ぷらすです。
今回ご紹介するのは、ピクサースタジオの長編劇場用アニメ2作目『バグズ・ライフ』ですよー!
僕はディズニーもピクサーもハマるのが遅くて、結構見逃している作品があったりするんですが、本作もまさにそんな一作で、実終わったあとは今まで観なかった事を後悔しましたよー!
画像出典元URL:http://eiga.com
あらすじと概要
ホッパー率いるバッタ軍団におさめる食べ物を集めるため、重労働を強いられるアント・アイランドのアリたち。その収穫期の最中、発明家の働きアリ、フリックのミスからバッタ用の食料が川に流される事件が勃発。責任を感じたフリックは、バッタに対抗する助っ人を探しに、ひとり都会へ旅立った。そこで彼がスカウトしたのは、サーカスをクビになった芸人の集団。彼らを英雄と勘違いしたフリックと、新しい余興の仕事にありついたと勘違いしたサーカス虫たちは、意気揚々とアント・アイランドに引き上げてくるのだが……。(allcinema ONLINE より引用)
感想
映像クオリティーの進歩がスゴイ!
本作を観て、まず驚いたのが映像のクオリティーでした。
本作が全米公開されたのが1998年。「トイ・ストーリー」公開からわずか3年です。コンピューターやソフトの進歩もあるんでしょうが、草木や風、土など有機物の描写はまるで実写でしたよ!
特に驚いたのは、アリの主人公フリックがタンポポの綿毛に乗って乾季の干上がった川を渡るシーン。
綿毛の質感や軽さまでもほぼ完璧に表現されていて、ピクサー恐るべし! って思いましたねー!
役立たずな負け犬たちの逆転劇
そんな本作のストーリーをざっくり書くと、無法者のバッタから身を守るためバッタのために食べ物を集めて献上するアリたち。
しかし、ドジな発明家フリックが起こしたアクシデントで今まで集めた食べ物を全て失ってしまい、バッタと戦うために用心棒の虫を呼びに行くのだが……というお話。
つまり物語の骨格は西部劇「荒野の七人」です。西部劇好きなジョン・ラセター監督らしいチョイスです。
ところが、ある勘違いから田舎者のフリックが用心棒を頼んだのは売れないサーカス団の芸人たち。つまり偽物の英雄なんですが、彼らはアリたちとの交流を経て本当の英雄になっていくわけですが、こちらの流れはコメディー映画「サボテン・ブラザーズ」かな? まぁ「サボテン・ブラザース」も「荒野の七人」を元に作られたコメディー映画ですしねー。
そしてもちろん本作のモチーフになっているのは、童話の「アリとキリギリス」だし、描かれるテーマは「がんばれベアーズ」や「ロッキー」といった多くの映画で描かれている負け犬たちの逆転劇です。
そうした様々なモチーフをギュッとまとめて、非常に高いクオリティーのストーリーに練り上げたのが本作「バグズ・ライフ」なんですねー。
本作のメインキャラクターたちは、全員「役立たず」「負け犬」「厄介者」と見られ、コンプレックスを抱えています。
アントアイランドの王女・アッタ姫は、もうすぐ王位を継ぐ立場にあるものの、自分には統率力がないことにコンプレックスやプレッシャーを感じているし、羽が生えかけの妹ドット姫はアッタ姫や女王のように空が飛べないことがコンプレックス。
主人公フリックは、みんなの役に立ちたくて様々な発明品を作るものの、いつもドジばかりで厄介者扱いをされています。
そんなフリックが連れてきた用心棒たちは、三流サーカス団の三流芸人で人々の喝采とは程遠い荒れた生活をしていて、ついにはサーカス団から追い出されてしまうし、そもそもアリたちはそもそもバッタ軍団の横暴に立ち向かおうという発想すらなく、奴隷扱いされているんですよね。
本作はそんな虫けらの負け犬たち? が、数々の偶然や勘違いと厄介者だけど前向きなフリックの行動力に引っ張られて少しづつ変わっていって、ついに勝利と自己実現を手に入れるという、みんな大好きな王道の物語に西部劇のテイストと現代的味付けを加えて、大人も子供も楽しめる極上のエンターテイメント作品に仕上げたのです。
そこには絵や動き以上に、ストーリーありきなピクサーの姿勢があるし、だからこそピクサー作品は世界中の人に愛されているんだと思います。
伏線の上手さ
ピクサーの徹底したストーリー第一主義は有名ですが、それゆえスタッフ全員で練り上げるストーリーはいつも素晴らしく、特に伏線の張り方と回収の仕方はいつも感心させられてしまいます。
本作で言うと、冒頭・クライマックス前・終盤に登場する「石」のシークエンスですかね。冒頭シーンで例え話のために使われた石が、クライマックス前ではフリックを奮い立たせ、終盤では勘違いギャグの道具として上手く使われていて、ネタ振りから回収まで完璧だと思いましたねー。
とまれ、97分という今の映画としては短い時間の中に、色んな要素のギュッと詰まったとても面白い作品でしたよー!
興味のある方は是非!
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