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全員悪人ついに終幕! 「アウトレイジ最終章」(2017)

ぷらすです。

ついにシリーズ完結となる『アウトレイジ最終章』を観てきましたよー!

三連休最終日ということもあって、朝一の回にも関わらず劇場はかなり混んでいて、本作の人気の高さを肌で感じましたねー。(´∀`)

というわけで、今回は公開したばかりの作品なので出来る限りネタバレのないように注意して書きますが、これから本作を観に行く予定の方は映画を観たあとに、この感想を読んでくださいね。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

北野武監督が裏社会にうごめく男たちの仁義なき戦いをあぶり出し、ヒットを飛ばした『アウトレイジ』シリーズの完結編。今作は前回の壮絶な権力抗争の後日譚(たん)となり、底なし沼のような戦いに身を投じる男たちの悲哀を描く。前作同様ビートたけし西田敏行塩見三省光石研らが豪華共演。最後の花道を飾るにふさわしい迫力に圧倒される。

ストーリー:関東の山王会と関西の花菱会の間で起きたし烈な権力闘争の後、大友(ビートたけし)は韓国に拠点を移す。彼は日本と韓国の裏社会で暗躍する実力者張会長(金田時男)の下にいたが、ある時、韓国に出張中の花菱会の花田(ピエール瀧)が騒ぎを起こし、張会長の部下を殺害してしまう。この事件を発端に、張会長と花菱会の関係は険悪になり……。(シネマトゥデイより引用)

 

感想

いい顔のオッサンだらけ

アウトレイジ」は、北野武監督がそれまでのアート寄りな作品から、本格的にエンタメ方向に舵を切った大ヒットシリーズで、それまでは無名だったり俳優以外のキャストを使っていた北野監督が、ベテラン有名派俳優をキャスティングしている事でも話題になりました。

キャスティングされた役者はみんな、テレビや映画で顔も名前も知れた人たちばかりにもかかわらず本シリーズがこんなにも新鮮に映るのは、彼らが今まで培ってきたイメージとは全く違う、全員ヤクザで悪党という配役だったからで、そういう意味ではキャスティングの段階で本シリーズは成功を約束された映画でもあったのかなと思います。

しかも、老齢に差し掛かろうという“いい顔”のベテラン俳優たちが全員「バカヤロー! コノヤロー!」と大声で罵声を飛ばし合うわけですからね。
そんなの面白いに決まってるんですよ。

本作でも、主演のたけしさんを始め、前作から引き続き西田敏行塩見三省、白龍、松重豊などと、さらに本作でもピエール瀧大杉漣岸部一徳など、“いい顔”のオッサンだらけ

映画「凶悪」で観客を震え上がらせた強面のピエール瀧が、本作ではひよっ子に見えるんですから、もうどんだけー!って感じですw

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画像出典元URL:http://eiga.com / あのピエール瀧がひよっ子に見える西田敏行の迫力

特に、西田敏行さんは病み上がりながら鬼気迫る演技を見せていたし、脳出血で倒れ後遺症を抱えて痩せられた塩見三省さんは、声に前作ほどの迫力はなかったものの、本作のストーリーにはしっかりハマっていたし、サングラスの奥に光る眼光の怖さは前作のままでしたよ。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 病にも負けずに熱演する二人

祭りの終わり

2010年公開の第一作では、関東最大の暴力団「山王会」の内紛を描き、創意工夫を凝らした“痛い”暴力描写のオンパレードで観客の度肝を抜き、続く2012年公開の「~ビヨンド」では関西を牛耳る「花菱会」と新体制になった「山王会」の抗争で、言葉の暴力を見せつけた本シリーズの「~最終章」となる本作。

物理的な暴力も言葉の暴力も前作・前々作に比べると随分控えめになってる印象でした。

本作では「山王会」を取り込んで名実ともに日本最大の組織になった「花菱会」の内紛や裏切りを主軸にしていて、実質的な主役は花菱会若頭の西野(西田敏行)と、前会長の娘婿で元商社マンの現会長である野村(大杉漣)の二人。

花菱会の花田(ピエール瀧)が、張グループ会長の張大成を頼って韓国に逃げた大友(ビートたけし)が仕切る済州島でトラブルを起こし、張グループの構成員を殺害したのをキッカケに、花菱新会長の野村に不満を抱く西野と、叩き上げの西野を邪魔に思っている野村が、張グループを巻き込んで互いを叩き落とすために策謀を巡らせるというストーリーなんですね。

なので、本作で大友は主役というより狂言回し的な立ち位置。
大友は自分の義理を通すために動いていて、その周りでは野村と西野の陰謀に振り回されて大勢死んでいくという。

そんな、現実の社会や会社でも起こっているであろう、野望や保身のために右往左往する人々の様子を、渦の外にいる大友の客観的な視点でシニカルに描いています。

なので、本作でも笑っちゃうくらい人がわんさか死んでいくんですが、終焉に向かっている「祭りの終わり」の寂しさや、ふっと漂う静けといった初期北野作品に近いテイストを感じましたねー。

大杉漣ベストアクト

とはいえ、そこは「アウトレイジ」ですから、ただセンチメンタルな物語で終わるわけもなく、予告編にも登場する大友のマシンガン乱射シーンや、花田、野村のシーンなど、「アウトレイジ観てるなー」という満足感はあるんですよ。

特に、証券マンから暴力団の会長になった野村の、周囲から馬鹿にされ浮いてる事に自分だけが気づかず空回りしてる感じは、演じている大杉漣さんのベストアクトと言えるんじゃないでしょうか。(いやマジで)

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画像出典元URL:http://eiga.com / 大杉蓮さん演じる野村の浮きっぷりに注目

惜しむらくは前作から間が空いてしまったことで、たけしさんを始めキャスト陣の勢いが少々衰えてしまった感じが否めなかったことですが、それでも邦画でここまで無茶が出来るのは多分、北野武監督だけですからね。

アウトレイジ」ファンの人もそうでない人も、劇場で「祭りの終わり」をしっかり見届けて欲しいと思いました。

興味のある方は是非!!!

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