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「柳生一族の陰謀」(1978) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、1978年の時代劇柳生一族の陰謀ですよー!

恥ずかしながら僕はこの映画を子供の頃にTVで見たんじゃないかと思うんですが、ぶちゃけ萬屋錦之介さんの「夢じゃ、夢でござる!」のシーンだけしか覚えてなかったんですね。

で、今回レンタルで改めて観たんですが、やっと話の筋を理解できましたw

http://ecx.images-amazon.com/images/I/71DjJvP8kQL._SL1053_.jpg画像出典元URL:http://www.amazon.co.jp/

概要

1978年、時代劇復興を目指した東映が、当時9億7,000万円という莫大な予算をかけ、豪華なセットや衣装小道具、映画・演劇・テレビ界の豪華スター陣を配して12年ぶりに製作した時代劇巨篇。

監督は『仁義なき戦い』シリーズの深作欣二
出演は、萬屋錦之介千葉真一・他

 

あらすじ

元和九年五月十一日、二代将軍徳川秀忠が突然死去する。発病からわずか2時間で死亡という不自然な状況、また毒見役が切腹という事態から、毒殺説が囁かれた。
秀忠には二人の息子、家光(松方弘樹)と駿河大納言忠長(西郷輝彦)がいたが、顔に大きなアザがあり吃音症の家光を秀忠は疎み、次男の忠長を次期将軍へと考えていたのだ。

秀忠葬儀後の嵐の夜、秀忠の眠る霊廟に忍び込み遺体から胃袋を取り出し盗み去ろうとする忍者たちを、将軍家剣法指南役の柳生但馬守宗矩(萬屋錦之介)の子供たちが切り捨て、胃袋を取り戻す。その胃袋を調べた宗矩は毒殺であることを確信。

翌朝、宗矩が伊豆守(高橋 悦史)と春日局(中原 早苗)を問い詰めると二人は、「秀忠が嫡男家光を廃嫡とし、忠長を将軍に据えようとしたので、家光を守るため先手を打って毒殺した」事を自白。
宗矩は、そこにやってきた家光にすべてを明かし、家光に将軍の権威と宿命を説き、善悪を超越した不退転の決意を促す。

一方、手駒の忍者による秀忠の胃袋奪取に失敗した土井 利勝(芦田 伸介)は、秀忠暗殺の疑いが強いことを忠長に進言。
忠長は大炊頭の具申により、秀忠の遺体を検めるべきだと家光に詰め寄るも、家光は「嫡男として取るに足らない噂で、御遺体を検めるのはもってのほか」と認めず、両者は対立。

この事態を予測していた宗矩は、武者修行の旅に出ていた息子 柳生十兵衛千葉真一)を呼び戻し、戦国時代に紀伊国北部の根来寺を中心とする一帯に居住した僧兵たちの末裔で十兵衛と親交の深い、「根来衆」にも加勢を以来。

家光と忠長の次期将軍争いは、家臣、大名、公家、浪人を巻き込んでいく。

 

感想

3代目 SHOUGUN総選挙

本作を一言で言うなら「将軍の後継者争い」の物語です。
と言っても最初、家光、忠長の二人共そんなつもりはなくて、特に忠長は「いやー次の将軍は長男の兄ちゃんでしょ」くらいのテンションなんですが、それぞれの家来が勝手にエキサイトして、形勢不利な家光の家来、伊豆守と春日局がとうとう二人のパパで現将軍の秀忠を暗殺しちゃったことで事態はややこしくなるんですね。

で、それを知った十兵衛のパパ 宗矩は(多分)元々家光推しだったもんで、話を聞いて動揺する家光に「あなたは選ばれし運命の者なんですよ」なんて丸め込んでその気にさせて、さらに家光を次期将軍にするために色々陰謀を巡らせていくわけです。(その陰謀の所為でどんどん大事になっていくんですが)

一方、忠長推しの二人のママ 崇源院山田五十鈴)と土井 利勝は、正義感の強い忠長に「パパを殺したのは家光推しの伊豆守と春日局っすよ。こんなん許していいんすか?」と吹き込んだから、さぁ大変。

将軍の息子たちの兄弟ゲンカは、公家やら諸国大名やら、関ヶ原で職を失って不満タラタラの浪人やらを巻き込んだ大事になっていくという物語なんですね。

いわば、江戸版仁義なき戦いです。金子信雄も出てるしね。

豪華な役者陣

本作で注目すべきは、とにかく豪華な役者陣です。
主演の萬屋錦之介を始め、千葉真一松方弘樹西郷輝彦大原麗子原田芳雄丹波哲郎山田五十鈴成田三樹夫三船敏郎 等など。
大スターたちが一堂に会しています。

その中でも、一際存在感を放つのが主演の萬屋錦之介
子連れ狼」の拝一刀役が有名な時代劇界の大スターです。

元々歌舞伎役者出身だけあって、台詞回しや所作も完璧。
そして、その顔面力

時代劇ということを鑑みても大仰過ぎる歌舞伎みたいな芝居も、この人の顔面力でやられると納得せざるを得ない感じ。

最初は道理を通すために始めた家光将軍プロデュースだったのに、次第に自分で仕掛けた陰謀に溺れていき、そして衝撃のラストへと繋がっていく表情の使い分けも見事でしたねー。

まさに錦之介・オン・ステージ。

あ、それと本作にはデビューしたての若き真田広之や、今は長渕剛の奥さんになった志穂美悦子も登場してキレッキレのアクションを演じていますよ。

深作欣二の出世作

仁義なき戦い」シリーズで人気監督の仲間入りを果たした深作欣二監督ですが、逆に「仁義なき~」でついてしまったヤクザ映画のイメージを本作で払拭。
以降、大作を次々に任される巨匠になっていきます。

そういう意味で本作は深作監督のターニングポイントとなった作品と言えるのではないかと思います。
時代劇に現代的な風を吹き込むため、深作監督は現代劇の役者を多く起用し、手持ちカメラで乱戦の真ん中に入っていく撮影法やストップモーションなど「仁義なき~」で培ったテクニックを駆使し、前後左右だけじゃなく縦のアクションを入れることで、これまでの旧態然とした様式美的な東映時代劇とは一線を画す、迫力とスピード感に溢れた新しい時代劇の形は当時の観客には衝撃だったんじゃないでしょうか。
今で言えば、「るろうに剣心」実写映画くらいの衝撃だったんじゃないですかねー。

結局のところ

TBSのドラマ「半沢直樹」が記録的大ヒットを飛ばした事からも分かるように、いい脚本、いいスタッフ、いい役者が揃えば当然、面白いドラマが出来るわけで、本作はまさにその条件が揃っていた黄金期、最後の大作娯楽時代劇なんじゃないかと思います。

時代劇というと若い人は敬遠してしまうかもですが、それは『昔の話』だと思うからなんじゃないかなと。
そうじゃなく、日本に似た違う世界を描いたアジアンファンタジー映画だと思って観れば、また観え方も変わってくるかもしれません。

少なくとも、レンタルなら今は昔の名作時代劇が100円で観られますから、騙されたと持って観てもらえたらなって時代劇ファンとしては思うんですよね。
まぁ、本作は時代劇の入口としてはちょっとアレかもですがw

興味のある方は是非!!