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スーパー戦隊+青春映画=「パワーレンジャー」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、日本の「スーパー戦隊シリーズ」の英語版ローカライズとして制作された同名テレビドラマの劇場リブート版『パワーレンジャー』ですよー!

正直ナメてたんですけど、実際観てみたら想像以上に面白かったです!!
(;゚∀゚)=3ハァハァ

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概要

日本の人気シリーズ『スーパー戦隊』の英語版で、アメリカをはじめとする世界各国で放送されているシリーズの劇場版。かつて5人の戦士によって守られた地球に新たな脅威が接近、驚異的なパワーを身に付けた高校生たちの戦いと葛藤を活写する。監督は『プロジェクト・アルマナック』などのディーン・イズラライト。デイカー・モンゴメリー、RJ・サイラーに加え、『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』などのブライアン・クランストンらが出演。壮大なスケールで描かれる物語に期待が高まる。(シネマトゥデイより引用)

感想

「ブレックファーストクラブ」X「スーパー戦隊

公開時、本作は賛否両論がハッキリ分かれていて、否定派の意見の多くは「特撮アクションシーンが短すぎる」というものでした。

この映画、主人公たちがパワーレンジャーに変身して戦うシーンは、約2時間の映画のラスト30分程度なんですよね。確かに短い。

しかも、「ヒーロー映画」として観ても、ヒーロー的な行動がラスト以外ほぼないので、そこに不満を覚えた人の気持ちもよく分かります。

が、ラスト30分の「特撮アクションシーン」に至るまでの1時間30分がつまらないかといえば、僕はそんな事はないんじゃないかと思うんですよね。

田舎町を舞台に、アメリカ青春映画の金字塔「ブレックファスト・クラブ」を思わせる、出自もキャラクターもまったく違う5人の高校生が問題児が集まる補習授業で出会い、少しづつ友情を深めながら、それぞれが抱える悩みや葛藤を乗り越えていく様子を丁寧に描いくティーン向け青春映画で、そんなバラバラな彼ら・彼女らを繋ぐ共通項がパワーレンジャーなんですね。

だからと言って「スーパー戦隊」要素がオマケというわけではなく、いわゆるヒーローものや「スーパー戦隊」のお約束やツボをしっかり押さえた作りにもなっているし、変身してからのクライマックスシーンに物語のカタルシスが来るように、青春劇のパートをチューニングしているのには感心しました。
「悩める若者たちの成長」と「スーパー戦隊」という二つの要素が絶妙なバランスでひとつの映画に収まってるんですよねー。

ザックリストーリー紹介

恐竜が闊歩する太古の昔、宇宙の平和を守るパワーレンジャーは、力を求めすぎるあまりダークサイドに落ちて仲間を裏切ったリタ・レパルサから地球を守るため戦うも、強大な力の前に一人、また一人と倒れていきます。
追い詰められたリーダー(レッド)のゾードンは、リタとの相打ちを決意。
パワーレンジャーの力の源であるコインを地中に埋めて、いつか現れる後継者に期待を託したのです。

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画像出店元URL:http://eiga.com / 初代レッドのゾードンパイセン(ブライアン・クランストン

そして現代。アメリカの田舎町 エンジェルグローブの高校に通う5人の少年少女。

ジェイソン・スコット(デイカー・モンゴメリー)は将来を期待されるアメフト選手で町のスターでしたが、些細なイタズラと交通事故が原因で怪我を負って夢は絶たれ、落ちこぼれが集まる補習クラスに通うことになります。

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画像出店元URL:http://eiga.com / ジョックスから落ちこぼれたジェイソン(レッド)

補習クラスで彼は、自閉症というハンデを抱えるいじめられっ子ながら、抜群の記憶力と高い知能を持った真面目で気弱な黒人少年のビリー・クランストン(RJ・サイラー)、チアリーダー部に所属していたけど、ある事件を起こして補習クラスに通うことになったキンバリー・ハート(ナオミ・スコット)に出会い、車を自由に使わせて貰う条件でビリーに協力することに。

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 画像出店元URL:http://eiga.com / 元チアリーダーのキンバリー(ピンク)

ビリーとともに町にある金鉱に行ったジェイソンは、そこでトレーラーハウスに病気の母と二人暮らしの、不登校児でアジア系少年のザック・タイラー(ルディ・リン)、転校生でぼっちのトリニー・クワン(ジェレミー・レナー)と出会い、近くの森に来ていたキンバリーとも再会。

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画像出店元URL:http://eiga.com / 不登校児ザック(ブラック)

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 画像出店元URL:http://eiga.com / ぼっちのトリニー(イエロー)

そして、ビリーが調査のために岩盤を爆発して現れた不思議な岩の中で光を放つ5つのコインをゲットし、スーパーパワーを手にするのです。

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 画像出店元URL:http://eiga.com / みんなを繋ぐムードメイカーのビリー(ブルー)

自分たちの体に起きた異変の原因を調べるため再び金鉱に集まった5人は、地球が滅亡の危機にあること。それを食い止めるためには、自分たちがパワーレンジャーになり復活した悪の女王リタ・レパルサエリザベス・バンクス)を倒さねばならないことを知るのですが……。

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 画像出店元URL:http://eiga.com / 敵のリタをノリノリで演じるエリザベス・バンクス

という内容。

元ネタはスーパー戦隊シリーズの人気作「恐竜戦隊 ジュウレンジャー」を英語版ローカライズして制作された『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』を、劇場用にリブートした作品らしく、彼らの乗る恐竜型の戦闘専用ロボットゾードや、さらに5体のゾードが合体した巨大ロボ、メガ・ゾードも登場します。

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 画像出店元URL:http://eiga.com / 敵の巨大兵器vsメガゾードの迫力満点の戦い

また、元ネタの方は子供向きなので、主人公たちはもっと単純明快で明るい性格らしいんですが、本作ではスクールカーストや、LGBT、友達との軋轢など、様々な問題を抱え、社会からはみ出してしまった主人公たち。つまり負け犬の主人公たちが、パワーレンジャーになることで再び立ち上がるという、現代的かつ普遍的なティーン向け青春映画のテイストを入れ込んだ内容になっています。

これは多分、(監督の作家性もあるかもですが)子供の頃にパワーレンジャーを観て育った層の観客(多分主人公たちと同年代くらい?)が共感できるように物語を作ったのかな? なんて思いましたねー。

細部にこだわりを感じる

そんな本作ですが、劇中の細かい部分に監督のこだわりを感じました。

例えば、あるシーンから次のシーンに移る時、前のシーンのラストカットと次のシーンの最初のカットで画的な韻を踏むように繋げるとか、主人公たちのスーパーパワーが覚醒した時の小道具の使い方。

あと、パワーレンジャーになるために5人は修行をするんですが、キンバリーとトリニーが、ダイナー?でケーキを取り合うシーンでは、ふたりの(戦士としての)成長を描きつつ、友人として距離が縮まっていっている事を同時に描く上手い描写でしたねー。(ジャッキーオマージュなのかな?)

はみ出し者の彼らの心はバラバラで、中々パワーレンジャーになれないんですけど、初代のパワーレンジャーが乗っていた宇宙船(これが秘密基地になる)を発見する過程の映像や、それぞれが抱える問題を小出しに提示していくことで観客に共感させていく手法など、画的にも物語的にも見応えがあって全然退屈はしなかったし、それ自体がいよいよパワーレンジャーに変身するシーンの前フリにもなっていて、そこをじっくり描くことで変身シーンにカタルシスが来るように、ちゃんと計算されているんですよね。

かと思えば、パワーレンジャーになってからは一転、「戦隊モノ」の色々なお約束やツボをしっかり押さえていて、「パワーレンジャー劇場版」から逸脱しない作りにもなってるんですね。

それに、ライムスターの宇多丸さんも言ってましたが、本作の約2時間をレギュラー放送の約30分にギュッと圧縮すれば、全体のバランス的にもしっかり「スーパー戦隊」第1話になってるんじゃないかなーと思いました。

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 画像出店元URL:http://eiga.com / ついに変身した彼らは、生まれ育った町を守るため戦う

あと、何といってもハリウッドの大予算で作られた、CGを駆使した映像や全体のデザインはやっぱりカッコイイし、メガゾードの駆動音も重機っぽい音がミックスされててグッときたし、ゾードやメガゾードの早すぎない動きや、煽りのショット多用で巨大感をしっかり出しているのも、「お、監督分かってるなー!」って思いましたしね。

そして、(冒頭や中版のシーンが伏線になっている)決着のシーンはもうサイコーでしたよー!

何より、町のはみ出し者だった彼らが、パワーレンジャーになることで成長、自分と“セカイ”の関係を修復するというエンディングが個人的にはグッときました。

とはいえ、もちろん100点満点の傑作というわけではなく、ご都合主義なシーンや、個人的な不満点もないではないんですけどね。

それでも日本の「スーパー戦隊」というフィルターを一回取り払って、少年少女の成長譚として(あまりハードルを上げずに)観ればかなり良く出来てるし、楽しめるんじゃないかと思いましたねー!

興味のある方は是非!!

 

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