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「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ戦国大合戦」(2002) 感想

ぷらすです。
今回ご紹介するのは、先日このブログで書いた『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』に続く劇場版第10作『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ戦国大合戦』ですよー!
劇場版シリーズでは「~オトナ帝国の逆襲」と並び、もっとも名作の誉れ高い作品でもあります!

http://ecx.images-amazon.com/images/I/51FPCCFPKCL.jpg
画像出典元URL:http://www.amazon.co.jp/

概要

クレヨンしんちゃんの劇場版シリーズ第10作目にして、映画化10周年記念作品。
2009年に草薙剛新垣結衣主演、山崎貴監督で実写映画『BALLAD 名もなき恋のうた』としてリメイクされた。(・д・)チッ
前作、『~モーレツ!大人帝国の逆襲』から引き続き、監督は原恵一

 

あらすじ

ある朝、野原家の4人は、湖のほとりで悲しげに佇むお姫様のような美女の夢を見た。
その日の午後、しんのすけが家に帰ると、飼い犬シロが庭の土を掘り起こしみさえに怒られている。

飼い主の責任として穴を埋めるよう言いつけられたしんのすけだったが、シロの様子にただならぬものを感じ、一緒に穴を掘り進めると年代物の箱が出土。
中には、天保2年に書かれた自分からの手紙が入っていた。

その手紙で思い出した夢で見た美女を思い返して、目を開けたしんのすけの目に飛び込んできたのは、家の庭とは似てもにつかない場所。
戦国時代の野原だった。

そこでひょんなことから、しんのすけは『青空侍』と呼ばれる武将 井尻又兵衛由俊(いじり またべえ よしとし)の命を救い、彼が仕える春日城に招かれる。
その城の姫、廉(れん)はしんのすけたちが夢で見た美女だった……。

 

感想

実は、本作も観るのは二度目なんですが、前回はTVで飛ばし飛ばし見ていたので、キチンと観るのは、今回が実質初めてだったりします。

まず驚いたのは、本作がシッカリと『時代劇』だったことです。
戦場での武器や総合的な組討術の所作、着物を身につけた時の所作や言葉遣い。
ここまでちゃんと描いている時代劇は、恐らく実写作品でも、それほど多くないんじゃないかと思います。

それをまさかの『クレしん』でやるとは!!
原監督恐るべしです

制作に際しては、戦国時代の風景や生活を丁寧で詳細に描写するため、文献調査や時代考証に力が入れたんだとか。原監督の本作にかける意気込みが伝わてくるエピソードです。

前作でも、60~70年代の町並みや空気感の再現の緻密さに随分驚いたものですが、前作同様『クレしん』というフォーマットを使うことで、タイムスリップの説明にかける時間を省き、その分を戦国時代のリアルな描写や、未来人である野原家とのバランス調整に使った感じでした。

それらの努力は見事に実を結び、(恐らく)『一本の映画』としての出来の良さは、前作を遥かに凌ぐ大傑作と断言していいと思います。

ただ、『クレヨンしんちゃん』劇場版としては、そのフォーマットから明らかにはみ出ているし、もっと言えばクレしんの世界観を壊すバランスになってしまっているようにも思いました。(ギリギリアウトっていう際どい感じですけどね)

また、『クレしん』の世界観の『縛り』が本作を少々窮屈なものにしているようにも感じたんですよね。
多分、本作で唯一物足りないのは『命の描写』なんじゃないかと思います。
それはクレしんという世界観の中では望めない事だし、その制約の中で原監督は何とか生と死を通し、時代の死生観を描写しようと頑張っていたと思うんですね。

例えば本作を実写か(BALLADみたいなんじゃなくてね)まったく別のオリジナルアニメとして作ったら、それはもう日本映画史に残る大傑作になったんじゃないか――なんて思わずにはいられないし、原監督は多分それが出来るだけの手腕の持ち主だと思うんですよねー。

まぁ、そんなのは無い物ねだりだし、ソレがなくても『クレしん劇場版』としても『2000年以降の時代劇』としても、もっと言えば『一本の映画』としても十分大傑作なのは間違いないんですけども。

今や原監督は、アニメ・実写通して、日本でも有数の映像作家ですし、そんな彼の原点とも言える本作。
興味のある方は、前作と合わせて是非!!!

 

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