今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

まんま女の子版テッドだった 「ベラ」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「未体験ゾーンの映画たち 2016」上映作品のドイツ映画
『ベラ』ですよー!

本作を一言で言うと命を持ったテディベアのドタバタコメディー映画『テッド』の女性版です。
孤児院育ちのヤナが唯一父親から貰った、命を持った人形ベラが騒動を巻き起こすブラックコメディー? です。

http://img.eiga.k-img.com/images/movie/83666/poster2.jpg?1451266973

画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

ドイツ版「テッド」とも言える異色のロマンティックコメディで、命を宿した女の子のぬいぐるみ・ベラが巻き起こす騒動を過激なブラックユーモアたっぷりに描いた。
ストーリー:結婚を目前に控えた幸せなカップルの前に、突如として現われた赤いおさげ髪の人形ベラ。可愛らしいルックスとは裏腹に毒舌で下ネタが大好きなベラは、酒やタバコ、時にはドラッグまでたしなむトラブルメーカーだった。そんなベラの存在がカップルの関係に波乱を巻き起こし、彼らは婚約解消の危機に陥ってしまう。

監督はドイツのテレビ界で活躍するジョッシュ・ブロエッカー。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち 2016」上映作品。(映画.comより引用)

 

 

感想

まんま女の子版『テッド』だった

本作は「もし、テッドが女性だったら?」っていう発想で作られた作品で、内容はほぼそのままテッドでしたw
噂には聞いてたけど、正直ここまでとは思いませんでしたよ。

ただ、ベラがぬいぐるみじゃなく「人形」であること以外にも、いくつか変更点があります。

まず、ベラの親友ヤナ(ローラ・ベルリン)は孤児院育ちの女の子。
ヤナは幼少の頃に孤児院に預けられていますが、彼女を捨てた父親の唯一のプレゼントが命を持った人形のベラだったという設定。
しかし大人になったベラはスターを目指し孤児院を出て行き、ずっと音信不通なんですね。

一方のヤナは、同じ孤児院で育ったウォルフガング(トム・ペック)と婚約。
二人の新居も購入予約し順風満帆に思えた彼女のもとに、破産したベラが転がり込み、ふたりの仲をぶち壊そうとするんですね。

で、ベラの性格も破天荒でタバコは吸うし、麻薬も吸うし、乱交パーティーもするしと、まぁ、まんまテッドなわけです。

設定を変えた事でかなり無理のある展開に

じゃぁ面白いのかというと、これが個人的には正直うーん……っていう。
テッドの場合、中年のボンクラ男とボンクラテディーベアがずっと一緒に育ってきたってのが一つポイントだったと思うんですが、本作の場合、前述したようにヤナとベラはかなり前に別々の生活を送っているんですね。

で、このヤナは非常に奥手というか真面目で、今まで付き合ったのはウォルフガングだけ。しかも母親は亡くなり父親は彼女を捨てて音信不通なので、ヤナは愛される事を渇望しつつ自分に自信がもてないっていう、かなり重い設定なんですね。

もちろんコメディーなので、あまり重くは描かれてないものの、この設定を中心に物語が展開していくので、テッド的なバカバカしさを求めて観ると、肩透かしを食らう事になるかもしれません。

展開的にも、冒頭から好き勝手に暮らして破産するベラと、ヤナとウォルフガングのラブラブな生活を交互に見せて、ウォルフガングが新居でヤナにプロポーズするところで、ベラと合流するんですが、このプロローグが長くて少々かったるく感じるんですよね。

あと、ウォルフガングとベラ、ウォルフガングとヤナ、ヤナとベラの関係性もセリフで説明されるだけなのも、感情移入しにくいかなと。
その辺の関係性は映像でも見せて欲しかったなーと思いました。

もちろん面白いシーンもあるけど

思わず笑っちゃう面白いシーンももちろんあるんです。
例えば、酔ったヤナにゲロをかけられたベラがコインランドリーでグルグル洗われたり、部屋干しされたり、車に轢かれたり、車に飛び込んだら窓に張り付いちゃったりと、テッド同様ぬいぐるみ設定の面白ギャグも沢山入ってるんですが、ただ、ベラの弱点や命のルール(例えばどうなったら死んじゃうとか)が曖昧なので、その後の色々な展開にもドキドキもハラハラもないし、そもそもベラが何をどうしたいのかイマイチ分かりづらいんですよね。

下品なギャグに引く

で、ベラの性格はほぼテッドと同じハチャメチャなんですが、例えばベラが男を連れ込んでHしたり、下品なジョークを連発したり、タバコや麻薬を吸ったり、ゲップやオナラをしたりすると、正直ちょっと引いちゃうんですよね。
これが人間の大人の女性なら(多分)平気なんですが、見た目は女の子の人形なだけになんかこう、より下品さが際立っちゃうってうか。

テッドの場合は男(オス?)で、しかもオッサンでクマっていうワンクッション入ってるので、下品さもある程度緩和されて面白さに変わるんですが、人型で見た目女の子の人形だと人間(というか少女)に近い分、下品さが際立っちゃう気がしました。

僕が男だからそう思っちゃうのかなー?

振り切れてない

で、本作の一番の問題は笑いと物語のどちらにも振り切れてないって事じゃないかなーって思います。
テッドを意識して作るなら、いっそ設定からまるっとパクって、幼馴染のダメダメ中年女性コンビの片方に彼氏が出来て…っていうドタバタにしたほうが良かったんじゃないかなと。その上で、男女の友情の違いを描いていく的な。

本作でヤナ役を演じる、ローラ・ベルリンが上品で美人でいい子すぎるので、ダメ要素や下品要素を全部ベラに背負わせる形になっちゃって、ベラの面白さより嫌な感じが前面に出ちゃってるなーと。
監督やスタッフはまさにそんな二人のギャップと友情物語を狙ってたのかもですが、ある種バディもの特有のコンビならではの相乗効果的な面白さが削がれちゃってる感じだし、二人の友情もイマイチ描ききれてなかったように感じました。

という感じで、個人的にはあまり合わない作品でしたが、面白いシーンは沢山あるし、僕も声を出して笑っちゃったシーンもあります。
人によってはテッドより、本作の方が楽しめるかもですしれませんね。

興味のある方は是非。