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メルギブ監督最新作!「ハクソー・リッジ」(2017)

ぷらすです。

前回は“俳優”メル・ギブソンの最新作「ブラッド・ファーザー」をご紹介しましたが、今回ご紹介するのは“監督”メル・ギブソン10年ぶりとなる最新作『ハクソー・リッジ』ですよー!

いやもう、映画監督としてのメル・ギブソンの力量を思い知らされた本当に凄い作品でしたねー!!

というわけで、まだレンタルされて間がない映画なので、出来るだけ一番大事なところはネタバレしないように気をつけて感想を書きますが、これから本作を観る予定の方は、映画を観たあとにこの感想を読んでくださいね。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

俳優として数々の話題作に出演し、監督としては『ブレイブハート』でオスカーも手にしたメル・ギブソンがメガホンを取って放つ感動作。第2次世界大戦中に銃を持たずに戦地入りし、多くの負傷した兵士を救った実在の人物をモデルに奇跡の逸話を描く。主人公を『沈黙 -サイレンス-』などのアンドリュー・ガーフィールドが熱演。自身の信念に基づき、勇気ある行動をとった兵士の物語が胸を打つ。

ストーリー:第2次世界大戦中、デズモンド(アンドリュー・ガーフィールド)は、人を殺してはいけないという信念を持ち、軍隊に入ってもその意思を変えようとしなかった。彼は、人の命を奪うことを禁ずる宗教の教えを守ろうとするが、最終的に軍法会議にかけられる。その後、妻(テリーサ・パーマー)と父(ヒューゴ・ウィーヴィング)の尽力により、デズモンドは武器の携行なしに戦場に向かうことを許可され……。(シネマトゥデイより引用)

 

感想

実は僕は、メルギブ監督作品は、日本では2007年公開の「アポカリプト」しか観ていないんですよね。(しかもDVDで後追い鑑賞)
というのも、メルギブ監督作品は重くて残酷で、痛々しい描写が多いという噂を聞いてしまったので、怖くて中々手が出せなかったのです。

で、以前に意を決して「アポカリプト」を観たらこれが超面白い!
いや、もちろん噂通り残酷だし痛々しい描写はてんこ盛りだったんですが、それ以上に一本の映画として本当に面白かったんですよ。

なので、本作公開時も劇場で観ようか迷ったんですが、個人的に苦手な戦争映画ということもあり、(劇場で観るのはしんどそうだったので)DVDレンタルになるのを待って、今回やっと観ることが出来ました。

実話を元にした物語

本作を一言で説明すると、戦争の過酷な最前線で、銃を持たずに75人もの負傷兵の命を救った若き衛生兵の物語です。

そして、この物語は実在の人物の伝記映画。

本作の主人公デズモンド・T・ドスは、キリスト教系の新宗教セブンスデー・アドベンチスト教会」の敬虔な信徒で、「汝殺すなかれ」という信条を持つ「良心的兵役拒否者」として衛生兵に志願。
武器を持つことを拒否し、衛生兵として過酷な沖縄決戦の最前線の戦いで、日本兵も含む75人を救い、(良心的兵役拒否者としては初の)名誉勲章を与えられた人物なんですね。

で、タイトルの「ハクソー・リッジ」とは、沖縄浦添城址の南東にある「前田高地」と呼ばれた日本軍陣地で、北側が急峻な崖地となっていて日米両軍の激戦地となったことから、米軍がこの崖につけた呼称(Hacksaw=弓鋸)だそうです。

信仰であり信念の物語

本作の主人公デズモンド・ドス (アンドリュー・ガーフィールド)は、・ヴァージニア州の緑豊かな町で生まれ育ち、幼い頃から兄と野山を駆け回る活発な少年。

そんな彼の父は、第一次対戦に参加し生還したもののPTSDに苦しみ、アルコール中毒で妻やデズモンドたちに暴力を振るう困ったパパ。

そんなある日、兄との喧嘩がエスカレートしたデズモンドは、レンガで兄の頭を殴り大怪我を負わせてしまいます。

ショックを受けた彼の目に入ったのは、家の壁に掛かっていた宗教画の「汝殺すことなかれ」の文字。

その教えを深く胸に刻み込んで成長したデズモンドは穏やかな青年に育ち、看護婦のドロシーと結婚の約束を交わすも、第二次世界大戦は日々悪化の一途を辿っていて、彼は傷ついた同胞を救うため「衛生兵」として、兵役志願を決意するのです。

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画像出典元URL:http://eiga.com /幸せの絶頂から

細身ながら体力があり、兵士としての訓練でも優秀な成績を収めていたデズモンドですが、銃を持つことは断固拒否。
そこから、彼の地獄がスタートするわけです。

臆病者呼ばわりされ、上官による組織的な嫌がらせや、仲間によるリンチ。挙句の果てには命令違反の罪で軍法会議にかけられ、刑務所送りになりそうになる始末。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 地獄にまっさかさま

その合間にも仲間や上官、ドロシーにまで「銃を持つか除隊するか」を迫られるデズモンドが、彼は決して自分の信念を曲げることはしなかったんですね。

そんな彼の行動や信念の強さには確かに感動するものの、(この時点では)正直、仲間や上官の気持ちも分かるので何とも複雑な気持ちになってしまいましたねー。

だって、兵隊に志願してるのに「銃には触りません!(`・ω・´)キリッ」とか言われたら、「じゃぁ志願すんなー!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ」って思ったり「うわーメンドクセー。コイツ除隊してくんねーかなー(´Д`)と思う気持ちも分かるってもんじゃないですかw

しかし、観客にもそう思わせる事が、メルギブ監督の仕掛けなんですよね。

周囲の圧力や甘言にも負けず、頑なに自分の信念を貫く前半のデズモンドが、果たして地獄のような戦場でも本当に信念を貫き通せるのかというのが後半への「引き」になり、この前半があるからこそクライマックスシーンでの彼の「ある行動」が、物語最大のカタルシスに繋がってデズモンドを応援せずにはいられなくなるわけです。

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画像出典元URL:http://eiga.com

つまり本作はキリスト教徒としての「信仰の強さ」という枠を超えて、如何なる暴力や圧力にも負けない信念という人間の崇高な強さを、身も蓋もないほど即物的な描写で観客に伝えようとしていると思ったし、それは多分、メルギブ作品全てに共通しているテーマなんだと思います。

そんな主人公役が、マーティン・スコセッシの「沈黙 -サイレンス-」では己の信仰を貫けなかった神父を演じたアンドリュー・ガーフィールドというのも、もしかしたらメルギブ監督の狙いだったのかなー? なんて邪推してしまいましたねー。

とにかく巧い! メルギブ監督の手腕に脱帽

容赦のない暴力&残酷描写ばかりが取り上げられがちなメルギブ監督ですが、彼の映画監督としての評価は映画ファンだけでなく、同業者からも高く評価されています。

本作でも、ストーリー運びの巧さやキャラ紹介のスマートさはもちろん、敵味方が混在する複雑な戦闘シーンでも観客が状況を把握出来る見事に整理された画作り、サスペンスシーンの盛り上げ方や音の使い方、伏線の張り方や回収の見事さなど本当に惚れ惚れしてしまいますよ。

もちろん、目を覆いたくなるような残酷描写や暴力描写は本作でも健在(というか過去最狂)ですが、それも本作でメルギブ監督が描きたいテーマをより際立たせるためには必要な描写で、決してゴア描写のためのゴア描写にはなっていないんですよね。(多少やりすぎ感は感じますがw)

ちなみに、本作の爆発シーンは全部CGかと思ったら、本当にスタントマンの近くで爆破してるらしいですし、戦闘のシーンの多くはCGじゃなく実写で撮影して、後から血糊などをCGで足しているらしいです。だからこそ観客が戦場に迷い込んでしまったような錯覚を覚えるほど、大迫力の戦闘シーンになっているんですねー。

ただ、太平洋戦争の沖縄決戦をアメリカ視点で描いた作品なのでイデオロギーが先に経ってしまったり、沖縄の方などは観ていて辛くなってしまうかも。

ですが、本作の主軸はそこではないし沖縄決戦を日本側の視点で知っている僕ら日本人だからこそ、他国の人よりも本作をより立体的に観ることが出来るんじゃないかと思います。

っていうか、一本の映画として超面白いので、諸々のことは一旦横に置いて、気になる人は観たほうがいい映画だと思いましたねー。

まぁ、残酷な描写が苦手な人には、あまり積極的にはオススメできませんけども。

興味のある方は是非!!

 

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