ぷらすです。
今回ご紹介するのは前回の『007 カジノ・ロワイヤル』の続編『007 慰めの報酬』ですよー!
で注意なのですが、今回はネタバレします。
というか『~カジノ・ロワイヤル』まで遡ってのネタバレになっちゃうので、これからダニエル・クレイヴ版3部作を観ようという人は、鑑賞後にお願いします。
いいですね? 注意しましたよ?
概要
シリーズ22作目にして、前作『 007 カジノ・ロワイヤル』の続編。
前作で残された謎解き的な立ち位置の映画。
主演は前作に引き続きダニエル・クレイヴ。
監督は前作のマーティン・キャンベルに代わり、ドイツ出身のマーク・フォースターが務める。
あらすじ
前作で最愛の恋人ヴィスパーを亡くしたジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイヴ)は、その恋人が残した手がかりを元に、ミスター・ホワイト(イェスパー・クリステンセン)を拉致した。
追っ手とのカーチェイスを繰り広げながらも、MI6のアジトについたボンドだったが、ホワイトを尋問しようとした矢先、上司M(ジュディ・デンチ)の警護係であった部下が裏切りホワイトを逃がしてしまう。
ボンドは裏切り者を追跡するも殺害してしまうが、彼の残した手がかりからグリーン・エコロジーを謳ったNPO法人「グリーン・プラネット」の代表者ドミニク・グリーンに行き着く。
NPOの代表者はドミニクの表の顔であり、その実態はヨーロッパと中南米を行き来し、資源利権のために元ボリビア軍事政権トップであるメドラーノ将軍のクーデターを支援する巨大組織の幹部だった。
ドミニクを追うボンドは、家族の復讐のためドミニクに近づく女カミーユ(オルガ・キュリレンコ)と出会い、彼女と共闘しながらドミニクの組織を追っていく。
感想
本作は前作『~カジノ・ロワイヤル』のラストを引き継ぐカーチェイスからスタートします。
イタリアの古都シエーナの、崖沿いの道路での激しいカーチェイスを制したボンドは、MI6の隠れ家に到着。
そこで、前回捕まえたミスター・ホワイトの尋問を始めようとした矢先、MI6を裏切った部下によってホワイトは逃亡。
ボンドは裏切り者を追い、死闘の末に殺害してしまいます。
気になったのは、カーチェイスも含めたアクションシーン。
前作とは打って変わり、細かいカットをつなぎ合わせているためか、非常に見づらくなっています。
本作の監督マーク・フォースターは、多分あまりアクションが得意じゃないのかも。
ただでさえ全体的に凝った作りにしようと詰め込みすぎてるのに、カット割りも多いので、観ていても人や車などの位置関係が分からなくなっちゃうんですね。
本作では、車・ボート・飛行機でのチェイスがあって、前作以上に盛りだくさんなんですが、見せ方が上手くないのでイマイチ盛り上がらないんですよね。
詰め込みすぎなのはアクションシーンだけではなくて、物語も全体的に詰め込みすぎてます。
その上キャラクターの見せ方もあまり上手くないので、途中誰が誰だか混乱してしまうシーンも多々ありました。
本作は前作の続編なので、前作から引き続き登場しているキャラはわかるんですけど、似たような設定のキャラクターが出てきたり、雑魚キャラの扱いが雑だったり、割と重要なキャラクターの紹介もセリフに頼る部分が多かったりするのが原因なんじゃないかなーと。
あと、悪役。
今回の悪役ドミニク・グリーンは、前作のル・シッフルに比べるとかなり見劣りするのも、僕が作品に乗り切れなかった一因になってる気がします。
ただ、物語に関しては途中で脚本家のストライキがあって、脚本が完成しないまま撮影に入ったなんて話もあるので、一概に監督の所為だけではないんでしょうけども。
メインの物語は割とシンプルで、前作で恋人の命を奪った(正確にはヴィスパーは自殺ですが)組織への復讐と任務の間で揺れ動くボンドの心情を描く物語で、今回のボンドガール カミーユはそんなボンドの合わせ鏡として登場します。
ただ、カミーユはボンドガールとしては少々異色で、ボントとは最後まで肉体関係にはならず、ボンドの相棒的立ち位置として動いているんですね。
そんなボンドガールの役割を一手に担うのが、ジェマ・クリスティーナ・アータートン演じるストロベリー・フィールズ。
ボリビアの女性スパイとして登場するものの、ボンドと出会ってすぐH。
次に登場するのはタール漬けの死体という気の毒な役どころでした。(007で登場するボンドガールのうち1人は大抵敵の見せしめとして殺される運命ですけども)
メインの物語はシンプルな本作ですが、枝葉が多い割に整理されてません。
ボンドがヴィスパーの敵(かたき)を追っていくメインのストーリー、復権を狙いドミニクと取引する独裁者メドラーノ将軍(ホアキン・コシオ/カミーユの親の敵)とカミーユの復讐物語。
これだけで抑えてくれれば、スッキリ分かりやすかったと思うんですけど、前作でも登場した協力者マティス(ジャンカルロ・ジャンニーニ)と旧友でボリビア警察総監のカルロス大佐がメラドーナ将軍と繋がってたり、油田の利権に目がくらんだCIAまで絡んできたりするので、非常に話がややこしくなちゃうんですよね。
ただでさえ、106分とシリーズ最短なのに、それにしては明らかに情報量過多です。
その割にあまり語り口も上手じゃないので、中盤中だるみする場面も。
とはいえ、メインの物語はしっかり収まってて、そこは良かったと思います。
合わせ鏡であるカミーユという相棒が、物語終盤、親の敵であるメドラーノ将軍を殺し、そんな彼女の命を救うことで、前作で恋人の命を救えずに己を責め続けた、ボンド自身の心も救われます。
それまで、復讐心に囚われ暴走していたボンドは、ここでスパイとしての誇りとMの信頼を取り戻し、ラストシーンに繋がっていくわけですね。
で、ラストで恒例のガンバレルから見たボンドのショットで幕引き。からのエンディングロール。
うーん…。
悪くない。悪くはないんですが、全体的にもう少しタイトにシェイプして、アクションシーンもキチンと見せ場を作ってくれれば、もっとアガったと思うだけに、返す返すも残念。
とは言え、次回作『~スカイフォール』に繋がる作品でもあるので、ダニエル・クレイヴ版『007』を満喫したい人は、観ておいたほうがいいと思います。
興味のある方は是非!