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メキシコを通して世界の闇を描く「ボーダーライン」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、当ブログでもレビューを書いた「メッセージ」「複製された男」を監督したドゥニ・ヴィルヌーヴのヒット作『ボーダーライン』ですよー!
近年何かと話題のメキシコ麻薬カルテルを題材にした、クライムサスペンス です。

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あらすじと概要

アメリカとメキシコの国境で巻き起こる麻薬戦争の闇を、『灼熱の魂』『プリズナーズ』などのドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が衝撃的かつリアルに描いたアクション。メキシコ麻薬カルテルを撲滅すべく召集された女性FBI捜査官が、暴力や死と日常が隣り合わせの現実を目の当たりにする姿を映す。主演は、『イントゥ・ザ・ウッズ』などのエミリー・ブラント。ほかにベニチオ・デル・トロジョシュ・ブローリンらが出演。ヴィルヌーヴ監督による臨場感たっぷりの演出と、名優たちの緊迫した演技に注目。

トーリー:優秀なFBI捜査官のケイト(エミリー・ブラント)は、メキシコ麻薬カルテルの全滅を目的とした部隊に入り、特別捜査官(ジョシュ・ブローリン)のもとで極秘任務に就く。ケイトは早速、謎めいたコロンビア人(ベニチオ・デル・トロ)と共に国境付近の捜査を開始。人が次々と亡くなる現実を突きつけられたケイトは……。(シネマトゥデイより引用)

 

感想

メキシコ怖ぇーー!!((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタ

近年、ニュースやドキュメンタリー、また映画の題材など、何かと取り上げられる機会の多いメキシコの麻薬カルテル
麻薬売買だけでなく、誘拐、拷問、見せしめ殺人などの残忍な犯罪を行う、中東のテロリストとは別の意味で恐ろしい集団です。

本作では、そんな麻薬カルテルを壊滅させようとする米国国防総省の男にスカウトされたFBIの女性捜査官ケイトが、巨大な組織の思惑に飲み込まれていく様子を描いた作品なんですね。

映画冒頭、ケイトの所属するFBIの誘拐即応班がある民家に突入するところから物語はスタートします。

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装甲車で民家に突っ込んでいくという非常に乱暴な突入からの銃撃戦。
そして、家の壁の中から大量の死体発見、その殺しの手口からメキシコの麻薬カルテル、ソノラ・カルテルの仕業と判明したところで、離れ小屋大爆発と、息もつかせぬ怒涛の展開。

で、同僚2人を失った彼女と相棒のレジーはFBIフェニックス支部のオフィスに呼び出され、「やっべー処罰とかされるんじゃね?」と思いながら待ってると、そこで上司と話し合ってるのは、サンダル履きの怪しげな男で自称国防総省のマット。

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で、ケイトは会議室に呼ばれて、人質大量殺人の黒幕を逮捕できるという誘いに乗せられ、組織(FBI、国防総省等)を超えた特殊捜査チームに加わります。

翌日、指定された空港についたケイトは、ここで正体不明の男アレハンドロと出会い、そして何も知らされぬままメキシコまで連れて行かれ、カルテルの大物を護送中に麻薬カルテルに襲撃され……。という展開になっていくんですが、このメキシコの描写が超怖いわけですよ。
高架橋からは何体もの死体が吊るされてるし、道端にも死体がゴロゴロ無造作に打ち捨てられてるし。
ちゃんとした説明もなく、アメリカとはそんなまったくルールの違う、いわば「異界」に放り込まれたケイトは当然混乱するんですが、それは同時に映画を観ているこちらの視点でもあるわけで、もう純粋に
「メキシコ怖ぇーーー!((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタ」と。

いやいや、フィクションだからと思うかもですが、「クレイジージャーニー」の丸山ゴンザレスさんの回を見たら、このメキシコの様子はかなりリアルみたいですよ。
余談ですが、一方で麻薬カルテルを支持する人もいるらしく、この問題はかなり複雑みたいですね。

謎の男アレハンドロの正体、胡散臭い上司マットの真の狙い、自分が選ばれた理由などなど、次々起こる事件の中でケイトと観客は徐々に真実に近づいていくという作りなんですが、状況が分かれば分かるほど見えてくる闇の深さも濃くなっていって、ケイトの正義がどんどん揺らいでいくわけです。

主人公は蚊帳の外

とはいえ、基本主人公であるケイトは基本いつも蚊帳の外に置かれています。
ほかのメンバーは状況を分かって行動しているのに、彼女だけは作戦の狙いや概要が分からないまま参加しているですね。

僕は最初、優秀さゆえに選ばれた主人公が、己の正義と現実の狭間で葛藤しつつも活躍する「ゼロ・ダーク・サーティ」的な映画なんだろうと思って観ていたんですが、全然そういう映画ではなかったです。

本作における主人公ケイトの立ち位置は、あくまで観客と同じ。
何も分からずに、ただアチコチ連れ回される役周りで、なので基本何の役にも立ちませんし、何も解決できません。
事態は、彼女の知らない場所で進行してるし、彼女はあくまでただの目撃者でしかありません。

なのでクライマックスの、麻薬カルテルがアメリカ国内に麻薬を運び込むトンネルに突入するシーンを境に、物語は真の主人公の視点に切り替わります。

その時初めてケイトと観客は、この物語の本質を知ることになるんですね。

ファウスト・アラルコンとメデジン

本作では、麻薬カルテルの組織ソノラ・カルテルとケイトの参加するチームの戦いが描かれるんですが、ここはちょっと分かりづらい部分だったりします。

作戦会議のシーンで、ターゲットとなる「ファウスト・アラルコン」はソノラ・カルテルの中ではナンバー3の下部組織なんですね。

この辺の説明はわりとサラッと流れていくので、僕も最初は麻薬カルテル「ソノラ・カルテル」を壊滅させる作戦だと思ってたんですが、実質劇中でのターゲットは組織ナンバー3の「ファウスト・アラルコン」になってるんですね。

これはどういう事かというと、この物語がまだ始まったばかりという事を示しているんですね。

ちなみに、すでに続編の製作も決定したそうですよ。

ちなみに劇中名前が出てくる「メデジン」は、コロンビアの麻薬カルテル組織です。

映像と音

ちなみに本作はジャンジャン人が死ぬ非常に血生臭い映画ですが、ゴアシーンは決して多くありません。
もちろん撃ち合いで人が死ぬシーンはあるけど、決定的な(例えば至近距離から頭を打ち抜かれるとか)シーンは殆どないんですね。
にも関わらず、何だかとても凄惨な映画を見せられている気持ちになるのは、凄惨なシーンの時ほど、引いたショットで見せたり、「やられる側」ではなく「やる側」の表情に切り替えたりしつつ、リアルで嫌な効果音で観ている側に何が起こっているかを想像させるからだと思います。

また、まだ何も起こっていないのに常に不穏な雰囲気が漂う重低音のBGMを流したり、対象がギリ見えるくらいの俯瞰から撮影したりすることで、メキシコの街全体が一匹の生き物に見えるような撮影をしてるんですね。

クライマックスの突入シーンなどは、暗視スコープを通した映像や暗闇でも映るカメラなどを使うことで、どこか「この世ならざる」世界のような感覚にさせられます。

そうすることで、映画全体に緊張感や緊迫感を持たせ続けているんですよね。

ベニチオ・デル・トロの怪演

そして本作の白眉はなんと言っても、謎の男アレハンドロを演じたベニチオ・デル・トロの怪演ではないかと思います。

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彼は劇中で「幽霊」と呼ばれたりするんですが、何というか生気のないぼんやりした佇まいはまさに幽霊そのもので、何かこう実在感がないんですよね。
それでいて、あるシーンになると観ているこちらが怖くなるような存在感のある演技をするんですが、それも演技を切り替えるんじゃなく、”幽霊”のままだけど内から沸き上がってくる殺意みたいなものを出してくるというか。

彼の演技がこの作品を一段上に引き上げているのは間違いないと思いましたねー。

ちなみに、僕が途中までベニチオ・デル・トロハビエル・バルデムを勘違いしていたのは内緒ですw

「世界」と「個人」

そうした大きな物語の合間に差し込まれていくのが、子煩悩な父親とその息子のエピソード。
つまりメインストーリーである「麻薬カルテルvs米国」の物語を「世界」の物語とするなら、この親子の物語は「個人」の物語です。
映画終盤ではこの二つの物語が交差していくわけですが、ケイトが「世界」の目撃者であるならこの親子は「世界」の中の個人であり、被害者と言えるんじゃないかと。
本作では、「世界」と「個人」の物語を交互に観せることで、「世界」の残酷さみたいな物を際立たせているんじゃないかと思いました。

かなり重い内容だし、好き嫌いは分かれる作品かもしれませんが、個人的には見ごたえのある作品でしたよー!

興味のある方は是非!!

 

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