ぷらすです。
今回ご紹介するのは、YouTubeにアップされたトンネルでのバイクチェイスシーンが「どうやって撮っているの!?」と話題になった韓国映画『悪女/AKUJO』ですよー!
僕も、YouTubeで観たバイクチェイスのシーンを観て、楽しみにしていた作品なんですよねー。
画像出典元URL:http://eiga.com
概要
『殺人の告白』のチョン・ビョンギルが監督を務め、『渇き』などのキム・オクビンをヒロインに迎えたスタイリッシュアクション。主人公の殺し屋が亡き夫のリベンジを果たし、やがて国家の暗殺者となる姿を華麗なアクションと共に映し出す。『高地戦』などのシン・ハギュンや『私は公務員だ』などのソンジュンらが共演。日本刀や自動小銃などを駆使したアクションシーンを、キム・オクビンがほぼ自分で演じ切った。(シネマトゥディより引用)
感想
アクションシーンは確かに凄い……けど。
本作の監督を務めるのは「殺人の告白」のチョン・ビョンギル。
スタントマン出身の監督ということで、本作でも激しい格闘&ガンアクションや車やバイクでのチェイスシーンが満載だし、階段の高低差や、部屋から部屋へ移動しながら、高速で走るバスの中での格闘シーンや、ビルのエアコン室外機の上でのアクションなど、様々なシチュエーションやバリエーションのアクションシーンが満載。
YouTubeの予告でも出ていた、狭いトンネルの中をバイクでチェイスしながらの日本刀アクションもあって、確かに凄い……とは思うんですが…。うん、何て言うか、
一言で言うとカメラワークがウザイ。
いきなり冒頭、主人公の主観映像からスタートして、アクションシーンではとにかくカメラが動きまくーりの、グルグル回りーのと、視点がアチコチに動かされまくるので映像酔いするし、登場人物の位置関係も分からなくなっちゃうんですよね。
っていうか、本作の主役を務めたキム・オクビンは、ちゃんと動ける女優さんなのに(ほぼスタントなしで演じたのだとか)、主観映像とかもったいなくね? っていう。
主観映像にすることで、主人公を含めたキャストの動きが限定されるし、洋ゲーの映像っぽく見えちゃって、むしろ逆効果だなって思うんですよね。
もしかして「ハードコア」っぽいのがやりたかったのかな? とも思ったんですが、「ハードコア」ほどカメラワークやキャラの動きが上手くないので、なんかこうただ違和感しか感じないんですよね。
そのあとも、カメラが動きすぎ、カット割りすぎに気が散って、(YouTubeで観たメイキングではかなり凄いことやってるのに)せっかくのアクションやチェイスシーンにぜんぜん集中出来ないんですよ。
画像出典元URL:http://eiga.com
観ていて、やりたいことは大体察しがつくんですが、全体的に上手くいってないというか、意気込みが空回りしている印象でした。
鈍重なストーリー
ちなみに本作は、
「何者か」に父親を殺された主人公スクヒ(キム・オクビン)が、育ての親ジュンサン(シン・ハギュン)のもとで犯罪グループの殺し屋として成長。
やがてジュンサンとスクヒは結婚するも、新婚旅行先でジュンサンを殺されたスクヒは復讐のため敵対組織のアジトに乗り込み皆殺しに。
しかし、駆けつけた警察に逮捕された彼女は、国家組織に身柄を拘束され、10年後の自由と引き換えに国家専属の暗殺者となる。
というストーリー。
とまぁ筋だけ追っていけば割とよくある物語を、時系列を入れ替えて見せることで、徐々に全体像が分かるようになるという構成なんですが……。
正直、この構成もあまり上手くいってるとは言い難いんですよね。
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しかも、その合間にスクヒと彼女を見張る国家職員のヒョンス(ソンジュン)とのメロドラマがストーリーのかなりの部分を占めていて、ぶっちゃけストーリーが中弛みしてるし、
父親の復讐(謎解き)
国家組織で暗殺者になる
ヒョンスとのラブストーリー
の3つの軸が同時進行で、しかも時系列を入れ替えながら回想シーンもゴチャゴチャ入ってくるので観ていてちょっと混乱するんですよね。
っていうか、犯罪グループの暗殺者として育てられたスクヒが、国家組織でもう一回暗殺者としての訓練を受ける展開がまどろっこしいし、物語的にも鈍重に感じてしまうのです。
画像出典元URL:http://eiga.com / こんな受け方したら、腕折れるよね…。
さらにさらにスクヒのお腹にはジュンサンとの子供がいて云々――とか、色々盛り込みすぎな割に、それぞれのエピソードがバラバラで一本の映画として上手くリンクしていないんですよ。
やりたい事は分かるけど、いっそ殺された父親の復讐にエピソードを絞って、もっとシンプルな物語にした方が良かったんじゃないかなーって思いました。
あとですね、この映画の中で犯罪組織と国家組織で2回も訓練を受けて一応凄腕暗殺者っていう設定の割に、スクヒは劇中全ての任務に失敗するんですよ。
お前いくらなんでも失敗しすぎじゃね? っていう。
国家組織的には、元々犯罪者のスクヒは使い捨ての駒っていう設定だと思うんですが、そんなに何度も失敗する使えない駒は普通、組織に見捨てられるか消されるでしょって思うし、そもそも国家組織が犯罪者の女を何人も訓練して暗殺者にする目的もボンヤリしてるし。コストを考えたら、普通に軍隊とかからスカウトしたエージェントを育ててチームで作戦を行使するほうが明らかに安上がりで安全だと思うんですけどねー。
いや、国が暗殺に関わってるってバレたらまずいから犯罪者を使うっていう設定なのは分かりますよ?
でも、そいつらをずっと監視したりフォローする労力と得られる結果が明らかに見合ってないし、組織のあり方として諸々ユルすぎてノイズになっちゃうんですよね。
結局のところ、設定も物語もアクションも、細部の作り込みが雑(というかそもそも興味がない?)すぎるくせに無駄にケレン味だけたっぷりな、ダメな深夜アニメみたいでした。
あれ? 今回悪口しか書いてないな。
うーんと、スクヒを慕う同じ組織の女の子は、個人的に好みでしたよ。
まぁ、すぐ死んじゃうけど。
興味のある方は是非。
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