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「ヤッターマン」(2009) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは2009年に公開された、あの大人気アニメの実写化作品『ヤッターマン』ですよー!
公開当初、レンタル開始時に何故かタイミングを逃し続けていたんですが、先日ふと「あ、そういえばまだ観てないじゃん」と気づいて、レンタルしてきましたー。

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概要

1977年から79年まで放映された、『タイムボカンシリーズ』の中でも一番人気のあった同名アニメの実写化作品。
櫻井翔深田恭子福田沙紀などの豪華キャストも話題を呼んだ。
監督は『十三人の刺客』『ゼブラーマン』などの三池崇史

 

あらすじ

四つ揃うと願いが叶うという伝説のドクロストーンを巡り、『週に一度』の戦いを繰り広げるヤッターマンと、自称「泥棒の神様」ドクロベエ率いるドロンボー一味。
そんなある日、ヤッターマン二人のもとに、ひとりの少女がやってくる。
少女の名は海江田翔子(岡本杏理)。ドクロストーンを追う考古学者、海江田教授(阿部サダヲ)の娘で、行方不明になった父を探して欲しいという。

ドロンボー一味との激闘の末、ヤッターマンの手元にはドクロストーンの欠片が2つ、一方ドクロベエの手元には1つ。
そして、ドクロストーンには恐ろしい秘密が隠されていた。

 

感想

本作は、1975年~1983年まで放映されたタツノコプロの人気アニメ『タイムボカンシリーズ』の2作目『ヤッターマン』実写映画化作品です。
ヤッターマン』はシリーズでも一番の人気を誇り、2008年にはリメイク版アニメ、2015年にはドロンボー一味の末裔を主人公にした『夜ノヤッターマン』が作られています。

監督自ら提案

当初、三池崇史監督のもとには『科学忍者隊ガッチャマン』実写映画化のオファーがあったそうですが、監督は「ガッチャマンを実写化するにはハリウッド並みの予算が必要」とこの話を断り、「ヤッターマンなら」と自ら提案したんだとか。

のちに実写映画化された『科学忍者隊ガッチャマン』の惨憺たる結果を見れば、三池監督が如何にクレバーな監督かが分かるエピソードです。

で、この『タイムボカンシリーズ』、特に『ヤッターマン』はそれまでのヒーローアニメを茶化したような悪ノリギャグが売りのアニメであり、その辺は、過去数多の悪ノリややりすぎ作品を世に出してきた三池監督の資質ともピッタリの作品だと言えるんはないでしょうか。

深キョンのドロンジョーと福田沙紀の2号

タイムボカンシリーズ』には、基本的なフォーマットがあります。
主人公は少年と少女の二人組(シリーズが重なるうちに変わってきたりしますが)vs3人組の悪党との対決です。
ヤッターマン』では、正義の味方ヤッターマン1号がおもちゃ屋の息子 高田ガン。
2号が電気屋の娘 上成愛(かみなり あい)
対する3悪党が、女ボスのドロンジョー、メカと戦略担当のボヤッキー、力仕事と荒事担当のトンズラー。

本作では、ガンちゃんに嵐を櫻井翔、愛ちゃんを福田沙紀、ドロンジョを深田恭子ボヤッキー生瀬勝久、トンズラーをケンドーコバヤシがそれぞれ演じていますが、このキャスティングが見事にハマっていたように思いました。

特に、深キョンのドロンジョ様は声の感じまでアニメに寄せる力の入れっぷり。
実写用にレザー仕様に作られたコスチュームもよく似合っていたし、観た瞬間に「あ、ドロンジョだ」と思わせる説得力がありました。

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一方、福田沙紀演じる愛ちゃんも、ドロンジョとは正反対の少女感というか健康的でちょっとエロい感じが出ていて、この対照的な2人の実在感が本作の大きな牽引力になってたと思います。

あと『泥棒の神様』で3悪党の実質的なボスである、ドクロベエがアニメでも同役を務めた滝口順平が声を演じているのもファンには嬉しいんじゃないでしょうか。

内容なんか不要

一応劇映画であるわけですから、ストーリーはありますが、基本的に内容はシッチャカメッチャカでないに等しいです。
ただ、これはアニメも同じで、『ヤッターマン』は、そもそもストーリーを観せる作品ではなく、ひたすらギャグの釣瓶打ちで楽しませるのが信条の、ある種コント的な作品なんですね。

ここでも三池節(←重要)全開。中盤のバージンローダーとヤッターワンの対決では、思わず画面に向かって「コラーー!!ww」って声が出ましたからねw
あと、本作オリジナルのキャラ、岡本杏理演じる海江田翔子の扱いが非道いですw

子供が観てもいい、ギリギリの表現w
まぁ『ヤッターマン』自体、子供は興味を持たないだろうから、『当時の子供』だった大人に対象を絞っての振り切った演出なんでしょうね。

CG映像とデザインは良かった

とはいえ、映像は全体的に安っぽさがなく、特にCGは細かい部分までかなり力が入っていたように感じました。
ヤッターマンのマスコット的ロボット「オモッチャマ」のカラクリっぽい動きのディテールとか、かなりシッカリしてて良かったです。

あと全体的な色合いや素材なども、実写化してチャチにならないようなちょっと暗めの色合いとデザインになっていたし、ヤッターワンが赤一色、ヤッターキングが鉄色一色なのも個人的には好みでしたねー。

これが大きな規模になれば、また印象も変わるんでしょうが、本作の規模や作品カラーなら、違和感を感じさせないなデザインと映像だったんじゃないかなーって思います。

傑作ではないけれど

基本的に、本作は元のアニメーションを知らない人には「何のこっちゃ」な作品です。
それは前述したように本作が『当時の子供』だった大人たちを対象に作られているからなんですね。
なので『ヤッターマン』や『タイムボカン』シリーズを観ていない若い世代の人達にしてみれば、ただ、悪ふざけしているだけに見えるし、どういうスタンスで楽しめばいいか分からないんじゃないかなーと。

じゃぁ、当時ファンだった大人たちなら大満足の傑作かといえば、決してそんな事はないわけですが、ただ、それなりに『観られる』レベルまで持っていったのは、三池さんの職人監督としての力量あればこそなんじゃないかと。

もし他の監督だったら、それこそ毒にも薬にもならないような、悲惨な出来になっていたかもですしね。
三池さんは本当に多作で、その分当たり外れの大きい監督ではありますが、他の監督ならどうにも出来ない素材を、「観られる」レベルに引き上げる職人としての腕は一流だと、僕は思うんですよね。

興味のある方は是非!!