ぷらすです。
今回ご紹介するのはダメ~~~~~~~~~な中年男が、愛する息子のためにヒーローになるコメディ映画『アメリカン・ヒーロー』ですよー!
ほかの作品のDVDで予告を観て「これ多分好きな映画」と思って、早速レンタルしてきました。
で、まだ新譜レンタル期間ではありますが、今回は、後半部分はネタバレありで書くので、これから観てみようという方はご注意を。
いいですね? 注意しましたよ?
画像出典元URL:http://eiga.com
あらすじと概要
『ブレイド』『ブレーキ』などのスティーヴン・ドーフが主演するSFコメディー。酒、女、ドラッグざんまいの超能力者が、息子のためにギャングに戦いを挑む。メガホンを取るのは、プロデューサーとしても活躍している『ロンドン・ヒート』などのニック・ラヴ。『アンダーカバー・ブラザー』などのエディ・グリフィン、『リベンジ・リスト』などのルイス・ダ・シルバ・Jrらが共演。ダメ男からヒーローへの過程に注目。
ストーリー:実家暮らしでまともに働こうとせず、酒と女とドラッグに溺れながら連日のようにパーティーに明け暮れているメルヴィン(スティーヴン・ドーフ)。彼は特殊なパワーを持つ能力者だが、その力を使った余興でこづかいを稼ぐ始末。別れた妻に親権を奪われて息子との対面もままならないメルヴィンは、心を入れ替えようと決意する。やがて、街のギャングが少年たちを犯罪に巻き込もうとしているのを知った彼は……。(シネマトゥディより引用)
感想
本作の内容を一言で言うなら「超スゴイ能力を持っていながら、ダメ男すぎて妻子に捨てられた中年が、愛する息子のため一念発起してヒーローになる」物語です。
この映画、僕はほかの映画のDVDで流れる予告編で知りまして。
個人的に負け犬主人公の映画が大好物なので「これは見なくては!」とレンタルしてきたんですよねー。
結果、個人的には当たりの映画だったし、多分、ヒーロー映画だと思って観てしまうと肩透かしを食らってしまうと思うんですが、(超能力を除けば)ダメだけど気のいい男の日常を描いた小さな物語として観ると、中々いい感じの物語なんじゃないかと思いましたねー。
主な登場人物
画像出典元URL:http://eiga.com / ダメ男だけどスーパーパワーの持ち主メルヴィン
メルヴィン(スティーブン・ドーフ)
女・酒・ドラッグに溺れて実家で自堕落に暮らすダメ中年。
ダメすぎて裁判で一人息子との面会を禁止されているが、実は念じるだけで何でも好きなように動かせるサイコキネシス能力を持っている。
画像出典元URL:http://eiga.com / 口は悪いけどメルヴィンを心配してるルシール(左)
ルシール(エディ・グリフィン)
メルヴィンの親友。
口は悪いがいつもメルヴィンを心配している親友。
イラク戦争に従軍し、敵の銃弾で下半身不随になり車椅子生活。
ドリーン(キーナ・ファーグソン)
メルビンの元妻。息子の親権をもち、メルビンと息子の面会を禁じている。
ルーカス(ヨハンス・マイラス)
メルヴィンの友達。
地元高校の数学教師で長年メルヴィンの能力を調べている。
ネイソン
地元を牛耳るギャングのボス。
平気で人殺しや子供にもドラッグを売る非情な男。
メルヴィンは12歳の頃に両親が離婚し、以来、貧困地域に暮らしているので、基本メルヴィン・妹・母親以外の住人はほぼ全員黒人です。
画像出典元URL:http://eiga.com / せっかくの能力も使い道が分からず見世物に
30を過ぎても実家暮らしで、定職も持たず(自分の能力を使って大道芸でマジックショーをしてる)自堕落な生活をしている彼ですが、街の住人たちはほぼ顔見知りで、人柄の良さからかメルヴィンはわりと人気者なんですよねー。
しかし、彼は離婚調停の結果、愛する息子に会えないのが寂しくて仕方ないんですね。
そんな寂しさを紛らわせるかのように、過剰摂取していた頭痛薬・ドラッグ・酒が祟り、極度の心不全で倒れたのをキッカケに「自分を変えたい」と一念発起。
酒もドラッグもやめて、身体と能力制御のトレーニングを始めます。
そんなある日、ギャングのネイサンが自分の息子の友達(小学生)にドラッグを売りつけているのを見つけたメルヴィンは……。という物語。
こんなふうに書くと、クライマックスで能力を使った大バトルが……なんて思うかもですが、なんせ制作費が日本円で一億ちょっとという、アメリカ映画としてはかなり低予算映画なので、そんなに大したことは起こりません。(相手も地元のチンピラだし)
本作の肝はアクションではなく、メルヴィンと友人や家族との関わりや、「負け犬が立ち上がり小さな成功を掴む」という人間ドラマですからねー。
というわけで、ここからネタバレしていきますよ!
インタビュー形式
本作ではちょいちょい、メルヴィンを取り巻く人びとがインタビューで、彼の人となりを語るシーンが挿入さる半モキュメンタリー形式で進みます。
このインタビューで、メルヴィンが街の人びとや友人に好かれる理由が分かるし、本人の気持ちも分かる作りになってるんですね。
メルヴィンは2005年のハリケーン・カトリーナの時に、その能力(テレキネシス)で、知り合いを救っていたり、従軍で車椅子生活になり奥さんに捨てられ傷ついたルシールを家に住まわせたりしてるんですね。
劇中でもルシールの恋の手助けに一役買ったりもしています。
つまり、メルヴィンは自堕落でどうしようもない男ですが善人で気のイイやつで、だからこそ街の人たちは彼のことを好いているし心配もしてるんだと思うんですね。
能力と代償
これもハッキリとは語られてないので間違ってるかもですが、どうもメルヴィンの能力は彼の感情の起伏と直結しているようで、つまり怒りや悲しみなど強い感情によって、能力が暴走してしまうのではないかと思うんですよね。
で、彼の能力は魔法の便利アイテムではなく、使う力が大きければ大きいほど身体にかかる負担も大きく、メルヴィンは頭痛や心臓が弱るなどの副作用が出るようです。
だから彼は、能力が暴走しないよう感情をある程度フラットに抑えるために、酒やドラッグに頼っていたのではないかと思ったりするんですね。
また、彼の父親が家族を捨てた原因も、多分メルヴィンの能力が原因だと思うし、もしかしたら奥さんとの離婚も彼の能力が関わってるかもしれません。
つまり彼にとって超能力は、彼の人生の大半を不幸にしてきた呪いのようなものだったんじゃないかと思うんですね。
しかし、不摂生からの心肺停止を経験した彼は、人生を変えようと酒やドラッグに逃げることをやめ、次第に前向きになっていきます。
そんなある日、下校中の息子を物陰からそっと見守っていると、息子の友達にネイサンの手下がドラッグを売っているのを目撃。
怒ったメルヴィンは能力を使って、ネイサンに「子供達を傷つけないように」と脅します。ところが、それに怒ったネイサンは報復としてメルヴィンの親友ルシールを銃撃、怪我を負わせるんですね。
で、それが原因で、ルシールや他の友人にも避けられるようになったメルヴィンの怒りと自己嫌悪がないまぜになった感情は暴走寸前で、近くの建物を壊してしまうほど。
しかも、さらに友人を狙われたメルヴィンは、ついにネイサンのアジトに乗り込み…という展開になっていくんですねー。
ただ、これはメルヴィンの個人の復讐(リベンジ)ではなく、ネイサンから家族や友人を守るための復讐(アベンジ)で、だからタイトルが「アメリカン・ヒーロー」なんだと思うんですよね。
アメリカン・ヒーローは常にアベンジの為に戦っているので。
深読みしすぎかなー?w
もしもキリストがダメ男だったら
本作を観た人なら分かると思いますが、この作品が聖書が元ネタにした物語なのは明白ですよね。
メルヴィンが数々の「奇跡」を起こしたり心停止から回復するのは、あからさまにキリスト復活のメタファーですしね。
つまり、本作は「もしも現代アメリカにキリストが現れたら」という物語です。
まぁ、本作のキリスト(メルヴィン)は、死ぬほど徳が低くて自堕落でどうしようもないダメ男ですけどもw
ネットレビューを見ると、本作はわりと酷評が多くて、映画的欠点については確かにその通りって思う部分も多いんですが、個人的には嫌いになれない作品でした。
興味のある方は是非!
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