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あの不条理ホラー「パラドクス」監督の新作!「ダークレイン」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、以前このブログでもご紹介したメキシコの不条理ホラー「パラドクス」の鬼才 イサーク・エスバン監督の新作、『ダークレイン』ですよー!!

なんていうかこう……とにかくスゴイ映画でした!!

何がどうスゴイを書くとネタバレになっちゃうので書けないし、それ以外でも出来る限りネタバレしないよう気をつけますが、出来れば事前情報なしで観て頂きたい作品なので、もし近々本作を観る予定の方は、先に映画を観て、それからこの感想を読んでください。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

雨により感染する伝染病の恐怖を描き、シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭などで話題となったメキシコ発のパニックホラー。世界中を襲う豪雨によって外見も内面も変貌する伝染病が発生、雨の中に潜む何かを恐れ、理性を失っていく人々の姿を映し出す。監督は、『パラドクス』などのイサーク・エスバン。ルイス・アルベルティ、『キック・オーバー』などのフェルナンド・ベセリルなどが出演。レトロな雰囲気や狂気じみた映像が恐怖をあおる。

トーリー:世界各地を豪雨が襲ったある夜。人里離れた場所にあるバス停に、8人の男女が居合わせていた。その中にいたローザが体調に異常をきたし、さらに見た目が恐ろしく変化してしまう。この雨によって感染する原因不明の伝染病は、ほかの場所でもまん延しており……。(シネマトゥデイ より引用)

感想

OPとEDがスゴイ!

本作でまずグッときたのは、殆ど白黒映画のような色彩の抜けた豪雨の中、オーケストラのおどろおどろしい音楽+白黒時代の怪奇映画を思わせるフォントで始まるオープニング。
もう、このシーンだけでイサーク分かってんなー! と期待度が上がります。

そして、映画が終わってエンディングの方は、ヒッチコック映画で数々の名オープニングを手がけたグラフィックデザイナーのソール・バスを思わせる映像とヒッチコック映画感漂う音楽。

映画好きな人は、このOPとEDで思わずニヤリとしちゃうんじゃないでしょうか。
劇中、(多分)ヒッチコックのサイコオマージュなんかもあったし、全体的に本作は50~60年代(よりもっと前かも?)の「怪奇映画」や「パニックSF」のテイストで作られています。

舞台は1968年のメキシコ

本作の舞台は、1968年のメキシコの田舎町にあるバスステーション。
なぜ時代がわかるかというと、劇中「トラテロルコ・学生運動」の話が出てくるからです。
これは、1968年オリンピックの誘致のために1.5億ドルの大規模な投資を行い、労働組合、農民を抑圧し、反乱鎮圧政策を行っていた当時のメキシコ政府に不信を募らせた学生たちが民主化デモを行い、軍や警察によって鎮圧され多くの死者が出たという、実際に起こった事件です。

この事件は、後の物語やテーマに深く関わっているんですねー。

バスステーションの中だけで物語が進む、ワンシチュエーションスリラー

本作のストーリーをザックリ言うと、大きな嵐がメキシコ全土を襲う中、バスステーションに偶然居合わせた8人の男女が謎の「ウィルス」によって一人、また一人と異常をきたしていくという密室劇。

妻の出産のため一刻も早く病院に行きたい男、DV夫から逃げてきた妊婦、シャーマンのお婆さん、トラテロルコに行きたい医学生、もうすぐ定年の職員と住み込みで働く若い女、病気の息子とその母親。

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そんな彼ら、彼女らがバスステーションで中々こないバスに苛立ち、対立し、「感染」し……そして”驚愕の状況”に陥るという不条理スリラーで、ある場所に閉じ込められ、その中だけで物語が進むワンシチュエーションスリラーという点では、前作『パラドックス』に近いかもしれません。

が、

本作は前作『パラドックス』をはるかに超える驚きが待ち構えているのです!!

先の読めない嫌な展開から中盤で起こる「あること」を目撃した観客は、目を見張ること請け合いです!

そして、そこからの怒涛の展開に、僕は思わずひっくり返りましたよ!
イサーク・エスバン監督は天才か!

作品テーマ

本作を一言で言うと「アイデンティティ」についての物語だと思います。
劇中で起こる驚愕の展開や、ナレーションで語られる「アリの話」
トラテロルコ事件の話などを通して寓話的に語られた物語は、ラストシーンでアイデンティティの崩壊が招く未来を暗示している、ある意味非常にイマドキなテーマの作品なんじゃないかと思います。

でも、そんなのは本作を観たあとに考えればいいことで、とにかくまずは本作を観て欲しいし、驚いて欲しいんですよ!

僕は、本作を観てイサーク・エスバン監督の次回作も絶対観たいって思いましたよー!

興味のある方は是非!!!

 

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