今日観た映画の感想

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『俳優 亀岡拓次』(2016) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、北海道の演劇ユニット『TEAM NACS』のメンバーで、今やドラマや映画に引っ張りだこの俳優、“ヤスケン“こと安田顕主演作品『俳優 亀岡拓次』ですよー!

同じ道産子であり、大好きなヤスケンの主演作のDVD化ということで、早速レンタルして観ましたー!

 

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画像出典元URL:http://eiga.com/

あらすじと概要

人気演劇ユニットTEAM NACS』のメンバーで、幅広い役柄をこなすことで人気の安田顕が主演。
自身も劇団を持ち、俳優としても活躍する作家の戌井昭人による同名小説を、「ウルトラミラクルラブストーリー」の横浜聡子監督が映画化した日本映画。

作品名や本人の名前もパッと浮かばない……そんな脇役俳優として活躍する亀岡拓次は、泥棒やチンピラ、ホームレスなど、大作から自主制作映画まで声がかかればどんな役でも応じ、監督たちに重宝される脇役専門の俳優。
酒好きで撮影現場と飲み屋を行き来する亀山は、地方ロケの後にたまたま行った居酒屋の女将に恋をして……。

亀岡が恋に落ちる居酒屋の女将役を麻生久美子が演じるほか、染谷将太工藤夕貴三田佳子山崎努ら豪華キャストも出演している。

 

感想

“ヤスケン“こと安田顕は、どちらかといえば主役を張るタイプではなく、印象的な脇役として光るタイプの俳優です。
そんな彼が今回、初の主役を張っている作品ということで、僕は密かにDVD化されるのを心待ちにしてたんですよー。

安田顕とは何者なのか

本作の主役である安田顕は、大泉洋らと大学時代に組んだ北海道で演劇ユニットTEAM NACS』の一員として活躍し、さらには同じメンバーで北海道のテレビ局制作のバラエティーなどにも出演する傍ら、今やドラマや映画に引っ張りだこの人気俳優です。

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『SPEC』シリーズや『龍三と七人の子分たち』などそれこそ数え切れないほどのテレビドラマや映画に出演しているんですが、このブログを読んでいただいている方には、『HK/変態仮面』で主演の鈴木亮平を追い込む『偽変態仮面』役として知られているかもしれませんw

演じて呑んで妄想しての繰り返し

そんな彼が演じる初の主役 亀岡拓次は、泥棒、チンピラ、ホームレスなど、大作から自主制作映画まで声がかかればどんな役でも応じ、監督たちに重宝される脇役専門の俳優という、まんま今のヤスケンのような役者です。

観る前は、新藤兼人監督、竹中直人主演で2000年に公開された『三文役者』みたいな感じの作品なのかなーなんて思ったんですが、実際観てみたら全然違う作品でしたねー。
根本的には似てる気がするんですが、本作の方が何ていうか、オシャレチック?

物語自体は、麻生久美子演じる居酒屋の女将? に恋をするという一応の縦軸はあるものの、基本的には2時間、亀岡が現場で撮影→終わって酒を飲んでたまに妄想するを繰り返す映画でしたよ。
劇的なシーンはクライマックスくらいなので、劇映画ではありながらどこかノンフィクション映画のような、そのくせ幻想的なシーンもあるっていう、なんとも形容しがたいヘンテコな空気を持つ作品で、正直観る人を選ぶ作品だなーと思いました。

中々ピントが合わないもどかしさ

なので本作は、物語を追うタイプの観客ほど、一体どこにピントを合わせて観ればいいのか分からない、もどかしい作品なんじゃないかと思います。

亀岡という男は、昔で言えば『大部屋俳優』のような役者なんですが、その割には色んな監督から信頼が厚く仕事が途切れることはありません。
本作で亀岡を使う監督たちも、過去に亀岡の出演作を観て衝撃を受けたという若手監督から、有名舞台女優、大御所監督、さらには世界的監督までが、何故かみんな亀岡にオファーを出すんですね。
なので、普段は呑んだくれの中年だけど、いざ芝居が始まったら天才的な役者という設定なのかと思えば、どうもそういう訳でもないっぽい。

彼は映画に奇跡を起こす男と呼ばれているらしいんですが、何か、失敗が偶然良い方向に転がってるだけで、彼自身の実力って訳でもないっぽいので、亀岡にどうやって感情移入すればいいのか分からないんですね。

肝心の芝居や日常のシーンでも亀岡に(映像の)ピントが合ってなかいことが多くて、ほかの共演者の方にピントが合ってたりするんですが、これは多分、彼を起用した(劇中の)監督や彼自身の“亀岡拓次“の評価を亀岡の映り方で表現してるのかなー? なんて思いました。
合間合間に挟まれる妄想(回想)シーン? や、後半のいくつかの映画やクライマックスのシーンでは、ちゃんと亀岡にピントが合ってますしね。
映画だけでなく、人生ですら彼は自分を脇役だと思っていて、自分が主役を張れるのは妄想の中だけ。みたいな感じなのかなと。

ただね、この回想シーンと妄想シーンの境目が曖昧で、どこまでが本当に起きた話でどこから亀岡の妄想なのか分からないのが、個人的にはちょっとモヤっとしましたねーw
現実と虚構の境界線を曖昧にするのも、もしかしたら監督の意図なのかもですけども。

考えるんじゃない、感じるんだ

僕は、原作も読んでないし、横浜聡子監督の他の作品も観てないのでハッキリしたことは言えないんですが、多分、監督はロジックを積み重ねて物語を作るタイプの監督ではなく、イメージの積み重ねで物語を作っていく監督なのかな? なんて思いました。

個人的には、昔よく観た単館系の邦画っぽい雰囲気だなーと。
なので、観客の方も「このシーンの意図は…」なんて考えずに、作品の流れや空気感に身を任せるのが吉なのかもしれません。

ヤスケンと豪華俳優陣の絡み

とはいえ、本作はヤスケンが好きな人にはたまらない映画なんじゃないかと思いましたねー。
例えば麻生久美子との差し向かいのシーンはとても良かったし、ベテラン舞台女優役の三田佳子さんとの絡むヤスケンはとても色気がありました。
世界的巨匠のオーディションを受けるシーンは、元々舞台役者であるヤスケンの真骨頂とも言えるシーンですしねー。
あと、ひたすら酒を飲むヤスケンを観ていると、なんだかこっちまでお酒が飲みたくなっちゃうなーなんて思ったりw(まぁ下戸なんで飲めないんですが)

個人的にはあまりハマれなかった作品ですが、ネット評を見ると高評価の人も多いので、好きな人は物凄く好きになれる映画だと思います。

興味のある方は是非

 

▼ブログで取り上げたヤスケン出演作品▼

orera.hatenablog.com

aozprapurasu.hatenablog.com