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メルギブが描く弱肉強食アクション「アポカリプト」(2007) *ネタバレあり

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ハリウッドスター・メル・ギブソン監督のアクションスリラー映画『アポカリプト』ですよー!

メルギブ作品はエゲツないショッキング描写があるという噂を聞いて、中々観る勇気が出なかったんですが、今回思い切って観てみたら、マッドマックスとランボーを足して2で割ったようなアクション映画でしたー!

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あらすじと概要

マヤ文明後期の中央アメリカのジャングルを舞台に、妻子や仲間とともに平和に暮らしていた青年の過酷な運命を描くアドベンチャー・スリラー。監督は『パッション』で世界中に衝撃を与えたメル・ギブソン。映画経験のない若者たちをキャスティングし、全編マヤ語で前人未踏の映像世界を作り上げる。ジャングルの生活をワイルドに描いた前半から一転、敵から逃れようと、ひたすら走り続ける主人公の青年の、手に汗握る奮闘に注目。

トーリー:誇り高き狩猟民族の血を受け継ぐジャガー・パウ(ルディ・ヤングブラッド)は、妻や仲間とともに平和な暮らしを送っていた。ところが、ある日、マヤ帝国の傭兵による襲撃を受け、仲間とともに都会に連れ去られてしまう。そこで彼らを待ち受けていたのは、干ばつを鎮めるためにいけにえを捧げる儀式だった。(シネマトゥデイより引用)

 

感想

弱肉強食の世界を生き抜く若者の物語

本作のストーリーは非常に単純明快。

マヤ帝国の軍隊に捕まった主人公が逃げる。それだけの映画です。

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中央アメリカのジャングルの中にある小さな集落で、仲間や妻子と平和に暮らす主人公ジャガー・パウ(ルディ・ヤングブラッド)。
しかし、ある朝、彼の村をマヤ帝国の軍隊が襲撃、多くの仲間が殺され、生き残った男と女たちは捕虜(奴隷?)として捕まり、マヤ帝国に連れ去られてしまいます。
そこから色々あってジャガーは逃亡。マヤ軍の追っ手との生き残りをかけた戦いが始まるという物語。

この映画は三部構成になっていて、序盤はジャガーたちの生活の様子を、中盤はジャガーたちの目から見た(自壊しかけている)マヤ帝国の様子を、終盤はジャガーの逃亡と追っ手との戦いを描いているんですね。

映画冒頭、ジャガーたち村の戦士が森の中でバクを狩るシーンから物語はスタートします。
そして中盤の彼らはマヤ帝国の獲物になり、終盤ジャガーは冒頭のバクと同じように、追っ手から逃げ回るんですね。
本作については色々解釈があるんですが、僕はこの映画は『弱肉強食』の世界を描いているのかなって思いました。

圧倒的な映像力

メル・ギブソンと言えば、ハリウッドの中でも何かとお騒がせスターとして有名で、性格的にもかなりアレな人らしいんですが、こと映画監督としては天才的だとハリウッド関係者も口を揃えているんですね。

僕は本作がメルギブ監督作初鑑賞なんですが、確かに冒頭から物語にグイグイ引き込まれていきました。
アクションシーンのスピード感や迫力、容赦ない残酷描写、ストーリー構成などなど、本当に凄くて、文字通り最後まで、手に汗を握って観ましたよ!

細かいディテールの描き込みや、非常に整理されたカットやアクションの見せ方で、観客を飽きさせない演出が成されていて、そこにメルギブ監督の特徴でもある痛みを感じさせる容赦ないバイオレンス描写がプラスされることで、シンプルな物語が重層的に肉付けされているんですね。

その手法は、どことなく俳優メルギブの出世作でもある「マッドマックス2」を思い出しましたねー。

時代考証

ただ、本作はマヤ文明を描いてはいるものの、時代考証的は歴史的事実に対しては、あまり正確ではないようです。
映画評論家の町山智浩さんによれば、主人公たちがユカタン半島で狩猟生活を送っていたのが紀元前300年くらい。
マヤ文明が栄えていたのが8~9世紀くらい。
スペイン人がユカタン半島にやってきたのが15世紀以降と言われていて、この3つが交わっているのはおかしいのではないかと。

その事はメルギブ自身も承知の上らしいんですけどね。
史実云々より、エンタメとしての面白さを取ったんでしょうね。多分。

また、劇中で出てくる生贄の儀式についても劇中のようなことはなく、そもそも生贄になることは神に近づくとして非常に名誉なことだったんだそうですね。

とはいえ、マヤ文明がなぜ滅んだのかは未だに謎で、メルギブは本作の中で、マヤ帝国に疫病が蔓延しているという描写を入れたりしています。

 

ここからネタバレになるので、これから本作を観る予定のある人やネタバレイヤンな人は、先に映画を見てくださいね。

 

ラストの解釈

本作のラスト、マヤ帝国の追っ手と戦っていた主人公ジャガーの体はボロボロ。
海岸に出たところで追っ手に追い詰められ、もうダメかと思ったら、海にはスペインの軍艦があり、小舟でスペイン軍とキリスト教の宣教師が近づいてきているわけです。
で、呆気にとられる追っ手の目を盗んで何とか逃げ出したジャガーは、妻子と共に森の奥に消えていくというオチなんですね。

前述の町山智浩さんは、このオチに対して「スペイン人によるカトリック伝来によって、マヤ文明の残酷な風習は終をつげ主人公はカトリックに救われた」というふうに描いていると解釈。

対してライムスターの宇多丸師匠は、「スペイン人の侵略によって、劇中で描かれた以上の虐殺が起こる事を暗示している」と解釈しているんですね。

確かにどちらとも取れる感じですが、僕は宇多丸師匠の解釈を支持します。
というのも、前述した『弱肉強食』、つまりバク狩りからスタートし、ジャガーがマヤ帝国軍に狩られ、追い詰められ、という文脈(と、中盤の少女の予言)から考えると、今度は大国スペイン軍の先進的な武力によって、マヤ帝国が狩られる(蹂躙される)「終わりの始まり」というラストだと凄く収まりがいいし、物語的のオチとして綺麗だと思うんですよね。

つまりメルギブは、世界は常に強者が弱者を喰らいながら回っている。みたいな事を、この映画で描いていて、マヤ帝国は現代アメリカ(を含む大国)のメタファーとして描かれているんじゃないかと思うんですよね。

まぁ、ただの妄想だし、あのラストの真意はメルギブのみぞ知るってところですがw

ラストの解釈とメルギブの思想はともかく、単純に物語として面白いし、アクション映画としてもすごく良く出来ていて、メルギブの映画監督としてのスキルの高さを知れた作品でしたよ!

興味のある方は是非!!(ただしR-15)

 

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