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『悪の教典』(2012) 感想

ぷらすです。
今回ご紹介するのは2012年に公開された邦画『悪の教典』ですよー!
「どうせまた人がいっぱい死ぬヤツだろ」「伊藤英明ってあのイケメンだろ」と食わず嫌いして今まで観なかった自分を殴ってやりたい、まさに「マグニフェセント!」な映画でしたよー!

http://ecx.images-amazon.com/images/I/91SbePVsIoL._SL1500_.jpg画像出典元URL:http://www.amazon.co.jp/

概要

2010年に発行され、「第1回山田風太郎賞」を受賞した、貴志 祐介原作の同名サイコホラー小説の実写映画化作品。
サイコキラーという裏の顔を持つ高校教師の謎と行動を描く。
主演は「海猿」などで人気の俳優 伊藤英明、監督は多作かつ幅広い作風で知られる三池崇史

 

あらすじ

ハスミンのニックネームで生徒たちからも親しまれている高校英語教師の蓮実聖司(伊藤英明)は、全てにおいてソツがなく、同僚教師や父母からも信頼されている。
しかしその正体は、生まれつき他人への共感能力が欠如している『サイコパス』で、過去何(十?)人もの人間を闇に葬ってきたシリアルキラーだった。

表向きは熱心な教師でありながら、自分や学校にとって『都合の悪い』人間を謀略にかけ殺害し、校内での地位を固めていく蓮実だったが、些細な綻びから次第に追い詰められていく…。

 

感想

三池崇史監督は非常に多種多作で、特にバイオレンス映画においては海外でも高い評価を受けているんですが、多作ゆえに当たり外れが多い監督でもあります。

また、バイオレンス描写が行き過ぎていて少々露悪的なところもあり、本作のあらすじを見たときに「ああ、またいつものヤツかー」と思ってしまいました。

しかも、主演は「海猿」シリーズで絶対的ヒーローという地位を築いた俳優、伊藤英明さんということもあり(個人的に海猿シリーズが好きではなかったので)、今までずっとスルーしてきたんですね。

しかし、ネットや映画評を読んでみるとかなり高評価な論評もあったので、それならと今回レンタルして観たんですが……。

いや、ほんと「ナメててすいませんでしたぁぁ!!」 と。

最初から最後まで隙のない、素晴らしい映画でした!

なんと言っても圧巻なのは、主演の伊藤英明さんです。
個人的に、あまり芝居の上手な人という印象がなかったんですが、本作で彼は生まれながらにして共感能力が欠如している『サイコパス』を見事に演じきっていました。

あまりに見事すぎて、今後、伊藤英明さんが『いい人』を演じていても、ちょっと疑ってしまうレベル!

冷たい熱帯魚』で殺人鬼を演じた、でんでんさんや、『凶悪』で死刑囚を演じた、ピエール瀧さん、リリーフランキーさんと並ぶ恐ろしさです。

何より怖いのは、伊藤英明さん演じる主人公、蓮実が快楽殺人者ではないことです。
彼が殺人を犯したり、法を破るのはすべて『自分にとって邪魔な存在』を消すための合理的な判断なんですね。

蓮実は非常に知能の高い男で、京都大学法学部→ハーバード大学→米国大手投資銀行という華々しい経歴の持ち主。

しかし、その裏では14歳で両親を殺害、京都大学でも(多分)何人か殺し僅か1ヶ月で退学、ハーバード大学時代はシリアルキラーと組んで何人もの人を殺し、さらに組んでいた相棒も殺害。大手投資銀行で上司? 正体を見破られ追放されて日本に戻ってからは、高校教師として都立高校へ就職し、2年弱で現在の高校へというまさに血まみれの人生。

米国でシリアルキラーの相棒を殺すときも「殺人は快楽だったか? 俺は違う」と言い放っていることから、彼にとっての殺人は自分の目的に一直線にたどり着くための『手段』でしかないことが分かります。

本作が素晴らしいのは、冒頭10分ほどでそんな蓮実の人間性や、彼を取り巻く人間関係の片鱗を見せ、更に前半部分で無駄なく数々の伏線を張って、後半で一気に回収していく手際の良さです。

また、R15指定だからか、三池監督の悪癖でもある直接的なグロ描写が抑えられたことで想像力が掻き立てられ、むしろ全体の怖さが増しているんですね。

蓮実やほかのキャラクター全ての行動のロジックが明確に描かれているので「え、なんで?」となる部分もほとんどなく、ほんの小さな疑念や綻びから物語が進むごとに徐々に崩れていく蓮実の計画と、代わりに顕になっていく彼の凶悪性にどんどん引き込まれていきます。

あえて、重箱の隅をつつくなら、ハーバードを卒業し、米大手投資銀行に就職したわりには、蓮実の英語(の発音)がちょっとアレだったのと、後半の惨殺シーンは多少一本調子な感じがしましたが、そんなのは大したマイナスではなく、本当に最初から最後まで無駄な描写を削ぎ落とした素晴らしい映画だったと思います。

最後が『END』ではなく『TO BE CONTINUED』だったので、もしかしたら続編が作られるのかもしれませんが、もし続編が公開されたら今度は劇場で見たいと思わされる作品でした。

とはいえ、内容的にかなりイヤンな映画でもあるので、嫌いな人はまったくダメだと思うし、少なくとも万人にオススメできる作品とは言いづらいんですけどね。
それでも、ここ最近見た邦画のなかでは、1・2を争う傑作だったと思います!

興味のある方は是非!!

 

 

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