ぷらすです。
今回ご紹介するのは、ファンクの王様、JBことジェームス・ブラウンの半生を描いた伝記映画『ジェームス・ブラウン~最高の魂(ソウル)を持つ男』ですよー!
ソウル・R&B・ファンク・ヒップホップなど、現在のミュージックシーンに多大な影響を与えているミュージック界のゴットファーザーの知られざる一面が描かれた作品でしたー!
画像出典元URL:http://eiga.com/
概要
ブラックミュージック界のレジェンド、ジェームス・ブラウンの半生を描いた伝記映画。JBの生い立ち、成功、苦悩、親友ボビー・バードの関係など、彼の知られざる過去や人間性を掘り下げていく。
主演は『42 ~世界を変えた男~』などのチャドウィック・ボーズマン。
監督は『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』のテイト・テイラー。
プロデューサーには、ミック・ジャガーも名前を連ねている。
あらすじ
幼い頃に親に捨てられ、劣悪な環境で育ったジェームス・ブラウン(チャドウィック・ボーズマン)の楽しみは、黒人の教会でゴスペルを聞き、歌うこと。
そんな彼は16歳の時に窃盗の罪で投獄されるが、のちの親友親友のボビー・バード(ネルサン・エリス)の助けで保釈。彼のバンドに加入し、その卓越したセンスとパフォーマンスで、スター街道を駆け抜けていく。
感想
ジェームス・ブラウンと聞いても今の若い人だとピンと来なかったり、70年代の歌手の1人くらい印象かもしれませんね。
ぶっちゃけ僕にとっても彼は、子供の頃に流行った(らしい)人くらいの感覚で、そんなに思い入れはないですしね。
そんな僕が、ハッキリJBを認識したのは、映画『ブルースブラザーズ」を見たときで、その時JBは黒人が集う教会の牧師の役でした。
後に、この人が『セックスマシン」のジェームス・ブラウンって知ることになるんですけどね。(当時は海外アーティストの顔と曲と名前が結びついてなかったんですね)
そんなJB、じつはすごい人です。
ファンクミュージックやソウルミュージック、ヒップホップなどなど、多くのブラックミュージックの源流を作った人で、マンガ家で言えば『手塚治虫』的な人なんですね。
そんなJBを演じるのが、チャドウィック・ボーズマン。
映画冒頭、ドラッグでラリったJBがライフル?を手に、保険コンサルタントの講習会?に乗り込んでくるんですが、その登場一発目の姿を見て「うわ、JBだ!」って思うくらいの完コピぶり。
JBの伝記映画なので、当然デビューから晩年までのライブもチャドウィックが演じてるわけですが、もう完璧。JBが乗り移ってるかのような見事なライブパフォーマンスでしたよ!
パリ公演の時には、ライブシーンで実際のJBのライブ映像が差し込まれてるんですけど、ほぼ違和感なし。
っていうか違和感がなさすぎてむしろ違和感を感じちゃうくらい完璧なコピーぶりでした。
本作は、スーパースターになったJBが落ち目になり人が離れていったところからスタートして、その生い立ちとデビュー後にスター街道を駆け上がっていく様子を交互にカットバックしながら観せていく方式で、同時に黒人差別や時代の波に翻弄された彼の人生も浮き彫りにしていきます。
同時にJBの音楽のルーツや考え方も観せてくれるので、今まで何となく聴いてた彼の音楽を立体的に捉えることが出来るような気がします。
途中のバンド練習で、「これじゃぁ音楽になってない」というメンバーに、まずはドラムを指して「これは?」と聞くJB。
スネアだと答えると、「じゃぁこれは?」とギターを指して聞き「ギター」と答えると「違う」と「これもドラムだ」って言うんですね。
管楽器も、弦楽器も、自分の歌さえもすべてはドラムなんだと。
それこそが多分、ジェームス・ブラウンの音楽に対する捉え方なんでしょうね。
思えば親友ボビー・バード(ネルサン・エリス)との出会いのシーンでも、音楽は「タメが重要」と言っていたし、Aメロ・Bメロ・サビという形にこだわらずに、同じ歌詞を繰り返すのも、一貫して音をリズムとして捉えていて、リズムの重なりがグルーブを生み出しているみたいな思想なのかなーと思いました。
素人考えですけども。
で、それは彼のルーツであるアフリカの音楽=魂に通じてるって事なのかなーなんて思ったり。
また、JBは当時の音楽界の常識やシステムを次々と塗り替えて行きます。
アポロ劇場でのライブ盤を作るのを会社の社長が渋れば、自費で作って大ヒットさせてしまうし、興行師に儲けを取られるシステムがおかしいと、その地元で趣味で音楽をかけているような若いDJに興行を任せたり。
要するに、なんでも自分でやらないと気がすまない人なんですが、そこには幼い頃に親に捨てられ、自分の才覚だけでのし上がってきたという生い立ちと自負と、底に広がる人間不信の感情がそうさせてる部分もあるんですね。
そんな彼を表すのが、バンドメンバーや近しい人たちに「Mr・ブラウン」と呼ばせるシーン。
貧乏と出自ゆえに幼い頃から虐げられてきた彼は、人間関係を上下でハッキリさせないと気がすまないんですね。
自分の子供を可愛がる子煩悩な一面も描かれていますが、しかし子供達もJBには敬語?を使って話したりします。
そんな彼の才能に魅了され、サポートするのが親友でバンドメンバーのボビー・バードと、彼をスカウトしたマネージャーのベン・バート。
このベン・バートを演じているのが「ブルースブラザーズ」で、実際にJBと共演したダン・エイクロイドというキャスティングも、思わずニヤリとしてしまいます。
そして時代は、ベトナム戦争、アフリカ系アメリカ人公民権運動、キング牧師暗殺と流れ、そんな中、JBも否応なくその流れに飲み込まれ黒人と白人の間で板挟みにされ、続くディスコブームの流れに乗れずに落ち目と言われ、より孤独を深めていった彼はついに……。
という流れ。
ジェームス・ブラウンの人となりを知る映画としても、物語としても、音楽映画としても楽しめる作品でした。
興味のある方は是非!!
▼予告編▼