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「パディントン」(2016) 感想(ちょいネタバレ)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、喋るクマがロンドンで家族を見つけるファミリームービー
パディントン』ですよー!
大人から子供まで楽しめる、まさに王道のファミリームービーでしたー。
今回はネタバレしてもあまり映画の面白さには影響がないと思うので、軽くネタバレしますんで、もし、余計な情報を入れたくないという方は、映画を観たあとでこの感想を読んでください。

いいですね? 注意しましたよ?

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あらすじと概要

イギリスとフランスが2014年に合同制作・公開したファミリームービー。
マイケル・ボンドの児童小説『くまのパディントン』が原作。

旅行帰りのブラウン一家は、駅のホームで『このクマをよろしくお願いします』と書かれた札を首から下げた不思議なクマと出会う。
昔、ペルー奥地にやってきた探検家に会うためにやってきたそのクマを、一家は駅の名をとって「パディントン」と名付け、探検家が見つかるまで家に住まわせることに。最初は都会の生活に戸惑いドタバタ騒ぎを起こしてしまうパディントンだったが、彼の存在はブラウン一家の関係に、確実に変化をもたらしていた。

監督・脚本は本作が長編2作目の新鋭ポール・キング

 

感想

とにかく、クマのパディントンが可愛いのです!

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といっても、ディスニーやピクサーのようにデフォルメされた可愛らしさではなく、あくまで最新のフルCGで描かれたリアルなクマの姿なんですが、身長1m7cmという背丈や、赤い帽子に青いダッフルコート姿の彼が動く姿がかわいくて、もうずっと見ていたいのです!(;//́Д/̀/)'`ァ'`ァ

原作

本作はイギリスの小説家マイケル・ボンドの小説で、1958年に出版された『くまのパディントン/A Bear Called Paddington』以降70作品が30の言語で出版され、全世界で3000万部を売り上げている大ベストセラーの児童文学の実写化作品です。
残念ながら僕はこの原作は読んでいないので、本作と原作の違いは分かりませんが、多分、原作シリーズをつなぎ合わせて一本の映画にしてるんじゃないかと思います。

新種のクマと人間の出会いから始まる物語

“暗黒の地“(この呼び方も大概酷い)ペルー奥地のジャングルにやってきた探検家モンゴメリー(ティム・ダウニー)が出会った新種のクマはとても頭が良く、ジャングル木上に家を立てて文化的な生活を送っています。
探検家とクマの夫婦はしばらく一緒に暮らしたのち、別れ際に「君たちがイギリスに来てくれた時は歓迎する」と言い残して帰っていく。というのが映画の冒頭シーンです。

このクマの夫婦が、主人公パディントン(声:ベン・ウィショー)の叔父パストゥーソ(声:マイケル・ガンボン)と叔母のルーシー(声:イメルダ・スタウントン)。
彼らはいつかロンドンに行くことを夢見て、探検家の持ち込んだレコードでイギリスの文化や言葉を学び、シーズンになると彼に教えられたマーマレイドを作ったりと楽しく暮らしていて、どうやら実の父母を亡くしたパディントンは、この夫婦に育てられているらしいんですね。

ところがある日、ジャングルを大地震が襲いパストゥーソ叔父さんは死亡。
ルーシー叔母さんは老クマホームで暮らすことになり、まだ若いパディントンだけが探検家の言葉を頼りにロンドンに向けて密航するわけです。

そうして、何とかロンドンに着いたパディントンでしたが、レコードとは違いイギリス人は彼に見向きもしない冷たい人ばかり。
途方に暮れ、駅のホームで座り込んでいた彼に声をかけたのが、ブラウン一家のお母さんメアリー(サリー・ホーキンス)だったのです。

映画全体の舞台は、小説の書かれた1958年のロンドンのようにも見えますが、車や電気機器などは現代風でもあるので、敢えて時代設定は曖昧にしているように見えたし、そもそも人語を話すクマに誰も驚かないところを見ると、リアリティーラインもファミリー向けにぼやかして描いているんでしょうね。

コメディー要素&アクションなど楽しいシーン満載

探検家が見つかるまでブラウン家に招かれたパディントン
しかし、そこには彼が知らなかったモノも沢山あり、本作ではそれらの文化ギャップを使ったコメディーやアクションが満載です。
また、それが一々可愛いうえに面白いんですよね。

特にパディントンがスリを「財布を落とした人」と勘違いして、ロンドンを追いかけるチェイスシーンはジャッキー映画っぽくて面白かったですし、探検家の孫娘に剥製にされそうになって焼却炉の煙突をバッテリー式のハンドクリーナーを使って逃げるシーンはハラハラしました。

笑いやアクション、その他のシーンも、様々な出来事が連鎖していく気持ちよさが、面白さやドキドキ感に繋がっていて、その辺は実に上手だなーと感心してしまいました。
ウェス・アンダーソンっぽい画作りも、色彩豊かでワクワクしちゃいますしね。

物語的には、ロンドンに来たパディントンが紆余曲折を経て、ブラウン一家の一員となるまでを笑いと涙で描く王道の物語であり、日本人好みの物語なんじゃないかなーと思いました。

悪役は大女優ニコール・キッドマン

そんな本作で悪役を演じるのは大女優ニコール・キッドマン

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彼女が演じるのは、パディントンが探している探検家の娘です。
彼女の父親は、パディントンの叔父叔母を剥製にして持ち帰らなかったことで探検家の協会を追い出され自分で動物園を始めるんですが、その事がトラウマになった彼女は、大英博物館に密輸された希少な動物を剥製にしまくるようになってしまい、そこにパディントンがやってきたことで、彼を剥製にするべく狙うんですね。

そんな、色々ネジのぶっ飛んだ悪役を、ニコール・キッドマンは見事に演じていました。

移民問題に焦点を当てた映画

ここまで書くと、本作は子供向きの楽しいファミリームービーのように思えるかもですし、実際その通りなんですが、実はそれだけではありません。
ブラウン一家のお母さんメアリーは絵描きで優しい人で、ホームで途方に暮れるパディントンを受け入れてくれますが、お父さんのヘンリー(ヒュー・ボネヴィル)はパディントンが家族を危険に晒すかもしれないと、中盤まで彼を家から追い出そうとします。

もちろん、パディントンの人柄(クマ柄?)に触れ、最終的には彼を認めて家族になっていくんですが、まぁ、普通に考えればヘンリーパパの言い分はもっともです。
だって、小さいとはいえ相手はクマですしね。彼は彼で“一家の長“として家族を守る責任がありますから。

つまり、本作のパディントンとヘンリーの関係は、難民問題で揺れるヨーロッパやアメリカで起こっている移民問題のメタファーでもあるわけです。
これは、劇中に登場しパディントンの心中を歌うバンドで表現されています。
彼らの演奏する音楽は音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんによると、『カリプソ』というトリニダード・トバゴの音楽で、トリニダートトバコの人たちがイギリスに出稼ぎに来るようになり、それに伴ってイギリスにも広まっていったんだそうです。

miyearnzzlabo.com ラジオの書き起こし記事

つまり楽曲に『カリプソ』を使用することで、「本作のストーリーは移民問題の暗喩ですよ」ということを表しているっていうことなんですね。

もちろん、ストーリーの中にそういった政治的なシーンは描かれませんが、その辺を意識して観ると、また違った観方が出来るかもしれません。
ラストシーンで流れるこのバンドの曲は、色んな国の人々がみんな楽しそうに踊ってるというような歌詞なんですが、その曲自体が本作のテーマなんだろうなと思いました。

ともあれ、そいいうアレコレは映画を観たあとで考えればいいことで、観ているあいだはパディントンの可愛らしさとストーリーを楽しんじゃうのが吉だと思いますよー!
(*´∀`*)ノ

興味のある方は是非!!