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一体なぜ作ってしまったのかと小一時間……「珍遊記」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、日本漫画界の鬼才 漫☆画太郎の同名マンガの実写化作品『珍遊記』ですよー!

友人と行った、1日に5本の映画を一気観。
そして内3本が西遊記縛りという苦行の幕開けを飾ったのが本作でした。
実は僕は漫☆画太郎作品をちゃんと読んだことは一度もないので、本作がどのくらい原作に沿った作品なのかは分からないんですが、素直な感想としては「一体なぜこの映画を作ってしまったのか、なぜ誰も止めなかったのかと、関係者一同を集めて小一時間問い詰めたい」でしたねー。

あと、本作に関してはネタバレがどうこういうタイプの作品ではないので、ネタバレは一切気にせずに書きますので、もしも、これから観る予定のある人は、映画を観たあとにこの感想を読んでください。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com/

あらすじと概要

週刊少年ジャンプで連載された漫☆画太郎によるギャグ漫画「珍遊記~太郎とゆかいな仲間たち~」を実写映画化。「西遊記」をモチーフに、札付きの不良少年山田太郎が彼を更生させるため引き取った僧侶・玄奘と共に天竺を目指す旅を、お下劣ネタ満載で描く。メガホンを取るのは、『地獄甲子園』などで漫☆画太郎作品の映画化を手掛けてきた山口雄大。パンツ一丁の太郎にふんした松山ケンイチのおバカ全開演技に注目。

ストーリー:天竺へと旅をしていた僧侶の玄奘倉科カナ)は、たまたま寄った家の老夫婦から妖力で悪さをする不良息子・山田太郎ピエール瀧)の更生を頼まれる。玄奘は、宝珠を駆使し妖力を封印することに成功。さらに、玄奘は力を失った太郎(松山ケンイチ)を引き取り、旅に同行させることに。道中さまざまな騒動を巻き起こす太郎は……。(シネマトゥデイより引用)

 

 

感想

まず、最初に書いておかなくてはならないのは、『内容がぶっ飛びすぎてて一般受けはしないが、極一部の熱狂的なファンに愛されるマンガの実写化作品の系譜』という流れが邦画にはあって、一部の好事家の間ではちゃんと需要がある(多分)ということです。
そして、漫☆画太郎先生のマンガの実写化はこれが初めてではありません。
地獄甲子園 BATTLE FIELD STADIUM」(2003)、「地獄甲子園外伝 ラーメンバカ一代」(2003)、「漫・画太郎SHOW ババアゾーン(他)」(2004)と、三作の作品が作られていて、その三作すべての監督が、本作の監督も務めた山口雄大監督なのです。

ざっくりストーリー解説

本作のストーリーをざっくり一言で書くと、西遊記のパロディーです。
妖力を持つ超不良少年山田太郎を更生させるため旅の僧 玄奘が一緒に天竺を目指すというストーリー。
ちなみに不良時代の太郎をピエール瀧が、玄奘との戦いで妖力を失った太郎を松山ケンイチが演じていますよ。

映画冒頭、倉科カナ演じる玄奘にいきなり「ち〇こ」と連発せることで「はい、見ての通りふざけた映画ですよ」と観客に分からせるわけですが、後はもう小学校三年生のバカな男子が考えたようなストーリーが延々延々延々続きます。

良かったところ

こんな風に書くと、どうにもならない酷い映画かと思われるかもしれないし、実際ほぼその通りなんですが、良かったところもあります。

まず、映画のルック。
玄奘と太郎がたどり着く町は、いかにも昔のカンフー映画に出てきそうなオープンセット? になっていて、建物や町人の衣装などもそれなりにちゃんとしているので、映画としてのルックはわりと豪華に見えるんですよね。
もちろんセットとCGを組み合わせてはいるんでしょうけど、この手の作品にありがちな、あからさまな安っぽさはあまり感じませんでしたねー。

そして、温水洋一酔拳
映画の中で、松山ケンイチ演じる太郎と温水洋一が対決するシーンが、本作の実質的なクライマックスなんですが、アル中の温水洋一が繰り出す酔拳が思った以上にジャッキー・チェン酔拳をオマージュしてるんですよねー。
僕はてっきり、アクション部分はスタントマンが演じてるんだろうと思ったんですが、松山ケンイチさんのインタビューを読むと、温水洋一さんがスタントなしで演じていたそうで、ちょっとビックリ。

温水さん動けるんじゃん! と。

あと、カット割りなんかも結構しっかり「酔拳」を模してて、個人的に好感が持てましたねー。

あと、ラストも完全に「酔拳」(というかジャッキー・チェンの「〇〇拳シリーズ」)のオマージュになってて、ジャッキーファンの僕としては少しだけ嬉しかったです。

良くなかったところ

っていうか、上記の3つ以外は基本全部酷いんですけど、とはいえ、やたら裸や尻を出すとか、オナラとか、ウ〇チとか下品で下らないギャグの連発は原作が原作だからまぁ仕方ないと思うし、原作通りは当然無理としても、雰囲気だけでも入れ込みたいという気概は感じなくもないんです。
、外しのギャグっていうか、いわゆるオフビートな笑いのシーンが、尽くボケとツッコミで構成されてる、いわゆるテレビ的なお笑いメソッドで正直うんざり

いや、これは本作だけじゃなくて、よく見かける邦画コメディーの病理なんですけど、もう、本っっっっっっっ当に辞めてほしい!
深夜ドラマとかなら笑いとして成り立つけど、映画でやるとマジでお寒い感じになっちゃうから!

テレビ的なことがやりたいならテレビでやればいいわけで、たとえ内容は下品でもくだらなくてもいいから、ちゃんと映画の笑いを見せてほしいって思いました。

あと、100分はいくらなんでも長すぎ
80分くらいに削って、全体的にテンポアップしたほうがいいんじゃないかと思いました。

とまぁ、この映画を観て文句を書く事自体、当たり屋みたいでアレなんですけどねー。

最初に書いたように、こういうタイプの作品を好む好事家のファンや、原作ファンの人なら楽しめるかもしれないし、ネット評でもわりと好意的な意見もあったので、好きな人は好きな映画かもしれません。

興味のある方は是非。