今日観た映画の感想

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「シン・ゴジラ」(2016) 感想

ぷらすです。

今日、朝一の回でシン・ゴジラ』を観てきました

先に結論から書きますと、僕は今回の『シン・ゴジラ』、

初代、米国版も含めた全ゴジラ作品の中で、最高傑作だと思いました!

なので、是非、映画館で見て欲しいです!

で、もちろん公開直後でもあり、ネタバレはしない方向で感想を書くつもりですが、
余計な情報は入れたくないという方は、映画を観た後にこの感想をお読みくださいね。

あと、普段は概要やあらすじも入れるんですが、今回は感想だけを書きたいと思います。
ぶっちゃけ、今観てきたばっかでテンション上がりまくりなので、いつも以上に暑苦しく長い感想になっちゃうと思いますが、読んで頂けたら嬉しいです。

 

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画像出典元URL:http://eiga.com/

感想

まず最初に、僕はゴジラ全作品を観てるほどのゴジラ好きというわけではなく、どちらかといえば、ガメラの方が好きな子供でした。

とはいえ、世代的に昭和ゴジラシリーズ、平成ゴジラシリーズ、ミレニアムゴジラシリーズ、エメリッヒ版、2014年のハリウッド版など、一通りのゴジラ作品は通ってきたんですね。

そんな感じで、(後追いで観た分も含め)有名どころは一通り観てきたけど、あくまで世代的なもので、ゴジラに対してはそれほど思い入れはないくらいのスタンスです。

ざっくりゴジラの歴史

1954年に公開されたシリーズ第一作目の初代『ゴジラ』は、当時社会問題となっていたビキニ環礁での核実験に着想を受け作られました。
ビキニ環礁海底に眠る恐竜が、水爆実験の影響で目を覚まし日本を襲う』という内容は多くの日本人に衝撃を与え大ヒット。
以降、東宝株式会社のドル箱映画として、次々続編が作られます。

ただし、2作目以降は『怪獣』『ゴジラ』というキャラクターを前面に出した『怪獣映画』に変わり、内容もどんどん子供向けになっていき、さらにはウルトラマンなどのテレビ番組の影響もあって、シリーズは1975年に公開された15作目『メカゴジラの逆襲』で一旦スクリーンから姿を消します。

それから9年後の1984年、シリーズ第16作の『ゴジラ』が公開されます。
この作品から続く『平成ゴジラシリーズ』は1995年公開『ゴジラvsデストロイア』まで7作が作られますが、やはり徐々に人気が低迷し、ハリウッド版『DODZILLA』の制作決定を受けて終了。
その後、1999年の『ゴジラ2000 ミレニアム』を皮切りにしたミレニアムゴジラシリーズや、2本のハリウッド版ゴジラを挟むものの、邦画版ゴジラとしては2004年公開の「ゴジラ FINAL WARS」以来、本作は実に12年ぶりの新作『ゴジラ』となります。

庵野総監督、樋口監督タッグが見せた日本特撮の底力

本作の制作が発表されたとき、僕は正直、期待半分:不安半分でした。
いや、もっと正直に言うと、期待1割 :不安9割くらいでした。

樋口真嗣監督といえば、平成ガメラシリーズの特技監督として一気に名を上げたものの、『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』や『進撃の巨人』など自身の監督作では、諸々物議を醸し非難を浴びてきた経歴の持ち主。

庵野秀明総監督は、「エヴァンゲリオン」シリーズで名を知られる日本有数のアニメ監督ですが、実写作品の方はあまり評価されてません。

もっと言えば、アニメーション作品の監督が実写作品で成功、評価されること自体、ほとんど例がないですしね。

ところが、本作公開後にネットでレビューを読んだりするとかなりの高評価。僕の期待値もグッと上がったんですが、それでも期待と不安は半々くらいでした。

そんな僕が、今日実際に本作を観て思ったのは、庵野さん、樋口さん、ナメててすいませんでした! でした!

以前、「進撃の巨人」の感想でも書いたんですが、樋口さんは特撮シーンでは間違いなく日本トップランナーです。が、如何せん(人間が演じる)ドラマシーンはどうにも……っていう人で。なのでドラマ部分は他の監督に任せて特撮に専念して欲しいって思ってたんですね。

ところが今回組んだのが庵野監督ってことで、いや、それはどうなの!? と正直思っていたわけですよ。何故なら庵野さんはアニメ監督でしたから。

ところが蓋を開けてみたら、庵野さんはアニメの手法を実写映画の本作で大胆に取り入れて、まったく今までにない新しい日本映画にしてしまったんですね。

そして、大学生時代からの付き合いでもあり、盟友でもある二人がタッグを組んだことで、樋口さんも本来の実力を存分に(とはいかないかな?)発揮出来たんだと思います。

 新・ゴジラ

本作のゴジラのビジュアルを見たファンの人は、まず、そのビジュアルに驚いたんじゃないかと思います。

小さな目、ひび割れて中が赤く光る皮膚、小さな前足(腕?)、長い尻尾。
昭和版、平成版、ミレニアム版とシリーズを重ねるごとにマッチョになっていき、2014年のハリウッド版では厳ついおっさんみたいになった(僕はわりと好きですけども)ゴジラのビジュアルが今回一新されたことで、グッと“異形感“が増して、それまでの擬人化され、どこか親しみのあるゴジラとは別物の、まさに恐ろしい『怪獣』になったんじゃないかと。

もちろん、あの姿は賛否両論あると思いますが僕は(それほど思い入れがない分)今回のゴジラにグッと惹きつけられましたねー。

また、ゴジラの必殺技でもある“放射能“を吐きだすシークエンスも、思わず「おぉ!!」と声を出してしまいましたよ!

楽しみにしてる人もいると思うので書きませんけど、その手があったか! と。

(多分)ゴジラよりエヴァを先に観た世代の人たちの意見を読むと「使徒っぽい」とか「エヴァっぽい」という意見もあって、それは僕もその通りだと思うし、恐らく庵野総監督も意識的にそうしてる部分もあるんじゃないかなって思うんですね。

というか、僕らの世代のオタクは1983年に開催された日本SF大会DAICON4』のプロモーションとして制作された8mm映画『DAICON FILM帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令』の方を思い出すんじゃないかなーなんて思いました。(アマチュア時代の庵野さんが素顔でウルトラマンを演じた伝説の自主制作映画です)

というのも、庵野秀明という人の創作の根底にあるのは「ウルトラマン」や「仮面ライダー」、そしてもちろん「ゴジラ」などの特撮作品なんですよね。
なので、エヴァが先にあるんじゃなく、ゴジラがあったからエヴァが生まれたっていう感じだと思うし、庵野さん自身『エヴァンゲリオン』を含めアニメ業界で培ったノウハウや子供の頃に観ていた特撮やアニメの知識や思いを全部、本作にぶつけたんじゃないかなと。

今回、邦画版としては初めてゴジラをフルCGにしたことで、そんな庵野総監督や樋口監督がずっと思い描いていた『俺たちのゴジラ』をかなり近いところまで再現できたんじゃないかなとも思いました。

アニメ的演出

本作では、出演者のほとんどが政治家か官僚役で、ドラマ部分のほとんどが会議室の中です。
で、ゴジラの説明や壊滅する東京の意外状況もほぼセリフでされるし、ゴジラが暴れまわるシーンは、他の作品と比べても、それほど長くはありません。

普通だったら、これってマイナスポイントなんですよね。
いいからゴジラを出せよ! っていう。

特に、ゴジラや被害状況の説明なんかをセリフでダラダラやられたら、普通ならとてもじゃないけど観ていられません。

 そこで、庵野監督がやったのが、アニメのようにとにかくカットを短くして、画的に退屈させないことです。
オタキングこと岡田斗司夫さんによれば、アニメってワンカット大体3秒なんだそうです。本作ではそのアニメ的なカット割りを駆使して、目まぐるしく視点を変えることで観客を飽きさせない工夫をしています。
また、セリフの方もとにかく早口で、小難しい単語が連発されるし、キャストが登場する度、役名がテロップで表示されます。

この早口で難しい単語を連発ってのは、庵野さんと樋口さんが取材したときに、政治家や官僚の人がとにかく早口で話すのを見て取り入れたらしいですね。
この演出によって、キャストの言ってることはよく分からなくても緊迫した状況だけは伝わるので、カット割りの早さと相まって、観客は退屈する暇がないわけです。

で、最初は政治家や官僚たちが、謎の巨大生物襲来に最初は呑気に構えてたのが、事が大きくなるにつれ、あたふた混乱する様子や、その中で事の重大さを理解している少数派の人間が事態沈静化のためにどう立ち回るかをサスペンスフルに描いていきます。

こういう役者の演技に頼らないカット割りの早いアニメ的演出、僕は「犬神家の一族」の市川崑監督を連想しました。(多分、庵野総監督自身も意識してるんじゃないかと思います)

また、このカット割りの早い演出は、ゴジラによる破壊シーンや、対自衛隊の対決シーンでも使われていて、細かく切ったカットの中に、自衛隊の兵器を起動 発射シーンのディテールを入れ込むことで、何が起こっているのかを映像で理解できるようになっているし、同時に緊迫感とリアリティーの演出にもなっているんですね。

シリーズ最高傑作

もちろん、全てが素晴らしいというわけではなく、「あれ?」となるところや「それはどうなの?」と思ってしまう所も多々あります。
アメリカ人役の石原さとみの、あの英語は如何なものかとか。
避難民やゴジラの襲来にパニックになる民衆の様子がほとんど描かれないとか。
ただ、今の日本映画界の予算やらフィクションを取り巻く環境を考えれば、これだけのスケールの映画を、ここまでのクオリティーで観せてくれたら、僕はもう大満足です。

僕が最初に書いた「初代ゴジラ・米国版を含む全シリーズの中で最高傑作」に対して、それは言いすぎだろうという人も、いや、普通に駄作だと思う人もいらっしゃると思いますし、それは仕方がないと思います。
長期に渡るシリーズですから、世代によって初めて出会ったゴジラは違うだろうし、そもそもゴジラを観たことのない方だっていらっしゃると思いますから。

もちろん、初代を超えるゴジラはないという方もいらっしゃると思いますしね。

 ただ、人々がに衝撃を与えた初代ゴジラや大金をかけて作られたハリウッド版を始め、長きにわたって沢山の人たちの手によって作られた『ゴジラ』の続編を作るということは、例えどれだけ凄い『ゴジラ』を作っても、絶対に非難されます。
それは多くの人の思いが乗ってる長きに渡るシリーズを引き継ぐ上で避けられない事なんですね。

さらに、制作時間や資金不足、エンタメ映画としての様々な縛りなど、何かと窮屈な今の日本映画界では、中々イメージ通りの映画を作れないという事情もあるでしょう。

そんな様々な制約の中で、初代ゴジラのコアの部分を変えることなく、日本映画界が抱える問題を克服した上で、今まで誰も見たことのない全く新しい『ゴジラ』を作り上げる事は、とんでもない事だと思うんです。

そこには、東日本大震災原発事故という未曾有の災害を経験した今だからというタイミングも、もちろんありますが、普通ならエンターテイメント映画としては腰が引けてしまうこの題材に真正面から挑んだ事も含めて、僕は本作が『ゴジラ映画』の最高傑作だと思うのです。

ゴジラ』とは一体何なのか

怪獣ゴジラが何のメタファーなのかということについては、それこそファンや評論家の人たちが詳しく語っているので、今更僕のようなニワカが書くまでもないんですが、ざっくり一言で言うなら『人間が抗えない(コントロール出来ない)巨大な何か』です。

初代ゴジラは『核の驚異』。また、戦争で亡くなっていった人々の『怨念』のメタファーとして描かれているというのが、一番有名な説なんじゃないかと思います。

その後は『自然災害』だったり『侵略者から地球を守る守護者』だったり『地球の均衡を守るバランサー』だったり、時代とともにその役割を変えながら描かれて行くわけですね。

そうして作られた『シン・ゴジラ』が、東日本大震災の大津波原発事故のメタファーとして描かれているのは、本作を観た人なら全員が分かると思います。

それだけでなく、相次ぐ戦争や内紛、テロなど、これから日本を飲み込むかもしれない不穏でヒステリックな空気に包まれる世界情勢のメタファーでもあるんじゃないかと僕は思いました。

つまり本作は、初代ゴジラ以降の全シリーズを解体。『怪獣映画』から『災害映画』として再構築し、『現代のゴジラ』へと正しくアップデートした作品と言えるんじゃないかと。

そして本作は、二度の核攻撃及び、福島での原発事故を経験した今の日本しか描けないし、今の日本が描くべき『ゴジラなんだと思いました。

そういう意味で本作は『真・ゴジラであり、『芯・ゴジラでもあるんだろうなと。

なので僕は、声を大にして誇りたいのです。

世界よ、これが『ゴジラ』だ! と。

興味のある方は、(映画館で)是非!!!

 

 

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