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ネズミのシェフが大活躍!?「レミーのおいしいレストラン」(2007)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、2007年公開のピクサー製作長編CGアニメ『レミーのおいしいレストラン』ですよー。
実は僕がディズニー&ピクサー作品を観始めたのは割と最近の事で、そこから遡ってDVDなどで過去作を観てるんですね。

で、本作はうっかり見落としていた作品で今回が初見だったんですが……。

これが超面白かったんですよねー!

というわけで、古い作品でもあるし今回はネタバレをあまり気にせずに書いていこうと思います。
なので、これから本作を観る予定がある人は、映画を観てからこのブログを読んでくださいねー。

いいですね? 注意しましたよ?

http://eiga.k-img.com/images/movie/1896/photo/b189dafbf53dcaab.jpg?1495096494

画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

並外れた料理の才能を持ち、一流シェフになることを夢見るネズミと、料理の苦手な見習いシェフの出会いが巻き起こす奇跡を描いた感動物語。監督は、大ヒット作『Mr.インクレディブル』のブラッド・バード。声の出演にはコメディアンのパットン・オズワルト、『アビエイター』のイアン・ホルムなど実力派が名を連ねる。数々の名作アニメを生み出してきたディズニーとピクサー作品ならではの、細部にまで凝ったクオリティの高い映像は必見。

ストーリー:料理が大好きで、一流レストランのシェフになることを夢見るネズミのレミーは、ある日、尊敬する料理人グストーの店にたどり着く。そこで働くシェフ見習いのリングイニがヘマをして、スープを台無しにしてしまう。その様子を見ていたレミーは、キッチンに入り込み、見事にスープを作り直すが、その姿をリングイニに目撃され……。(シネマトゥデイより引用)

感想

シンプルかつ定番のストーリー

本作の内容を一言で説明するなら「ドブネズミがフランスの一流レストランのシェフになる物語」です。

ドブネズミのレミー(パットン・オズワルト)は天才的な味覚と嗅覚の持ち主で、忍び込んだ家のテレビと本で、フランス5ツ星のシェフ グストー(ブラッド・ギャレット)に心酔し、レシピを覚えていきますが、「料理は誰にでも作れる」というグストーの言葉に反感を持つ辛口料理評論家イーゴ(ピーター・オトゥール)に料理を酷評され、星を一つ落としてしまったショックから死亡した事を知ります。

さらにそんなレミーの才能を父親や仲間は理解してくれず、ある事件をきっかけに仲間とはぐれてレミーは一人ぼっちになってしまうんですね。

ショックの中、自分の空想のグストーに導かれるようにたどり着いたパリのグストーの店の厨房に忍び込んだレミーは、新米コックのリングイニ(ルー・ロマーノ)が台無しにしてしまったスープを作り直すんですが、これが客に大好評。ところがスープを作るところをリングイニに目撃され、二人(一人と一匹)はコンビを組むことに。

二人の作る料理は、たちまち話題になり料理評論家たちにも絶賛されるが……。

という物語。

負け犬が権力者に実力を認めさせるという物語自体は非常にシンプルで、定番とも言えるものですが、本作はドブネズミの主人公と厨房という、最もかけ離れた禁断の両者をブッキングすることで、物語にスリルやカタルシスをもたらしているんですね。

また、本作はピクサー映画としては珍しく、ハッキリした悪役が登場するし、店の権利問題というわりと大人向けな題材もぶっ込んできています。

監督について

当初はヤン・ピンカバが監督する予定で準備を進めていた本作ですが、経験上の懸念(短編しか作ってなかった)からヤン・ピンカバは降板し、『アイアン・ジャイアント』や『Mr.インクレディブル』を手がけたブラッド・バードが企画を引き継ぐ事になったそうです。

また、ネズミが料理を作るという観客に嫌悪感を与えかねないストーリーを成立させるため、最初は二足歩行のキャラクター的に描かれる予定で進んでいたレミーやネズミたちを、ブラッド・バード監督は、あえて四足歩行で走り回るリアルなネズミにすることにしたそうです。
だからネズミとしては自意識が高くシェフに憧れるレミーは、最初は四足歩行で、途中から二足歩行に変わるんですね。

で、本作の感想を書くのに、いくつかのレビューを見て回ったところ「ネズミが料理するなんて気持ち悪い」とか「不衛生」というレビューをいくつか見つけて「そういう見方をする人もいるのか」と、ちょっと驚いたんですよね。

確かに、大量のネズミがレストランの厨房を走り回るシーンが生理的に気持ち悪く感じるというのは分からなくはないですが、物語的にはそここそがカタルシスに繋がるシーンでもあるので。

本作のテーマ

ここからネタバレ。

レミーとコンビを組むリングイニは、(本人は知らないけど)実はグストーの隠し子でして。
で、グストー亡き後にシェフとなったスキナー(イアン・ホルム)はリングイニの出現に焦ります。

何故なら、期限内に血縁者が現れた場合、店の権利をその者に譲るというグストーの遺言があるからで、店の権利を手に入れたいスキナーにとってリングイニは邪魔なんですね。ところが、リングイニ(というかレミー)の作ったスープや料理が評判になって、クビにも出来ないんですよ。

で、すったもんだあって店の権利を手に入れた“若き天才シェフ”リングイニの評判を聞きつけ現れたのが、宿敵イーゴ。
イーゴに勝負を挑まれた進退極まったリングイニは、厨房スタッフに真実(レミーの話)を語るんですが、スタッフは店を去りリングイニとレミーも諦めてしまいます。

そこに現れたのがレニーの父親と仲間たちで、彼らは協力して料理を始め、それを見たリングイニはウェイターとして客を捌き、ひとり戻ってきたヒロインのコレット(ジャニーン・ガラファロー)も手伝って作り上げた「ラタトゥーユ」の味に、衝撃を受けたイーゴは、真実を知りつつもその味とレミーを絶賛する記事を書きます。

しかし、スキナーの通報でネズミが厨房で料理を作ったことがバレてしまい店は閉店に追い込まれ、イーゴの評論家生命も絶たれてしまいます。

しかし、投資家に転職したイーゴの出資によって開店したビストロでレミーは夢を叶えてシェフとなり、コックのコレット、ウェイターのリングイニとともに「ラタトゥーユ」を振舞って店は大繁盛するんですね。(「“Rat”atouille」とネズミの『Rat』が掛かってる)

この結末、結局リングイニはシェフじゃなくウェイターになるんですが、この物語はあくまで“レミーが夢を叶える物語”だし、リングイニは元々料理に興味があったわけじゃないですしね。

つまり本作はネズミがシェフになるという物語を通して、人種・性別・貧困・階級などあらゆる差別や偏見にNOを突きつけているわけですね。(だからネズミをリアルに描くことに意味があった)

冒頭でグストーが語る「料理は誰にでも作れる」という言葉がそれを表しているわけですが、さらに終盤イーゴの最後の評論でかつてグストーの言葉を嘲笑った事を反省し、「誰もが偉大な芸術家になれるわけではないが、誰が芸術家になってもおかしくはない」と語るんですね。
この二つの言葉は対になっていて、料理の世界だけじゃなく「夢を追う全ての人に機会が与えられるべき」というブラッド・バード監督自身の心情をストレートに表した言葉だと思います。

さらに、イーゴが評論家としての仕事を省みる件は、監督の評論家に対する思いも乗っかってる感じがして、そう考えると本作はまんまピクサーのクリエイター論でもあるのかなと。

俺たちクリエイターはそれだけの覚悟を持って作品を作ってるんだから、評価(批判)する方もそれだけの覚悟を持ってやれよ」っていう。

なんか自分で書いてて耳が痛いですけどもw

そういう意味では、テーマ的にジョン・ファヴローの『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』や庵野監督の『シン・ゴジラ』とかなり近い作品な気がします。

もし機会があれば、合わせて観るのも面白いかもですねー。

興味のある方は是非!!

 

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