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ベン・アフレックの新たな当たり役!?「ザ・コンサルタント」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、日本では今年始めに公開され話題を呼んだベン・アフレック主演のアクション映画『ザ・コンサルタント』ですよー!

公開が「ドクター・ストレンジ」と被ってて、結局僕は「ドクター~」の方を選んだんですが、今回DVDで観て「あー、やっぱ劇場で観ればよかったー!」と後悔するくらい面白い映画でしたー!
で、今回は出来るだけネタバレは避けますが、それなりに内容に踏み込んだ感じになると思うので、情報入れたくない! という方は先にDVDを観てから、この感想を読んでくださいねー。

いいですね? 注意しましたよ?

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あらすじと概要

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』でバットマンを演じたベン・アフレックが、複数の顔を持つアンチヒーローを体当たりで演じるアクション。夜な夜な巨悪に鉄槌を下す片田舎の会計士が、裏社会で壮絶なバトルを繰り広げる様子を映す。『ピッチ・パーフェクト』シリーズなどのアナ・ケンドリックや、『セッション』などのオスカー俳優J・K・シモンズらが共演。複雑なストーリー展開に手に汗握る。

トーリー:小さな町で会計士として働くクリスチャン(ベン・アフレック)のもとに、ある日大手企業からの財務調査のオファーが寄せられる。調査を進めるうちに彼は重大な不正を発見するが依頼は突然取り下げられ、それ以来クリスチャンは身の危険を感じるようになる。実は、彼は闇の社会の会計士として各国の危険人物の裏帳簿を握るすご腕の暗殺者だった。(シネマトゥディより引用)

 

感想

ベン・アフレックの新たな当たり役!? 二つの顔を持つニューヒーロー!

本作では『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』でクリスチャン・ベールに続く3代目バットマンを演じたベン・アフレックが、天才会計士と殺人マシーンという二つの顔を持つニューヒーローを演じています。

主人公クリスチャン・ウルフは先天的な「高機能自閉症」という設定で、両親とともにある施設を訪れます。

ここから続く冒頭のシーンで彼が障害を持っていること、後に会計士として天才的スキルを身に付ける素養があること、そして後に高い戦闘能力を身に付けることになる“原因”などがスマートに描かれていきます。

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そこから、物語は一気にジャンプ。クリスチャンが成長し有能な会計士として活躍する姿、ヒロイン役のディナ( アナ・ケンドリック)との出会いと、彼らが巻き込まれる事になる事件の概要、また同時進行で財務省捜査官のレイモンド・キング(J・Kシモンズ)とメディナ捜査官(シンシア・アダイ=ロビンソン)によって、クリスチャンの正体が徐々に解き明かされていくんですね。

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つまり、本作は現在進行形で事件に巻き込まれ解決に動くクリスチャンのパート、レイモンド&メディナによってクリスチャンの正体を探るパート、クリスチャン自身の回想で彼の過去を描くパートの三部構成が入り混じり、ストーリーが進むうちにクリスチャン・ウルフというキャラクターが立体的に浮かび上がる構成になっているわけです。

『障害』をエンターテイメントに取り込むこと

本作の主人公のクリスチャン・ウルフの高機能自閉症であるという設定については、賛否両論を呼んでいるようです。

確かに、彼の天才的な数学のスキルが自閉症に起因する集中力から来ているという設定は少々テンプレ的にも見えるし、戦闘スキルを習得する流れに対して否定的な意見が出るのもよく分かるんですよね。

軍人である父親は、彼が一人になっても困らないよう社会性を身に付け自分の身を守れるようにと、児童虐待的スパルタ“教育”を強いています。

その名残というか、クリスチャンは毎日のルーティーンとして、自室で点滅するフラッシュライトと大音量のロックを一定時間かけながら、木の棒で脛をゴリゴリするんですね。(多分、光や音のストレスに耐えるため脛に痛みを与えて紛らわしているんでしょう)
これは、激しい光や大きな音が苦手な自閉症の症状を克服するための手段として、父親に幼い頃からやらされていたんだということが分かります。

また、子供の頃の『特訓』も含め、本作では決してこうした父親のスパルタ教育を肯定的には描いていないんじゃないかと思いました。
その一方で、父親がクリスチャンに対し愛情がなかったというわけでもなく、むしろ父親なりの愛情が行き過ぎてしまった結果、親子の関係が歪んでしまったように描かれていて、その辺は個人的に、障害を持つ子と親の関係をフェアに描くことに細心の注意をはらっているんだろうなーって感じました。

事実大人になったクリスチャンは、一見普通に社会に溶け込んでいるようで、でも行動の端々でおかしな部分や異常性が垣間見えるという、父親から受けた恩恵と呪いの両面を体現するような歪んだキャラクターとして描かれていて、その上でそうした彼の歪なキャラクターと、その奥にある彼の人間性をエンターテイメントの中に上手く落とし込んでいるように思いました。

『効率』を求めるアクション

そんなクリスチャンの特徴はアクションシーンでも表現されています。
整理された、もしくは効率的で無駄がない事を好む彼の特性を現すように、アクションコーディネーターが目をつけたのは、インドネシアの格闘技シラット。
攻防一体となった格闘技を身につけたクリスチャンは効率的に敵を倒し、確実にヘッドショットで止めを刺していくんですね。また集中力という部分では、ライフルの名手であることが劇中で描かれています。

そして表の稼業である、映画序盤のほうで描かれている、会計士として彼がいかに優秀であるかの表現も非常に新鮮でしたねー。

本作のテーマ

しかし、そうしたアクションなどのエンターテイメント的要素は、本作ではあくまで観客の興味を持続させる要素であって、本作が本当に描きたかったテーマは多分「障害=不自由って決め付けるのは健常者の驕りじゃね?」っていうことなんじゃないかなって思うんですね。

人それぞれ長所短所の個性があるように、障害と僕ら健常者が決めつけている事は単に彼らの個性であって、そんな彼らの声を僕らは聞こうとしていないだけではないか?

というような事が、ラストの方で、クリスチャンが冒頭で連れてこられた施設の責任者のセリフで言っています。

そこまでの構成を見れば「作品のテーマをセリフで言わせるのはダサい」という事は製作者全員が分かった上で、あえてセリフにした事が分かります。
このシーンを観て僕は、スタッフがただのキャラ付けのために自閉症を扱ってるわけではないと思ったし、作り手としての誠実さを感じました。

ただ、こんな風に書くと、こうしたテーマ的な部分が前面に出た説教臭い映画ではないかと身構えられちゃうかもですが、そんなことは全く無くて、最後の最後、ずっと謎だった部分が気持ちよく解消されて、見ているこっちも「なるほど! そうだったのか!」とスッキリするし、単純に観ている間ハラハラドキドキして、最後には主人公のクリスチャン・ウルフが大好きになる超面白い作品でしたよ!

興味のある方は是非!!!

 

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