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今日観た映画の感想

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「ブルー・リベンジ」(2015) 感想

映画レビュー

ぷらすです。

今回ご紹介するのは第66回カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞したサスペンススリラー『ブルー・リベンジ』ですよー!
僕はこの作品のパッケージがずっと気になってたんですが、どことなく地雷臭もするしレンタルするのを躊躇してたんですね。
でも今回、思い切ってレンタルしてみましたよー!

 

http://image.eiga.k-img.com/images/movie/81296/poster2.jpg?1421826922
画像出典元URL:http://eiga.com/

概要

第66回カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞、サンダンス映画祭でも上映されたサスペンススリラー。
両親を殺された男の復讐劇を静かなトーンでエモーショナルに描いていく。
監督は、カメラマン・撮影監督として活躍しながらインディペンデント映画を制作しているジェレミー・ソルニエ。
主演はコミックライターとしての顔も持つメイコン・ブレア。

 

あらすじ

ボロボロの青色のセダンを根城にホームレス生活を続けているドワイド(メイコン・ブレア)は、ある日顔見知りの警官に、両親の仇が司法取引に応じ刑を全うすることなく出所することを知らされショックを受ける。
怒りに駆られた彼は復讐を決意。ボロボロのセダンで犯人の元へ向かうのだが……。

 

感想

なにがビックリしたって主人公のドワイド、わりと前半の方で復讐を遂げてしまいます。復讐劇って主人公の復讐が映画のクライマックスになるのが普通ですが(なぜなら『復讐劇』だから)本作は全然違って、果たしてこれって『復讐劇』か? と首を傾げてしまいました。

ちなみに原題は「BLUE RUIN」
直訳すると「青い(の)破滅」みたいな感じですかね。

復讐劇…なのか?

上記のように主人公ドワイドは知り合いの警官に「両親の仇の男が司法取引で刑期前に出所してくる」と知らされ、それでショックを受けて復讐に向かうんですね。

このドワイドは青色の古いセダンを根城にしているホームレスなんですが、その車に無数の銃痕があることから、おそらく両親が死の間際に乗っていた自動車だというふうに推測できます。

ここまで書くと、主人公は何らかの理由でホームレスに身をやつし、復讐の機会を窺っていた。って思いますよね?
ところが、物語が進むにつれて、どうもドワイドがホームレスなのと、両親の殺人事件には関係がないような気がしちゃうんですよね。

というのもこのドワイド、とにかく行動が行き当たりばったりだし、失敗ばかりなんですよ。
復讐のため銃砲店に行くもお金は足りず、駐車中の車から拳銃を盗むもトリガーに鍵が付けられてて外れない。鍵を壊そうとしたら拳銃の方が壊れる。
仕方ないので小型のナイフで復讐を果たし、逃げる際に仇家族のリムジンのタイヤをナイフで刺してパンクさせようとしたら、勢い余って自分の手も切っちゃう。しかも自分の車の鍵を現場に落とし、自らパンクさせたリムジンで逃げるハメに。

なんかもう、コントかと思うようなダメっぷりです。

普通、復讐を計画するなら、色々事前に準備するじゃないですか。
ところがこのドワイドは毎日、ただホームレス生活を満喫していたわけです。

ちなみにこの映画、ほとんどドワイドや事件の詳細が説明されないので想像するしかないんですが。
両親が殺された→悲しみに暮れて世捨て人に→事情を知る世間の皆さんは同情してくれるしホームレスサイコー! もう働きたくないでござる→両親の仇が出所→これ、復讐しないとただ働きたくなかっただけなのがバレちゃう!→復讐。

って事なんじゃないかって思ったんんですけど、違うのかな。

ともあれ、不格好ながらなんとか復讐を成し遂げたドワイドですが、自分の殺人事件が一向にニュースで流れないんですね。
で、ドワイドは相手の家族が復讐の為に、通報してない事を悟るわけです。

焦るドワイド。何故なら現場に放置したセダンは、姉の名義だったからー………
って、コラーーー!(*・д・)ノ)´Д`)ビシッ

そんなこんなで、姉と姪っ子を一時避難させたドワイドは復讐する側からされる側へ。
相手の家族に仇として狙われ、対決するわけですね。

始まりも終わりもない映画

そもそもの発端である、両親が殺害された事件。
物語中盤で語られる、その真相に観ているこっちは思わずひっくり返りそうになるんですけど、結論だけ言うとドワイドの復讐はそもそも始まってもいない上に、一番最初のボタンをかけ違えたせいで、どんどんズレていって終わりも見えない状況に追い込まれちゃうんですね。

その内容はネタバレになるので書けませんが、本作を一言で言うと『復讐劇』ではなく『破滅劇』です。

しかも、自分の凡ミスのせいで逃げることは許されず、只々不毛な殺し合いに発展していくっていう、ある種の喜劇ですらあります。

その辺は多分、湾岸戦争以降のアメリカのメタファーでもあるのかなー?
なんて思ったりもしましたが。

その静かさ故にショッキングなバイオレンスシーン

とはいえ、復讐劇といえば息詰まる攻防やド派手なアクションシーンがー! って思われるかもですが、本作の8割くらいはひたすらドワイドが困ったりドジッたりウロウロするシーンで構成されてます。
そもそもこのドワイド、どう見てもアクション無理そうな見た目なんですね。
それでもヒゲボーボーの時は、まだ少しワイルド感あるんですが、途中でヒゲを剃って髪を整えたら、ただの冴えない中年になりました。
こんなん、あっという間に殺されちゃうわって思わせる、イケてない感がにじみ出ていて、実際、何度も非道い目にあうし、『復讐』や銃撃戦もカタルシスゼロです。

まず、この殺し合い自体に何の意味もないんだから当然といえば当然ですけども。

ただ、そのあまりに静かな映画ゆえに、たまに出てくるバイオレンス描写やいわゆる『痛いシーン』が際立って、思わず顔を顰めちゃうんですよね。
痛さが伝わるという意味では、かなりリアルって言えるんじゃないでしょうか。

語られない部分を想像する映画

本作はとにかく、物語に関わる多くの事が語られない映画です。
登場人物とドワイドの関係性や、そのキャラクターや人生。
そもそもの事件の発端となった事情(セリフで軽く説明はありますが)
主人公ドワイド心情すら最低限しか語られず、主人公や他のキャラクターに感情移入するためのガイドラインがほとんどないので、観客は本作の背後にある物語を想像し補完することで、この映画を完成させるしかない不親切仕様です。

だから面白くないという人もいるかもだし、そこが面白いっていう人もいるかもですが、個人的には好きな映画でした。

興味のある方は是非!

 

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