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予算もスケールも大幅アップ! “普通”にカッコイイ映画に「西遊記2~妖怪の逆襲~」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、2014年に公開された西遊記の前日譚「西遊記〜はじまりのはじまり〜」の続編となる、『西遊記2~妖怪の逆襲~』ですよー!

アジアナンバー1面白おじさんこと、チャウ・シンチーが監督して大ヒットした前作から予算もスケールも大幅アップした本作ですが、メインキャストだけでなく監督も変わって、前作とは別物の“普通”にカッコイイ西遊記になってましたねー。

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あらすじと概要

チャウ・シンチーが監督を務めたアクションファンタジー『西遊記~はじまりのはじまり~』の続編。天竺を目指して旅する妖怪ハンター三蔵法師が、孫悟空らと共に妖怪たちに立ち向かう。メガホンを取るのは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズなどに携わってきたツイ・ハーク。『あの場所で君を待ってる』などのクリス・ウー、『修羅の剣士』などのケニー・リン、『ドラゴン・クロニクル 妖魔塔の伝説』などのヤオ・チェンらが出演。

ストーリー:病気ながら、孫悟空(ケニー・リン)、猪八戒(ヤン・イーウェイ)、沙悟浄(メンケ・バータル)を引き連れ天竺へ旅をする妖怪ハンター三蔵法師(クリス・ウー)。美女に化けては近づく人間を食う蜘蛛女たちを退治した孫悟空が、理不尽な三蔵法師を始末しようとその機会をうかがう中、一行は比丘国へ。国王・九宮真人(ヤオ・チェン)に迎えられるが、常軌を逸した気分屋である国王の機嫌を三蔵法師が損ねてしまう。困った彼は孫悟空に助けを求めるが、事態は悪化するばかりで……。(シネマトゥデイより引用)

感想

予算もスケールも大幅アップ!

カンフー・ハッスル」のチャウ・シンチーが監督し、中国全土で大ヒットした前作「西遊記〜はじまりのはじまり〜」から4年。

ファン待望の続編となる本作が公開されたんですが、新作の監督を務めるのは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズなどで知られるツイ・ハークに変わり、チャウ・シンチーは制作と脚本のメンバーのひとりとして参加(実質彼がどこまで本作に関わったのかは分かりません)。

三蔵や悟空などメイン・キャストも前作から総入れ替えされ、ストーリーと世界観は同じだけど、前作とはまったく別の映画という感じになってしまってましたねー。

ただ、前作の大ヒットで予算は大幅にアップしたようで、中盤と終盤のクライマックスでのCGを駆使した悟空と妖怪の戦いは前作より大幅にスケールアップ。
まるで、マーベルやDC映画並のスケール感とカッコ良さでしたねー!

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特に大猿化した悟空は、前作とはデザインが変わって超カッコ良かったし、この戦いのシーンだけでも、本作を観る価値があるんじゃないかと思いました。

この辺は、「蜀山奇傅 天空の剣」で香港映画で初めて本格的SFX作品、「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー スーシン」では香港映画初の長編アニメーションを手掛けるなど、近代香港映画界では常に先駆者としれ知られ、「香港映画界のスピルバーグと称されるツイ・ハークの手腕なんだろうなーと。

しかし、チャウ・シンチー印はほぼ無くなって…

そんな感じで映像は申し分ないくらい素晴らしいんですが、正直、何かが物足りない。

何て言うか、“普通”にカッコイイ映画なのです。

前作でホアン・ボー演じる悟空を見たときのあの衝撃。
西遊記で悟空を演じるんだから長身の二枚目俳優なんだろうと思いきや、登場したのはハゲ散らかした小さいオッサン。

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画像出典元URL:http://eiga.com / チャウ・シンチー版悟空

で、そんなどう見ても悟空感のない、調子が良くて卑屈なオッサンだから、三蔵を上手く騙して解放された時に見せるあの残忍な笑いの怖さが際立ったし、もちろん笑いのシーンは満載だったけど、沙悟浄は女子供も容赦なく喰らい、猪八戒もアジトに人間を誘い込んでは丸焼きにして食べる残忍な妖怪で猪化したときは超怖かったわけで。

僕が子供の頃から観ていた日本の西遊記とは違う、妖怪本来の恐ろしさを描いているところが新鮮だったし、やりすぎなくらいのチープさや、悪乗りにも見えるバカバカしい笑いの奥に、愛や毒、人生観や死生観=チャウ・シンチーの作家性が垣間見えた前作だから僕は感動したわけで。

そういう、チャウ・シンチー印がほぼ根こそぎ無くなっていて、本作は単に何度も観てきたヒーロー譚としての西遊記になってしまってるんですよね。

残されたのが、前作で病弱王子を担いでた女性軍(今回はタイ国王の側室役)と、三蔵のズラ師匠だけってあんた……。

いや、例えチャウ・シンチーが監督してたとしても、前作を超えるインパクトが残せたかどうかは分からないし、ツイ・ハーク監督を責める気はないんです。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ツイ・ハーク版悟空(左:猪八戒・右:沙悟浄

むしろ、あの前作から上手く繋げて、ヒーローとしての孫悟空をカッコ良く描いた手腕を賞賛するべきなんでしょう。

ぶっちゃけ前作とは別物として観れば、普通に面白くてカッコイイ西遊記ですし、今回の敵役である、クモ女、紅孩児、九宮真人のデザインも現代風で良かったし、悟空との戦いも迫力満点で観ている間は楽しめましたしね。

ただ、あえて言うなら、音楽の使い方が無頓着すぎるとは思いましたけど。

あと、EDロールが終わったあと、それでもオマケ映像あるはずと劇場に残る観客を、掃除婦に扮したチャウ・シンチー「超大作じゃないからオマケ映像なんかないよ」と追い出すという、マーベル映画オマージュ(とういかデップーオマージュかな?)的なオマケ映像には思わず笑ってしまいましたねーw

興味のある方は是非!

 

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