今日観た映画の感想

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「オデッセイ」(2016) 感想

ぷらすです。

今日25日「火星DASH村」と呼ばれ、ネット界隈で話題の映画『オデッセイ』を見てきました!!

 

というわけで、早速感想を書くにあたり、出来るだけネタバレしないように書くつもりですが、それでも多少内容に触れることになるので、これから観に行く予定のある人は、鑑賞後にお読みくださいねー。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com/

概要

昨年10月にアメリカで公開されたSF映画。
15歳の頃からサンディア国立研究所でプログラマーとして働き始め、その後カリフォルニア大学サンディエゴ校でコンピュータ・サイエンスを学び、多くのソフトウェア会社で働いていたアンディ・ウィアー。
そんな彼が趣味でブログに書いた小説が人気を呼び、2011年にKindleで最低価格の99セントで売りだすと発売3ヶ月で3万5000ダウンロードを記録し、SF部門の売上げトップ5に入る大ヒットとなった小説「火星の人」(原題The Martian)を原作に、脚本を担当したドリュー・ゴダードが監督も担当するはずだったが、スケジュールが合わず宙に浮いた本作を、リドリー・スコット監督が引き継いだ。
主演は、数々の映画で主演を務める人気俳優 マット・デイモン

 

あらすじ

火星有人探査、アレスⅢ計画のロケット「ハーミス号」のクルー、船長のメリッサ・ルイス(ジェシカ・チャステイン)、そしてマーク・ワトニー(マッド・デイモン)、ベス・ヨハンセン(ケイト・マーラ)、リック・マルティネス(マイケル・ペーニャ)、クリス・ベック(セバスチャン・スタン)、アレックス・ヴォーゲル(アクセル・ヘニー)の6人で、彼らは火星のサンプルを採取していた。

その最中に激しい嵐が彼らを襲う。
一旦は火星にとどまり嵐をやり過ごすことにしたクルーたちだったが、次第に激しさを増す嵐によって脱出ロケットが傾き始め、船長メリッサは火星脱出を決定。
嵐の中ロケットに向かう彼らだったが、風によって飛ばされた通信アンテナの破片がワトニーに直撃してしまう。

ワトニーが死んだものと思い火星を脱出する5人。
しかし、ワトニーは傷を負ったものの生きていた。
そして、火星に一人取り残されたワトニーのサバイバルが始まる。

感想

まさに『火星DASH村

もうね、先に書いちゃいますけどサイっっっコーでした! ヤッフーー!

僕が見たのは吹き替え3Dでしたが、2時間21分笑ったり泣いたり大忙しでしたよ!

火星にぼっちという絶望的な状況にも関わらず、本作には悲壮感は殆どありません。
主人公ワトニーは自分の持つスキルを駆使して、この絶望的な状況をたくましく生き延びていきます。

その様子はまさしく『火星DASH村
こと日本に限れば、これほどシックリくるキャッチフレーズはありません。

腹に刺さったアンテナの破片をブラッジャックよろしく自力で手術して、火星に残された設備を使って、酸素と水を作り、火星の土とクルーや自分の排泄物を混ぜて地球から持ってきたじゃがいもを栽培し、過去、火星に送られた惑星探査機を使って地球との交信をする。

住居ベースの一部が吹き飛んでも、火星用スーツのヘルメットにヒビが入っても、ビニールシートとダクトテープさえあればなんとかしちゃいます。ダクトテープ最強。

BGMがいい!

もちろん失敗もするし、「これでもか!」というくらい危機的乗降に陥るけど、ワトニーは常に軽口とジョークを交えながら目の前の問題を一つづつ問題を解決していくんですね。

そんなワトニーの心の支えになるのが、メリッサ船長の残していった私物のCD。
70年代ディスコソングが好きな彼女のセンスをボロクソに言いながらも、ワトニーにとって、そのCDは欠かせないものだったと思います。

また、要所要所でBGMとしてかかる音楽がいいんですよねー。

・ヴィッキー・スー・ロビンソンの『妖精のメロディー』
ドナ・サマーの『ホットスタッフ』
・ザ・ヒューズ・コーポレーションの『Rock The Boat/愛の公開』
・テルマ・ヒューストンの『Don't Leave Me This Way / ジス・ウェイ』
デヴィッド・ボウイの『スターマン』
・アバの『Waterloo / 恋のウォータールー』

そしてエンディング、The O'Jaysの『ラブ・トレイン』

どの曲も、名前は知らなくてもどこかで馴染みのある曲ばかり。
そして、この曲の歌詞は、全部物語のシーンやテーマ、ワトニーの心情とリンクしてるらしいんですね。
なので、本編を観たあとに歌詞を検索してみるとまた本作の味わいが増すかも。

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絶望に飲み込まれないために

そんな感じでワトニーがあまりに前向きに、淡々と危機を乗り越えたり、終始軽口を叩いてるので、全然大変そうに見えないという意見もあるようです。

もちろん、それは彼自身の持って生まれた性格もあるかもですが、まず、宇宙飛行士はどんな危機的状況でも、常に冷静に最適解を求めるように訓練されていて、それが出来ない人はそもそも宇宙飛行士にはなれないんですよね。
なので、彼の一見軽くてノリノリな行動は理にかなってるんじゃないかなーって僕は思います。
そして、彼が終始軽口を叩きながら(時には楽しそうに)目の前の問題を一つ一つ解決していくのは、目の前の問題を解決することに集中しないと、その先にあるかもしれない絶望的状況に押しつぶされてしまうからじゃないかなって思います。

物語中盤、あるアクシデントによって大ピンチに陥ったワトニーが初めて漏らす、力ない叫び(というか悲鳴)こそが、実は彼の本心(心の奥に押し込めていた絶望と恐怖)なんじゃないかなって思いました。
観客も、意識的か無意識的かは別に、そんな彼の心情が伝わるからワトニーに感情移入していくんじゃないでしょうか。

中国の話

本編では中国の宇宙開発局の人々が結構いい役で登場します。
これをもって、「ハリウッドにはチャイナマネーが」云々という人もいるようで、もちろんそれもあるんでしょうけど、中国の宇宙開発局がワトニー救出作戦に関わるのは、原作でもある描写なんだとか。
また、物語の流れやテーマ的にも、中国の宇宙開発局の人々が絡むのは個人的には必須だったように思います。

78歳の巨匠が描く人間賛歌

それでも、一縷の望みにすべてをかけて最善を尽くすワトニーと、NASAのスタッフ、そして「ハーミス号」のクルーたち。
これは、78歳という老境に入ったリドリースコット監督が世界に送った人間賛歌の物語なんだと僕は思いました。
それを、重苦しくなく、軽やかに、見事なエンターティメントに仕上げた監督の手腕は見事としか言い様がないです。

2時間21分とお尻が痛くなるくらい長い映画ですが、本作に限って言えばこの長さは絶対必要で、これ以上どこも端折ることが出来ないほど無駄がない作りだったと思いますよ。
長い時間をかけて、観客が泣いたり笑ったりしながらワトニーとシンクロしていくことで、ラストの脱出シーンでの深い感動とカタルシスに繋がっていくわけですから。

ともあれ、『オデッセイ』オススメです!!
劇場の大画面で、出来れば3Dで観るとより面白さと迫力を味わえると思いますよー!!

興味のある方は是非!!!

 

どうでもいいオマケ

物語の中で、マッド・デイモンのオールヌード(後ろ姿)がでるんですが、一部のファンの間で「マッド・デイモンの『ホットスタッフ』が見えてるんじゃないか」と噂になってましたが、僕の見る限り彼のホットスタッフは映ってなかったように思います。
日本版と全米版では違うのかもですけども(ホントどうでもいい)

 

 ▼原作小説▼