ぷらすです。
今回ご紹介するのは、日本では1995年にアメリカで公開されたサスペンス映画、『ユージュアル・サスペクツ』ですよー!
僕は恥ずかしながらこの作品を知らなかったんですが、先日ツイッターでネットのお友達から教えてもらって早速観てみたら、超面白かったです!!
ただ、ネタバレなしで感想を書くのがほぼ不可能な映画なので、今回は後半部分でネタバレしますが、多分、最初の1回目は何も情報を入れずに見たほうが絶対楽しめる作品だと思うんですね。
なので、もしまだ本作を未見で興味のある方は、是非、先に本作を観てから、この感想を読んでくださいねー!
いいですね? 注意しましたよ?
画像出典元URL:http://eiga.com
あらすじと概要
船舶の炎上事故を調べていた捜査官クイヤンは尋問していたヴァーバルから奇妙な話を聞かされる。6週間前に銃器強奪事件の容疑者として集められた5人が、釈放後、協力して宝石強奪を決行。ブツをさばくためにLAの故買屋と接触した5人は、そこで新たなヤマを依頼されるが、宝石と聞かされていた獲物は麻薬で、トラブルから相手を射殺してしまう。そして恐慌状態の彼らの前に、伝説のギャング“カイザー・ソゼ”の右腕と名乗る弁護士が現れたというのだ……。(allcinema ONLINEより引用)
感想
サンペドロ港に停泊中の貨物船が大炎上し27人もの死者が出る大事件が起こり、その場にいた生き残りヴァーバル・キント(ケヴィン・スペイシー)という、体に障害を持つ男が警察に連行されます。
この事件に至る全容をヴァーバルが刑事に語るうちに、謎の全容が次第に明らかになっていくんですが、そこには思いもよらない真実が隠されているというのが本作のストーリーなんですね。
ただ、これがホントに一筋縄ではいかないというか、何重にもトラップが仕掛けられていて観終わったあとに考えているうちに「あれ? あれれれ????」ってどんどん混乱していくんですよ!
スタッフ
本作は「X-MEN」シリーズの監督としてお馴染み、ブライアン・シンガーの長編2作目の作品です。
彼は本作で一躍脚光を浴び、「X-MEN」(2000)の監督に抜擢されたんだそうですね。
そして、アカデミー賞を受賞した本作の脚本を務めたのが、トム・クルーズ主演の「アウトロー」や「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」で監督も務めたクリストファー・マッカリー。この人もやはり、本作がキッカケで活躍の幅が広がったみたいですねー。
キャスト
本作では、ガブリエル・バーン、ケヴィン・スペイシー、ベニチオ・デル・トロなど、名だたる俳優が出演しているんですが、中でも実質、主役といっても過言ではないケヴィン・スペイシーの存在感のある熱演(怪演?)は素晴らしかったですねー!
主な重要登場人物
本作で重要と思われる、主な登場人物がこちらです。
まずは事件に関わるメインの5人。
本作の主役。
汚職から詐欺や殺人まであらゆる悪事に手を染めてきた元警官だが、堅気に戻りレストランを経営中。
ロジャー・”ヴァーバル”・キント(ケヴィン・スペイシー)
左半身不随の詐欺師で本作の“語り部”
貨物船爆破事件で、唯一無傷で生き残った男。
トッド・ホックニー(ケヴィン・ポラック)
爆破のスペシャリスト
マイケル・マクマナス(スティーヴン・ボールドウィン )
フェンスターと共に数々の強盗や犯罪を犯してきた根っからのワル。
フレッド・フェンスター(ベニチオ・デル・トロ)
マクマナスとコンビを組むチンピラ。
事件を追う刑事と↑の5人の関係者。
イーディ・フィネラン(スージー・エイミス)
キートンの恋人で、有能な弁護士。
デビッド・クイヤン(チャズ・パルミンテリ)
ニューヨーク関税局特別捜査官。
警官時代のキートンとは同僚。
船舶爆破事件にキートン絡んでいると知りサンペドロまで飛んできた捜査の鬼。
ジャック・ベア(ジャンカルロ・エスポジート )
ジェフリー・レイビン(ダン・ヘダヤ)
サンペドロ警察刑事。
事件の謎を深める登場人物。
カイザー・ソゼ(?)
もはや都市伝説と化した謎の大物ギャング。
その正体を知るものはいない。
ポーランド人ギャングと抗争したらしい。
コバヤシ(ピート・ポスルスウェイト)
カイザー・ソゼに使える謎の弁護士?。
アーコシュ・コバッシュ( モーガン・ハンター)
ハンガリー人組織の下っ端で、船舶爆破事件の生き残り。
貨物船の爆発で火傷を負うが、カイザー・ソゼの顔を見ている。
アルトゥーロ・マルケス(カスチュロ・ゲッラ)
アルゼンチン組織の密告屋で脱走犯。
カイザー・ソゼの正体を知る? 男。
レッドフット(ピーター・グリーン)
ロサンゼルスのチンピラで闇取引の仲介人。
ストーリー
船舶爆破事件から始まった物語は、6週間前に銃器強奪事件の容疑者として「面通し」のために5人の前科者(ユージュアル・サスペクツ=常連の容疑者)が集められる場面に飛びます。
そしてこの事件で知り合った5人はNY警察への復讐も兼ねて、警官の汚職が絡んだ宝石強奪を実行。盗んだ宝石を金に変えるためカリフォルニアで取引相手の故買屋レッドフットに会います。
そこで、レッドフットに新たな宝石強奪をもちかけられ実行するも、ターゲットが運んでいたのは宝石ではなく麻薬で、しかも抵抗されてターゲット3人を殺害してしまうんですね。(強盗だけならターゲットも警察に言えないけど、殺人になると警察が動くのでピンチに陥る5人)
話が違うと詰め寄る彼らに、レッドフットは依頼人に会わせると言い、5人が指定された場所に行くと、そこにはコバヤシと名乗る謎の老人が。
彼は、自らを伝説のギャング、カイザー・ソゼの代理人であると説明。
彼らはそれぞれ過去に、(知らなかったとはいえ)カイザー・ソゼの計画を邪魔してしまった事を知らされ、その“借り”を返すため、カイザー・ソゼと敵対する組織の麻薬密輸船舶を爆破、乗組員を皆殺しにするよう“命令”されて前述の事件を起こした事が、ヴァーバルの回想で語られていきます。
というわけで、ここから先はネタバレするので、未見の方はご注意を。
カイザー・ソゼの正体
本作を観た人なら分かると思うんですが、この作品の中盤以降でカイザー・ソゼの正体は、ヴァーバルじゃないかと察しがつくし、ラストまで観ると「ほらやっぱり」って思いませんでしたか? 僕は思いました。
でも観終わって物語を振り返ると「あれ? あれれれ?」ってなるんですね。で、気づいたんですが、実はこの映画は表面的には、カイザー・ソゼの正体を探るミステリー形式の物語になってますが、実はカイザー・ソゼの正体はどうでもいいんですよねー。
つまり、カイザー・ソゼの正体を推理し始めた時点で、刑事たちも僕らも、ヴァーバルの術中にハメられているんです。
本作では、語り手のヴァーバルの証言(回想)を、聞き手のクイヤン捜査官(と観客)が聞く形式で物語が進みますが、そもそもクイヤンはヴァーバルではなく、警官時代に数々の犯罪を犯し、隠蔽してきたキートンの罪を立証するためにサンペドロまで来ているわけです。
つまり本来、本作の主人公は、キートンなんですが、それがいつの間にかヴァーバルの語りによってカイザー・ソゼの正体を追う物語にすり変えられてしまったんですね。
そして壁に貼られた紙やコーヒーカップの文字などから分かる、あの衝撃のラストで、ヴァーバルが語った事件の概要や、キートンら5人との関係、彼の経歴の多く(もしかしたら全部?)が、彼の作り話であることが分かります。
ヴァーバルは最初から「信頼できない語り手」だったわけです。
カイザー・ソゼという人物が実在するのかしないのか。
ソゼの正体は本当にヴァーバルなのか、コバヤシとは本当は何者なのか。
キートンは本当に死んでいるのか、もしかしたらキートン自身がカイザー・ソゼではなかったのか。
今まで観てきた物語はどこまで本当でどこから嘘なのか。
物語の真実は、ラストシーンでヴァーバルが吐き出したタバコの煙みたいに霧散してうやむやになってしまいます。
で、それに気づいた瞬間に、劇中に残されたわずかな手がかりから僕らは物語の真実を探ろうと躍起になるわけで、つまりこの映画は、終わってからが本番なんですね。
そして、真実を探して2回目を観た時には、最初に観ていた物語とはその姿を変えているし、それ自体がヴァーバル……というか、本作スタッフの術中にハマっている証拠でもあるんですよね。
何故なら、いくら検証しても劇中に本当の真実があるかないかすら分からないんですから。
ホント、まんまと騙されたー! って思うんですが、あまりに綺麗に騙されすぎてムカつくどころか逆に感動してしまうのは、この虚実入り混じった物語に真実味を持って観客を引き込む、ケヴィン・スペイシーの名演と脚本の見事さ。それを見事に、そしてスタイリッシュに映像化して見せた監督ブライアン・シンガーとスタッフの手腕なんですよねー。
もう20年以上前の作品ですが、まったく古さを感じなかったし、脳みそをグラグラ揺さぶられるような名作でした!
「カイザー・ソゼ!!」
興味のある方は是非!!
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