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「ズートピア」(2016) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの最新作
ズートピア』ですよー!!

もう、先に書いちゃいますけど、最高でした!

ほんと、どうして劇場に観に行かなかったのかと、後悔しきりです!!

今回はDVDレンタルも始まったばかりだし、極力ネタバレしないように書きますが、
出来るだけ前情報は入れない方が楽しめる作品でもあると思うので、これから本作を観る予定の方は、観たあとにこの感想を読んでくださいませー。
いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com/

あらすじと概要

2016年公開のウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの最新作。
長い時間を経て進化した動物たちが自らの手で築き上げた肉食・草食動物が共存する大都会『ズートピア』を舞台に、警察官を夢見て上京したウサギのジュディと、詐欺師でキツネのニックがバディを組み、動物たちの失踪事件の謎に迫るコメディー・ミステリー。

 

田舎町バニーバロウに暮らすウサギのジュディ(声:ジニファー・グッドウィン/上戸彩)は、幼い頃から警察官に憧れ、警察学校での辛い訓練を経て大都会ズートピアの警官になる。
しかし、そんな彼女に与えられた仕事は駐車違反の取り締まり。
そんな待遇に不満を抱えながら仕事をしている最中、ジュディは怪しい動きを見せるキツネのニック(声:ジェイソン・ベイトマン/森川 智之)を発見。こっそり後を尾行し詐欺行為を見つける。
しかし、ニックを逮捕しようとするものの、彼の行為が犯罪である証拠を掴めず悔しい思いをするジュディ。

そんなある日、イタチの泥棒を追跡、逮捕したことで水牛のポゴ警察署長(イドリス・エルバ/三宅 健太)に呼び出され命令違反を責められていた彼女は、偶然が重なり行方不明者のイタチの捜索を担当ことになるのだった。

ザ・シンプソンズ』シリーズのリッチ・ムーアと『塔の上のラプンツェル』のバイロン・ハワードの共同監督作品。

 

感想

劇場公開時から、絶賛の嵐だった本作。
僕も劇場で観ようかどうしようか悩んだんですが、結局『シビルウォー』の方を選んでしまいました。
で、レンタルが始まって早速今日、本作を観たわけですが、「何で無理してでも劇場で観なかったのか!」と激しく後悔しましたよー!<( ´△`)>アァァァァ

とにかく、あらゆる意味で限りなく完璧に近く、一言で言うなら「一分のスキもない」作品でしたー!

冒頭から攻める

まず驚いたのが、OP前のアバンシーン。
主人公は「世の中を良くしたい」と、ウサギとしては未だ前例のない警察官を目指す少女ジュディ。
しかし、ニンジン農家の両親は娘可愛さから彼女の夢に反対し、夢を諦める幸せを説きます。
さらに、彼女は同級生のキツネギデオン・グレイ(フィル・ジョンストン)の意地悪から仲間を救おうとして、傷を負うハメに。

そこから15年後、並み居る肉食動物や大きな草食動物に混じって、苦労しつつも持ち前の工夫と努力で警察学校を主席で卒業したジュディは、赴任先の警察署に向かうわけです。

個人的に、ここまでの流れだけで「今回は随分攻めてるなー」と。
それまでのディズニー作品なら少女時代の夢見るジュディが、大人になって現実を知るみたいな流れになりそうな印象があるんですが、本作ではまだ少女時代のジュディにも容赦なく現実の厳しさを見せつけて始まるんですね。

僕はこのアバン部分で、何ていうかスタッフの覚悟のような物を感じましたねー。

ズートピア』のワクワク感

ズートピアには肉食動物や草食動物など大小さまざまな哺乳類たちが働き、暮らしています。
通勤する彼らは同じ列車に乗ってるんですが、昇降口はそれぞれのサイズに合わせて3種類あり、彼らを迎える駅も、それぞれのサイズや特性に応じた改札があることが、ジュディの目を通して分かるようになってます。

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このディテールやアイデアが観ているだけで楽しくて、まさに動物たちの理想郷のようでワクワクしてしまいます!

ズートピアはそれぞれの生息地域の温度と湿度に合わせて、12のエリアに分けられていて、本作ではサハラ・スクエア、ツンドラ・タウン、レインフォレスト地区、リトル・ローデンシア、サバンナ・セントラルの5エリアが登場します。

この各エリアはどうやら人口都市らしく、例えば極寒のツンドラ・タウンを挟む形で灼熱のサハラ・スクエアと、熱帯雨林のレインフォレスト地区があったりするんですね。
これは、ツンドラタウンを冷やすためのエアコンの室外機から出る熱でサハラ・スクエアを温め、ツンドラタウンで溶けた氷の水が熱帯雨林のレインフォレスト地区に流れ込んでいくという設定らしいですよ! 合理的!

また、ジュディが初捕り物に挑むリトル・ローデンシアは、小動物たちのエリアで、何もかもがミニチュアサイズ。
さらに、街のビルとビルの間には透明な遊歩道(ハムスター用トンネル)が複雑に張り巡らされていたりして、これまた面白いなーって思いました。(*´∀`*)

こうした、動物たちの特性に合わせた設定が街の設計に活かされストーリーのエッセンスとして組み込まれていることで、物語内リアリティーや実在感が高まっていると思いました。

テーマの観せ方、落とし込み方

本作のテーマはズバリ、偏見と差別です。
例えば、上記のアバン部分でジュディが警察感になるのを反対されるのは、彼女が草食動物の中でも小型のウサギだからで、両親も警察学校の教官も別に彼女が憎いのではなく、大型の動物や力の強い肉食動物の犯罪に対処する危険な任務は、ウサギであるジュディには危険すぎると考えているんですね。
これは、おそらく女性差別のメタファーなんだと思います。

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そして、警察感となった彼女が出会うのは、それまで以上の偏見と差別。
一見、すべての動物たちの理想郷に見えたズートピアの根っこには、表面化しないだけで種族やサイズによって様々な偏見や差別が渦巻いているわけですね。

彼女は、自分に向けられた無意識的な差別に晒され傷つきますが、そんな彼女自身も無意識に肉食動物やキツネに対して偏見や差別意識を持っています。

つまり、一見動物たちの理想郷であるこのズートピアでは誰もが差別や偏見の被害者であり加害者でもあるわけです

言うまでもなく、これは僕らが暮らす現実世界のメタファーであり、そうしたデリケートで重いテーマを、本作ではジュディとニックの関係に落とし込むことで、エンターテイメントとして見事に消化させているなーと思いました。

過去作品やキャラクターのアップデート

ディズニーと言えば、これまで白雪姫やシンデレラなど、白馬に乗った王子がか弱い姫を助ける物語を多数作ってきました。
しかし、2010年公開の『塔の上のラプンツェル』あたり(もしかしたらその前からかも?)から方向転換。

姫はそれまでの王子に幸せにしてもらう存在ではなく、自立した能動的なキャラクターとして描かれるようになりました。

これらは、ディズニー=女の子向けというイメージの払拭や、時代に合わせた物語のセルフアップデートなんかの意味があるわけですが、本作でもそうしたセルフアップデートがなされています。

特にキツネのニックですね。

それまでディズニー作品(に限らずですが)ではキツネ=ずるい小悪党という描かれ方がされてきました。これは、ディズニー作品の下地としている童話が多いことや、キツネは賢く、罠をすり抜けて家畜を襲う害獣であることから、そのキャラクターイメージがついているんですね。

本作ではディズニーアニメが今まで描いてきた、そんなキツネのイメージを逆手に取ってニックのキャラ造形に活かし、物語に組み込んでいくことで、ずる賢い小悪党から食えないけど頼りになるジュディの相棒という今風なキャラクターにアップデートして見せました。

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もちろん、ジュディや他の動物たちも、今までのイメージにそれぞれの逞しさをプラスすることで、キャラクターイメージをアップデートしていますよ。
中にはナマケモノみたいに、むしろイメージを誇張している動物もいますけども。
でも、フラッシュ大好きw

もちろんストーリーも隙がない

本作では、(そのテーマに合わせてだと思いますが)警官とアウトローがバディを組んで事件を解決するという、古典的でシンプルなストーリーになっています。
その分、各所に仕掛けられた伏線とその回収や物語の組立、物語の世界観やルールの説明のスマートさ、ジュディ視点で彼女の心情に観客が同調出来る語り口などなど、ホント、憎ったらしいくらい隙がないんですよねー!
ここまで見事にやられちゃうと、重箱の隅すら突けませんw

子供には難しいのか問題

ネットでチラっと読んだところによると、一部で本作の内容が子供には難しすぎるのではないか、本作は大人向けなのではないかという意見も出ているみたいですね。
でも、僕はそんなことはないと思います。
子供って大人が思うよりもずっと物語を理解できるし、それらを言語化出来ないだけで、何なら物語からテーマを感じ取る能力は大人より高いくらいだと思うんですよね。

なので、本作は『正しく』子供に向けて作られた作品として作られていると思うし、むしろ子供達にこそ見て欲しい作品だなーと思いました。

興味のある方は(お子さんがいる方は親子で)是非!!!