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「クリード チャンプを継ぐ男」(2015) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、『クリード チャンプを継ぐ男』ですよー!

本作はロッキーの盟友アポロの息子が主人公という『ロッキー ニュージェネレーション』的な作品。

もう、結論から先に書いちゃいますけど、文句なしの傑作ですよ!

そんなわけで、今回もネタバレはしないつもりですが、これから観る予定の方は、いつも通り映画を観たあとに、読んでくださいねー。
いいですね? 注意はしましたよ?

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概要

シルベスタ・スタローン主演の人気シリーズ「ロッキー」のスピンオフ作品。
ロッキーの盟友、アポロの息子アドニスを主人公に彼がボクシングの世界に飛び込み、ロッキーをトレーナーに二人三脚で成長していく姿を描く。

監督は『フルートベール駅で』に続き、本作が長編2作目の新鋭ライアン・クーグラー。主人公のアドニス役にはマイケル・B・ジョーダンが起用された。

 

あらすじ

ロッキーの盟友でボクシング世界チャンピオンだったアポロ・クリードの愛人の子であるアドニス(マイケル・B・ジョーダン)は、母親の死後に施設で育つが、アポロの本妻であるメアリー・アン(フィリシア・ラシャド)に引き取られ、大学を卒業後は一流企業に務めるようになる。
しかし、ボクシングへの思いが立ちきれないアドニスは、会社を辞めメアリーの反対を押し切ってボクシングの世界へ飛び込む。
しかし、アポロの息子という色眼鏡で見られ、ロスではまともにボクシングが出来ない彼は、亡き父の親友ロッキー(シルベスタ・スタローン)に会うために、彼が住むフィラデルフィアに行くのだった。

http://image.eiga.k-img.com/images/movie/82844/gallery/sub2_large.jpg?1445330811画像出典元URL:http://eiga.com/

感想

作品に恵まれず、一時はハリウッドで「過去の人」となっていたシルベスタ・スタローンが復活したのは、自身が監督も務めた『ロッキー・ザ・ファイナル』の大ヒットがキッカケでした。

その後、スタローンはもう一本の人気シリーズ『ランボー』の完結編『~最後の戦場』や、人気アクション俳優を集結させた人気シリーズ『エクスペンタプルズ』などで完全復活したんですね。

そんな彼が『ロッキー』の新作を制作するという話を最初に聞いたとき、僕は正直「おいおいスタローンそりゃないぜ」って思ったわけです。
ロッキーは『ロッキー・ザ・ファイナル』でキレイに完結してましたからね。

その後、どうやらこの企画は若手監督が持ってきたことや、主人公がロッキーではなく、『アポロの息子』であることなどをネットニュースで眺めてたわけですが、公開後は多くのレビューが絶賛していて、『ロッキー』ドンピシャ世代の僕としては俄然気になり始めたわけです。

じゃぁ、なぜ映画館で観なかったかといえば、公開時期が『007 スペクター』『スターウォーズ フォースの覚醒』と被っていて、つい、両作を優先しちゃったんですね。
ほんと、あの時の自分を殴ってやりたい。

そんな訳で、今回やっとDVDがレンタルされたので、早速観たというわけです。

感想は、上述したとおり「傑作!」の一言でした。

アイデンティティの物語

本作の主人公は、ロッキーと3度対戦し生涯の親友だったアポロ・クリードの愛人の子であるアドニスです。

この「愛人の子」という設定が本作に深みを与えているんですね。
彼の生みの母は既に亡くなっています。また父親のアポロは彼が生まれる前に死亡していて、彼は母の死後、施設で暮らしています。

この時点ではまだ彼は、自分の父がアポロだとは知らず故に自分のアイデンティティに大きなコンプレックスを抱えているんですね。
その後、アポロの本妻メアリーに引き取られた彼は、自分のルーツを知るわけですが、ボクシングに夫を殺され、ボクシングの厳しさを知るメアリーは息子アドニスがボクシングを始めることには大反対。
彼は独学でボクシングの真似事をしながら、大学を出て一流会社に勤める傍ら、メキシコでこっそり草ボクシングの試合に出ているわけです。

しかし、いよいよボクシングの情熱を抑えられなくなって会社を辞め、プロボクサーを目指すアドニス。
しかしアポロの息子、しかも愛人の子という色眼鏡で見られる彼を導くトレーナーは見つからず、ロッキーに教えを請うために単身フィラデルフィアに引っ越すのです。

そこでロッキーの育ったジムに入会するも、アポロの息子であることを隠している彼は何者でもなく、逆にアポロの息子だと知られてからは周囲に色眼鏡で見られて苦しむわけですね。

そんな彼が恋する女の子ビアンカ(テッサ・リン・トンプソン)は、地元のクラブで歌うミュージシャンですが進行性の難聴を煩っていて、将来的には耳が聞こえなくなることを受け入れ、だからこそその前にミュージシャンとしての自分の足跡を残したいと頑張っています。

そしてロッキーは自分のレストランを切り盛りしているんですが、親友で義兄のポーリーもこの世を去り、孤独に生きている。
本作は、そんな3人が家族として互いに支え合い、アドニスが自分のアイデンティティを掴むまでを描いています。

シルベスタ・スタローンの名演

本作では、そんなアドニスがロッキーと出会いボクシングを学んでチャンスを掴む様子と、シリーズ1作目でロッキーがミッキーと出会いアポロとの対戦のチャンスを得る様子がオーバーラップするような作りになっています。

そして、劇中のセリフやちょっとしたシーンに、過去作のオマージュが入っていてロッキーファンならニヤリとしたりグッときたりすること請け合い。

で、本作の見所は何と言ってもスタローンの名演じゃないでしょうか。

本作で引退し老いたロッキーを、スタローンは見事に演じています。
これまでの『ボクサー』のロッキーではなく、アドニスを支えるトレーナーの『ロッキー』として、若き俳優マイケル・B・ジョーダンを脇から支える演技に徹しています。

これは、長いあいだ『ロッキー』と共に年月を生きてきたスタローンだからこその芝居だったんじゃないかと思います。

じゃぁロッキーは活躍しないのかというと、そんな事はありません。
アドニスを師匠として支えていた彼は病に倒れるんですが、アドニスに支えられながら妻の命を奪った病と戦う道を選ぶわけです。

チャンプとの戦いに向け過酷なトレーニングを積むアドニスと、病を克服するために戦うロッキー。二人は互いを支え合いながら、まさに二人三脚で進んでいくんですね。

フィクションとリアルを超えて幾重にも重なる物語

そもそも「ロッキー」自体、無名の役者スタローンが自ら脚本を書き、企画を売り込み、主役も演じて大ヒット。無名のボクサー ロッキーがチャンスを掴んで奇跡を起こすという内容とスタローンの人生が深くシンクロし絡み合っている作品です。

その後、スタローンと「ロッキー」の人生は作品を重ねるうちに境目がなくなりながら「ロッキー・ザ・ファイナル」で見事に完結するわけですが、本作も主人公で世界チャンピオンアポロの息子アドニスが、ロッキーにトレーナーを頼み、彼の指導を受けながら大きなチャンスを掴む内容と、自ら企画を持ち込んでスタローンを動かし、本作を大ヒットさせた監督のライアン・クーグラーの人生が深くシンクロしている作品で、フィクションとリアルの境目だけでなく、時代までを超えて深く深く絡み合った奇跡の作品といえるんじゃないでしょうか。

内容的にも『ロッキー』とスタローンを縦軸で知る世代の人だけでなく、『ロッキー』やスタローンを知らない世代の人も熱くなれる名作だと思いますよ!

興味のある方は是非!!!

 

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