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おばあちゃんズの青春映画「マルタのやさしい刺繍」(2008)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、Twitterで教えてもらったスイス映画マルタのやさしい刺繍』ですよー!

恥ずかしながらまったくノーチェックでしたが、とても良い映画でしたねー(´∀`)

 

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

スイスの谷間の小さな村を舞台に、80歳のおばあちゃんたちがランジェリーショップを開くために奮闘する様を描いた人間ドラマ。閉鎖的な村人の冷たい視線を浴びながらも、マルタおばあちゃんと3人の女友だちが老いてもなお生きがいを見つけ出していく。スイス気鋭の女性監督ベティナ・オベルリとスイスを代表する大御所女優たちがコラボレートし、年を重ねることや夢を追うことがそう悪いものではないということを教えてくれる。(シネマトゥディより引用)

感想

スイス映画ってあまり観た記憶がないなー」と思って調べてみたら、以前ブログで取り上げたスイス・アーミー・マンが出てきたので「いや、それタイトルだけだろー(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ」Google先生に思わずツッコミを入れてしまいましたw

本作は、2006年の本国公開時に観客動員1位を獲得、日本では2008年に公開され、1週間でミニシアターランキング洋画部門興行収入1位を樹立したそうですね。

ストーリー

元お針子で村で雑貨店を営んでいるマルタ(シュテファニー・グラーザー)は、愛する夫に先立たれ一日も早く天に召されることを願うだけの日々。
そんなある日、彼女は村の合唱団の旗の修復を依頼され、友人たちと共に街まで布地を調達しに行くことになります。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 左からリージ・マルタ・フリーダ・ハンニ

生地屋で観た美しいレースや、アメリカ帰りの友人リージ(ハイジ・マリア・グレスナ-)に誘われて入った下着屋に触発され、マルタは長年忘れていた下着店を開くという夢を思い出すんですね。

忘れていた熱い想いを叶えようと雑貨店を整理し、再び生地やレースを買い込み、昔の勘を取り戻すために失敗を繰り返しながら作り上げた下着を飾り付け、念願の下着店を開くマルタでしたが、牧師の息子や保守的な村の人たちは、そんなマルタの店をハレンチだと白い目を向け……。という物語。

マルタと友人

本作では、主人公マルタと並行して3人の友人たちの物語も語られます。

リージはアメリカ帰りの先進的な女性で娘と2人暮らし。夫の死で人生の生きがいを失ったマルタに夢を叶えることを進め、積極的に協力してくれます。
しかし、彼女の過去にはある秘密があるんですねー。

ハンニ(モニカ・グブザー)は、体の悪い夫と二人暮らしで最初はマルタの店に反対していました。
しかし、息子で保守派政党員のフリッツが、車椅子の父親を施設に入れ、ハンニもその近くに部屋を借りて住めばいいと言い出したのに怒り、車の教習所に通い免許を取得。マルタの下着の配達を担当してくれます。

フリーダ(アンネマリー・デューリンガー)は、老人の施設に入居している気の強い女性。
最初は、マルタが下着店を始める事に否定的でしたが、マルタを馬鹿にするフリッツや村の連中に腹を立て、インターネットを勉強。マルタの下着をネットで販売してくれます。

旧態然とした村の男社会に、たった4人のおばあちゃんズが革命を起こす本作のストーリーは、以前紹介した「ドリーム」にも通じるんじゃないかと思いました。

まぁ、本作の敵はボンクラ息子たちなんですけどねw

二つの物語とテーマ

本作にはざっくり二つのストーリーが入っています。

一つは、上記のように旧態然とした男社会を自立した女性が変えていくという物語。

小さな村の出来ごとを通して、世界的な女性差別問題を「世界がもし100人の村だったら」的な切り口で見せているんですね。
それを、それを長年村の価値観の中で生きてきた おばあちゃんズを主人公に見せるのが絶妙だなーと思いました。

もう一つは、お年寄りの幸せとは何かという物語。

これも、現在の高齢化社会でお年寄りが幸せに生きるには? という、切実なテーマをコメディータッチで軽やかに描いています。

「老人は老人らしく」という子供世代や周囲からの圧力や常識?に、本作はハッキリとNOを突きつけ、幾つになっても夢を追いかけても恋をしてもいいじゃない。と、4人のおばあちゃんズを通して描いているのです。

最初は、夫に先立たれてしょんぼりしていたマルタおばあちゃんや、それぞれ事情を抱えた3人が、目標を持ってどんどん生き生きした表情に変わっていく様子や笑顔に、見ているコッチも勇気を貰えるんですよね。

昔取った杵柄で下着制作を始めるも、最初から上手くいくのではなく、徐々に勘を取り戻していく描写や、最後に村人全員が分かり合うのではなく分かり合えない人たちも一定数いる終わり方は、寓話的な物語にちゃんとリアルを入れ込んでいて素晴らしいと思いました。

マルタおばあちゃんの息子ヴァルターとハンニの息子フリッツについては、劇中でやった事に対しての罰が少ないように感じましたが、そうは言っても息子ですからね。
あまりヒドイ目に合わせるのは、おばあちゃんズにとっても本意ではないでしょうし、本作の主題は復讐ではなく彼女たちの夢が叶うことなので、あれはあれで良いのかもしれません。

ただ、敢えて言うならフリッツよりヴァルターの方が罪が深い感じがしたし、彼の奥さんにもう少しフォローがあってもよかったかも。

タイトルやパッケージから、観る前は何となく「おばあちゃんたちが主人公のふんわりした映画なのかな」なんて思ったけど、骨太で社会派なテーマを寓話的なコメディーとして昇華した良い映画でしたよー!

興味のある方は是非!!!

 

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