ぷらすです。
今回ご紹介するのは「ALWAYS 三丁目の夕日」や「STAND BY ME ドラえもん」などの大ヒットで“国民的”映画監督となった、山崎貴監督最新作『DESTINY 鎌倉ものがたり』ですよー!
「~三丁目の夕日」の原作者、西岸良平による人気漫画「鎌倉ものがたり」を実写化したファンタジー作品です。
ちなみに、今回はほぼ悪口しか書いてないので、この作品が好きな人はスルーの方向でお願いします。
いいですね? 注意しましたよ?
画像出典元URL:http://eiga.com
概要
西岸良平による人気漫画「鎌倉ものがたり」を、西岸が原作者である『ALWAYS』シリーズなどの山崎貴監督が実写映画化。人間だけでなく幽霊や魔物も住むという設定の鎌倉を舞台に、心霊捜査にも詳しいミステリー作家が新婚の愛妻と一緒に、怪事件を解決していくさまを描く。和装に身を包み多趣味なミステリー作家を堺雅人、年の離れた妻を高畑充希が演じる。そのほか堤真一、安藤サクラ、田中泯、國村隼、薬師丸ひろ子、三浦友和、中村玉緒らが出演。(シネマトゥディより引用)
感想
実は僕は、西岸良平さんのマンガってほとんど読んだことがなくて、さらに山崎貴監督の映画を最初から最後までちゃんと観たのって、本作が初めてだったりします。(「ALWAYS~」をテレビ放送の時にちょこっと観た程度)
なので、本作がどのくらい原作の世界観に沿って作られているのかはよく分かってないんですが、本作の「人間と魔物が共存している古都 鎌倉」という基本設定は原作に準じているみたいですね。
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その上で、「STAND BY ME ドラえもん」と同じく、1話完結型の原作から幾つかのエピソードをパッチワーク的に繋ぎ合わせて一本の映画にしたらしいです。
タイトル問題
山崎監督といえば「ALWAYS(三丁目の夕日)」「STAND BY ME(ドラえもん)」「BALLAD(名もなき恋のうた)」そして本作と、原作タイトルの前に横文字のメイン?(サブ?)タイトル を組み合わせることで、ライムスター宇多丸師匠言うところの「田舎の喫茶店」のような、絶妙にダサいタイトルをつける事でお馴染み。
本作の「DESTINY」は一応、内容には関係してるんですけど作品自体は日本の民話や宗教観(神道・仏教)的な価値観がベースになっているわけで、むしろ原作の「鎌倉ものがたり」だけの方が良いのでは? って思いましたねー。
まぁ、横文字メインタイトル+日本語サブタイトルの組み合わせは、洋画の放題でもよく見られるパターンなので、それに倣っているのかもですが。
日本版「ハリーポッター」?
一方、山崎貴監督といえば、作品内にCG技術をいち早く取り入れた監督の一人です。
ある意味で、邦画のCG技術の進歩は何だかんだ言っても山崎監督の功績が大きいのではないかと思うんですよね。
おそらく山崎監督は、邦画ではなく洋画的なエンターテイメントを目指してるんだと思います。
本作もおそらく「ハリーポッター」や「ファンタスティック・ビースト」の日本版みたいな作品にしたかったのかなーなんて思うんですが、それが上手くいっているかと言われれば、(´ε`;)ウーン…って感じでしたねー。
ネジが緩んでる
原作の方は、鎌倉を舞台にした一話完結型のミステリー+人情モノや怪談+ほのぼの日常系といった感じらしく、舞台設定も現代の鎌倉と解釈することも出来るけど、登場する建物や乗り物(パトカーや江ノ島電鉄・横須賀線)などは1960~70年代の感じにしているらしく、主人公でミステリー作家の一色正和の和装なども相まって、昭和っぽい感じに統一して時代をぼやかすことで「架空の鎌倉」を作っているんですね。
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そこは本作も一応踏襲してはいるし、ロケ地や家のセット、堺雅人が運転する車などは旧車を使ったりと気は使っているものの、随所に現代感が見え隠れするなど、画的な世界観がちゃんと統一されてない感じがしました。
また、中盤以降一色と愛妻の亜紀子が行くことになる「黄泉の国」のビジュアルも、ジブリ感が強いというか、もっとハッキリ言えば「千と千尋の神隠し」っぽいなーと。
この「黄泉の国」のシーンは「ズートピア」で言えば動物が集まる大都市ズートピア、「ベイマックス」で言えばサンフランソウキョウみたいな、映像一発で観客に作品の世界観を見せつける重要なシークエンスなので、本作ならではのビジュアルであっと言わせて欲しかったですねー。(あと、画で見せないなら、人によって風景が変わるという黄泉の国の設定はいらなくね? とも思いました)
あと、すごく気になったのは、キャスト陣の演技のトーンがバラバラなこと。
一色を演じる堺雅人の作りこんだ舞台っぽい時代掛かった演技と、亜紀子を演じる高畑充希のいかにも現代風な女の子っぽい演技とのバランスが取れていないというか、二人の“生きている時代”がズレているような違和感を感じてしまうんですね。
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ほかの役者さんたちも悪く言えば野放しっていうか、それぞれの解釈で自由に演技しているというか。
それは多分キャスト陣の問題ではなくて、監督が演出に対して無関心なんじゃないかと思うんですよねー。
それは映像やストーリーでも同じで、全体のざっくりしたビジョンはあるけど細部に無頓着なのが素人目にも分かるっていうか。
例えば、一色の担当編集者本田(堤真一)が末期ガンで、残された家族が心配過ぎて死後、魔物に転生するという展開があるんですけど、舞台が黄泉の国に移る中盤以降で、「黄泉の国」でピンチに陥った一色を、魔物になった本田が助ける展開があるのかと思ったら何もないし、結局、本田のその後に関しては放ったらかしでしたよ。
他にも、あるシーンでのこれ見よがしな伏線が、思った通りの回収をされるので、クライマックスの劇的なシーンのハズなのに「でしょうねー」としか思わないとか、そもそも作品内での死生観がボンヤリしてるので物語にメリハリがないとか。
事ほど左様に、ファンタジー映画としてシッカリ締めるべき細部のネジが全部緩んでる感じで、僕には合わなかったなーと。
もしかして原作を読んでいたら「お、このエピソードをこう活かしてるのか」と感心したかもですけども。
ただ、キャストは豪華だし、これまでの山崎監督作品を楽しめた人なら面白く観られると思いますよー。
興味のある方は是非!
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