ぷらすです。
今回ご紹介するのは、1978年にホラー映画「サスペリア」の続編として公開されたイタリア映画『サスペリア2』ですよー!
数多くのホラー映画を手がけるイタリア人監督 ダリオ・アルジェントの最高傑作と言われ、ファンの間でも評価の高い作品です!
画像出典元URL:http://www.amazon.co.jp/
概要
当時、ホラー映画ブームだった日本で公開された「サスペリア」のヒットを受け、1978年に『続編』として公開された本作。
しかし、実際には本作の方が先に製作されていて「サスペリア」とは全く関係のない作品。
内容もオカルト映画ではなく推理サスペンス映画だが、ダリオ・アルジェント監督の最高傑作として評価の高い作品。
主演はデヴィッド・ヘミングス。
ちなみにイタリアでの原題はProfondo Rosso、英題はDeep Red
あらすじ
ある欧州超心霊学会でテレパシーの持ち主であるヘルガ・ウルマン(マーシャ・メリル)の講演が行われていた。
彼女はテレパシーで脳内を読みとり、参加者の名前やポケットの中身を当てていたが、突如、ある殺人犯の脳内を読んでしまう。
彼女はその夜、殺人犯の名前と過去に犯した罪を紙に書き記しているところを犯人に襲われて死亡。
たまたま、通りから彼女が殺されるところを目撃したピアニストのマーク(デヴッド・ヘミングス)は慌てて彼女の部屋に駆けつけるが、犯人は逃亡。
警察の取り調べを終えたマイクは、駆けつけた時と警察の捜査中で、部屋に違和感があることを感じるがその正体は思い出せない。
そこで彼は、新聞記者ジェンナ(ダリア・ニコロディ)の力を借りながら、独自に事件を調査し始める。
感想
…の前に
本作で何が一番驚くかというと、「サスペリア2」というタイトルなのに「サスペリア」とはまったく関係ないところだと思いますw
しかも、本作はお化けやモンスターが人間を襲うホラーではなく、主人公が事件の謎を解くミステリー映画。
で、その途中で色々恐ろしいことが起こる、今風に言うならサイコ・ホラー映画ですし、原題も直訳すれば「深い赤(真紅)」で、さらに本作が作られたのは「サスペリア」よりも前なんですね。
それが何故「サスペリア2」になったかと言うと、日本では本作の方が「サスペリア」より後に輸入されたので、ヒット作である「サスペリア」の名前にあやかる事にしたということらしいです。
今なら炎上確実ですが、当時はわりとそういう事が多かったんですねーw
ここから感想
で、その内容なんですが、オープニングの合間に、クリスマスの夜、レコードから子供の歌が流れるなか殺人が行われるシーンからスタートします。これが全ての元凶なんですね。
そして、舞台は変わって欧州超心霊学会の会場、これは多分超自然現象を研究している人たちの学会みたいな事だと思うんですけど、そこに招かれたテレパシスト ヘルガ・ウルマンが、偶然、会場にいる客の中から殺人犯の脳内をキャッチしてしまうという、やや乱暴な導入。
また、この人も黙ってればいいのに、得意げにペラペラ喋っちゃうんですよねーw
ただし、その殺人犯が起こした過去の犯罪と正体は、手紙にして友達の学者(ヘルガをゲストに呼んだ人)に渡すと言って別れた、その夜。
彼女がアパートで手紙を書いていると、どこからともなく子供の歌(童謡?)が流れて、現れた犯人にナタで殺されてしまいます。
で、偶然その近くの通りにいた、アメリカからやってきたピアニスト マイクが、窓辺で殺されようとしている彼女を発見。
すぐに駆けつけますが、彼女は殺され、窓から通りを見ると黒いレインコートの男が去っていくところ。
その後通報したマイクは警察の現場捜査中に、違和感を覚えます。
アパートの廊下に所狭しと飾られた、絵の配置がおかしい気がすると。
そこで彼は『なんか犯人に挑戦されてる気がする!』と言い出し、勝手に独自の調査を始めます。いや、マイクそれただの思い込みだから。
ミステリー? サイコホラー?
一応、物語の筋書きとしては本格ミステリーだと思うんですが、監督はどちらかというとミステリー要素より、サイコホラー的要素に重きを置いた映画にしたかったようです。
作品内にトリックもあったりするんですが、それがトリックだということに僕は最後まで気付かなくて、真相が明かされたときに「え、あれそういう意味だったの!?」と逆にビックリしました。
そして、マイクが事件の真相に近づこうとすると、犯人が先回りしてヒントをくれそうな人を次々殺していくわけですが、正直全然怖くないです。
サイコホラーって、被害者に犯人が突然襲いかかるシーンが真骨頂じゃないですか。
被害者目線で観客に、来るぞ来るぞーって思わせて、ワッ!と驚かせるお化け屋敷的な楽しみっていうか。
ところが本作では、わりと犯人の動向が分かるような撮り方なので、肝心のシーンでもビックリ度が低いんですよね。
あと、音楽がね。
本作では、音楽をのちにアルジェント作品の常連となるゴブリンっていうプログレバンドが担当してるんですけど、被害者が犯人に襲われる時の音楽が、怖いというよりアクションシーンにかかるような曲なんですよ。
それが完全なミスマッチっていうか、映画にとって音楽がいかに大事かがよく分かりますw
ミステリー的にも、マイクがヒントを得て真相に気づく部分がやや強引だし、なんか重要そうに差し込まれた映像にまったく意味がなかったりして、監督の意図が分からないシーンも多々あったり。
多分、全体的に映像の撮り方があまり上手くないんだろうなーって思いました。
いや、意図的なのかもですが、あまりプラス効果は感じなかったですねー。
ただ、『幽霊屋敷』や『サイコ少女』『怪しげな絵』など、全体的に不穏な雰囲気はよく出ていて、日本で言えば横溝正史の映画的だなーと思いました。犬神家の一族とかそういう感じに近い雰囲気。
現代はサイコホラーの観せ方が確立してて、そういう映画をある程度観てしまってるので、本作を観て違和感というか牧歌的な印象を持ってしまいますが、この当時はまだ、観客を怖がらせる方程式みたいのが出来てなかったサイコホラーの黎明期だったってこともあるのかもですね。
前半はわりとダラダラしてたものの、後半の畳み掛けは緊張感もあって個人的に面白かったですし結構ハラハラしました。
なので、怖さや謎解きを観たい人は肩透かしを食らってしまうかもですが、当時のイタリア映画の雰囲気というか空気感を味わってみたいという人には面白いかもです。
興味のある方は是非!!