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「薄氷の殺人」(2015) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ベルリン国際映画祭で、「金熊賞」と「銀熊賞」を受賞した、中国クライムサスペンス『薄氷の殺人』ですよー!
以前、愛聴してるラジオ番組でラッパーで映画評論家のライムスター 宇多丸さんがベタ褒めだったのを思い出して、今回観てみることにしましたー!

http://image.eiga.k-img.com/images/movie/81092/poster2.jpg?1415671542
画像出典元URL:http://eiga.com/

概要

2014年に公開された、中国・香港合作のクライムサスペンスムービー。
第64回ベルリン国際映画祭金熊賞(最優秀作品賞)と銀熊賞(最優秀男優賞)を受賞し、世界的な評価を受けた。
その独特な映像美と語り口から中国ノワール映画の傑作と推す人も多い。
長く脚本家として活躍してきたが監督は本作が3作目のディアオ・イーナン。
主役の元刑事 ジャンは『戦場のレクイエム』などのリャオ・ファン
事件の鍵を握る美しい女 ウーをグイ・ルンメイがそれぞれ演じる。

あらすじ

1999年、中国華北地方の石炭工場でバラバラに切断された遺体の断片が発見される。
刑事ジャン(リャオ・ファン)らが捜査に当たり、容疑者の兄弟を逮捕するが、その後わずかなミスから銃撃戦に発展、兄弟を射殺してしまったため詳細は闇の中、ジャンもその時撃たれた傷のせいで、刑事の職を追われてしまう。

そして5年後の2004年。
しがない警備員となり、自暴自棄の生活を送っていたジャンは、元同僚のワン(ロン・ロン)と出会い、1999年の事件と手口が類似した猟奇殺人が発生したことを知る。
ジャンは独自に調査を開始。
やがて、被害者たちの裏に、死んだリオンの妻だったウー(グイ・ルンメイ)がいることを突き止めるが……。

 

感想

自身のラジオ番組の映画紹介コーナーで、ライムスター宇多丸師匠が絶賛した本作。ネットでの評価も高かったので、それなら一丁観てみるか! と、レンタルしてきました。

まず、最初に結論を言ってしまうと、小学校五年生がキャッキャ言いながら観るような知能指数の低い映画を好む僕には、本作は正直、合わなかったです。

いや、難しい話ではないんですよ?
ストーリー自体は、TVの『〇〇サスペンス劇場』的な良くある物語です。
ただ、本作が評価されているのはソコではないんですね。

中国ノワール映画

本作は、いわゆる『中国ノワール』と呼ばれる作品です。
一時はド派手なCGやワイヤーアクション、それに人海戦術で大作が量産されていた中国映画界。
本作はそんな娯楽大作とは真逆の、人間ドラマを描いた非常に作家性の強い作品です。

極端に少ないセリフ、長回しや、そうかと思えば驚くほど極端な省略。
って書くと何か悪口っぽいですが、それこそがディアオ・イーナン監督の作家性なんですね。

その一方で、原色バリバリなのに冷たさを感じせる配色や、ハッとするほど美しい映像、前のシーンの韻を踏みながら次のシーンに繋げていく編集など。
主に、演出や音の演出は、今ま観たどの映画とも違う独特なもので、それによって中国のどこにでもあるような地方都市が、まるで見たこともない『迷宮』のように感じたりします。

その作風は、あえて言えば初期の北野映画や、「ドライブ」のニコラス・ウィンディング・レフン監督の作品に近い雰囲気かも。

ただ、こうしたクセのある作り方は、ストーリーを追って観るタイプの人からすると、「え、結局それだけの話?」となりかねないので、かなり観客を選ぶ作品になってると思います。
本作の場合、むしろストーリーの本筋の裏にある心の機微こそが、監督が真に語りたい部分じゃないかと思うんですね。

ファムファタール

男にとって「運命の女」または「男を破滅に導く悪女」を『ファムファタール』と呼びますが、本作のヒロイン、グイ・ルンメイ演じるウーはまさしく、ファムファタールです。

いかにも薄幸そうで、守ってやりたくなるタイプの美人で、謎多き女。
(多分)警察のエースで敏腕刑事だったジャンは、1999年の事件で容疑者の銃弾によって傷を負い、それが原因?で警察を辞めて地方会社の警備員として働いてるものの、刑事時代が忘れられずに酒に溺れ、自暴自棄な生活を送っています。

そんな彼は、たまたま事件の張り込み中だった元同僚のワンと出会い、自分から刑事の職を奪った1999年の事件が終わっていないかもしれない事を知り、刑事でもないのに独自調査を始めます。

彼を動かしていたのは正義感でもなんでもなくて、職を奪われた犯人への復讐と過去の栄光を取り戻すことです。
で、新たなバラバラ殺人の被害者が、1999年の被害者の妻だったウーと関わりがあることを知ったジャンは彼女に近づき、そのうちにどんどん惹かれていってしまうという展開。

ね、ありがちでしょ?

一方ヒロインのウーは、終始何を考えてるのか、本心がどこにあるのか観客にも分から合い謎の女。
いかにも薄幸そうな『守ってあげたい』美女で、ゆえに言い寄る男も数知れず。
恐らくは、その美貌のせいで、嫌な思いをしてきただろうと想像出来ます。(実際勤務先のクリーニング店の店長にセクハラされてるし)
そんな二人を主軸に、次第に事件の全貌が明かされていくわけですが……

 とにかく分かりにくい! けど、好きな人はハマる

途中でいかにも意味ありげに、人だの馬だのが登場するんですが終わってみれば、
ただ撮しただけかーーーい!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ とw

もう、ミスリードですらありません。本当にただ撮しただけ。
その割に、わりと重要なシーンはビックリするくらいサラリと撮しているので、余程ちゃんと観てないと途中で迷子になっちゃいます。(僕もネット評を読んで分かった事実が多々有りました)

それを脇に置いても、「あれ、この人はいつ真犯人に目星をつけたの?」とか「このメモはいつ書いたの?」とか、よく分からない部分もあって自分に見逃したシーンがあるのかと、何度も巻き戻して観ちゃいましたよ。

また、全編通してあまりにも静かで、盛り上がりがなく淡々と進むので、途中何度も眠たくなりました。(実際一度眠っちゃって、観直したし)

ただ、前述したように、謎解き自体はあまり意味がありません
物語の主軸は、ウーとジャンが何を思っていたのかなんですね。
ラブシーンでの会話も、それが本心なのか嘘なのか分からず、終わってみてもハッキリした正解は分からず、観る人によって解釈が分かれる。そんな映画です。

正直、僕にはあまり合わなかった本作ですが、好きな人には人生オールタイムベストになっちゃうくらいハマるタイプの映画だと思いますよ。

興味のある方は是非!

 

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