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海に選ばれた少女と半神半人のバディムービー「モアナと伝説の海」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ディズニー最新作『モアナと伝説の海』ですよー!
「アナ雪」「ベイマクッス」「ズートピア」とヒット作が続いた後のハードルが上がりきった状況だけに、本作には少し不安もあったんですが、個人的に映像もキャラクターも音楽も大好きな作品でしたねー。

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あらすじと概要

『アラジン』『ヘラクレス』などのロン・クレメンツとジョン・マスカー監督が再びタッグを組み、南太平洋に伝わる不思議な伝説を基に描くアニメーション。幼少時のある出来事をきっかけに海と強い絆で結ばれた、16歳のヒロインの大冒険を描写する。新人のアウリイ・クラヴァーリョがヒロインに抜てきされた。南太平洋を舞台につづられる少女のアドベンチャーと、その歌声に魅せられる。

ストーリー誰よりも海を愛する少女モアナは島の外へ行くことを禁止されていたが、幼少時に海とある出会いを果たしたことで運命が決定する。モアナは愛する者たちの救済のため、命をつかさどる女神テ・フィティの盗まれた心を見つけ出して再び平和な世界を取り戻そうとする。未知の大海原へと向かったモアナは伝説の英雄マウイと出会い、冒険を共にする。(シネマトゥディより引用)

 

感想

今度のヒロインは島の娘

本作の監督は「リトルマーメイド」(1989)「アラジン」(1992)「ヘラクレス」(1997)「トレジャー・プラネット」(2002)「プリンセスと魔法のキス 」(2009)と、ディズニーでプリンセスものを数多く手がけたベテラン、ロン・クレメンツとジョン・マスカーのコンビ。

本作も一応はプリンセスものの系譜にあたる作品なんですが、近年ディズニーの「意志の強いヒロイン」の流れも同時に汲んでいます。
そして本作の舞台はポリネシアに浮かぶ架空の島モトゥヌイで、主人公は村長の娘モアナ(アウリイ・クラヴァーリョ)なんですね。

劇中、共に海を渡る半神半人のマウイに「お姫様」と言われたモアナが「お姫様じゃないわ。村長の娘よ」と返すんですが、このセリフで、この映画は今までの(伝統的な)プリンセス映画とは違うという事を示しています。

そしてこのセリフの通り、モアナはこれまでのディズニーヒロインの中で一番逞しいヒロインでしたねー。
相棒マウイと共に、体を張って冒険し世界を救うヒーローでした。

1000年前、卓越した航海術で海を渡ってポリネシア各地の島に移住したラピタ人の末裔であるモトゥヌイの人々は、航海を止めて楽園のような島で幸せに暮らしているという設定なんですが、大航海によって太平洋の島々に渡ってきたラピタ人がなぜ航海をやめて定住するようになったのかという両監督の疑問が本作の原点になっているそうです。

ざっくりストーリー解説

モアナの祖母タラ(レイチェル・ハウス)が子供たちに、世界の成り立ちを語るシーンから映画はスタート。
曰く、「1000年前、女神テ・フィティの『心』には命を創り出す力があり、海しかなかったこの世界に島、植物、動物を誕生させたが、半神半人のマウイドウェイン・ジョンソンが彼女の心を盗んだことで世界は闇に包まれ始める。
しかし、世界が闇に覆われる前に、海に選ばれし者が珊瑚礁を超えてマウイと共にテ・フィティの元へ心を返しに行けば世界が救われる」というもの。

で、その海に選ばれたのがモアナで、彼女は幼い頃から珊瑚礁の向こうに強い憧れを抱くようになるんですね。

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しかし、若い頃に珊瑚礁を超えたことで親友を失った村長の父トゥイ(テムエラ・モリソン)は、モアナが外洋に出ることに大反対。
生活に必要なものは全てこの島が与えてくれるのだから、将来の村長として島のことだけを考えて欲しいと願います。

自分の思いと父親の願いの間で揺れ動くモアナでしたが、ある日、伝承通りに島の作物が枯れはじめ、魚も捕れなくなり、そしてタラに教えられ自分のルーツ(大航海をしていたラピタ人の子孫だった)を知ったモアナは……。というストーリー。

つまり、本作は「アイデンティティ」の物語なのです。

徹底した取材と起用で描くポリネシアの精神

本作を作るにあたって、両監督やスタッフは実際にタヒチニュージーランドなどで現地の人々に徹底した取材を行い、キャストやスタッフも出来る限りポリネシア系の人々を起用。ポリネシアの島々に暮らす人々の文化や精神を映画に反映させています。

つまり、劇中歌や美しい島の映像に乗せて、「彼らの暮らしや自然と共に生き自然に生かされているという彼らの精神」を、ディズニーミュージカルのテンプレートに乗せて描いているわけですね。

物語を作るにあたって、現地の人達にディテールやセリフをチェックしてもらっているからというのもあるのかもですが、「外国人がイメージするポリネシア」ではなく、作品に描かれる彼らは(少なくとも僕には)とても「リアル」に感じました。

音楽

本作で特に素晴らしいのは劇中で使われる音楽だと思います。
ポリネシアンミュージックグループテ・ヴァカメンバーのオペタイア・フォアッイ
数多くの映画音楽を担当したベテラン、マーク・マンシーナ
トニー賞グラミー賞を受賞したリン=マニュエル・ミランが担当したBGMや劇中歌はどれもキャッチーでありながら、ポリネシアンテイストもしっかり入っていて良かったですねー。

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モアナ役を務めた、ハワイ出身で16歳のアウリイ・クラヴァーリョの力強くて伸びのある歌声も素晴らしいし、アクション俳優として有名なマウイ役のロック様ことドウェイン・ジョンソンも見事な歌声を聴かせてくれますよ。(しかもラップも)

やるじゃんロック様!

映像とキャラクター

ジョン・ラセターがディズニーアニメーション部門を指揮するようになって以降、CGとストーリーが素晴らしいのは今や当たり前という感じですが、本作でも自然や海の描写は当然素晴らしいです。

CMで見た人もいると思いますが、マウイの刺青に描かれている小さなマウイは、意思を持って刺青内を動き回るんですね。

で、そのリトルマウイを担当したのが、「アラジン」のランプの精・ジーニーを手がけた伝説のアニメーター、エリック・ゴールドバーグ。
3DCGキャラの体を2Dの手描きキャラが動き回るという非常に面白い映像になっていて、とても新鮮でした。

あと、これもCMで流れているのでネタバレにはならないと思うんですが、本作の重要キャラクターとして「海」がいます。
いざという時はモアナを助けてくれる頼もしい仲間ですが、まさか海をカワイイと思う日が来るとは思いませんでしたよ。恐るべしディズニーw

あと、コメディーリリーフとして登場する、鶏のヘイヘイ(アラン・テュディック)も個人的にはツボでしたねーw

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画像出典元URL:http://eiga.com 役立たずで「海」さえもイラつかせるヘイヘイ(右)

そして、何と言ってもモアナのお婆ちゃんタラがね、超良かった!

おばあちゃん子だった僕としては、タラとモアナのシーンだけで5億点でしたよ!

 

前3作と比べると、もしかしたら本作はオーソドックスで少し古いな印象を受けてしまうかもですが、本作は(アメリカ人の価値観ではなく)ポリネシアンの人々の精神や価値観で作品を描いた事が凄いし、それでいてディズニーアニメとして破綻していないバランス感覚も素晴らしいと思いました。

そして、個人的に主人公モアナは近年のディズニーヒロインの中では一番好きでしたよー!

興味のある方は是非!!!

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