と不倫関係になり、家族からダニエルを奪い取る。
新居に引っ越し順風満帆の生活が待っていると思った矢先、バレリアは交通事故で自慢の脚に大怪我を負ってしまう。

・常に数匹の犬と行動し、メキシコシティでごみ収集をしている初老の男エル・チーボ(エミリオ・エチェバリア)は、元反政府活動家で殺し屋。
顔なじみの刑事から殺しの依頼を受け、ターゲットを始末しようとした矢先、交通事故の現場に出くわし、瀕死の犬を拾い治療する。

 

感想

実にスタイリッシュでリアルで、一言で言うと『生々しい』映画でした。

メシキコシティーの貧民街で暮らす人々の生活や雑多な町並みが、オブラートに包まれることなく、むき出しのまま映し出されています。
特に『闘犬』のシーンは、「いや、これ本当に死んでるだろ!」と思うくらいリアル。(メイキングを見ると、訓練されたタレント犬が芝居しているらしい)

犬好きの人には、ちょっと耐えられないかもしれません。

タイトルにあるように、本作では3つのエピソードに三匹の犬が登場します。
自分の飼い犬を闘犬に仕立てて、荒稼ぎするオクタビオシーズー犬を我が子のように可愛がっているバレリア、数匹の犬と暮らすエル・チーボ。

彼らの買う犬たちに起こるエピソードは、そのまま彼らの物語にリンクしてたり、また彼らの物語を動かす役割をしていて、ストーリー作りの教科書のようです。

多分、メキシコと日本では飼い犬に対する感情が少し違っていて、特に闘犬は使い捨ての道具のように扱われます。
勝って稼いでいる間は大事に扱われるけれど、負けは即、死に繋がるわけですから。
しかし、それは人間たちも同じ。

オクタビオの兄嫁のスサナは、一見乱暴な夫に暴力を振るわれる可哀想な女のようで、実は兄ラミロとオクタビオを天秤にかけていて(るように見える)、それはそのまま2匹の犬を戦わせる『闘犬』のようです。
兄弟の母はそのことを分かってるようで、だからスサナに対してちょっと冷たい態度だし、オクタビオ自身も薄々その事に感づいている様子。

それでも彼女に執着するオクタビオは、本当に彼女を愛しているようで、しかし兄へのあてつけとして彼女を奪い取ろうとしているだけにも見えます。

交通事故で自慢の脚に大怪我を負ってしまったモデルのバレリアは、その事が原因でスポンサーから契約を打ち切られてしまいます。
しかも飼い犬「リッチー」は、床の穴に落ちてしまい、生きてはいるものの出てこない。
最初は楽観していたバレリアですが、次第に不安定になりダニエルとの諍いが絶えなくなっていきます。

エル・チーボは、殺し屋に身を窶(やつ)していますが、元は大学の先生。
しかし、娘の将来のために反政府ゲリラとなり結局逮捕。釈放されて以降は、可愛い一人娘似合うことも出来ず、寂しい一人暮らしになります。

そんな彼はいつも数匹の犬と一緒なんですが、彼にとって犬は失った家族の代用であり、かつて反政府ゲリラのリーダーとして引き連れていた部下の代用でもあったんじゃないかと思います。

自分の理想のために多くの命を奪い、自分の家族に捨てられ、何もかもなくした彼が唯一手にしたのが、犬たちとの生活だったわけですが、しかし、それも、彼のある行動で崩れ去ってしまいます。

つまり本作は『喪失』の物語で、一見バッドエンドに見える各エピソードのラストには、それでも微かながら希望の光が見えているように感じました。

多分、監督は「失って初めて得られる物もあるよ」というような事が言いたかったんじゃないかなと思います。

150分と長い作品だし、正直少し中だるみする部分もありますが、見ごたえは十分でした。
ただし、冒頭でも書いたとおりショッキングなシーンもあるので、そういうのがダメな人にはオススメはできませんけども。

それでも興味があるという方は是非!!

 

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