今日観た映画の感想

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有名リストランテを舞台にした一夜の群像劇「ディナーラッシュ」(2002)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ニューヨークのイタリアンレストランを舞台に、様々な人間模様を殺人事件を絡めて描いた一夜の群像劇『ディナーラッシュ』ですよー!

僕はこの作品をTwitterで教えて貰ったんですが、超面白い映画でしたー!!

 

http://eiga.k-img.com/images/movie/51641/photo/e46296b4b09985f6.jpg?1495097390

画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじ

冬のニューヨーク、トライベッカ。イタリアン・レストラン“ジジーノ”のオーナー、ルイは、長年のビジネスパートナー、エンリコがギャングに殺害されたことを知り気分が滅入っていた。もう一つルイを悩ませていたのは、彼の息子ウードの存在。イタリア帰りのこのチーフ・シェフは、ルイの反対を押し切り、伝統的な家庭料理で街の人々に愛されてきたこの店を、おしゃれな人々が集うトレンディ・レストランへと変えてしまったのだった。やがて日が沈み、今日もまた厨房もフロアも様々な思惑が錯綜する<ディナーラッシュ>の時間がやって来た。しかし、今日はいつもとどこか様子が違っていた……。(allcinema ONLINEより引用)

感想

ディナーラッシュ」とは

本作のタイトルにもなっている「ディナーラッシュ」とは、その名の通りディナーにやってきた客で、レストランが最も賑わう時間。

本作は、ニューヨークトライベッカの四ツ星リストランテ「ジジーノ」を舞台にした、一夜の物語で、昔気質のオーナー、息子の天才シェフ、ギャンブル狂の副シェア、イタリアンギャング、アーティスト志望のウェイトレス、嫌味な画廊のオーナーなどなど、一癖も二癖もあるキャラクターたちが織り成す群像劇です。

監督について

本作の監督、ボブ・ジラルディは、ミュージックビデオやCMディレクターとして有名だそうで、更に、何件ものレストランを経営するオーナーでもあるんだとか。
本作の舞台になったレストランも、セットではなく実際に彼のレストランで撮影したんだそうですよ。

だからなのか、厨房や客席、バーカウンターなど、レストラン内部の映像はどこも実在感があってリアルなんですよねー。

そして、<ディナータイム>の客席の賑わいや、狭い厨房(イタリアンレストランの厨房は、フランス料理などに比べて狭いらしい)で料理を作るコックたちの様子がテンポよく映し出され、何というか、観ているだけで気持ちがいいのです。

実際にレストランの実態を熟知しているオーナーだからこそ、ディナー時のレストランのリアルな活気を演出出来たのだろうし、ミュージックビデオにも携わっている監督だからこそ、このテンポのいい映像が作れたんじゃないかと思いましたねー。

キャラクター

ルイス&ウード

ニューヨークトライベッカのリストランテ“ジジーノ”のオーナー、ルイス・クローパ(ダニー・アイエロ)は、両親から受け継いだレストランを長年に渡って経営し、その裏でノミ屋もやっていたものの、今は足を洗ってレストラン経営一本に絞っています。

そんな彼の息子で、辛口評論家からも絶賛される天才シェフでモテモテのウード(エドアルド・バレリーニ)のおかげで店は連日大繁盛。
しかし、伝統的なイタリア料理の味を好むルイスは、ウードの作る斬新な料理には否定的なんですねー。

一方、息子のウードは店を繁盛させた功労者の自分に、中々店を譲らない父親に反抗心を抱いていて、ふたりの関係はギクシャクしているのです。

そして本作は、ビジネスをめぐって揉めていたウェールズの新興イタリアンギャングにルイスの長年の親友、エンリコが殺されてしまうところからスタートします。

ダンカン&ニコーレ

“ジジーノ”の副シェフ ダンカン(カーク・アセヴェド)は腕のいいコックで、シェフのウードからも一目置かれ、ルイスにも可愛がられています。
ところが、彼はギャンブル狂でノミ屋に多額の借金があり、そのせいでウェールズのギャングにエンリコは殺されてしまい、あまつさえ店を乗っ取られそうになるんですね。

そんな、ダンカンはウードのデスクの上に置かれた、恋人でホール係のニコーレ(ビビアン・ウー)のピアスを発見。ウードと関係を持った事を知ります。

マルティ&フィッツジェラルド

“ジジーノ”のウェイトレス マルティー(サマー・フェニックス)は画家志望。
そんな彼女が受け持った客は、お高くとまったやり手の老画商フィッツジェラルド(マーク・マーゴリス)と、彼が目をかけている著名な新人アーティスト。
普段以上に混み合う店内で、長時間待たされた事が面白くないフィッツジェラルドは、ワインのサービスを強要し、酔いに任せて店内に飾られた絵画をバカにし始めます。

ショーン&ケン

“ジジーノ”のバーテンダー ショーン(ジェイミー・ハリス)はチャラいけど、雑学なら誰にも負けないと自負する“雑学王”。客を相手に雑学クイズの賭けをしては、小銭を巻き上げています。そんなバーカウンターに一人でやってきた証券マンのケン(ジョン・コーベット)は、ショーンと会話を楽しみながらも、誰かを待っているんですね。

カーメン&ドルリー刑事

ルイスの親友を殺し、ダンカンの借金を盾に“ジジーノ”を乗っ取ろうと店に乗り込んできたイタリアンギャングのカーメン( マイク・マッグローン)と義兄。
実はダンカンの借金トラブルを解決するべく、ルイスが店に招待したのですが、カーメンはルイスの店の権利を譲るよう脅してきます。

一方、ルイスはもうひと組、市警のドルリー刑事夫妻も密かに招待していて、親友を殺したのはカーメン義兄弟であることを密告するんですね。

ジェニファー&ウード

NYでは有名なグルメ評論家ジェニファー(サンドラ・バーンハード)は、シェフ、ウードの恋人。彼女が料理を絶賛したことで“ジジーノ”は有名店になったんですが、ふたりの関係がバレると困ると思った彼女は、カツラを被り、お忍びで来店します。

 

本作は、オーナーで父親のルードと、息子でシェフのウードという親子の確執を軸に、複雑に絡み合う様々な人間模様を99分という時間で、実にスマートに描いているんですね。

例えば冒頭、コックの一人が使っている包丁の切れ味が悪い事に腹を立てたウードは、コックをクビにしてしまいます。
このシーンでは、ウードの傲慢で独善的な一面を描き出す一方で、自分の仕事道具をキチンと手入れしていないコックの怠慢を許さない、彼のプロ意識の高さを表現しているのです。

他にも、一つのシーン、一つのカットの中で、それぞれのキャラクターを多面的に描き、かつ、ストーリーに絡めてくる脚本と、それを見事に映像に写し取る監督の手腕は素晴らしいと思いましたねー。

また、ルード役のダニー・アイエロを始め、キャスト陣もみんな素晴らしかったですよー!

停電シーン

本作中盤、ただでさえ混み合う“ジジーノ”が停電になります。
ざわつく客を宥めようと一丸となるホールスタッフ、明かりのない中、ガスコンロの火の明かりで料理を作り続ける厨房のコックたち。

このシーンは、それまでバラバラだったキャラクターやストーリーが、この停電を境にひとつの物語として収束していく分岐点で、そういう意味で、本作のクライマックスと言っても過言ではないと思いました。

そして驚愕のラストへ

そして本作の物語終盤、恐らくは本作を観た人は全員「あっ!」と驚く驚愕のラストが待っています。

同時に「なるほど、そういうことだったのか!」と誰もが膝を打ったのではないかと思います。
このラストのシーンは本作の肝なので、内容について触れることは出来ませんが、最後の最後にこんなどんでん返しを持ってくるとは! と、ストーリー構成の見事さに感心してしまいましたねー。

映画的にも、いわゆるハリウッド映画的な雰囲気というよりは、ニューヨーク的というか、(上手く言えませんが)例えるならウディ・アレン的っていうか、映像もストーリーも洗練された、小粋な作品という感じなんですよね。

99分と観やすい長さだし、それでいて情報量は多い作品で、観終わったあとは、まるで一流レストランで美味しいフルコースを食べたような満足感がある映画でしたよー!

興味のある方は是非!

 

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