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「ローリングサンダー」(1978) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、本国アメリカでは1977年公開のバイオレンスアクション映画『ローリングサンダー』ですよー!

タランティーノ監督が自分の会社に『ローリングサンダー・ピクチャーズ』と付けるくらいお気に入りな作品と聞いて、早速レンタルしてきましたー!

http://ecx.images-amazon.com/images/I/71dDk5UGuML._SL1000_.jpg画像出典元URL:http://www.amazon.co.jp/

概要

『タクシードライバー』や『ランボー』と同じ、いわゆるベトナム帰還兵モノ。
ベトナム帰還兵の孤独と、断ち切れない暴力の連鎖を描く。
監督はジョン・フリン、脚本は『タクシードライバー』も手がけたポール・シュレイダー

 

あらすじ

ベトナム戦争で過酷な捕虜生活を送ったチャールズ・レーン少佐(ウィリアム・ディヴェイン)は、帰国後自分の居場所を失ってしまう。
そんなある日、メキシコから来た強盗集団に妻子を殺され、自身も片腕を失うという理不尽な暴力に遭った彼は、復讐のために立ち上がる。

 

感想

あらすじを読んだ方は、本作をよくあるリベンジムービー(復讐劇)と思うかもですが、本作を観て、いわゆるリベンジムービーではないと僕は思いました。

主人公チャールズ少佐と部下のジョニー伍長(トミー・リー・ジョーンズ)が、ベトナムで過酷な捕虜生活を生き延び、生還を果たした地元の英雄として町の人たちに出迎えるところから物語はスタートします。

様々な式典や生還祝い品の贈与など、町の人たちに暖かく迎えられるチャーリーですが、長きにわたる捕虜生活や拷問の後遺症で、彼の心はすっかり壊れてしまっているんですね。

さらに輪をかけて1歳半で別れた息子マークとはしっくりいかず、チャーリーが帰ってくるのか分からず不安だった奥さんのジャネット(リサ・リチャーズ)は、何かと親切にしてくれた州警官のクリフ(ローラソン・ドリスコル)と深い仲になり離婚話になる始末。彼はすっかり居場所を失ってしまいます。

そんなある日、チャールズがイベントで贈呈された銀貨を目当てのメキシコ人の強盗団に家を襲われ、息子と妻、そして自身の右手を失ってしまいます。

病院で療養しながら、彼は二本の鉤爪(物を挟むやつ)がついた右手の義手を自由に操れるよう根気よくリハビリし、復讐のためにメキシコに向かうという物語です。

これは果たして復讐劇か

本作で早々に奥さんは浮気していたことを告白し、チャーリーに離婚を求めます。
おそらく死んでいるであろう夫を待ち続ける孤独に、奥さんは耐えられなかったんですね。

チャーリーはせめて息子だけは手放したくないと願いますが、その息子も赤ん坊の時に別れて以来なので、チャーリーには懐けず浮気相手のクリフに懐いてるような状況。

つまり、強盗の件がなくても、チャーリーは全てを失ってしまってる状態なんです。

劇中チャーリーは「俺は死人だから」というような事を、彼の「グルーピー」を自称するウエイトレスのリンダ(リンダ・ヘインズ)に言うんですが、これはつまり、ベトナムにいる間に死人になってしまった(全てを失ってしまった)という事だと思います。

それでも彼は、黙々と復讐の準備を始めます。
ただこれは、妻子の敵を討ちたいというより、大義名分ができたから復讐するっていう感じなんですよね。

もっと言えば(少なくとも復讐が終わるまでは)生きる目的が出来たという喜びに近い感情を彼は抱いていたのかなーって思ったり。

リンダ

犯人の会話から彼らがメキシコ人であることを知っていたチャーリーですが、しかし彼の顔はすでに見られているので、犯人たちをおびき出す囮となる人間が必要です。
そこで、チャーリーは自称グルーピーで、入院後も何かと世話を焼きに来てくれたリンダを犯人をおびき出す囮役として、メキシコに連れて行くんですね。
多分、使い捨てにするつもりだったんじゃないかと思います。

そんな事とは露知らず、リンダはやっとチャーリーが振り向いてくれたと喜ぶんですが、チャーリーの目的を知って怒ったり、警察に任せて遠くに行こうと説得したりします。

彼女もまた、居場所を失っていて、だからチャーリーに共感して尽くそうとするんですが、その心は最初、チャーリーには届いていないんですね。

しかし、一緒にいるうちにリンダと一瞬心が通じたチャーリーは、モーテルで眠るリンダを残し、そっと『戦場』へ向かうわけです。

ジョニー伍長

決戦の地、エル・パソにはチャーリーと共に捕虜生活を送った、ジョニー伍長がいます。そんな彼を演じるのは若き日のトミー・リー・ジョーンズなんですが、なんていうか、トミー・リー・ジョーンズって、ある種のボンクラ感というか、こう何を考えてるか分からないぬぼーっとした感じがあるじゃないですか。

そんな彼のボンクラ感が、本作では心の壊れてしまった男の演技と相まって、主役のチャーリー以上に、ある種の危うさや不吉さを醸し出してました。

で、劇中の彼もまた、家族に囲まれながらも居場所のなさを感じていて、訪ねてきたチャーリーから妻子の敵がこの街にいると聞いた途端、喜々として武器の準備を始めるんですね。

2人の目的

前述したように、チャーリーとジョニーは、ベトナムハノイで7年にも渡って捕虜として拷問を受け続けています。
この時点で2人の心は死んでいて、生きているのは体だけの幽霊みたいなものです。
しかも、結局彼らが命がけで戦った『戦争』はアメリカにとっては全く無駄な戦いだったわけで、帰ってみれば彼らは完全な『異物』になっていたんですよね。
だから、表向きはチャーリーの復讐ですが、彼らの真の目的は『戦場で死ぬこと』だったんだと僕は思いました。

だからこそ、ジョニー伍長は喜々としてチャーリーの『復讐』に協力するんですね。
彼らにとって復讐は大義名分のある『正義のための戦争』であり、その戦いに身を投じている間だけが、唯一生きている時間でもあるわけですね。

ぶっちゃけ、前半は静かに、悪く言えばダラダラと進む物語は、この最後の戦いで一気に加速するし、それまでとは違ってこのシーンでのみ喜びに満ちた生き生きした2人が見られます。

ニューシネマの終わりと

本作が公開された77年~78年は、それまでのアメリカンニューシネマ期から娯楽大作期への転換期でもあります。
スターウォーズ」「未知との遭遇」「サタデー・ナイト・フィーバー」などの娯楽大作とほぼ同時期に公開された本作と、ベトナムから生還してみたらアメリカに居場所を失っていた二人は、どこか重なるような気がしなくもないです。

まぁ、地味で暗くて救いのない低予算映画だし、かなり好みも分かれる映画じゃないかなーとは思うので、あまり積極的にオススメは出来ませんがw

興味のある方は是非!

 

 

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