ぷらすです。
今回ご紹介するのは、米アニメ『サウスパーク』の製作者トレイ・パーカー&マット・ストーンが2004年にアメリカで公開した『チーム★アメリカ/ワールドポリス』ですよー!
多分、OPからEDまで全部の内容を事細かに書いても、映画の面白さに1ミリも影響がないと思うので、今回は非常に感想を書くのも気が楽ですw
画像出典元URL:http://www.amazon.co.jp/
概要
強烈な風刺と下品なギャグで日本でも人気の切り絵アニメ『サウスパーク』の製作者、トレイ・パーカー&マット・ストーンが『マリオネット』を使って製作したアクション映画。 精巧に作られたセットと糸繰り人形を使い、政治や映画、思想など、ありとあらゆるものを茶化しまくり笑い飛ばすギャグアクション映画。
著名なリベラル系のハリウッド映画人や政界人などが『実名で』登場する事でも話題を呼んだ。
あらすじ
『チーム・アメリカ』は、テロ撲滅のため世界中に出動しては、その街もろとも敵を殲滅する国際警察。
ある日、パリで暗躍するテロリスト殲滅に乗り出した彼らは見事パリの街ごと敵を倒すものの、仲間の一人を失ってしまう。
そこでチームのボスである スポッツウッド(ダラン・ノリス)は、ブロードウェイで活躍中の俳優 ゲイリーをリクルートして、おとり捜査を実行する。
感想
アメリカのコメディ中心ケーブルテレビチャンネル『コメディ・センントラル』で18年以上続き、映画化もされた人気アニメ『サウスパーク』のトレイ・パーカー&マット・ストーンが製作しているというだけで、普通の内容でないことは察しがつく本作ですが、実際観てみたら予想の遥か斜め上の作品でしたw
最初「なんで人形劇なのにR-18指定なんだ?」と思いましたが、なるほどこれは
子供に見せちゃダメなヤツです。
人形劇とはいえ、無修正?のHシーン、頭や体が吹き飛ぶゴア描写、主人公ゲイリーが延々吐き続けるスカトロジー描写などなど、不謹慎&悪ふざけ表現が満載のとんだバカ映画です。(褒め言葉)
しかも、特撮や撮影の超一流のスタッフを迎えて、$30,000,000(日本円だと35億円以上)の予算をかけて作るんですから、アメリカのバカは桁が違うなーと改めて感心してしまいます。
本作で世界を守る? 『チーム・アメリカ』の元ネタは、国際救助隊を描いた1965年の人形劇番組『サンダーバード』で、人形も明らかに『サンダーバード』のキャラ造形を意識した作りになってます。
操り人形というと、口のところに線が入っててカクカク動く感じを連想されるかもですが、最新のアニマトロクス技術を使ってるので、表情はやけにリアルで艶めかしいです。
が、(多分)意識的に人形の動きをカクカクさせたりして、そのアンバランスさをギャグにしてるんですね。
サンダーバードは『国際救助隊』ですが、チーム・アメリカは『国際警察』なので、テロリストの殲滅が最優先なのでで、機関銃やロケットランチャー、ミサイルなどで世界の名所旧跡を片っ端から破壊してもお構いなしという非常に迷惑な奴らです。
しかも本人たちはその事に全く気づいていないっていう。
つまり、これはブッシュ大統領を皮肉ってるんですね。
皮肉ってるといえば、本作には有名ハリウッド俳優や著名人たちが沢山、実名で登場します。(しかも本人には無許可で)
アレック・ボールドウィン、ティム・ロビンス、ショーン・ペン、ヘレン・ハント、ジョージ・クルーニー、リヴ・ラングレン・タイラー、マット・デイモン、マイケル・ムーア(ドキュメンタリー監督)、ハンス・ブリックス(元IAEAの事務局長)等など。
そして、本作のラスボスは北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)です。
日本人の僕にはよく分からないですが、ここで登場する俳優たちは、左派政治的な発言が多い人たちらしく、そんな彼らが金正日に騙されて世界征服に協力するという内容。
で、本作はミュージカル仕立てなんですが、この歌がまたどれも非道いw
ゲイリーがミュージカルの舞台で歌う「みんなエイズ」っていう歌(どんなストーリーだw)、「マイケル・ベイの映画『パールハーバー』はクソだ」という歌、チームアメリカを称える「ファ○ク!イエー!アメリカ!」、金正日に捕まった仲間救出ためにゲイリーが特訓するシーンで流れるメタソング「モンタージュ」(短くカットしたシーンをつなぎ合わせる手法)。
もちろん金正日だって歌います。
つまり、上下左右360°老若男女全方位をコケにしまくってるんですね。
映画そのものの原型は「アルマゲドン」や「トップガン」など、巨額の予算で映画製作をすることで知られるプロデューサー ジェリー・ブラッカイマーが手がけた映画のパロディーらしいですし。(だから彼が手がけた『パールハーバー』はクソなんて歌も出てくるんでしょうね)
しかし、本作は『ただのバカな映画』では片付けられません。
超一流のスタッフが持てる技術をフル稼働して、人形劇とは思えない迫力満点の映像を仕上げ、ハリウッド超大作をおちょくるために、しっかり研究して全力でパロディーにしてるからこそ、観客は爆笑できるわけですから。
制作の動機は僕らが感じているのと同じ、政治や思想への違和感だったり反発だったりするんでしょうけど、こういう政治批判的内容や思想を皮肉るからには、世界情勢にも詳しくなくちゃいけないでしょうしね。
つまり、本作はとんでもない労力をかけて、全力で世界をおちょくってるわけです。
そもそも、本作を操り人形で作ること自体が、「どいつもこいつも操り人形みたいなモノだろう」という皮肉なのかもしれません。
とは言え、『サウスパーク』を少しでも観たことのある人なら分かると思いますが、本作はとにかく下品でバカバカしくて下らない上に超がつくほど不謹慎です。
ゆえに、この映画をオススメすると、オススメした人間の品位を疑われちゃうという恐ろしい映画でもあるんですねーw
というわけで、僕からは決してオススメはしませんが、
興味のある方は(自己責任で)是非!!
*ただ、映像特典のメイキングは見ごたえがあるのでオススメですよー。