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カルト的ディストピアSF「スノーピアサー」(2014)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、2013年公開の韓国・アメリカ・フランス合同で作られたSFアクション映画『スノーピアサー』ですよー!

この映画の噂は以前から聞いていて気になってたものの、中々タイミングが合わなくて、今回やっと観ることができましたー。

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

母なる証明』などのポン・ジュノ監督が、フランスのコミック「LE TRANSPERCENEIGE」を原作に放つSF作。新たな氷河期が到来した地球を列車でさまよう数少ない人類の生き残りが、支配層と被支配層に分かれて車内で壮絶な戦いを繰り広げていく。『アベンジャーズ』などのクリス・エヴァンス、『JSA』などのソン・ガンホ、『フィクサー』などのティルダ・スウィントンなど、国際色あふれるキャスティングを敢行。彼らが見せる濃密なストーリー展開に加え、絶望の近未来を具現化した鮮烈なビジュアルにも目を奪われる。(シネマトゥディより引用)

感想

ストーリー

本作のストーリーをざっくり説明すると、温暖化が止まらない地球に「こりゃやべえ」となった未来。そこで温暖化を食い止めるガスを大気圏に打ち上げたら、氷河期になっちゃって人類や動物のほとんどが死滅状態になってしまうんですね。

そんな中、ウィルフォードが開発した永久機関のエンジンを乗せた列車「スノースピアー」に乗り込んだ人々だけは助かったものの、凍った世界をグルグル18年も走り続ける列車内は車両ごとに階級制になっていて、最後尾の人々はすし詰めの車両の中で酷い暮らしを余儀なくされているわけです。

で、最後尾の人たちは「こんな暮らしはもう限界だー!」と、主人公カーティスを筆頭に反乱の機会を伺っていて、ある日ついに……。という物語。

いわゆる近未来ディストピアSFなんですが、列車の中の物語だけに支配階級と貧困階級が「上下」ではなく「前後」という構造になっているのが個人的には面白かったです。

ちなみに原作はフランスのバンドデシネ(マンガ)『Le Transperceneige』だそうですよ。

監督・キャスト

そんな本作の監督を務めたのは、「母なる証明 (2009)」や「オクジャ/okja Okja (2017)」などで知られ、韓国のスピルバーグとも呼ばれているポン・ジュノ

主役のカーティスを演じるのは「キャプテン・アメリカ」のクリス・エヴァンス

セキュリティシステムのエンジニア、ナムグン・ミンス を演じるのは、韓国トップ俳優ソン・ガンホ

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画像出典元URL:http://eiga.com / 物語を引っ張るキャップとソン・ガンホ

最後尾車両のリーダーギリアム役に「ハリー・ポッターシリーズ」でオリバンダー老人を演じたジョン・ハート

コミカルだけど超憎たらしい女性首相メイソン役に「ドクターストレンジ」でエンシェント・ワンを演じたティルダ・スウィントン

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画像出典元URL:http://eiga.com / 最貧困メンバーと捕虜になったメイソン。

スノーピアサーの開発者ウィルフォード 役にエド・ハリス

他にも、 ジェイミー・ベルオクタヴィア・スペンサーなど、そうそうたるキャストでしたねー。

そんな彼らが、列車という限定された空間の中で決死のアクションを繰り広げつつ、スノーピアサーの“真実”に迫っていくというミステリー要素もあり、またスノーピアサーの車内を現実の世界に見立てたうえで、物語のベースにはキリスト教的な寓話性や哲学もあったりと、色々な要素が詰め込まれた作品でした。

ツッコミどころは満載だけど

とはいえ、本作を「SF映画」として観てしまうとツッコミどころ満載です。

(氷河期の世界を列車がグルグル走り回っているという設定自体は面白いけど)列車自体は凄くても雪や氷が付着したままのノーメンテナンスの線路の方がもたないのでは? とか、自給自足システムも列車内の人間が生きていくには少なすぎるのでは? とか、そもそもなぜ、(役に立たない)最下層の人たちをわざわざ生かしておくのか? とか。

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画像出典元URL:http://eiga.com / エンシェント・ワンを演じた人と同一人物とは思えない変わりようのティルダ・スウィントン

言いだしたらキリがないわけです。

でも、この映画はあくまで“SF仕立ての寓話(神話)”であって「SF映画」ではないので、そこはそれほど大事じゃないんですね。

この映画は、限定された箱庭的空間で起こる、様々な理不尽に対しての登場人物の心の機微を通して語られる現代社会の物語ですから。

まぁ、そんな風に書いちゃうと小難しい映画みたいですが、そんな事はまったくなくて、列車の中で乱闘や殺し合いが繰り広げられる、楽しいエンターテイメント映画でした!

アクションシーン

列車内でのアクションシーンといえば、韓国発ゾンビ映画の傑作「新感染 ファイナル・エクスプレス」を連想する人も多いかと思いますが、本作の場合、最初から最後までずっと、列車の中だけでドラマやアクションが繰り広げられるんですね。

もちろん「新感染」に比べてずっと、列車自体が大きくて中も広いんですが、とはいえ横の空間が限られているので、アクションはどうしたって前後でのぶつかり合いになります。

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画像出典元URL:http://eiga.com / よーい…

それでも、アクションが一本調子にならないのは、例えば反乱軍と警備隊のぶつかり合いのシーンで、警備隊がトンネルの暗闇を利用し、暗視ゴーグルを使えって戦況を有利にすれば反乱軍側は松明を灯して応戦するとか、メイソンを人質に取って進むと、前方からカートに積んだイースターのゆで卵を配る男がやってくるんですが、そのカートにはマシンガンが隠されていて銃撃戦になるとか。大きなカーブで敵味方が車両の窓越しに撃ち合うとか。

そういう、観客に飽きさせない工夫が随所にあって、アイテム入手もその前のシーンでちゃんと伏線が張られていたりするんですよね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ドン!

さらに、前の車両に進むごとに車両の風景が変わったり、窓から外の様子が見えたりと映像的にも退屈しないように考えられているのも良かったし、序盤から後半まで革命のために(多くの犠牲を出しながら)突き進むカーティス(と感情移入している観客)の価値観を、最後で一気にひっくり返す“ある仕掛け”にもビックリしました。

ストーリーのラストは好き嫌いが別れるみたいですけど、個人的には上手くまとまっていたと思うし、「これしかない」という納得のラストでしたねー。

いわゆる「傑作」ではないと思うけど、(トンデモ設定も含め)一度観たら頭の片隅にずっと引っかかるような、カルト的魅力のある作品だなって思いましたねー。

興味のある方は是非!!

 

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