ぷらすです。
今回ご紹介するのは、1971年製作の米映画『フレンチ・コネクション』ですよー!
大ヒット作でもあり、数多ある映画のなかでも名作として語り継がれている作品だけに、僕もおそらくTVの洋画劇場で観たことがあると思うんですが、内容の方はすっかり忘れていたので、今回確認の意味も込めて観てみることにしましたー。
画像出典元URL:http://amazon.co.jp
あらすじと概要
1961年、ニューヨークで実際に起きた麻薬密売取引事件を元にした作品。
タイトルの「フレンチ・コネクション」とはトルコからフランスを経由して米国に輸出されていたヘロインの密売ルートおよびその組織のこと。
ニューヨーク市警察本部薬物対策課の薬物捜査のベテラン、“ポパイ”とアダ名されるドイル刑事(ジーン・ハックマン)とバディ・ルソー(ロイ・シャイダー)のコンビは、日々麻薬摘発の捜査を精力的にこなしていた。
そんなある日、非番の夜にたまたま入ったナイトクラブ「コパカバーナ」で、二人はマフィアのボスたちが妻同伴で来店しているのを目撃。その中に見知らぬ顔の男を発見する。
まだ若いにも関わらず、やたらと金をバラまく男、サルバトーレ・ボカ(トニー・ロビアンコ)に怪しいものを感じた二人は、一晩中尾行し、ボカが麻薬の密売人であることを確信。
また、情報屋から近々、大量のヘロインがNYに密輸されるという噂を掴み、ボカの周囲を徹底的に調べ上げる。
そんなある日、二人はボカとフランス人との電話盗聴に成功。
そのフランス人こそ、フランスの麻薬密売の大物、アラン・シャルニエ(フェルナンド・レイ)だった。
そして、麻薬捜査のベテラン刑事と、フランスの麻薬王との息詰まる攻防の幕が切って落とされる。
監督は「エクソシスト」でも知られる、ウィリアム・フリードキン。
感想
多分、子供の頃にTVの洋画劇場で何度か観たハズの本作ですが、今回改めてDVDで観直して「あーこういう物語だったのかー」と。思い出したというより、知ったという感じでした。
つまりほぼ初見同様ってことですねw
実録犯罪もの
本作は、1961年に発生したニューヨーク市警察本部薬物対策課のエドワード・イーガンとサルヴァトーレ・グロッソがフランスから密輸されたヘロイン約40kgを押収した実在の事件を元にしたフィクション映画です。
ロビン・ムーアによる同名のノンフィクション小説を原作に、多数のマフィアやギャング組織が入り組んでいるこの事件の中から、地元ギャングとフランスの密売人にスポットを当て、「エクソシスト」の監督 ウィリアム・フリードキンがメガホンを取りました。
麻薬コネクションvsベテラン刑事の息詰まる攻防や駆け引きが話題を呼び、第44回アカデミー賞では8部門でノミネート。作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞、編集賞の5部門を獲得しました。
ドキュメントタッチな映像と、極限までセリフを削った演出
本作を実際観た人は、多分セリフの少なさに驚くんじゃないかと思います。
フランスの港町 マルセイユからスタートする本作。
ひとりの男が、ヒゲ面の紳士然とした男を尾行するところから物語はスタートします。
このヒゲ面紳士は、港の建設が本業なんですが、裏の副業としてヘロインの裏取引で儲けるアラン・シャルニエ(フェルナンド・レイ)で、シャルニエを尾行していたのはマルセイユの刑事だったんですね。
そして一通り尾行を終えて家に戻った刑事が、シャルニエの腹心でヒットマンの ピエール・ニコリ(マルセル・ボズフィ)に射殺されるまでが最初のシークエンスなんですが、ほとんどセリフがないので、尾行している男が何者なのか、ヒゲの男が何者なのか、なぜ男が射殺されたのかなどは全くわからないまま。
後の展開で、あー、そういうことかと分かっていく感じです。
そしてしばらくの間、このマルセイユとブルックリンのシーンを行ったり来たりしながら物語は進み、中盤以降、取引でNYを訪れたシャルニエとドイル&ルソーが相まみえるあたりから物語は本格的に加速していきます。
とはいえ、シャルニエとドイルは追う側と追われる側で、会話は交わすシーンはありませんけどね。(そこがまたスゴイところですが)
また、映像の方も微妙に揺れたりして、それがどこか不安感を煽ったりするんですが、実は本作は全編ロケで作られ、カメラマンがずっと手持ちカメラで撮影していたそうです。
普通ならレールを敷いて、台車にカメラを載せて撮影するようなシーンも、車椅子にカメラマンが座って、スタッフが押しながら撮影したんだとか。
映像の微妙な揺れは、別に演出じゃなくて手ブレだったんですねw
二つの見せ場
本作では、2箇所、大きな見せ場が用意されています。
まず一つ目が、ドイル刑事がシャルニエを尾行する無言での駆け引きシークエンス。
もう一つは、ドイル狙撃に失敗したヒットマン ニコルを、ドイルが追うカーチェイスシーンです。
多分、世間的に有名なのは、このカーチェイスシーンだと思います。
列車で逃げるニコルを、線路の下からドイルが車で追うという手に汗を握るシーン。
対向車をギリ避けたり、たまにぶつかったりしながら列車を追いかける車を運転していたのは、スタントマンではなく主演のジーン・ハックマン本人(顔の映るところだけかな?)だそうですよ。(監督談)
また、接触用のスタントカー以外は、本当にその時道を走っていた一般車だったとか、どこまで本当なのかは分かりませんが、相当無茶な撮影だったみたいです。
よく引き受けたなジーン・ハックマンw
ただ、個人的にはこのカーチェイスシーンよりも、その前のドイルとシャルニエのシーンの方がワクワクドキドキしました。
尾行に気づいたシャルニエが、あの手この手でドイルを巻こうとするも、しつこく食い下がるドイル。
絵面的には、ただ二人がアチコチ歩き回ったり、地下鉄に乗ったり降りたりするだけなんですが、ベテラン刑事と頭の切れる悪党の駆け引きを余すところなく見せてくれるんですよねー。
電車に乗ったと思ったら降りてみたり、と思わせておいて寸前でまた乗ったり。
今の感覚で見ればベタな駆け引きではあるんですが、二人の俳優の表情や動きで緊迫感が伝わる名シーンだと思いました。
最後、見事に出し抜いたシャルニエが、地下鉄の中から手を振るときのなんとも憎たらしいことw
そして、ここでも手持ちカメラの映像が緊張感を盛り上げるのに一役買っていると思いました。
地味なのに面白い
とはいえ、本作は全体的には実に地味な作品です。
なんと言っても映画のほとんどが尾行シーンですからねw
延々、車の中や街角に立ってターゲットを狙う二人の刑事という絵面が続くわけですが、それでも面白いと感じさせるのは、脚本とフリードキン監督の演出の上手さなんでしょうねー。
脇役もいい
そんなドイルの相棒ルソー役を務めるのがロイ・シャイダー。
「ジョーズ」ののブロディ署長や、「オールザットジャズ」の人です。
いかにも荒々しく猪突猛進型のドイルとは対照的に、クールで理性的なルソーをロイ・シャイダーはスマートに演じています。
アラン・シャルニエを演じたフェルナンド・レイは、どうやらスタッフの手違いでキャスティングされたらしいですが、こちらもスマートな紳士然とした出で立ちが粗野なドイルと対照的で、記憶に残るキャラクターになっていたと思いますよ。
その他の面々も、みんないい顔の役者さんで、物語にリアリティーと劇映画のケレン味を出していたと思います。
あえて言うなら、若干説明不足で分かりにくい部分があったりしますが、それでも説明過多よりはずっといいし、観終わったあとはちゃんと物語の筋は掴めます。
あと、104分という上映時間も、物語が間延びしない丁度いい時間でした。
今観ても色褪せることのない面白さは、まさに名作と呼ばれるに相応しい作品なんじゃないでしょうか。
興味のある方は是非!!